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魔法少女リリカルなのはANSUR~CrossfirE~

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Ep38ランスターの弾丸は全てを撃ち抜く~My answer~

 
前書き
ティーダ・アグワマリナ最終戦イメージBGM
武装神姫 BATTLE MASTERS 『Battle "The Hardes"』
http://youtu.be/KDtg7bQwBrY 

 
†††Sideティアナ†††

「ティア、上手く行くかな・・・?」

「あたし達が上手く行くようにするのよ」

スバルが不安そうに少し弱い声色でそう聞いてきた。だからあたしは自分にも言い聞かせるようにそう返す。こんなところで躓いたら、これから先上手くいくわけがない。だからこそあたし達に失敗は許されない。やり遂げる。そう決意を胸に秘めて待機していると、フォスカムの地上部隊の方が来た。

「八神司令より連絡が入りました。5分後、1430時に作戦開始だそうです」

「判りました。ありがとうございます」

報せに来てくれた隊員の方にそう返す。14時30分に行動開始。待機状態の“クロスミラージュ”にそっと触れる。大丈夫。幹部が来ても、あたしとスバルならきっと上手くいく。未だに恥ずかしいから面と向かってハッキリ言えないけど、スバルと一緒ならどんなことも乗り切れるって思ってるから。

「時間よ!!」

時間になったことであたしは号令を掛ける。あたし達は拠点に向かって一気に駆けた。拠点のある場所が廃棄都市区画ということもあって、死角が多く簡単に姿を隠せて懐に入り易い。だから拠点の居るはずの“テスタメント”構成員にはまだ気付かれてないはず。

『ティア、上手く行き過ぎてると思うんだけど、大丈夫かな・・・?』

スバルの後ろ向きな念話が来た。実際あたしもそんな後ろ向きな考えをしだしていた。スバルと同じ思考なんてショックなような嬉しいような、微妙な感じだ。

『あんたねぇ、もう少し前向きに考えないと足元すくわれるわよ』

『前向き過ぎても考えものだと思うんだけど・・・』

『じゃあいい感じで緊張感保ってなさい』

いい感じってどんなのか言ってる自分でも解からない。緊張し過ぎてすこーし思考にバグが・・・。

『いい感じ、ってどういう感じ?』

案の定スバルもそうだった。

『自分で考えなさい。以上!』

自分でも答えられない問いだから放り出した。そんなやり取りを終えて、廃棄ビルや瓦礫の陰という陰を利用して、拠点にまで複数の武装隊と一緒に向かう。だけどここまで“テスタメント”の妨害を何ひとつとして受けないのもおかしい。

『ポジティブに考えれば奇襲が気付かれてない。何せ管理局(あたしたち)に拠点の位置が知られているなんて思ってないだろうから。で、ネガティブに考えれば、これはあたし達を誘き出す罠ってところね』

初代リインフォースさんから情報が漏れているなんて知られてないから、こういう状況は必然だとも思う。だからあたしがスバルに示した二択の1つ、罠はまずないはずだ。まぁ結局のところ、どっちにしてもあたし達のするべきことは・・・

『反撃に転じられる前に、障壁発生装置を破壊。そして幹部の撃破』

ただそれだけだ。

「それでは、我々フォスカム地上部隊と航空部隊で襲撃を掛けます。テスタメント幹部が姿を現した時はお願いします」

「判りました。お願いします」

「お願いします」

両隊を見送った後、あたしとスバルはここから少し距離の開いた廃棄ビル内へ移動する。出来るだけ近く、だけど戦闘に巻き込まれないように、そしてすぐに参戦できるちょうどいい位置だ。
あたしとスバルはこの場所で幹部戦に備えて待機しておかないといけない。早速戦闘が開始された戦域の状況をサーチャー越しで見る。突然の奇襲に慌てた様子の構成員が銃を片手に拠点からわらわらと出てくる。そして遅れること数分。

『噂の航空戦力アギラス計13機を目視!』

『弱点は判明している! 1on1ではなく、可能な限り複数人で1機を撃墜しろ!』

『第一隊、第二隊、第三隊、拠点内部に進入! 引き続き任務続行!』

完璧過ぎるって言ってもいいくらいの統制のとれたフォスカム部隊と、統制されているけど遥かにレベルの落ちるフォスカム拠点の構成員部隊。地上の勝敗はどっからどう見てもフォスカム部隊の勝利で間違いない。
それから数十分の間、地上・航空部隊の負傷者、アギラスを撃墜したという報告が何度か入る中、あたし達が待ち望んだ報告がついに入った。

『こちら第四隊! 障壁発生システムと思われる装置の破壊に成功!』

『テスタメント構成員から確証を取りました! 我々の勝利です!!』

『あ、アギラスが転移、撤退していきます!』

地上部隊が“オムニシエンス”を守る障壁を発生させる装置を破壊した。これで1つ目の目的は果たせたんだけど、幹部は誰ひとりとして現れなかった。隣に居るスバルからの視線に気付いて、「油断はしない方がいいわ」って釘をさしておく。
このまま現れないならそれも仕方ない。だけど現れたらすぐに行動に移れるように。そして、いまだに戦闘を続行しようとする構成員の捕縛に入って少し、あたし達がこの世界に来た目的が現れた。

『こちらベータ隊! 白コート、幹部2名を確認!』

『グラース三佐です。幹部との戦闘は避け、構成員の逮捕を続行。幹部は特務六課に任せます。ナカジマ防災士長、ランスター執務官、お願いします』

グラース三佐に「「了解!!」」と返す。現状で2人1組の幹部ペアはお兄ちゃんと、スバルの母親クイントさんしかいない。

「行くわよ、スバル!」

「うん! ウイング・・・ローーードッッ!!」

スバルは帯状魔法陣の道ウイングロードを架けて、先行するスバルに続いて一気に戦域に乗り込む。空に人影が2つ。藍色のウイングロード上を走るクイントさんと、飛行魔法で空を翔けるお兄ちゃん。

『スバル、部隊を巻き込まないようにここから少し離れるわよ!』

前を走るスバルに念話でそう言うと、スバルは『了解!』と返すんだけど、そのままお兄ちゃん達に突っ込もうとする。

「スバル!!」≪Buddy !!≫

すぐ前までクイントさんの疾走するウイングロードが迫って来ているというのに、スバルはそのまま突っ込んでいく。
「クロスファイア!!」

≪Shoot !!≫

だからあたしは左手に持つ“クロスミラージュ”を前に向けて、クロスファイアを6発撃つ。それと同時にスバルに飛びついて押し倒す。クロスファイアを避けるためにウイングロードの軌道を上に変更したクイントさんが、倒れ伏したあたし達の頭上を通り過ぎていった。

「何ボサッとしてんのよ! しっかりしなさい!」

≪また来ます!≫

かぶりを振っているスバルに右手を差し出して、スバルを立ち上がらせる。明らかに様子がおかしいのは判ってる。よく見れば、スバルの瞳にノイズが奔っているのが見えた。視覚障害? もしそうならスバルは下がらせた方がいい。

――嗚呼、目醒めよと声がする――

――ラウンドシールド――

――トライシールド――

そう思って声を掛けようとしたとき、上からお兄ちゃんの黄色い砲撃が降ってきた。

VS・―・―・―・―・―・―・―・―・―・
其は悲しき改革者ティーダ・アグワマリナ
・―・―・―・―・―・―・―・―・―・VS

“クロスミラージュ”と“マッハキャリバー”がシールドを張ってくれたおかげで直撃しなかった。

「え? なに――きゃぁ!?」

すごい速さで降下してきたお兄ちゃんは、あたしのお腹に手を回してどこかに連れて行こうとする。ウイングロードに踏み止まろうとしたけど、空を飛ぶお兄ちゃんの力に勝てるはずもなく、一瞬でスバルが視界から居なくなる。

「お兄ちゃ・・・ひっ・・・!?」

どうしてこんなことをしたのか聞こうとお兄ちゃんを見、顔の禍々しさに一瞬だけ息が止まった。お兄ちゃんの目は黒くて、虹彩が黄金。だけど、どこも見ていないような虚ろな目だった。そして両頬には鉤爪のような黒い影の紋様が浮かび上がっている。
あたしの視線に気付いたのか、お兄ちゃんの黒に染まる眼がギョロっと動いて、黄金に輝く虹彩があたしを見る。怖い。今のお兄ちゃんは何か生理的に受け付けることが出来ない恐怖そのものだ。

「ЖБティア∬♂ナΩ・・・」

「っ! お兄ちゃ――へ? えええぇぇぇぇぇッ!?」

お兄ちゃんはあたしのお腹に回している手を離す。すると当然あたしは飛べないから、地上に向かって真っ逆さまに落ちる。

≪Floater≫

地面までもう少しというところで、対象を浮遊させる効果を持つフローターを発動。ゆっくりと地面に着地して、あたしをあんな高いところから落としたお兄ちゃんを睨み付ける。だけど廃棄ビル群の所為で閉塞的に見えるこの空じゃ、お兄ちゃんの姿を見つけられない。

(明らかにお兄ちゃんは異常。あの目、あの模様・・・何かがあったとしか思えない)

奇襲に備えて2挺の“クロスミラージュ”をダガーモードにして構える。心当たりは魔族。でもシャルさんの考えやあたしの考えから見ても、お兄ちゃん達が魔族に手を出すとは思えない。ならあれはどう説明する。真っ先に浮かぶのが“テスタメント”幹部の中で1番怪しいディアマンテ。

――誰が知る其が終の果て――

ほとんど直感だった。あたしは前へ全力で跳んだ。するとさっきまであたしが居た場所に魔力弾が降り注いだ。前転して立ち上がって周囲を見回すと、白コートを纏ったお兄ちゃんの姿が見えた。右手に白い拳銃。左手に長く黒いライフル。2挺の銃身の上下に付いている刃が鈍く光る。

「お兄ちゃん・・・!」

お兄ちゃんは空を仰ぎながら、身体を左右に揺らしてゆっくりと歩いてくる。試しに「お兄ちゃん」と呼びかけてみる。だけど返事はなかった。返ってきたのは、白銃から放たれた魔力弾。威力は今まで以上。あたしは横っ跳びして回避。お兄ちゃんは休むことなく魔力弾を撃ち続ける。それをまた横っ跳び、またはバックステップで避けていく。

『ティアナ、聞こえる!?』

そこに、“ヴォルフラム”で待機しているシャルさんからの通信が入った。

『聞こえます! あの、お兄ちゃんのことなんですが!』

『状況は判ってる。ごめん、まさかこうなるなんて思わなかった』

そう謝ってきたシャルさん。あたしは無言で続きを待つ。その間にもお兄ちゃんの攻撃を紙一重で避けて、どうしても避けきれない場合はシールドで軌道を逸らす。ルシルさんから教わった防御法。受けるより逸らす方が効率的だ、っていう教え。シャルさんは『ティーダもそうだなんて』って言った後・・・

『クイントさん、そしてティーダはある魔族に囚われてる。魔族名は、幻想一属、暴力の災渦ゲヴァルトゼーレ。対象に無理矢理とり憑いて凶暴化させて精神を食べる、幻想一属の中でも最悪な奴よ。で、そんなヤバい奴を2人が使うとは思えない。つまり、誰かが2人と魔族を無理矢理融合させた、そう考えられる』

知りたかったことを教えてくれた。というか、スバルのお母さんも同じ状況なのね。あたしの心の揺らぎにでも気付いたのか、お兄ちゃんは左手に持つ黒銃の銃口を向けてきた。

(やば・・・!)

魔力が集まっていく。集束砲撃。威力はきっと今までに見た以上。ステップで回避。ダメ、避けきれる確信が無い。防御。それもダメ。防ぎきれる威力じゃないことは感じ取れる。だったら、もう1つの回避方法を選択する。黒銃の銃口の光が一際強くなった瞬間、あたしは“クロスミラージュ”を右サイド、大体10mくらい先の廃棄ビルの大き目な窓枠に向けてアンカーショットを撃つ。

「クロスミラージュ!!」

――失われし誓いの綺羅星――

アンカーの魔力糸を引き戻す勢いで、その場からビルの中へ全速離脱。それと同時に放たれた砲撃は大きくて、単なる防御じゃ簡単に貫かれるほどのものだった。ビルの中に入って幻術の魔法を用意をしていると、シャルさんからの通信が入った。

『スバル、そしてティアナ。私が代わりに行って戦うから、あなた達は――』

「いえ、このままあたしにやらせてください。妹のあたしが兄を必ず止めます」

シャルさんの言葉を半ば遮るようにそう言った。

≪Load cartridge. Fake Silhouette≫

その間にも2挺のカートリッジを1発ロードして、発動させたフェイクシルエットであたしの幻影を数体発生させる。あたしは現れた幻を見て、やっぱりすごいと驚く。訓練として本局で数回シャルさんのカートリッジを使って、イクシルエットを発動した。神秘を得たことで今までに無かった完全な存在感、気配がある。余程のことがない限りは絶対に気付かれないっていう自信がある。

(どこがいい? どこが1番迎撃しやすいポジション・・・?)

あたしは窓際からこのフロアの奥に進んで、射撃のベストポジションを探す。接近戦じゃまず勝てない。射撃の腕はお兄ちゃんがまだ上。砲撃の威力も、チャージ時間があんなに短いのに高い。ならお兄ちゃんが持っていない幻術を駆使して、お兄ちゃんを止めてみせる。

『2人がそう言うなら私は引っ込むよ。2人に1つアドバイスしとく。よく聞いてね。ゲヴァルトゼーレは最悪な性質なわりに性根が呆れるほど弱い。ある程度ダメージを与えれば簡単に引き剥がせる。それはつまり・・・』

このフロアの天井裏に潜り込んでいると、シャルさんからそんなアドバイスが送られてきた。それに、スバルもクイントさんとこのまま闘うことを決意したようね。

「つまり、兄を昏倒させるだけのダメージを与えればいいんですね・・・?」

元よりそのつもりだったことだ。ゲヴァルトゼーレなんていうイレギュラーが紛れこんだけど、どちらにしてもお兄ちゃんとは決着を付けないといけない。

『そうゆうこと。スバル、ティアナ。やらせて下さいって言ったんだから、絶対に勝つこと、いい?』

「はい! もちろんです!」

それっきりシャルさんとの通信を切る。ビル内にお兄ちゃんの不規則な足音が響いてきたからだ。天井裏から覗くと、左右に身体を揺らしてフラフラしながら歩くお兄ちゃんが見えた。このフロアの柱という柱の陰に待機させている幻影を動かす。タイミングは・・・もう少し、まだ早い、まだ、まだ・・・・今!

――クロスファイアシュート――

お兄ちゃんを幻影で包囲。それと同時にあたしを含めた幻影の一斉射撃。お兄ちゃんは両手に持った白銃と黒銃の銃口を幻影のあたしに向けた。それはつまり本物と偽物の区別がついていないってことになる。まだ確証じゃないけど、もしそうだったら勝率は高くなる。

――誰が知る其が終の果て――

――嗚呼、目醒めよと声がする――

白銃からは10発くらいの魔力弾、黒銃からは黄色い砲撃が放たれた。それで幻影の魔力弾のほとんどは消されたけど、本命の本物(あたし)の魔力弾はそのままお兄ちゃんに直撃。

「@ΞΩ∑ΨЖ3*h$w∵?!!?」

直撃を受けたお兄ちゃんの白コートは弾け飛ぶ。柱の1基に背中から叩きつけられて、ドサリと力なく倒れ込んだ。これで勝ちならどんなに楽か。だけど、そんなに甘くなんてない。俯いたままのお兄ちゃんがスッと立ち上がる。同時に身体中から黒い影が沸き上がってきた。お兄ちゃんは苦しいのを耐えるように、背を預けている柱を黒銃の刃で斬りつけてボロボロにする。

「アレが、ゲヴァルトゼーレ・・・!」

お兄ちゃんの両腕と2挺の銃が影と完全に同化して、どこか魅力のあった2挺の銃は禍々しくなった。お兄ちゃんが顔を上げてあたしの方を見た。背筋に悪寒が奔る。お兄ちゃんの顔で、あんな虚ろで異色の目をしていてほしくない。

――誰が知る其が終の果て――

「っ!」

白銃(もう白じゃないけど)をあたしに向けてきて、瞬時に魔力弾を数発撃ってきた。“クロスミラージュ”がシールドを展開してくれたから直撃は免れたけど、撃ったと同時にお兄ちゃんは跳んで、あたし居る天井裏まで上がって来て、目の前に立った。数cmも無い距離で目が合う。お兄ちゃんの目に映るあたしの顔は怯えていた。無意識的にバックステップで距離を開ける。

「♂3ckЖГ01yyp??」

お兄ちゃんも一足飛びで追いついて来て、影そのものと言ってもいい黒銃を振るって、眼のような模様が浮かぶ刃を奔らせる。咄嗟にダガーモードにしたままの“クロスミラージュ”を交差して受け止めるけど、あまりに力が強くて、「きゃ・・・っ!」弾き飛ばされて天井から落下。

「っと・・・!」

でも何とか四肢を着いてギリギリで着地。顔を上げると、白銃をあたしに向けているお兄ちゃんが視界に移る。体勢を整える前に魔力弾を撃った。回避?防御?間に合う?どうしよう?

≪Protection≫

“クロスミラージュ”がプロテクションを張ってくれた。だけど3発目で壊されて、足元に1発、右肩に1発掠めた。

――ヴァリアブルバレット――

痛みに耐えて、魔力弾を連射しながらその場から離脱する。だけどお兄ちゃんはそれを防ぐでもなく避けるでもなく、まともに受けた。それでも平然と立っているのを見て、並の魔力弾じゃ通用しないことが判った。

(砲撃か集束砲じゃないとダメかも・・・!)

――誰が知る其が終の果て――

射撃ポジションを探すために駈け出した時、すぐ目の前を魔力弾が足元へと通り過ぎた。だから足を止めざるを得なかった。振り向く。あたしをジッと見つめるお兄ちゃんの目。虚ろなんだけど、あたしを射抜いているその異色の目。やっぱり怖い。

「くっ・・・!」

違う。今はそれより体勢を整えないとに・・・。

――フェイク・シルエット――

突発的に幻影数体を作り出してあたしの元に集わせ、そして一斉にバラけさせる。お兄ちゃんは本物と偽物に区別がついてないはず。だからこれで少しは時間が稼げる、と思う。

「ЖБ∬♂Ω∵」

お兄ちゃんはギョロって目を動かして、周囲に散っていくあたしの幻影を視線で追い掛ける。

――嗚呼、目醒めよと声がする――

そして幻影の方に向かって行って黒銃の銃口を向け、砲撃を撃った。砲撃で掻き消えて幻影と判るとまた、別の幻影に目を向けた。これはチャンスかもしれない。幻影に魔力弾を撃たせ続ける。お兄ちゃんは幻影なんて知らずに、迎撃態勢に入って魔力弾を撃ち込んでいく。もちろん幻影だから素通りしていく。

「クロスミラージュ、このまま幻術維持」

≪Yes, master≫

消されていくと同時にまた新しい幻影を作り出して、お兄ちゃんの前に出す。時間を稼いで思考する。今すぐにでも使えるのはフォントムブレイザー。それで勝てるかどうか判らない。スターライトブレイカーの方が確実かもしれないけど、今はそんな余裕が無い。集束中を狙われたらアウトだ。

≪Phantom Blazer, Standby≫

だから砲撃を選択する右手に持つ“クロスミラージュ”をブレイズモードにして、銃口を幻影に対処しているお兄ちゃんに向ける。

――ファントムブレイザー――

トリガーを引いて砲撃を撃った。こっちに振り返るお兄ちゃんの目は虚ろ・・・じゃない!?
しっかりといつも通りの目であたしの方を、向かってくる砲撃を捉えてる。

「僕を越えてみせろっ、ティアナ!!」

――クロスファイア・アサルトドライブ――

黒銃を今さらのように砲撃に向けて、今までのように聞き取れない言葉じゃない、理解できる言葉でそう叫んだ。それと同時にクロスファイアを集束させての砲撃バージョンを撃ってきた。どうして?だとか思っている暇もない。一瞬で臨界点まで高めたその砲撃が、あたしの砲撃の行く手を塞ぐ。お互いの砲撃が衝突した。拮抗するあたしとお兄ちゃんの砲撃。

「クロスミラージュ!」

「まだまだ!!」

――クロスファイアシュート――

――クロスファイアシュート――

あたしは左の“クロスミラージュ”を、お兄ちゃんは影に染まったままの白銃を、お互いに向ける。そしてあたしとお兄ちゃんの絆とも言える魔法、クロスファイアシュートを10発と撃つ。撃った直後にあたしは横に跳び退いて、押され始めていた砲撃を捨てる。案の定あたしの砲撃は、お兄ちゃんの砲撃に完全に押し切られて、掻き消された。それにさっき放ったクロスファイアも全弾相殺された。

「次!」

「いいだろう、付き合うよティアナ!」

全力でフロア内を駆けながら、魔力弾を撃っては柱の陰に隠れるを繰り返す。お兄ちゃんも同じように魔力弾を撃ちながら駆けて、柱の裏に隠れて盾にする。あたしも柱の裏に隠れて、お兄ちゃんの出方を見る。

(精密射撃だとまだあたしの方が分が悪い・・・か。幻術によるかく乱は・・・かなり賭けっぽい)

どういうわけか、ゲヴァルトゼーレによる暴走から脱したお兄ちゃん。そんな今のお兄ちゃんに幻術が通用するか不明。でもお兄ちゃんに無くて、あたしに有るモノと言ったら幻術しかない。

――フェイクシルエット――

だから何度でも幻術を駆使してお兄ちゃんを打ち負かす。背を預けている柱から顔だけを出して、様子を窺う。お兄ちゃんが動いた気配はない。ならここで仕掛ける。一斉にじゃなくて1人ずつ、そしてタイミングをずらして、お兄ちゃんが隠れているはずの柱に向かわせる。

――クロスファイアシュート――

すると魔力弾が何発と柱の陰から放たれていく。どうやら正気に戻っているお兄ちゃんでも、幻術を見破れる術は無いらしい。その間にスフィアを20基展開。通常ならもう少し溜めが必要だけど、シャルさんの魔力のおかげでほとんど時間が掛からなかった。そこでふと思う。

(ブレイカーのチャージ時間も、もしかして短縮されているんじゃ・・・)

確証は無いけど、通常時よりかは間違いなく短縮されているはず。それにここまで周囲に魔力が満ちている状況もなかなかに良い方向だ。集束砲スターライトブレイカーの使用も視野に入れつつ、幻術に対応しているお兄ちゃんの居る柱へ向かって・・・

――クロスファイア・フルバースト――

待機させておいたスフィアを一斉に放つ。全弾集中砲火。フロアだけでなくビル全体を揺るがすほどの爆発。それでもあたしは転倒しないよう走って、このフロアから下のフロアに向かう。

「幻術。なかなか真贋が判別できない。やるな、ティアナ。だけど・・・」

――インパルス・ストライカー――

だけどその前に、お兄ちゃんの声が響く。そして粉塵の奥からものすごい光量が発せられた。次に振動。視界が揺れる。ビキビキッって嫌な音が足元からした。走りながら下を見ると、床一面に亀裂が入っていた。お兄ちゃんはどうやらこのフロアを下に落とすつもりのようだ。

「そんな無茶苦茶――しまっ・・・!?」

階段までもう少しというところでさらに強い振動。その所為で蹴躓いて転倒。それと同時に崩れていく床。床と一緒に落ちる前にアンカーショットを天井に向かって撃つ。

「はぁはぁはぁはぁ・・・危うく一緒に落ちるとこ――・・・」

「まだまだ甘いな」

アンカーショットで天井にぶら下がったままで居ると、背後からお兄ちゃんの声。しまった、と思った時にはもう遅くて、空を飛んでいるお兄ちゃんが黒銃の刃で魔力糸を切断した。未だに砂塵に覆われている下のフロアに落下する最中、あたしを見降ろすお兄ちゃんと視線が合う。少し楽しそうなお兄ちゃん。何だろう、こうしてお兄ちゃんと闘っているとあたしも・・・って・・・

「楽しいわけなぁぁぁぁいっ!!」

結構命がけなバトルを楽しめるほどの余裕も無いし、戦闘狂でもないから全然楽しくない。フローターを使って、フロア崩壊で巻き起こった粉塵で視界が最悪なフロアに降り立つ。

――クロスファイアシュート――

容赦なく降り注いでくる魔力弾の雨。紙一重で(ほとんど掠ってる)避けていると、魔力弾の起こす風で粉塵が少し晴れる。チラッと見えたお兄ちゃんに向かって、あたしも負けじとクロスファイアを撃つ。そこから始まったのがクロスファイアの応酬。でも下に居るあたしには圧倒的に不利な戦況。

(今すぐお兄ちゃんをあの高みから落としてやりたい)

本気でそう思い始めた。これではまるで兄弟ゲンカみたい。そう思ったとき「あ」って声を出す。あたし、今、少し笑ってた・・・?
本当に小さい頃に亡くしたお兄ちゃん。どんな形であれ、あたしとお兄ちゃんは今だけという時間に存在している。話せる場所に居る。触れられる場所に居る。そう、なんだ・・・あたしは、それが嬉しいんだ。

「どうしたんだティアナ。そんなので僕を越えて行けるのか?」

クロスファイアの雨が止む。この間に一手を打っておく。お兄ちゃんの挑発めいたその言葉に「あたしはお兄ちゃんを越えていく」って言い返す。

「そうか。それだったらこんなところで躓いているわけにもいかないな」

するとお兄ちゃんは少し黙った後、そう返してきた。粉塵が完全に収まっていって視界がクリアになる。見上げると、宙に静かに佇むお兄ちゃんが居た。あたしは「うん」と答えて、左の“クロスミラージュ”の銃口をお兄ちゃんに向ける。

「テスタメント幹部アグワマリナ。あなたを逮捕します」

「やってみてくれ。ティアナが今まで学んで高めてきたその力で」

あたしは“クロスミラージュ”をお兄ちゃんに向け、お兄ちゃんは白銃をあたしに向けてきた。睨み合い。すごく長く感じたけど、実際にしてみれば数秒間。

「「クロスファイア・・・シュートッ!!」」

同時に撃つ。あたしは11発。お兄ちゃんも同じ11発。お互いの間で相殺し合うクロスファイア。そしてお兄ちゃんが直接向かってきた。あたしに向かって振るわれる黒銃の刃。

「幻術!?」

あたしの視線の先に居る幻影(あたし)が攻撃を受け、揺らいでまた元に戻る。お兄ちゃんが混乱している。クロスファイアは本物なのに身体が偽物。まさかあたしが床下に居るなんて思ってもいないはず。

――クロスファイアシュート――

あたしは素早く床下を移動。別のところから上半身を出して、お兄ちゃんを包囲するように配置した幻影に紛れて撃つ。そしてすぐに床下に潜る。これはかなり地味でカッコ悪い。だけど手段は選んでいられない。上からステップを繰り返してあたしの攻撃に対処している音がする。暴走状態じゃない今は、さすがに魔力弾でも防御しないといけないみたい。また離れた所から上半身を出す。

「見つけた・・・!」

――ヴェロシティ・レイド――

黄色い高速砲が目前にまで迫る。

≪Protection≫

“クロスミラージュ”がギリギリのところでプロテクションを展開、直撃は免れた。だけど衝撃と爆風だけはどうしようもなくて、周囲の床板ごと吹き飛ばされる。転がっている最中に頭を打ったのか、額から一筋の血が流れる。

「・・・どうして見つかったのか、知りたい顔だな、ティアナ」

グローブで額の血を拭いながらお兄ちゃんの方を見ていると、そう声を掛けられた。そんな顔をしていたつもりはないけど、そう言われたのならそうなんだろう。すると無言のお兄ちゃんの周囲に黄色スフィアが集まってきた。

「簡単だよ。サーチャーを使ったんだ。探索用の魔力スフィア。周囲3m圏内の物体の動きを察知して、術者である僕に点滅することで報せる。生前、デバイスを持っていたときはデバイスが教えてくれたけど、この神器にそんな機能は無いからね。だから点滅なんて原始的な方法を取らざるを得なかったけど、それで十分だったというわけだ」

そう言って白銃・黒銃両方の銃口を向けてきた。というか神器? やっぱりあの2挺の銃は普通の武装じゃなかった。

「僕の勝ちだ、ティアナ。今からでも管理局を辞めて別の仕事に就いてくれ、頼む」

最後通告。冷たい言葉とは裏腹に本当にあたしを心配しているのが分かる。お兄ちゃんにこれほど想われて幸せ、だと思う。だけど、

「あたしは・・・辞めるつもりはない。それにまだ・・・」

≪Dagger Mode≫

「この闘いを諦めたつもりもない!!」

2挺の“クロスミラージュ”をダガーモードにして突進。お兄ちゃんは「ティアナッ!」って叫んで、でも迎撃態勢に入った。まず左手の“クロスミラージュ”を振るって魔力刃を走らせる。それに対してお兄ちゃんは、左手の黒銃の刃で受け止めた。激しい火花が散る鍔迫り合い。その最中に右手の“クロスミラージュ”の銃口を向ける。至近距離での一撃をお見舞いするために接近戦を挑んだんだから。

「クロスファイア・バーストドライブ!!」

さっきお兄ちゃんが使ったクロスファイアの砲撃バージョン。当然あたしも使える技術だ。驚愕するお兄ちゃんを余所にトリガーを引いて撃った。視界が白に染まる。至近距離だからこっちにも少なからず衝撃が来るけど、バックステップで衝撃を逃がす。
体勢を整えてすぐさまクロスファイアを煙の中に叩きこむ。もう一切合切の迷いも手加減もあってはいけない。それじゃあ負ける。だから強気に立ち向かう。撃ち続けていると、煙の中からお兄ちゃんがこっちに向かって走ってきた。

「まだまだぁぁぁーーーーッ!!」

――クロスファイアシュート――

お兄ちゃんは迫るクロスファイアを2挺の銃の刃で斬り裂いていく。次は足元を狙ってヴァリアブルバレットを撃つ。バックステップで少し後退した後、さらにステップで避けていくお兄ちゃん。今までのように飛べばもっと速くて確実に避けられるのに、それをしないお兄ちゃんを疑問に思いつつ、攻撃を続行。

「ランスターの弾丸は・・・全てを撃ち抜く・・・!」

あたしはそれを証明するために管理局に入って、ずっと頑張ってきたんだ。エルジアではお兄ちゃんにその想いを否定されたけど。さっきも辞めるように言われたけど。それでも・・・。

――僕を乗り越えられないなら、そこで局員としての道を閉ざすんだ――

それがあたしを想ってくれているからだとしても。お互いに引けない強い意志がある。お兄ちゃんもあたしに2挺の銃を向ける。真っ直ぐお兄ちゃんを見る。視線が交差する。同時にトリガーを引いた。左右1発ずつの直射弾。あたしの魔力弾はお兄ちゃんの2挺の銃を弾き飛ばして、お兄ちゃんの魔力弾は左手に持つ“クロスミラージュ”を弾き飛ばした。

(なに・・・っ!?)

そこで、このフロアの空気がガラリと変わったのが本能で感じた。身体が突然震えだす。寒いから? 違う、そうじゃない。

(これは・・・・恐怖・・・!?)

この何とも言えない空気を放つお兄ちゃんを見る。目が合った。その目はまた黒く染まって虹彩が黄金に戻っていた。

「ГΞЖΩ⊥ΣЯaaaaaaaaaaaaa!!!」

また人語じゃない言葉で咆えた。それと同時に今までなりを顰めていたゲヴァルトゼーレが動き出す。影がお兄ちゃんを飲み込んで薄紫色の甲冑となった。魔族との融合、武装形態だ。右腕だけが影のままで、大きくて長い砲身になった。

後であたしは知る。
お兄ちゃんの持っていた銃。白銃は“浄化せし白帝”、黒銃は“凱旋せし黒皇”っていう名前で、その2つの神器を手にしているおかげで、お兄ちゃんは完全に暴走することなく自我を保てていた、と。
だけどあたしがその神器を弾き飛ばしたことで、抑止力を失ったお兄ちゃんは取り込まれた、と。

「え・・・っ?」

お兄ちゃんの姿がブレる。一瞬で間合いを詰められた。お兄ちゃんは左手であたしの首を掴んで、そのままあたしを押し倒して馬乗りになる。

「っあ・・・はっ・・・が・・・!」

首を絞められて満足に息が出来ない。右手に持つ“クロスミラージュ”の銃口を甲冑に押し当ててトリガーを引き続ける。だけどお兄ちゃんは少し動く程度で、馬乗りになっているお兄ちゃんを引き剥がせない。
視界の端に弾かれたもう1挺の“クロスミラージュ”が目に入る。空いている左手を伸ばして・・・取った。2挺の“クロスミラージュ”をフルフェイスの兜に向けて連射。そこでようやくお兄ちゃんは離れてくれた。

「げほっげほっげほっ・・・はぁはぁはぁ・・・おに・・い・・ちゃん・・?」

「ГΞЖΩ⊥ΣЯ∬∵??」

お兄ちゃんは完全に自我を失くしていた。

「・・・クロスミラージュ、カートリッジロード。レストリクトロック」

≪Yes, master. Load cartridge. Restrict Lock≫

2挺の“クロスミラージュ”のカートリッジを全弾ロード。心臓が跳ねる。身体がすごく熱い。リンカーコアがとんでもなく活発になっている。けどこれくらいしないと、きっとあの甲冑は破壊できない、お兄ちゃんを解放できない。

――レストリクトロック――

「あ・・ぐっ・・・あっ・・・ぅく・・」

「ГΞЖΩ⊥ΣЯaaaaaaaaaaaaa!!!」

これはかなりキツイ。意識が飛びそうだ。レストリクトロックで拘束されたお兄ちゃんがもがきながらまた吼える。でも神秘満載の捕縛魔法から抜け出せない。その代わり、床を這いだす影が腕の形になる。それを片っ端からチェーンバインドで捕縛する。

「スターライトブレイカー・ファントムストライク、スタンバイ・・・!」

≪Starlight Breaker Phantom Strike, Standby≫

フラつきながらも魔力の集束を開始。さっきまでの闘いによって周囲の魔力はケタ違いに濃い。そこにシャルさんの神秘満載の魔力のカートリッジ付き。威力は申し分ない。集束が終わったと同時にお兄ちゃんを拘束していたレストリクトロックが砕ける。そして右腕の巨大な砲を向けてきた。砲身の先端が光り出す。砲撃が放たれる前に、先にこっちが撃たないとどうなるか判らない。

「スターライト・・・ブレイカァァァァァーーーーーッッッ!!」

――スターライトブレイカー・ファントムストライク――

「ГΞЖΩ⊥ΣЯ∬∵ГΞЖΩ⊥ΣЯ!!」

――混トんに封じラレゆく無常――

両手に持つ“クロスミラージュ”のトリガーを引いて、先制砲撃を放った。それに遅れて、お兄ちゃんの砲撃も放たれる。次の瞬間、あたし達の間で衝突、大爆発を起こす。視界が光に満ちて何も見えなくなる。世界から音が無くなる。視界が揺れる。光だけの世界の中、あたしの意識はここでプツンと切れた。








――ティアナ、もう起きたんなら自分で歩かないか?――

――やっ。お家に帰るまでこのままっ――

――あはは。しょうがないなぁ、ティアナは――

夢を見る。小さい頃、お兄ちゃんのおぶってもらった時のこと。仕事で疲れているのに、あたしと遊ぶために時間を割いてくれた、大好きな優しいお兄ちゃん。大きくて温かくて、そして優しい背中。

「・・・ぁ・・・あたし・・・?」

まどろみの中、あたしは目を覚ました。誰かに・・・背負われてる・・・? 誰? あ、もしかしてまだ夢の中かもしれない。だってさっきまでお兄ちゃんと闘って・・・。

「・・・って、あたし!!」

一瞬で現状がおかしいことに気付いて身体を起こすと「わっ!?」って声が聞こえた。それは今あたしを背負う人の声だった。

「お、お兄ちゃん・・・!?」

「・・・負けたよ、ティアナ。完膚なきまでに僕の負けだった。ティアナはもう僕の手の届かないところにまで飛んで行けるんだな」

あたしを背負っていたのはお兄ちゃんだった。どうして?だとかいろいろと聞きたいことがある。だけど今は、今だけは・・・。

「お兄ちゃん!!」

お兄ちゃんの背中に思いっきり抱きついた。「わわっと」って困惑の声。本当はもう歩けると思うけど、もう少しこのままで、お兄ちゃんの温かさを感じていたい。

「ティアーーーーッ!!」

スバルの声。前を向くと、そこにはシャルさんとスバル、そしてスバルを隣で支えているクイントさんが立っていた。

「あはは・・・!」

フォスカムの拠点攻略戦は、あたし達の完全勝利に終わった。
 
 

 
後書き
う~~ん、ティアナのスターライトの詳細が良く分からない。ファントムシフトってホントはどんなん? モードってどれ?
それ以前に、クロスミラージュのティアナに対する呼び方変わり過ぎ。
STRIKERSではYes sirだし、サウンドステージXではYes, ma'amで、VividではYes master。
一つに絞ってくれぇぇぇぇーーーーーー!!
もう、Yes masterでいいか、このやろーーーーーー!!
 
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