とある物語の傍観者だった者
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16話:女難ノ相
前書き
ぐたぐたです
退院翌日、病院玄関口にて――――――
「退院おめでとうじゃん」
「………」
なんか、じゃん先生が出迎えてくれたじゃん。
「なんですか黄泉川先生? オレの新しい家でも案内してくれるんですか?」
あの日、ステイル=マグヌスとかいうウンコにオレの住む寮の一室が全焼させられた。
しかし、学園都市の上の連中は「お前借金いくらあると思ってんの? お前んとこの寮の改修工事だけでキツキツだっつうの。だから隣の隣に住んでいる土御門くんちで我慢しなさい。一緒に全焼した上条当麻も含めて男三人むさ苦しく住みなさい。嫌なら他にあたれ」と通告された。
それで土御門に抗議し、あのロリコン魔術師に金を出させるかアークビショップとかいうアホに金を出させようとカツアゲしたらリリィの教育費や生活費も出してやってんのにこれ以上は無理だそうだ。
テスラに頼むという最悪の選択肢もあったが、これ以上こっちが不利になる状況にはしたくない。借りは作りたくない。というか、向うから金を貸そうか?それよりイギリスに一緒に住まないか??とか言われたが丁重にお断りしといた。
だから、オレに賠償金を払うか、リリィの人生を奪うか……イギリス清教は本当にロクでもないが、あそこしかリリィを守ってくれそうにないから、答えはすでに決まっていた。
ので、退院後は自分で自力で他の誰かの所にお邪魔する、もしくは野宿で数週間を過ごすかという状況だったりする。
そして、そこでお呼びでないけども、この先生じゃん。
「いやー、お前が家無き子で困っていると聞いたから飛び出してきたわけじゃんかよー。お前、ウチにくるじゃん。家賃や食費、生活費諸共は気にするなじゃん。お前んちの改装工事が終わるまで先生がお世話してやるじゃん! これで毎日でも説教できるじゃん! 居候だから家事とか手伝わせれるじゃん! リビングに部屋に風呂にトイレ掃除させたり料理させてコキつかってやるじゃんかよ、私も楽できるとか一石二鳥じゃん!!」
なんか目が血走っていたっ!?
先生、心の声は閉まっておこうな……なんか、もうツッコミ入れる元気ないじゃん?
まぁ、そんなワケでして、先生の住むちょっと洒落たマンションにお世話になる事になった。
そんな謎の展開……
先生の家に異性の生徒を居候させるとかヤバイな。まぁ襲ったら返り討ちにされるだろうから大人しくはしてますけども。逆に襲ってくれないかなーなんて淡い期待は捨てよう。この人にそういう期待はしては失礼だ。
「さぁ、遠慮なく上がるじゃん」
目的地でもあるマンションに到着し、エレベーターで階を上がり、一室の玄関先まで移動。
扉を開いて先生がオレを招き入れる。
「お、お邪魔します……」
「それは違うじゃん。ここでただいまっていうのが相場じゃん?さぁ言うじゃん」
「た、ただいま……」
これまたベタじゃん。
「うんうん、それで良いじゃん。良くできましたじゃん」
めっちゃ無理やりに言わされたじゃん。
笑顔がもの凄く怖かったじゃん。
あと、なんかオレも語尾に「じゃん」が最近酷く口癖になっているじゃん。伝染った……じゃん。
「おぉ……結構広いですね。それに綺麗にされている」
「褒めても何もでないじゃん」
それなりに良い部屋だった。
つーか、なんか見覚えのあるリビングだった。
そう、アニメの第二期でセロリ君が先生んちにお世話になっている部屋じゃねーか!
まぁ、オレはここで長居はしないだろうし、本来ここで居候になる彼らが来る前には元の寮に退散しているからどうでもいいんだけどね。
オレの部屋も先生の寝室とは別で用意されている……当たり前か。
「それより、お昼にするじゃん」
この人にとって炊飯器は万能の調理器だそうですね。もう準備に取り掛かって炊飯ジャーしている。
「今日は退院祝いで私の手料理作ってやるじゃん。お前、私の料理が上手すぎても惚れるなよ?じゃん」
「………」
などと、ウインクして生徒を惑わす悪い先生だ。
だから、「とりあえずその色気のないジャージを脱ぎましょう」的なことをうっかり口をすべらせてしまって、また説教されたじゃんかよーーー。
まぁ、先生のご飯は美味しかったよ。
あと、余談。
カミやんもステイルに部屋を全焼させられているので土御門の部屋で暮らすのかと思ったけども、カミやんは土御門くんがインデックスを知らない魔術に関係ない人物だと今はまだ思っているらしく、他の所にあたり子萌先生ん所のアパートで居候するつもりだそうだ。インデックスと共々。
マジで……
さて、言わずとながら世間では夏休みなので夏休みをエンジョイしたいワケな今日この頃。
もう八月だよ? 入院生活で7月は後半潰れたんだよ!! だからこそ、これから友達とプールとか海とか普通にリア充満喫したいじゃん? 女の子たちとキャッキャウフフして普通に高校生活楽しみたいじゃんかよー!!
もう魔術とか事件とか殺し合いとかそんなトラブルに巻き込まれたくない。オレは普通に地味でもいいから日陰を歩き、普通に友達と遊んで普通に彼女も作りたい!!
ので、オレはとりあえず、土御門に電話した。
「オレだよオレ、暇だったら遊ぼうぜ!」
『にゃー、悪いなイッチー。もう青髪と街へ遊びに出かけたにゃー』
「だったらオレも誘えよ友達だろ!!」
『いろいろ事情がこっちにもあるんだにゃ、つーかイッチーが原因ですたい。童貞卒業したイッチーが青髪には許せんかったらしいのにゃー』
子供かあいつは!!
「お前それいろいろ深読みしたらいろいろヤバそうだな!」
『下手すれば青髪が彼女を作らず30歳なっても童貞のままでいろとか言いそうで怖いにゃ』
「青髪が30歳になってもするなって言われて卒業しないのかよ?」
『いや、俺はイッチーよりも早く大人の階段を上っているぜーい。まっ、青髪には内緒ぜよ』
「最悪だなお前も!」
誰としたのかはあえて訊かないが。
『という訳で、今日は青髪のためにも女をナンパしに街に繰り出すのにゃー』
「だったら尚更オレも誘えよ。友達のために一緒にかわいい子探そうぜ!!」
『いや、イッチーがいると俺も青髪が報われないからイヤなのにゃ』
「なんでだよ!!」
イヤとか言うなよ。
傷ついちゃうじゃないないか。
『もしくはイッチーのせいで「キャー、ロリコンな近簿くんとお友達なんですね、近づかないでー」って逃げ出すかもしれないのにゃ』
「オレがロリコンだっていう噂は街まで広がっているっ!??」
それはシャレにならないほどの由々しき事態だな。外を出歩くのが怖くなる。
『まぁ、冗談はさて置き、青髪が激オコぷんぷんなので今日は諦めてくれにゃ。また日を改めるのにゃ』
「わかったよ、絶対に海とプールとキャンプとか行きたいんだからな!」
『はいはい、また今度ぜよ』
「つーか、今思ったんだけど、今日はカミやんも誘ってないんだな?」
『カミやんはイッチー以上に女誑しだから絶対に誘わないにゃー。声かけた女の子は皆が上条属性に染まっていくのが見ていて辛いのにゃー』
「カミやんはいつものことだけど、オレはフラグ立てた女の子って言ったらテスラだけじゃね……??」
『お前がそれを本気で言ってるなら俺も怒るぜよ! このロリコンがにゃーーー!!』
「………」
最近、土御門くんに突然キレられることがよくあるな。
『まっ、そういうことで……前方100m先からツンツン頭の不幸な少年と腹ペコシスターちゃんがやってきてめんどくさそうなのでもう切るにゃ。ばいなら~』
「あっ………」
なんだよ、カミやんと結局合流してんじゃん!!
いや、偶々で偶然なんだろうけども、こうしてオレは除け者にされた。
別に泣いてやしないんだからね!友達はあいつらだけじゃない!!
………。
つっても、このあとクラスの連中に電話かけて遊びに誘って「リア充爆破しろ」の連続だったけどなな……
………。
みこっちゃんや黒子っち達は元気かな?電話番号知らないから遊びにも誘えないけども、ここで誘ったらロリコンはお断り言われそうだ。
………。
「黄泉川先生、オレと今から遊びに出掛けませんか??」
「いや、今の流れからして残り者みたいでやな感じと思ってしまったじゃんよー。いや、まぁ、普通にデートの誘いは嬉しいけど生徒と教師のケジメはつけるじゃん?」
「そ、そんなぁ……」
「それとお前は異性というより弟として私は見てるじゃん」
「おとうと、ですか……??」
「そうそう、イジメ甲斐のある弟、じゃん?」
「それはちょっとショックだ!!」
部屋でぐーたらしているジャージがぁぁああああああ!!
………。
「つーか、まだ1人誘ってない子いるじゃんよー」
「……テスラのことですか?」
「いや、その子はイギリスに帰ったってお前から聴いたじゃん。そっちじゃなく、お前んとこのクラスのしっかり者の委員長いるじゃん。仲良いじゃん??お前ら」
「吹寄たんですか……」
委員長は青髪であり、吹寄はしっかりしていて仕切り屋なところから委員長と間違えるだけなんだけども。
「口を利いてくれるでしょうか? 性犯罪者とは喋りたくないっていうアレだったんですけど……」
友人からただのクラスメイトAに降格したもんな。
「まぁ、なんとなく察しれるんだけども、電話してみないことにはわからないじゃん? 大丈夫じゃん、骨は拾ってやるじゃん」
「せめて慰めてーーー!」
「はいはい、その時はそうしてやるじゃん」
やったぁ♪と、なんか失敗しろと願っている自分がいる……
「約束ですからね、黄泉川先生。慰めて抱きしめて今晩一緒に寝ましょう!」
「ふざけてないで早く電話するじゃん?」
「……はい」
握り拳を作らないでーーー。
そして、吹寄に電話した。確かに、あいつとこのまま仲が拗れるのは痛い。普通に友達として夏休みをエンジョイしたいんだ!
「あ、オレだよオレ。今日暇?」
さっきから思っていたけどお前のそれってオレオレ詐欺じゃんかよー、という言葉はスルーして。
『急に電話してきたと思えば……何か用かしら? ただのクラスメイトA君』
「苗字で呼べよ! それかいつもみたいにフルネームで!」
『なに?今の貴様が私に意見言える立場なのかしら??』
「……いえ、滅相もございません」
『はぁ……で、要件は?? 私は貴様と違って忙しいのだけども、早く言ってくれないかしら??』
「……忙しいのなら、また今度にするわ」
『あ……』
まぁ、今日じゃなくてもいいしな。明日にでもまた電話すればいいし。
『いや、ちょっと待ちなさいよ。要件があるから今日電話してきたんでしょ?? 私は忙しい身と言ったけど、今はちょっと休憩中だから、貴様の要件だけを聞くのなら聞けるのよ!! だから言うだけ言ってみなさいよ!!』
………。
めんどくさ……つーか、どうせ健康グッズ紹介しているテレビ番組観ているかカタログを眺めているか、あとは実践しているかの三択だろう?とは言えないな。
「じゃ、じゃあ言うけど、先日の件について、会ってちゃんと話したいんだけど…今から会えないかな」
『……忙しいって言っているじゃない』
確かに言ってましたね。
でも、
『分かったわ、なんか急に暇になったから会ってあげてもいいわよ』
「ありがとうございます吹寄さまっ!!」
「よかったじゃん」
こうして、彼女と今日会うことになる。
ただ、何故か、ファーストフード店『マクソ』でだが。
店前で待ち合わせをして、店に入った。
「お、お前ってこういうの好きじゃないんじゃ……??」
健康オタな吹寄たんにはどうもイメージしづらいが……どういう風の吹き回し??
「たまには私だって食べるわよ、バカ」
そう言ってはバーガーとかポテトとかドリンクとか注文を頼み会計を済まして、一階は満席だったので二階へ目指す。
そして、もうこれって誰かに仕組まれてるんじゃね?神様のイタズラだよね、って思うほどの遭遇を果たす。
「あらっ、上条当麻に土御門元春に青髪ピアスもいるわ。偶然ね」
「………」
他にはインなんとかさんや巫女さんが席を陣取っていた。
いや、お前らカミやんと合流するならオレも誘えよ!仲間外れにするなよ!と、言いたい所でしたが、よく見ればアニメで知っている展開じゃねーか。
巫女さんは当然例の吸血殺しな姫神愛沙だ。
で、向うの方はインデックスが誰よりも早くオレ達の存在に気付いては……
「あーーーっ、ロリコンが現れたんだよ! とうま、私を守って!!」
「「「「………」」」」」
オ、オレはロリコンじゃねーし、他のお客さんたちにも変な目で見られるから大声で指差さないでくださーい!
店内では静かに!!
もちろん、隣にいた吹寄さんが黙ってない……
「近簿一二三、貴様はまた私を怒らす気なの?? ちょっとあっちで2人きりで話し合いをましょうか??」
「oh……」
せっかく皆いたんだから一緒に食べたかった。
このあと、オレは吹寄さんに説教された。
マクソでロリコンが説教されている、そんな噂が学園都市に出回るのも時間の問題だった。
後書き
姫神愛沙の出番はいかに!!
彼女を一言も喋らせてないですねー……
次回は吹寄たんと仲直りしたい回ですが……どうなることやら
これからも暖かい目でよろしくお願いします
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