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機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~

作者:setuna
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第十五話 休暇中

 
前書き
ハイネがミネルバに所属されることがシン達に聞かされる。 

 
ホテルのベッドで疲れを癒したアレックス達。
一足先に起きたルナマリアは、シン達を起こすためにまずシンの部屋を訪ねた。

ルナマリア「シン?起きてる?ダイニングに一緒に行かない?」

シン「あ?ああ、分かった。ステラ、先に行ってて」

ステラ「…うん」

ルナマリア「へ!?」

シンの部屋から何故かステラが出て来る。

ルナマリア「シン、あんたまさか…」

シン「違うからな!?確かに一緒に寝たけど、やましいことは一切してない!!」

ルナマリア「寝た!?あんた恋愛には奥手かなって思ったけど案外やるじゃない!!」

シン「だから俺は!!」

ルナマリア「大丈夫!!艦長やアレックスさん達には秘密にしといてあげるから!!」

シン「人の話聞けよ!!」

シンを無視してルナマリアは次にアレックスの部屋に向かう。







































アレックスとナオトを起こすとルナマリア達はラウンジに降りていく。

シン「え?議長もう発たれたの?」

ルナマリア「ええ。お忙しい方だもの。昨日ああしてお話し出来たのが不思議なくらいだし」

ナオト「そうだよね。次に議長に会えるのいつだろ?」

アレックス「そうだな…」

ハイネ「よう。アレックスにナオト。それとお前達、昨日のミネルバのひよっ子だろ?」

シン「え?」

アレックス「ハイネ?」

ナオト「何であんたがここにいるの?」

昨日散々からかわれたナオトはハイネを嫌そうに見つめる。

ハイネ「見れば分かるだろ?朝食だよ朝食。で?昨日の夜はどうだったんだよアレックスにナオト?」

ナオト「っ、知らない!!」

ハイネの言葉にナオトは赤面しながら叫ぶ。
するとミーアもやって来た。
アレックス達は直ぐさま敬礼する。

ハイネ「おはようございます。ラクス様。昨日はお疲れ様でした。基地の兵士達も大層喜んでおりましたね。これでまた士気も上がることでしょう」

ミーア「ハイネさんも楽しんで頂けましたか?」

ハイネ「はい、それはもう。昨日はゴタゴタしててまともに挨拶も出来なかったな」

シン「え……」

ハイネ「特務隊、ハイネ・ヴェステンフルスだ。よろしくな、ひよっ子」

ひよっ子呼びにムッとなるが表情には出さずに口を開く。

シン「こっちこそ。シン・アスカです」

ルナマリア「ルナマリア・ホークです」

「ラクス様。ラクス様には今日の打ち合わせが御座いますので申し訳ありませんがあちらで」

ミーア「ええ~!!」

「お願いします」

ミーア「は~い、仕方ありませんわね。では皆様、また後ほど」

シン「え?ああ、はい……」

ハイネ「ところで、昨日の金髪の奴を含めて全部で6人か、ミネルバのパイロットは?」

ルナマリア「はい?」

ハイネ「インパルス、ガイア、ザクファントム、ストライク、セイバー、そして、あいつがグフイグナイテッドかあ…」

シン「?そうですけど…」

ハイネ「ナオトとアレックスがFAITHで…艦長もだろ?やっぱどう考えても人数は少ないが戦力として充分だよな。なのに何で俺にそんな艦に行けと言うかね、議長は?」

シン「ええ!?」

ルナマリア「ミネルバに乗られるんですか!?」

ハイネ「ま、そういうことだ。休暇明けから配属さ。艦の方には後で着任の挨拶に行くが、なんか面倒くさそうだよな、フェイスが4人ってのは」

シン「いえあの……」

ハイネ「ま、いいさ。現場はとにかく走るだけだ。立場の違う人間には見えてるものも違うってね。とにかくよろしくな。議長期待のミネルバだ。何とか応えてみせようぜ」

アレックス「ああ、ハイネ。よろしく頼む」

ハイネ「おう。」

その後しばらくして、アレックス達は一緒にミーアがヘリコプターで去るのを見送った。






































ルナマリア「さ、どうしよっかなぁ今日はこれから」

シン「ん?どうって?」

ルナマリア「街に出たい気もするけどレイにも悪いから艦に戻ろっかなー」

シン「行きたいなら行けばいいじゃないか。ステラ、どこか行きたいところはある?」

ステラ「ステラ…海行きたい…」

シン「海だね。じゃあバイク借りないと…」

アレックス「そういえば、ナオト。イザーク達は?」

ナオト「イザーク達も議長と一緒に発たれたよ。議長の護衛も大変だねえ…というかアレックス。いつの間にイザーク達を呼び捨てに?」

アレックス「ああ、いや。敬語を使うなって言われて」

ナオト「あ、そうなの?ところで料理に青魚があったけど大丈夫だった?」

ナオトが小さな声でアレックスに問いかけた。

アレックス「ああ…香りで分かったから食べずに済んだよ」

ナオト「ふふっ、ミネルバのエースが青魚にアレルギーなんてねえ」

アレックス「う……」

アレックス自身も仕方がないこととはいえ、情けないと思ってしまっているのだ。
コーディネーターなのに、青魚にアレルギーだなんて、はっきりいっておかしい。
それぞれが残りの休暇を満喫すべくホテルの前で解散した。
アレックスも久しぶりに趣味のマイクロユニットの制作を手掛けようと材料を買ってミネルバに戻っていく。










































そして基地の外ではシンがバイクを停めながらステラを待っていた。

シン「ステラ…遅いな…」

シンがぼやくと…。

ステラ「シン!!」

メイリンから私服を借りたステラがシンの元に駆け寄る。
シンとステラはバイクに乗る。

シン「それじゃあ、行くよ?」

ステラ「うん!!」

バイクを動かし、ディオキアの海岸へ。











































バイクを飛ばして、数十分。
ステラが希望した海岸に着いた。

ステラ「海…ふふふ……」

青い青い空の下、ステラは青い海へと駆け出した。
踊る様に波と戯れるステラの白いワンピースが翻る。
その様子を優しい眼差しで見つめながら、シンは近くの砂浜に腰を下ろした。
シンは戦争で家族を失って以来から荒んでいたが、ステラとの出会いをきっかけに、穏やかになっていった。

ステラ「シ~ン!!」

海と戯れていたステラがシンの方を振り返り大きく手を振ってくる。
シンがそれに応えるように手を振り返すとステラはまた笑顔で海へと戻っていく。
そんな事を何度も繰り返しながら2人だけの穏やかな時を楽しむ。








































シン「あれ?ステラ?」

太陽が沈みかけてきた時の事だった。
一緒に海で遊び少し疲れたシンは寝転がりまだ波に足を浸すステラを見つめていた。
だが、彼女は急にその場にしゃがみ込んでしまったのだ。
何かあったのかと心配になりシンは急いでステラに駆け寄った。

シン「ステラ?どうしたの?」

ステラ「これ見つけたの…」

シンの問いにステラが差し出したのは小さな貝殻だった。
緑色のと水色の小さな貝殻。

シン「貝殻か…綺麗だね」

シンもその場にしゃがみ込みステラにそう言うと彼女はコクリと頷いた。

ステラ「これ…スティングとアウルみたい」

シン「スティング?アウル?」

知らない名前にシンは首を傾げた。

ステラ「ステラと…一緒だったの……」

シン「……まさか、カオスとアビスの?」

ステラ「…うん。」

懐かしそうに貝殻を見つめるステラにシンはこれ以上何も聞かなかった。
シンもまた思い出していたから。
大切な家族のことを。
そう言えば、幼い時、こんな風に海にも来た事もあった。
赤い瞳にも自然と涙が滲む。
それを拭うと、貝殻を手に取った。

ステラ「シン?」

シンは自分の服のポケットからハンカチを取り出す。

シン「持って帰るんだろ?ハンカチに包んでいこう」

その言葉にステラは微笑んで緑色と水色の貝殻をハンカチの上へと置いた。

ステラ「シン…ありがとう」

シン「うん…」

2人は手を繋いで、置いてあるバイクの元へと歩いて行った。今はまだ幼い恋だけれど。
いつかは…。 
 

 
後書き
シンとステラの話です。
シンはステラだけあからさまに他とは扱いが違う。 
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