ハイスクールD×D 力ある者
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零章 原作前のプロタゴニスト
神社の巫女と炎龍
「イッセーをお願いします」
「はい、お任せください」
私――『火炎龍』ことカミュは、神社の境内にいる。理由は、私の知り合いで、よくここへ参拝に来ているから。
彼女――姫島 朱璃は私の正体を知っているし、私も朱璃の夫の正体を知っている。お互い出会った時は、それはもう大変だった……懐かしい、朱璃が悪霊を退治しようとした時、はぐれに襲われたんだっけ?ちょうどそこに駆けつけた私が、はぐれをボコボコにしたんだった。朱璃も無事に除霊できたし。その後、意気投合しちゃったんだよね。それから一年後に娘さんが生まれて、よく見に来てたわ。その一年ちょっと後にイッセーが生まれた。でも、その二年後……思い出すと辛くなるわ。でも、イッセーが物心ついたとき、『カミュはお姉ちゃん!』って、言ってくれたのよ。もう嬉しかったわ。その数か月後、龍介と『無限の龍神』辰巳に出会ったんだわ。そして、龍介の家………『遠山家』に住むことになったの。
……あれから、もうすぐ一年になる。
そういえば、この前オーフィスがこう言っていたわ。
『我、禍の団抜けてきた。その代り、力置いてきた」
――ってね。正直驚いたわ。まだ名は完全には知れ渡っていないのだけれど、結構大きいテロ組織だと訊いていたわ。オーフィスがその組織のトップだったって。龍介は口では言わなかったけど、表情に『よかった』みたいな安堵の気持ちが出てたわ。だけど、油断はできないわね。いつ動き出すかもわからない、危険因子の組織。
「どうしたの?何か考え事?」
私がボーとしていたから、心配になったんでしょうね。朱璃が顔をのぞいてきた。
「ううん、何でもないよ?ちょっと、ここで朱璃と出会った時のことを思い出していただけだから」
「そう?それ以上に思い出してなかった?」
す、鋭い!伊達に巫女さんやっているわけじゃないわね。
「うふふ。あまりいい出会い方ではなかったですけど、そのおかげでこうしていられますわ」
「そうね。死戦を潜り抜けたから、いい『親友』になれたのかもね」
「そうですわね。わたしも『親友』が出来て嬉しいですわ。子供にも恵まれて、その子にも幼馴染みができて」
ただ気になることがあるの。……最近襲撃される数が多くなっているって、風の噂で聞いたのよね。
「最近、大変なことが多いわね」
「そうですわね。ここ最近、あの人の留守に襲撃されかけてますの。結界のおかげで無事ですが……」
その結界が問題なのよね。効力が徐々に弱まってきている。ここ最近……。
「結界もそろそろ換え時かもしれないわね」
「そうですわね。もし、次に来たら……今の結界ではもちませんわ」
「……そろそろ仕事に行くわ。イッセーのことよろしくね。朱璃」
「任せてください。カミュ」
私は朱璃と話し終えると、境内を後にした。
D×D
――夕刻。はぐれ悪魔との戦闘を終えた私は、イッセーを迎えに神社の階段を上っていた。
「ん?結界が消えている?!」
ダッ――!!
私は慌てて階段を駆け上がった。境内には誰もいない。だけど……奥から数人の気配を感じた。
「(大変!朱璃、イッセー、朱乃ちゃん。助けに行くからね!)」
私は建物の中に急いで入った。
するとその先には――。
「――朱乃、イッセーくん、早く逃げなさい」
「嫌です!お母さま!」
「朱璃おばさん!しっかりして!」
背中から血を流している朱璃を、心配しているイッセーと朱乃ちゃん。
「少年よ、そこを退きたまえ。関係のない者を巻き込みたくはない」
スウッ――。
刀を振り上げる男。
「いやだっ!朱璃おばさんと朱乃ちゃんは僕が守る!」
いつの間にか男たちの前に立ちふさがり、両手を広げていたイッセー。
「……仕方がない。その雄姿を称え、苦しまないよう斬ってやろう!」
ダンッ!!
私はすかさず飛び出した。
「朱璃!イッセー!朱乃ちゃん!」
「っ!!誰だ、貴様は!」
刀を持った男が叫ぶ。
「仲間か!仲間なら死んでもらうしかない、恨むなよ!」
ダダダ――。
そう言ってこっちに刀を振り上げ、向かってくる男。
私は向かい打とうと、こぶしを握りしめた。
その時――。
ヒュン――トン!
何かが目の前の床に突き刺さった。
「そこまでだ!」
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