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ドリトル先生と京都の狐

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第三幕その五

「大事なことだから」
「よし、じゃあね」
「今からね」
「行こう」
 こう言ってでした、そのうえで。
 皆で四条に向かいました、京都タワーから四条はすぐでした。その四条に向かってそのうえでなのでした。
 狐は四条の賑やかなお店が一杯並んでいる中でこう皆に言いました。
「それでは」
「うん、裏手だね」
「はい、こちらになるのですが」
「あっ、ここは」 
 王子は狐が案内してくれた場所を見てはっとした顔になって皆にお話しました。
「舞妓さんがいる場所じゃない」
「えっ、舞妓さんってあの」
「そう、京都名物のね」
 王子はトミーに答えます、トミーも舞妓さんのことは知っているのです。
「着物を着てお化粧をしていてね」
「お酒の相手をしてくれてお喋りをしている」
「そうした人だよ」
 王子はトミーに舞妓さんについてもお話するのでした。
「とはいっても今はお昼だからね」
「舞妓さんはお昼には出ないんだ」
「いるけれどああした格好じゃないんだ」
 舞妓さん格好ではないというのえす。
「普通の着物だから」
「ふうん、そうなんだ」
「そうだよ、夜にお酒の時に傍にいてくれてるんだ」
 こうトミーにお話してです、王子は先生に顔を向けて尋ねました。
「先生、舞妓さんは」
「ははは、僕に女の子はね」
 先生はトミーの言葉に笑って答えました。
「縁がないものだよ」
「あっ、そう言うんだ」
「お酒も女の人と一緒に飲むことはね」
 それもだというのです。
「そうしたお店にも行かないしね」
「じゃあイギリスにいる時と一緒で」
「女の子はいいよ」
 こう言うのでした。
「僕はね」
「けれど先生もね」
「いい歳だっていうんだね」
「結婚とかは」
「それはサラにも言われてるけれど」
 妹さんのあの人にとです、苦笑いと一緒に言う先生でした。
「縁があればね」
「結婚はなんだ」
「そう考えているよ」
「けれど先生ってね」
「そうだよね」
 ここで動物達もお話するのでした、どうかとです。
「自分からってことはないし」
「そうそう、女の人にはね」
「セクハラは絶対にしないけれどね」
「そもそも声をかけることだってね」
「それすらないからね」
「本当にね」
「声だってかけないし」
 そうしたことはです、本当にしない先生です。紳士なのですがこれといって自分から女の子にアタックすることは絶対にありません。
 だからです、とてもいい人なのですが。
「大学教授になっても」
「まだ独身なんだよね」
「日常生活や世間のことにはてんで疎いのにね」
「僕達がいないとどうなるか」
「凄く心配だよ」
「それでもね、本当にね」
 どうかとです、困ったお顔で皆に答える先生でした。 
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