ドリトル先生と京都の狐
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三幕その一
第三幕 不思議な狐
平安神宮の赤くて大きな、そしてとても立派な門を観てです。トミーはこれでもかと驚いて王子
言いました。
「ここも凄いね」
「うん、平安神宮も凄いよね」
「こんな立派な門があるお寺がまたあるなんて」
「あっ、ここはお寺じゃないからね」
このことは断る王子でした。
「神社だよ」
「そういえばそうだったね」
「そう、宗教が違うんだ」
これまでのお寺とはというのです。
「お寺は仏教、神社は神道じゃない」
「そういえばそうだったね」
「日本は色々な宗教があるからね」
それでだというのです。
「神社は神社なんだ」
「お寺じゃなくて」
「そうだよ、勿論キリスト教の教会もあるよ」
「日本にはなんだ」
「そう、あるからね」
それでだというのです。
「その辺りは注意してね」
「わかったよ、いやそれにしても」
その平安神宮の門を観てです、トミーはまた言うのでした。
「ここも本当に凄いね」
「しかも綺麗だね」
先生も言います、その門を見上げながら。
「何か。ドラマや映画の舞台になりそうだね」
「そうそう、ここも歌舞伎の舞台になってるんだよね」
王子は先生にもお話しました。
「ここはね」
「そうなんだ、南禅寺と一緒で」
「うん、三つ子が出る演目でね」
その作品でだというのです。
「三つ子が揃う場面があるんだ」
「成程、南禅寺だけじゃないんだね」
「そうなんだ、あと五条大橋とかね」
今度はこの橋です。
「歴史的逸話があったり舞台になっていたりする場所はあるよ」
「それでなんだ」
「そう、ここもね」
この平安神宮の門もだというのです。
「舞台になっているんだ」
「そうだね、じゃあ」
「今から中に入ろう」
王子はこう皆に言いました。
「この中がまたいいから」
「わかったよ。じゃあ中に入ろう」
先生も王子に応えてでした、そのうえで。
皆で平安神宮の中に入りました、すると平安神宮の中はといいますと。
緑の草と青い小川の庭園でした、日本の趣があるとても綺麗な庭園で。
しかもそこには色とりどりの四季のお花が咲き誇っています、そしてそのお花のところにお札が立てられていてです。
何か書かれています、その書かれているものは。
「これは和歌だね」
「和歌?」
「和歌っていうと?」
「うん、日本の詩でね」
先生は自分の周りにいる動物達に答えます。
「五七五七七のね、とても短い詩なんだ」
「そうなんだ、これが」
「和歌なんだね」
「僕も最近勉強しだしているけれど」
和歌をです、日本語を勉強していく中でそうしているのです。
「歴史ある、とても綺麗な詩だよ」
「ふうん、日本語はまだよくわからないけれど」
「そうなんだね」
「これも日本文化なんだ」
「和歌っていうのも」
「そうなんだよ、見ればどの和歌も」
その和歌達を読みつつです、先生は言うのでした。
「名のある人が歌った名のあるものだね」
「そうみたいだね、僕も和歌はよくわからないけれど」
王子も先生の傍でその和歌とお花達を見つつ述べます。
ページ上へ戻る