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LyricalNANOHA~家族の絆~

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第二話 力

 
前書き
やっとのこさ時間が出来た。

就活就活で忙しい日々のなか、少し落ち着いたので更新まだ二話目だけど。 

 
第二話 力



 目を覚ますと辺りは草木を占めていて、鳥の囀りも聞こえる。だけど俺はこんな場所を知らないし、ましてや昨日は聖と優斗と一緒に布団で寝ていた筈だ。なのに……一体何が起こったんだ?
あまりの出来事になかなか脳が付いていかないが、何とか現状を考える。まずは子供たちだ!

 「聖。優斗。怪我とかないか?」

 「ないよ。ゆうとは?」

 「うん、ぼくもないよ」

 子供たちにも怪我は無し。よし、まずは一安心だな。次に此処が一体どこなのかって事なのだが……一体此処は何所なんだ?
今分かっている情報をまとめると。
外、周りは木だらけ……森の中……以上だな。


 「あああああ、情報が少なすぎる!」

 頭を両手で抱え、悲痛な声を絞り出す。その時、俺の服の端を引っ張られる感覚があった。
そちらの方を見ると……。


 「「……パパ……」」

 「優斗。聖」

 二人が不安一杯の表情で俺の顔を見ていた。
まったく、俺は一体何をやってるんだ。俺が今不安げにしていたら一番ダメじゃないか!! 優斗と聖に不安しか与えれないじゃないか。それだけはダメだ!! 俺がシッカリしないと。


 「大丈夫だ。安心しろ、パパがついてるから」

 「「うん」」

 俺は両手で優斗と聖を力強く抱きしめた。少しでも不安を取り除けるようにと……同時に俺自身にも襲っている不安を少しでも取り除きたい為でもあった。

 一体俺たちに何が起こったんだよ?! 洒落に何ねぇよ。最終的にドッキリでしたってオチだったら、こんなことを考えた野郎をブッ飛ばしてやる!!



 ここにずっと留まっていても現状は変わることはあり得ない。なら、俺たちが自分から行動を起こすしかない。




 まずは……どうすればいいのだ? 遭難したらその場に留まっていろとはよく聞くが、現状を考えると動いた方がいいかもしれん。だけど、下手に動き回って今よりヤバイ状況になったら洒落にならんし、一体どうすればいいのだ?
動くのは後にして、今は身の回りの物を確認しよう。なぜか分からんが、家の普段着になっていたいる俺のジーパンの後ろポケットを探ってみると財布が入っている。
中身も確認してみたんだが、何でこんなに大金が入っているんだ。諭吉さんが一枚、二枚、三枚、四枚……数えるのが面倒になったから止めだ。最低でも20万以上はあるな。

 聖も優斗もよく見たら私服に変わっていたというか、テンパっていて全く気付かなかった。
聖はピンク色でフリルの付いたワンピースにひざ上まである白と黒の縞模様のハイニーソで、髪が肩はツインテールにしてある。優斗は青い半ズボンに黒の半そでを着ている。
今の状況を表すと。

 1,気が付いたら森の中。
 2,私服になっていた。
 3,20万以上入っている財布がある。

以上。


 さて、どうしたものか? 近くに街があると信じてお金は絶対にいる。
食い物がないのが痛いな。せめて、水だけでも欲しい。


 さてはて、思案していると空気を少しながら揺らす爆発音が聞こえた。その音に気付いた聖と優斗もその爆発音の方向に視線を向けた。


 「「パパ……」」

 恐怖、不安に駆られた聖と優斗はさらに力強く俺の腰に抱き着く。そんな俺は二人の背中を優しくさする。
急遽一秒でも早くこの場所から逃げないといけないな。あんな爆発音がした方向に行くわけにはいかない! その逆方向に進めば安全なのかもしれないが、道は合っているのか? ただそこだけが不安だが、行くしかないだろうな。

 俺は優斗と聖の手を握った。


 「走るぞ!!」

 爆発音が聞こえた反対方向に向かって走り出す。常に優斗と聖に合わせながら走らなければならないのが若干ツライが仕方ない。まだ5歳児だ、大人の俺に合わせることなんて出来ない。



 10分ぐらい走った時に、それは起こった。


 「うわぁ!」

 優斗が地面の窪みに足を引っ掛けてこけそうになったが、手を繋いでおいたおかげで未然に防げた。だが、その次の瞬間!
 俺の顔横1㎝に所を赤い光線が走った。相当な熱量を感じ、頬が若干ジリジリと焼け、更に血がツーッと流れる。
 手には嫌な汗でジトーッと濡れるのがハッキリと分かった。
これはヤバイ! 本当にヤバイ!! 俺は後ろを振り返らずに優斗と聖を両脇に抱きかかえた。今でも鍛錬を欠かさずにやっておいて良かったと思った。



 「おわあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!」

 今までの人生で一番大きな悲鳴を上げた。多分……いやこれから先もこれ以上の叫び声をあげる事は無いだろう……無いでほしい。

つうか後ろから追いかけられている気配があるんだ、これって絶体絶命とまではいかないかもしれないがピンチって奴じゃないって魚わっぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! 赤い光線が!! 掠る!! 掠る!! ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!!! 洒落にならん!!
優斗も聖も恐怖のあまり、涙と鼻水たらしまくっている。俺も目じりに涙が溜まっているであろう。

 後ろから放たれる赤い光線を避けながら走る事約10分ぐらい経った時だった。

優斗と聖を抱きかかえて走っているから、足がもうヤバイ。鉛のように重いし、呼吸もし辛い。いくら鍛錬を毎日欠かさずにやっていると言っても、こんな状況じゃキツイ。追われているから精神的にも余計にキツイ。
 でも此処で止まるわけにはいかない。こんな所で死ぬわけにはいかない!! 優斗と聖を護らなければならない!!!!!


 誰でもいいから。


 「たすけてくれぇぇぇぇぇええぇぇぇぇぇ!!!!!」

 その瞬間、何かに躓いた……いや違う、限界が来て、足が上がらなかったんだ。体がゆっくりと傾いていくのが分かる。
俺はそれを他人事のように感じていた。

 このまま倒れたら、優斗と聖が怪我をするというのを本能が察したのか優斗と聖を胸に抱き抱え、体を無理やりに反転させ背中から地面に倒れた。


 「カハッ!」

 肺に残っていた数少ない酸素が吐き出された。一瞬だけ呼吸が止まり、すぐに肺が酸素を求めたが上手く呼吸が出来ない。更に倒れる時に後頭部を打ったようだ。視界が若干チカチカする。
 それでも、護らなければならない存在がいるんだ! 絶対に護る!!

 その一心で立ち上がろうとするが、力が入らないためか立ち上がる以前に顔を動かす事すらも出来ない。


 此処までなのか? せめて聖と優斗だけでも!!



 『……汝力を求めるか……』

 突如として周りの風景が白黒になり全てがスローモーションになった。更には頭の中に男か女、ましてや若いのか年配なのか判断がつかない声が響いた。
この声が何者なのか分からないし、信用できるのかもわからない。だけど、今の俺にはそんな悠長に構っていられる時間はなかった。
だから俺は求めた。力を……聖と優斗を護るために、力を!!


 「力を!!!!!」

 「護る力を!!!!!」

 『なら我が名を呼べ』

 もう名は分かっている。いや違う、知っている。


 『「我が名は!」』

 『「閻魔!!」』



 彼を中心に光の幕が張られ弾けた。



 「「……ぱぱ……」」

 『聖、優斗。もう大丈夫だ』

 自分の声に若干のエコーがかかっていた。黒色だった目は真っ赤に染まり、髪の毛が若干赤みがかった黒色になっていた。
服装は変わらず、黒のインナーにジーパンのままだった。何よりも目を引くのが、彼の右手に収まっている刃渡り1m以上あるのではないかと思われる野太刀だった。

 俺は不安がっている聖と優斗の頭を撫でて前を見据えた。

 楕円型のロボットが2体ほどいた。特徴としては真ん中より少し上の方に赤いレンズがあるってことぐらいだ。
俺は腰を落として野太刀を左手に持ち替えて、右手を柄に添えた。


 『宗衛流が師範代。宗衛健吾』

 『参る!!』

 俺は駆けた。大切な家族を守るために…… 
 

 
後書き
考えていた構成と若干変わってしまったが後悔は無い 
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