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レインボークラウン

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第百九話

                 第百九話  両親お喜び
 夕食の時になった、ここで。
 家族は揃ってテーブルに着いた、父がまずそのシーフードカレーを見て言った。
「このカレーは二人が作ったのか」
「うん、私達がね」
「作ったの」 
 姉妹は笑顔で二人の父に答えた。
「だからお父さんもね」
「食べてね」
「いやあ、いいねえ」
 ここでこう言った父だった、それも笑顔で。
「娘の手料理を食べられるなんてお父さんは幸せだよ」
「えっ、そんなに!?」
「そうなの?」
 華奈子だけではなかった、美奈子もだった。今の父の言葉に目を丸くさせて驚いてそのうえで言うのだった。
「あたし達普通に作ったのよ」
「シーフードカレーを」
「ただそれだけなのに」
「そんなに嬉しいの」
「いやいや、そこにあるものが大きいからだよ」
 だから嬉しいというのだ。
「娘の成長、お料理が出来るまでに成長してくれたことが嬉しいんだよ」
「変なお父さん」
「そうよね」
 また言う二人だった。
「そんなことで嬉しいのかしら」
「ちょっとわからないわ」
「それが嬉しいんだよ、お父さんは」
「お母さんもよ」
 二人の母も言ってきた、勿論二人にだ。
「嬉しいわよ、あんた達の作ったカレーを食べられることが」
「ううん、大したことじゃないのに」
「家庭科の授業でも作ってるわよ」
「そうよね、シーフードカレーじゃないけれど」
「カレーはね」
 家庭科の時間で作るカレーはビーフカレーなりチキンカレーだ、だがカレーはカレーである。だから二人はこう言うのだ。
「そんなに驚くこと?」
「嬉しいことかしら」
「それは二人が大人になればわかるさ」
「結婚して子供が出来たらね」
 こう二人に話す両親だった。
「その時にわかるさ」
「今のお母さん達の気持ちがね」
「そうなのね」
「それでなのね」
「そう、まあわかる様になるのは大人になることだ」
「結婚して子供が出来たらね」
 その時にだというのだ。
「今のお父さん達の気持ちがわかるよ」
「まだ先のことだけれどね」
 それでもだ、その時にわかることだというのです。
 華奈子と美奈子の両親はにこにことしてテーブルにいた、そうしてそれぞれの前の二人が作ったシーフードカレーを食べようとしていた。


第百九話   完


                    2014・2・22 
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