ドリトル先生と京都の狐
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第二幕その五
「自然でいればいいから」
「だといいけれど」
「それじゃあね」
「うん、味わってだね」
「楽しもう、このお料理も」
こうお話してでした、まずはお料理を楽しんで、です。
それからお風呂に入って寝ます。そうしてからです。
朝になるとです、先生達はおかみさんにまずこう言われました。
「朝御飯の前にお風呂はどうでしょうか」
「あれっ、昨日の夜入りましたけれど」
「そうですよね」
先生もトミーもです、おかみさんの言葉に目を丸くさせて応えます。
「それで朝もって」
「あの、それは」
「いえいえ、朝のお風呂がです」
それがだとです、おかみさんは先生達に気品のある笑顔でお話するのでした。
「身体を目覚めさせて一日を快くはじめさせるので」
「いいんですか」
「はい、だからです」
それでだというのです。
「まずは如何でしょうか」
「ううん、朝からお風呂って」
「何か違いますね」
先生とトミーは顔を見合わせてお話をします、先生達は旅館の浴衣を着ています。昨日のお風呂の後で着たものです。
その浴衣姿で、です。こうお話するのでした。
「イギリスでは朝のシャワーだとあるけれどね」
「朝からお風呂は」
「日本だからね」
王子がここで二人に言います、勿論王子も執事さんも運転手さんも浴衣です。
「お風呂だよ。それでここはね」
「おかみさんのお言葉に甘えて」
「それで」
「そう、お風呂に入ろう」
そうしようというのです、今朝は。
「それから一日をはじめよう」
「うん、じゃあね」
先生は王子の言葉に頷きました、そしてです。
皆はまずお風呂に入って身体を綺麗にするのと一緒に目を覚ましました、そして朝御飯の静かなお料理を食べてです。
そのうえで、でした。王子は皆で旅館の外に出てからまずはこう言いました。
「これがね」
「うわ、緑だね」
「凄いね」
先生もトミーもです、嵐山の景色を見てです。
そしてです、こう言うのでした。
「山が緑で一杯で」
「しかもその中に建物がある感じで」
「道もお店も」
「自然と一つになっているんだ」
「これが嵐山なんだ」
まさにです、それだというのです。
「京都の中でも特に景色が綺麗かな」
「いや、綺麗なんてものじゃないよ」
先生は目を瞠りながら言うのでした。
「これはね」
「気に入ってもらえたみたいだね」
「凄くね」
そうだというのです。
「いや、これはね」
「驚いたよね」
「まさかここまで綺麗だなんて」
「イギリスにもないよ」
「イギリスも綺麗な場所が多いけれど」
「これは日本だね」
「日本の景色だよね」
その綺麗さだというのです、イギリスにはイギリスの日本には日本の景色の綺麗さがあって嵐山は日本の綺麗さだというのです。
それで、です。先生は川の流れやその岸辺からはじまり山も覆っている木々、青や緑も見てこうも言うのでした。
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