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ヘタリア大帝国

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TURN138 貴族達の終焉その六

「だからだ」
「ではすぐに」
「何もかもを差し出して」
「何なら人質も差し出す」
 恥も外聞もなくだ、そうするというのだ。
「妻でも子でもな」
「とにかく手段を選ばずに」
「そうしますか」
「命あっての物種だ」
 この考えからだった。
「では宜しいな」
「はい、それでは」
 彼等はセーラの前に出て全員平伏した、そのうえで言うのだった。
「申し訳ありませんでした!」
「どうかお許し下さい!」
「せめて命だけは」
「どうか」
 こう言って必死に命乞いをするのだ、その彼等を見て。
 セーラの横にいるイギリスがだ、こう彼女に言うのだった。
「行くか」
「はい」
 セーラも彼の言葉に無表情で頷いて答えた。
「それでは」
「こんな連中の相手をすることはないからな」
 そうするまでもない相手だというのだ。
「行こうぜ」
「わかりました」
 セーラ達は平伏する彼等を無視して前に進んだ、そのうえで彼等を待っていた国民や軍人達の熱狂的な出迎えの言葉を受けるのだった。
 セーラはすぐに講和の席に着き講和条約にサインした、エイリスは全ての植民地を手放し世界帝国の座から降りることとなった。
 だが賠償金はなく今のエイリスにとっては軽いものだった、セーラは玉座に戻るとすぐに貴族の不正蓄財の差押とその権限の大幅縮小、それに大型の相続税の付与や様々な法的特権の剥奪といった改革案を議会に出した。
 法案は即座に通りエイリス貴族達の権限も縮小された、エイリスは貴族達の利権を抑止することにも成功した。
 このことについてだ、ロレンスは難しい顔でイギリスに言った。
「あれだけ何とかしたくても出来なかったことが」
「今は簡単に出来たな」
「はい、何でもないといった様に」
「もっと早いうちに出来てればな」
 イギリスは苦りきった顔でロレンスに述べた。
「エイリスもこんなことにはならなかったな」
「そうですね」
「まあ植民地も世界帝国もな」
 そうしたものはというと。
「どうでもよかったんだがな」
「それでもですね」
「無駄なダメージを受けることもなかった」
 この長い戦争で、というのだ。
「ことをすんなりと済ませられた」
「残念なことです」
「ああ、けれど貴族連中はどうにかなった」
 無事だ、そうなったというのだ。
「それじゃあな」
「それではですね」
「これからは欧州のエイリスだ」
「エイリス本来の姿にですね」
「戻ってやっていくか」
「はい、相手は手強いですが」
 何と言ってもドクツだ、レーティアとその忠臣達の存在は圧倒的だ。
「生きていきましょう」
「そうだな」
 こう話してだった、エイリスは新たな一歩を踏み出そうとしていた。
 戦争は終わった、このことに誰もが安堵すると共にはじまりの時を迎えようとしていた。東郷も日本に戻りそこで戦後処理に入ろうとしていた。
 しかしその彼を呼び止める者がいた、それはマウマウだった。
 マウマウは東郷に対してだ、こう言って来た。 
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