ハイスクールD×D~進化する勇気~
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第九話
前書き
九話でございます。
俺は今、目の前の状況を冷静になって分析していた。
今俺の目の前では一部を除いた人物が止まっている。
いや、時を止められた、というべきか……これは、何かあるのか?
今、俺以外で動いている気配があるのはサーゼクスさんとアザゼルさんとミカエルさん、ガブリエルさん、リアス先輩。アーシア、ゼノヴィア、イリナ、祐斗、そしてヴァーリだけだった。
「アザゼルさん、これは?」
俺は状況を知る為にアザゼルさんに聞く。
こういうのは大抵神器が原因だからな。
アザゼルさんは神器に関しては詳しいからな。こういうのにも即座に対応できるだろうから聞いた。
「どうやら、グレモリー眷属の僧侶の神器が暴走しているみたいだな」
僧侶ね……ま、さしずめ時を止める神器かな。
「ギャスパー!?」
どうやらリアス先輩の僧侶の名前はギャスパーというらしい。
「でも何で暴走なんかするんだ?普通神器の暴走ってもっと激しい奴だと思うんだが……」
「ああ、恐らくだが……これは故意に、つまり人為的に暴走させられた可能性が高い」
人為的な暴走、ね。
「どこかの組織がこの三大勢力会議を妨害しようとしているって事か」
「……さすがだな、組織という所までわかるとは」
アザゼルはそう言うと、閉め切っていたカーテンを開ける。
「どういうこと?」
どうやらリアス先輩は事態を理解していないらしい。
「俺達三大勢力を此処で潰そうとするテロリスト共の仕業だって事さ」
外に見えたのは空に巨大な魔方陣らしき物が見えてその周りには多数の魔法使いが浮遊していた。
「禍の団……三大陣営の和平・協調路線をよく思わず、破壊と混乱を起こそうとするテロリスト集団だ」
テロリストか……成程ね……今の世界が気に入らないから自分たちの好きなように世界を変えたい奴らの集まり、か……。
「とりあえずはあいつらをどうにかしないとな……先に行ってるぞ。ゼノヴィア、アーシアを頼むぞ」
「ああ、任せろ」
アーシアをゼノヴィアに任せて俺は窓を開けて跳び、校庭に降り立つ。
「まあ、烏合の集だろうが……手加減はなしだ」
俺は右手に肩にかける形で使用する小型バズーカを手にする。
俺は照準をこちらに向かってくる奴らに向けて発射する。
ドッカンッ!!!
「「「「「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!!」」」」」」」
バズーカで少しは減ったか……まあ、これじゃあんまり減らないよな……。
「よし……構築・展開・発動……マテリアルアクト……」
俺は再びバズーカを構える。するとバズーカの砲身に紫電が飛び交うようになる。
「FAUXECLAIR!!!」
そしてバズーカを発射すると……バズーカの弾と共に雷が迸り、魔法使い達に当たる。
「ま、これで半数は減ったか……それで?お前は俺の援護か?ヴァーリ」
俺バズーカを消して振り返ると。そこには白の鎧に身を包んだヴァーリが降りてきた。
「アザゼルに援護に行ってくれって言われてね。リアス・グレモリーは自分の眷属を助けに向かったわ」
「そうか……それで?サーゼクスさん達も来てるのか?」
「うん、今こっちに向かってる」
そんな事を話していると、サーゼクスさん達がやってきた。
すると俺たちの前に一つの魔方陣が現れる。
「あれは!旧魔王の魔法陣……それもレヴィアタンの物……」
サーゼクスがそう言うと魔法陣から女性が現れる。
「はじめまして、偽りの魔王……そして各勢力のトップの皆様」
胸元を大胆に開けたドレスを着た女性が見下す目でサーゼクスさん達を見る。
「これは、どういう事だ。旧魔王の血を引くもの、カテレア・レヴィアタン」
サーゼクスさんが女性───カテレア・レヴィアタンに聞く。
「サーゼクス、我々旧魔王派は禍の団へ参加を決めました」
サーゼクスさん達はその言葉を聞くと何とも言えない表情をしていた
なるほど……悪魔も一枚岩じゃないって事ね。
にしても、旧魔王派か……それじゃサーゼクスさん達は新魔王派?
っと、そんなどうでもいい事を考えてる場合じゃない。
「本気で言ってるの?カテレアちゃん……」
セラフォルーさんが信じられない感じで聞く。
「ぬけぬけとよくそんな台詞を吐けますね、セラフォルー!ですが今日此処であなたを殺して、再び魔王を名乗ります。そして全てを消し去り、新たな世界を創るために私は力を得ました。」
「力?力とは一体何だ!?」
サーゼクスさんはそう聞く。
「無限の龍神オーフィス……知ってますよね?彼女は離れる際に自身の力とも言える蛇を置いていったんですよ」
「っ!……そうか、オーフィスが言ってたのは自身の蛇だったって訳か」
「その通りですよ。三英雄が一人、兵藤一誠。貴方があのような愚行をしなければオーフィスは我らの元で今でも力を振るっていたというのに」
「そんなの、オーフィスは望んじゃいねぇ!!あいつが望んでいたのは平穏な日常だ!」
俺はオーフィスの事をまったく理解していないカテレアに向かって叫ぶ。
「てめぇらは言葉巧みにオーフィスを騙した!俺はそれが許せねぇ!!」
「許さないからなんですか。英雄といえど所詮は人間です。オーフィスの蛇の力で強くなった私に勝てるとでも思ってるんですか!」
「─────勝てるさ」
俺は一瞬でカテレアの後ろまで移動する。
「っ!ちいっ!!」
カテレアは瞬間で避けて、俺から離れる。
「どうした?私に勝てるとでも思ってるんですか、なんだろ?息が上がってるぞ?」
「おい、イッセー。俺も混ぜろ。俺もちょっとばかりムカついてな」
そう言うと、アザゼルさんは懐から金色の短剣を取り出す。
あれって……何だ?
「禁手!」
そうアザゼルが叫ぶと、包んでいきそして……次の瞬間にアザゼルの体に鎧が出現していた。
金色の眩い輝き、まるでドラゴンのような形状の鎧、そして黄金の鎧から生える12枚の漆黒の翼。
これは……強さが計り知れない。
これが堕天使の長……アザゼルの真の力だな。
俺でも無傷では済まないだろう。
「こいつは人工神器の疑似禁手状態堕天龍の鎧。常に神器をバースト状態にし、禁手化の力を再現したってわけだ」
バースト状態って事は……この状態を解けばこの人工神器とやらは砕けるって事か。
また、アザゼルさんはとんでもない物を開発したんだな。
「それじゃあ、行くか?イッセー」
アザゼルさんは俺に顔を向け肩に光の槍を乗せる。
「あぁ、行くぜ……!」
俺は一瞬でカテレアの後ろに回り込む。
「なっ!?早い!」
「吹き飛べ!!」
俺は右腕でカテレアの背中を上へ殴り飛ばす。
「がっは!!」
カテレアは血を吐きながら上へと飛ばされる、その先には光の槍を肩に乗せたアザゼルさんが居た。
「ほらっよっと!!」
アザゼルさんは光の槍をカテレアに振り下ろしカテレアの左腕を切り落とす。カテレアは左腕を切り落とされ悲鳴を上げていた。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
斬られた左腕の付け根を回復させるが
「回復させると思うか?」
俺は今度はカテレアの前に現れまた上へ殴り飛ばすと、俺は小型バズーカを再び展開しアザゼルさんも光の槍を更に巨大化させる
「そんな!私が!?真の魔王である私が!人間と堕天使如きに!?」
「構築・展開・発動……マテリアルアクト……」
カテレアは俺とアザゼルを見ながら言う、すると一誠とアザゼルはカテレアに返事を返す。
「人間を」
「堕天使を」
「「舐めるなよ!!」」
「FAUXECLAIR!!!」
アザゼルさんの光の槍がカテレアの胴体を貫くと、間髪入れずに俺の放った紫電を帯びた巨大な弾が爆発する。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
爆発に巻き込まれ、悲惨な叫びをあげるカテレア。
そして爆発が収まると……そこには元から誰もいなかったかのような感じになった。
「ふぅ~終わったな」
アザゼルさんは隣にいる俺に言う。
「そうだな、あっちも終わりそうだな」
顔を向けた先を見るとサーゼクスさん達が魔法使い達を次々と倒していっていた
「俺達も行くか?」
「そうだな、行こう」
俺はアザゼルさんと一緒にサーゼクスさん達の方へ向かおうとした、時
「ぐぁ!」
「アザゼル!!」
何者かの攻撃でアザゼルさんの右腕が切り落とされていた。その切り落とした者は
「ヴァーリ!お前何を!?」
俺たちの後ろで手を振り上げた恰好で固まっている白い鎧を纏っているヴァーリだった。
「ヴァーリ……そうか、そういう事か……いつから、そっちについていた?」
そっちについていた?俺はアザゼルさんの言っている事がわからなかった。
「コカビエルの時……その時に私は協力する事を決めた……」
協力……?じゃあ……
「ヴァーリ……お前、禍の団に……?」
「………………(コクッ)」
俺の言葉を肯定するようにヴァーリは首を縦に振る。
「何でだ……何でお前は禍の団なんかに!?」
「私の……私の実力を知らしめるためだよ……」
そう言うと、ヴァーリは飛び上がり……その背中に悪魔の翼が出てきた。
「悪魔……?」
「ヴァーリの本名は……ヴァーリ・ルシファーだ」
……ルシファー?何でルシファーの名前を……?
「死んだ先代魔王ルシファーの血を引くものなの。けど、私は父と人間の母との間で生まれた混血児なの────白龍皇の翼は半分人間だったから手に入れられたの。ルシファーの真の血縁者でもあり、白龍皇である私が誕生した」
「そんな……嘘……」
と、いつの間にか戻って来ていたリアス先輩がそう呟いている。でも今はそんなのどうでもいい。
悪魔と人間のハーフ……まさか……
「お前は……迫害されてきたのか?」
「………………」
俺の問いにヴァーリは答えない。答えないって事は……肯定。
そして俺の脳裏にある一シーンが浮かび上がった。
それはあの世界終末の日が起こっていた日……俺はある女の子を助けた。
そしてその子の体の至る所に擦過傷や打撲痕があった。
その子は綺麗な銀髪の子だった。
「そうか……あの時の子だったのか……今ようやく思い出したよ……」
「イッセーが私を思い出しても私を止める事は出来ない。私は歴代最強の白龍皇……いくらイッセーでも私を倒すことは出来ない」
俺は考える。ドライグを使えばこいつを倒せる。でも……俺にそんな資格があるのだろうか……?
『相棒……お前の思った道を行けばいい。俺はそれに従おう』
「ドライグ……ああ、わかった」
俺はヴァーリに向き直る。
「ヴァーリ……自分の実力は知らしめる為にあるんじゃない……お前のその力で自分と同じような目にあう者達を守る為に使うべきだ!」
「私はもう止まらない。私の実力を皆が認めるまで私は……止まらない。止められないの!!」
そして翼を一層大きく広げるヴァーリ。
「わかった……ドライグ、あれをするけど……拒否反応も何もするなよ?」
『もう拒否反応はしない。それにあれはお前がいきなりしたからだぞ!』
俺はドライグとそんな会話をしながらドライグを人魂モードにする。
そして予め装着していた籠手に憑依合体させる。
コカビエル戦の時と同じように俺の籠手が紅く染まる。
「いくぞ、ヴァーリ……俺の気持ちをぶつけてやる……!」
「来て!三英雄が一人、兵藤一誠!!」
こうして、俺対白龍皇ヴァーリ・ルシファーの戦いが始まった。
後書き
今回はここまで!
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