深く、罪深い衝動
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前書き
三話に少し・・・というか、二行ほど付け加えました。
これで、不自然な点が改善されたはず・・・!
危うく、強姦魔の生命力がクマムシ並みになるところだったぜ・・・。
-ロズミアサイド-
2300時。
午後の11時を知らせるアラームが鳴る。
・・・深夜ね。
もう・・・この衝動を押さえつけれない・・・。
今にもあの赤い血を・・・もう一度・・・もう一度だけ・・・!
「うぐぅ・・・あ・・・あああああ・・・」
「ロズミア・・・!しっかりしろ!」
この警察官・・・ロズウェルが私の理性を抑えようとする。
だけど無駄よ・・・。
もう・・・安全圏はとうの昔に・・・こえちゃっているのよ。
「ダメ・・・近づかないで・・・」
「・・・わかった。だが・・・あと一時間で俺はお前を逮捕しなくてはならない・・・。それでもいいな・・・?」
「・・・ええ。もう殺してくれてもいいわ・・・。全部どうでもよくなってきた・・・」
私の腹の中にはローレンズがいる。
だけど、ローレンズを今は感じることはできない。
もうそれだけでおかしくなりそう・・・。
「・・・殺す」
もう・・・押さえつけるだけ無駄・・・。
全部・・・全部解放してあげる・・・。
あなたの好きにしていいわよ。
-警察官サイド-
2307時。
「うおああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「ロ・・・ロズミア!?」
クソッ・・・。
限界か・・・。
銃を持ってきて正解だった。
「おい・・・ロズミア・・・。これが見えるだろ・・・?お前のお父さんとお母さんを殺した銃だ」
「ぐぅ・・・ソいつ・・・ヨこせ・・・」
半分は・・・いや、もう既に昼間の大虐殺のときよりもおかしくなってきている。
精神的状態によって進行具合が左右されていくのか・・・?
畜生が・・・。
「駄目だね。こいつでお前もお前の両親と同じ場所に送ってやる」
「いヤ・・・だ・・・」
「観念しろ!殺されたくなければおとなしく・・・」
「死にタくナイぃぃぃぃぃぃ!!!」
と、ロズミアが突撃してくる。
すかさず、俺は発砲する。
ロズミアは肩に銃弾をくらったにもかかわらず、突撃をやめない。
ならば足を・・・!!
今度はバックステップを刻み、脚に向かって発砲する。
「ぐァ・・・」
しかし、それでも突撃をやめない。
いや、少々強引な姿勢になっているな。
それでも、ロズミアは俺に向かって突撃し、押し倒す。
「殺ス・・・!殺しテヤル!!!!」
「畜生!」
この距離だと銃は使えないな・・・。
「それヲ、ヨこセエ!!」
「・・・渡すかよ・・・!!」
今度はロズミアが馬乗りになり、俺の顔面や腹などをタコ殴りにする。
・・・すげえ力だな。
「とったぁぁあああああああああ!!」
「ッ・・・撃たないほうがいい」
「ころ・・・す・・・」
そう言って、既に逝った目で俺に銃を構える。
「お・・・前・・・殺す・・・」
「仕方ない・・・」
そう言って、俺はスイッチを押す。
「ロズミア。お前が寝ている間に俺たちはお前を包囲するための準備を終えた。あとはこのスイッチを押すだけだ。これがなんだかわかるか・・・?」
「殺す殺す殺す殺す殺す・・・」
ブツブツとうわごとのようにつぶやいている姿からは純粋な殺意を感じるが、銃を持つ手が震えている。
だんだんとうわごとが大きくなっていくが、そのたびに銃の震えは大きくなっていた。
「ロズミア・・・俺だってこれを押したくはない。それに、お前だってもう限界なんだろう・・・?大丈夫だ・・・。殺しはしない。約束する」
「いや・・・殺したくない・・・殺されたくない・・・殺したく・・・殺され・・・殺す・・・殺・・・いやああああああああああああああああああああああ!?」
ついに壊れた。
俺はスイッチを押した。
しかし、突撃班への支持のほうではない。
捕獲するための突撃サインだ。
と、すかさず、人だかりがやってくる。
全員銃は構えておらず、素手だ。
しかし、盾を持ち、防護服を着た重装備だ。
今回は防御重視にしたらしい。
「動かないで!!」
と、ロズミアが叫んだ。
「これ・・・お父さんとお母さんを撃った銃なんでしょ・・・?」
「・・・ああ」
そういうと、ロズミアは今度こそ正気を取り戻したかのようにほほ笑む。
「なら・・・これで死んでやる!」
「やめろ!!」
「償いが・・・必要なんでしょ・・・?だったら私が・・・」
「そんな必要はない!みんな・・・みんな許してくれている!」
「そんなの・・・嘘よ・・・。あんなことして・・・許すはずがないわ・・・」
「俺なら・・・許せる・・・。理由があるだろ・・・?ロズミア。お前になら理由はあるはずだ」
「そんなの・・・そんなのないわよ!殺したいから殺した!クレイのときなんてまさにそう!あんなの許されると思ってるの!?」
・・・あの被害者はクレイ・アスカトルだったのか。
確かに、行方不明届は出ていた。
「・・・言いにくいことだが、クレイ・アスカトルは数日後にはドラッグ容疑で上げる予定だった。もう確証はとれている」
「でも・・・!でも殺すことは!!」
「気付いているだけでいいんだ」
「来ないで!!私・・・これ以上・・・これ以上は・・・」
俺はロズミアに近づく。
まるで、父親のように。
「ロズミア。お前の罪は誰もが仕方ないことだと思っている」
「いや!やめて!!」
「今なら引き返せる。だから行こう」
「やめて・・・。そんなのやめて・・・!私なんて・・・全然よ・・・全然なのに・・・そんな・・・」
「ロズミア」
俺はロズミアを抱きしめる。
「泣いていいぞ」
「ふぇ・・・ふぅ・・・ぐぅ・・・」
最初はこらえていたが、こらえきれずに泣いてしまうロズミア。
「いいんだ・・・それでいいんだ・・・」
「ふぇえええ・・・ふう・・・」
「ロズウェルト!よくやったぞ!!」
そう言って、近づいてくる所長。
・・・面倒だな。
「所長。約束通り、ロズミアは任せてもらっても・・・」
「・・・うむ、よかろう。ただし、監視は続けてもらうぞ」
監視とか・・・。
ロズミアが震えているのがわかる。
落ち着かせるために背中を撫でてやり、落ち着かせる。
「所長。言い方に気を付けてください」
「ああ、すまんな・・・。ところで、ロズミア?」
「ヒッ・・・」
これはまずいな。
完全におびえていやがる。
俺以外に心を開くかどうかも怪しい。
正直、ロズミアは別に異常なやつではないと思う。
ただ、運が悪く、親をあんな方法で殺されて、たまたま手に武器があったからだ。
だから、あんなことになってしまい、一度やってしまったことで、それに対する抵抗感がなくなっていたのだろう。
ただ単に可哀そうなだけだ。
それに・・・俺の部下だって・・・。
行き場のないロズミアはおそらく精神病院とかに行くしかないだろう。
ならば、俺が引き取ってやると思ったわけだ。
「行くぞ」
俺は、ロズミアとともにその場を離れた。
-ロズミアサイド ~ロズウェルト宅にて~ -
「あ、あなたおかえり・・・。それと・・・ロズミアちゃんね。話は聞いてるわ」
「ヒッ!?」
「大丈夫だ。もう安全だからな・・・」
声こそ出さないが、未だに泣きじゃくり、震えて俺の服の裾をつかむ姿はとても哀れだった。
・・・これが、本当に何人もの人間を無残に殺した人間だろうか・・・?
「・・・とりあえず入りましょう」
「・・・そんなにロズミアのことが気に食わないのか?」
妻の癖の一つに、『気に入らないものがあると髪の毛を三回ほど弄る』というのがある。
そして、今はそれをした。
つまり、ロズミアが来たということが気に食わないのだろう。
まあ、それもそうか・・・。
でも、妻なら受け入れてくれると思ったんだが・・・。
「・・・やっぱり私・・・」
「ロズミア・・・?」
「え・・・?何・・・?」
「・・・して」
ロズミアが何かをつぶやく。
何を言ったのだろうか。
小さくて聞こえなかった。
それは、妻も同じらしく、首をかしげて、顔を近づけようとしている。
「・・・!おい、やめろ!ロズミア!!」
「もう私を殺して!!!」
と、ロズミアが包丁を取出し、自分に突き刺そうとする。
・・・やっぱりか。
「やめるんだ。ロズミア。あと、ミリー。そういう態度はやめてあげてほしい。今、ロズミアの精神状態は不安定な状況だしな」
「・・・ごめんなさい。私・・・その・・・知らなくて・・・」
「いや、責めてはいないさ。ただ、次から気を付けてほしいだけだ。・・・そうだ、飯でも食べよう。用意してあるか?」
「ええ、でも二つしか・・・いや、さっきのお詫びで私の分を上げるわ」
「そんな・・・いいです・・・私なんて・・・」
また、自殺しそうなロズミアを引き留める。
「と、行くか」
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