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ヘタリア大帝国

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TURN135 ワープトラブルその八

「他の星域ならどうということはない」
「今や世界の殆ど全ての星域は枢軸です」
 ここでこう話した秋山だった。
「エイリス領以外ですから」
「そうだ、だから安心していい」
「ただ、ワープ空間の中に漂う危険があります」
 日本はその可能性についても話した。
「そうなれば」
「ワープ空間か」
「あの場所がどうなっているかは誰も知りません」
 国家達でもだ、このことは誰も知らないのだ。
「ですから」
「ワープ空間か、確かにな」
 東郷もワープ事故については嫌になる程聞いている、ワープは瞬時に移動出来るがそれと共に事故の危険が付きまとう諸刃の剣なのだ。
 ワープ事故で行方不明になった者は多い、そしてそのワープ空間について言われていることも。
「色々な噂があるな」
「魔界だの異性物がいるだのと」
「不気味な噂に満ちているな」
「そうです、誰も知らないからこそ」
 噂話をして何処にいるかというのだ。
「余計に」
「そうだな、しかし」
「しかしですか」
「若しもワープ空間に出ても」
 それでもだというのだ。
「幸いこちらのワープシステムに異常はないからな」
「ではその中からも」
「やってみればいい」
 ワープ空間からの脱出、それをだというのだ。
「そうするとしよう」
「生きていればですか」
「生きていれば希望は絶対にある」
 人が生きていればだ、それだけでだというのだ。
「僅かな希望でもそれは大きく出来る」
「では」
「この状況でも諦めないことだ」
 決してだというのだ。
「ではいいな」
「わかりました、それでは」
 こう話してだった、彼等はワープを待つことにした。
 ワープに入り四隻の戦艦が消えた、宇垣はそれを観て言った。
「まずいな」
「うむ、ワープ空間に迷い込んでいなければいいが」
 平賀が久重の口からその宇垣に応える。
「しかしだ」
「ワープから他の星域に出るのは一瞬だ」
「助かっていれば」 
 その時はだとだ、平賀が言う。
「ではだ」
「各星域を捜索させましょうぞ」
 宇垣はこう平賀に返した。
「それでは」
「はい、それでは」
 こう話してだ、そして。
 宇垣達は捜索を開始した、彼等にとっては一瞬のことだった。しかし柴神は深刻な顔でこう呟いたのだった。
「若しワープ空間に入れば」
「どうかしたのですか?」
「いや、何でもない」
 日本妹の問いに返す。
「ただ」
「ただ?」
「戻って来るのならすぐだ」
 彼もこう言うのだった。
「一瞬だ、一瞬で済むからだ」
「では今私達は」
「捜索だ、長官達を探そう」
「わかりました」
 彼等はその一瞬に賭けた、しかし。
 東郷達は違った、彼等が出て来た場所は。
 ワープ空間だった、東郷はその紫と黒が混沌と渦巻く縦も横もない空間の中を見回していた、だがその空間から。 
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