少年と女神の物語
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第三十九話
「ヤッホー、ムソー!」
「ママか・・・まあ、今回は呼び出されるだろうな、と思ってたよ」
あそこまで行くと、もう死に掛けどころじゃない気がする。
両腕両足死亡、右上半身抉れてる。
これで何の問題もなくいきてる辺り、本当に人間やめたよなぁ・・・と、毎度のことながらおもう。
「にしても、あんな状態でシヴァ様に勝っちゃうなんてね~。さすがはあたしの息子!」
「ははは・・・ホント、何で勝てたんだろうね・・・」
間違いなく、ゲイ・ボルグとブリューナクのおかげだよな。攻撃用の権能は、全部破壊されてたし。
「そろそろ権能が二桁になるんだけど、自覚はある?」
「自覚はあるけど、目を逸らしてた。・・・まあ、家族を守る力が増えるのは嬉しいけど」
そうでも思わないとやってられない。
さて、今回はどんな権能が増えたのやら・・・
「ところで、今回はどんな意図による呼び出し?」
「そうね・・・あれよ、あれ」
「どれだよ」
うん、絶対に何も考えないで呼び出したな。なんとなくで。
「ほら。ムソーって意外と鋼の神様倒してるじゃない?」
「まあ、そうだな」
ゼウス、蚩尤、ザババ、プロメテウス、シヴァが英雄の属性なり、何かしらの形で鋼の属性を持っている。
「そんなムソーに警告しておくと、ムソーの住んでる国の近くに最強の鋼が眠ってるから、へんに刺激しないようにね、ってお話」
「今考えたよね、ママ?」
「・・・・・・」
「目を逸らさない」
まあ、聞いてよかったと思う情報ではあるけど。
最強の鋼か・・・うん、やっぱり、
「もっとたくさんの神様を倒さないと」
「え?何でその結論?」
ママは驚いているけど、そこまで驚くことかな?
「だって、最強の鋼なんでしょ?だったら、アテが危ないじゃん」
そう、アテは蛇の属性を持っている。
相手が鋼である以上、蛇であるアテは狙われかねないのだから、それを守るために少しでも力を得る必要がある。
ついでに、相手が鋼である以上、俺も狙われるんだから、力はつけないと。
「うん、ムソーらしいわね。じゃあ、頑張りなさい!また新しい家族が増えるみたいだけど、そのこも癖の強い子だからね?」
「ああ。・・・って、なんでママがあのこのことを・・・」
そこで意識が途切れ始める。
俺の体が治り始めていて、意識が戻ろうとしているのだろう。
クソ・・・一番聞きたいことが、まだ聞けてないのに・・・
◇◆◇◆◇
「ん・・・立夏、か」
「うん。おはよう、ソウ兄!」
目を覚ますと、視線の先には立夏の顔があった。
間違いなく、立夏が治癒の術をかけたんだろうな・・・俺はそう考えながら頭を左手でぽりぽりとかき・・・
「って、腕がある」
そう、腕が治っていたのだ。
「あ、それならね。治癒の術をかけたらなくなってた方の腕と両足は断面から治っていって、粉々に折れてたほうの腕は、ボコボコ音を立てながら治っていったよ?」
「うっわー・・・予想はしてたとはいえ、さすがに驚いた」
間違いなく治るとは思っていたけど、ここまで完璧に、簡単に治るとは思っても見なかった。
「うん、やっぱり武双お兄様はすごいね。あの傷が簡単に治るんだもん」
「確かに、見ていて驚きはしましたね・・・」
「ああ、二人もいたのか。・・・っと」
俺は両腕を地面について起き上がり、両足でしっかりと立つ。そうして、なくなったものが戻っているのを確認し、少女に肩を貸されているマリーの足に視線を向ける。
「マリー、その足は・・・」
「私の見立てだと、砕けてる、の方が近い状態。かなりの重傷だよ、ソウ兄」
「やっぱりか・・・ゴメン、マリー。俺が来るのが遅くなったせいで・・・」
「気にしなくていいよ、武双お兄様」
俺が頭を下げようとするが、マリーの声によって遮られる。
「むしろ、神様と戦ってこれで済んだのは、運がいい。それもこれも、武双お兄様のおかげなんだから。これで神様から助けてもらうのは二回目でしょ?」
「そうなんだけどな・・・今回はあの時と違って、しっかりとは守れなかった」
そう言いながら俺はマリーを抱え上げ、マリーを支えてくれていた少女にも知覚に来るよう、身振りで示す。
「立夏、この辺りで一番でかい魔術組織のところまで飛んで。俺の・・・カンピオーネの名前をフルに使って、今すぐマリーに治療を施させる」
「了解!いっくよー!!」
そして、立夏の飛翔の術で目的地まで飛んだ。
◇◆◇◆◇
「ねえ、ソウ兄。一ついいかな?」
マリーの治療が終わるのを待っていると、そこで立夏が話しかけてきた。
少女がよっぽど疲れたのか眠っているため、声を潜めた状態で、だ。
「どうしたんだ、立夏?」
「その・・・その子って」
そういいながら、俺の肩を枕にして眠っている少女を指差す。
「コイツが、どうかしたのか?」
「えっと・・・人、なんだよね?まつろわぬ神様、とかじゃなくて?」
「それは、間違いなくない。コイツは神様じゃないよ」
なんせ、俺の体が高ぶらない。
だとすれば、コイツがまつろわぬ神である可能性はないといっても過言ではない。
「だったら、勘違いなのかな・・・でも、あそこまではっきりと見えて・・・・」
「おーい、立夏。どうかしたのか?」
「あ、その・・・驚かないで聞いてね」
立夏はそう前置きして、驚きの事実を伝えてきた。
「そのこに始めて会ったとき、握手をしたときにさ・・・天啓が、下りてきたんだよね」
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