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Sword Art Online~星崩しの剣士~

作者:黒翼
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04:月夜の黒猫団

 
前書き
月夜の黒猫団編は全員生存ルート、もしくはサチのみの生存ルート···どちらにすべきか。
自分的にはこっちがいいってのがある場合は感想にお願いします! 

 
「我ら、月夜の黒猫団に···乾杯!」

第11層にある酒場の一席に、元気な少年の声が響く。
その少年は俺と隣にいる黒髪の少年――キリトの方に向き直ると、酒が注がれたコップを俺達に突きだし、口を開く。

「そして、命の恩人のキリトさん、メテオさんに···乾杯!」

「「乾杯!!」」

少年がそう言うと、パーティーらしき男性と女性がリピートする。

「おー、乾杯!」

「か、乾杯···」

俺はそうでもなかったが、キリトはこの雰囲気に慣れてないのか、声が小さくなる。
一先ず乾杯を終えると、少年少女達――と言っても少女は一人だが――が近寄ってくる。
少年達は口々に「ありがとう」「サンキュー」「助かったよ」と言った感謝の言葉を俺達に投げかける。
そんな中、少女はやや涙声で俺達に話しかける。

「ありがとう···本当にありがとう。···凄い怖かったから、助けに来てくれた時、本当に嬉しかった」

少女はそう言うと、目元の涙を拭った。
うっわー···俺、女の子と話した事なんて人生で殆どないな···。
そんな事を考えていると、キリトが口を開く

「い、いや、そんな···」

キリト、お前も俺と一緒か···。
そんな事を考えていると、赤茶色の単発の少年が俺達に声をかけてきた。

「あの、大変失礼だと思うんですが···LVって、いくつくらいなんですか?」

俺とキリトは顔を見合わせる。
そう、ここで本来のLVを明かせば、下層を荒らしに来たなどと言うデタラメのもと、排除の依頼を出されかねないのだ。
俺は唾を飲み、覚悟を決め、口を開く。

「俺もキリトも、LVは20ちょいだ」

「へぇ···僕達とLVはあまり変わらないのに、2人だけで戦うなんて凄いですね」

本当は俺もキリトもソロだけどな、と口には出さずに思っておく。
そんな事を考えていると、キリトは俺の思っていた事をそのまま口に出す。

「敬語はやめにしないか?2人って言っても、基本は1、2匹の敵を狙ってばっかさ」

「そうで···そうか、なら、僕達のギルド《月夜の黒猫団》に入らないか?」

「「えっ?」」

急すぎる提案に、俺達はつい驚いてしまう。
なんせギルドだ、永遠(とわ)に入れないようなものだと思っていた。
それに俺はビーター···はたしてギルドなんて気軽に入っていいのだろうか···?
俺がキリトにアイコンタクトを送ると、キリトは確かに、目で入ろうと訴えてくる。
――やれやれ、しゃーねーか···。
心の中でそう呟き、顔を上げて口を開く。

「···じゃあ、俺はいれてもらうわ」

「俺も···いいか?」

俺達がそう言うと、5人は目を輝かせた。
口々に名乗りだす彼等の声をBGMに、俺はこれからどうなるんだろうと言う不安なのか期待なのか分からない思いを抱いていた。

* * *

俺達が、ギルド《月夜の黒猫団》に入団してから数日が経った。
現在はとある小さな狩り場にて、カマキリ型モンスター《キラーマンティス》を相手にしている最中だ。

「きゃっ」

っと···そんな事考えてる場合じゃなかったな。
俺は声の主である少女――サチに駆け寄りながら声をかける。

「サチ、一旦下がれ」

そう言うと、サチは盾に身を隠しながらゆっくり後退する。

「···よっと」

俺はキラーマンティスの攻撃を軽く跳ね上げ、少年――テツオに向かって声を発する。

「今だテツオ、スイッチ!」

「おう!」

テツオは自身の武器であるメイスを構え、前に出る。

「でりゃあぁっ!」

テツオはソードスキルを発動し、カマキリの首もとにメイスを叩き込む。
カマキリは動きを止め、瞬間、体をポリゴンの欠片へと変えた。

「おっ···よっしゃ!」

剣を背中の鞘にしまいつつ、声のした方を見ると、なにやらテツオのがLVUPを喜んでいるようだった。
俺はキリトと顔を見合わせ、お互いに軽く笑った。

* * *

一旦狩りは中断し、休憩しようとリーダーである少年――ケイタが提案したので、俺達はそれに従い休憩している。
ケイタとキリトは隣に並んで座っている。
俺はと言うと、緑色の服の少年――ササマルと、黄色の服の少年――ダッカー、そしてテツオとサチと一緒に並んで座っていた。
今はサチに淹れてもらった紅茶を飲んでいる。
ケイタとキリトはなにやら語り合っており、会話の内容が俺達にも聞こえてくる。
一段落ついたところで俺達は駆け寄る。
その際、ダッカーがケイタの首を軽く絞めていたが、まあ気にしないでおく。

「さぁて、そろそろ帰ろう」

ケイタの一言に全員頷き、俺達はその場を後にした。

* * *

時刻は日も落ちた夜、俺達は宿の1室に集まっていた。
なにやら、ケイタから俺達に大事な話があるらしい。
全員が揃ったのを確認すると、ケイタは口を開く。

「えー···今回の狩りでなんと······2十万コル貯まりました!」

「「おお!」」

そんなはしたが···ゴホンゲフン···大金、いつの間に!
一瞬余計な事を考えたが、それは右から左に受け流そう。
俺の脳内など気にしない少年達は、次々に口を開く。

「そろそろ、俺達の家を持つ事も夢じゃないな!」

「ねぇねぇ、サチの装備整えない?」

「私はいいよ···」

サチは少し申し訳なさそうに言う。
と、そこへダッカーが――。

「遠慮すんなよ、いつまでもキリトやメテオばっかに前衛させんのも悪いしさ」

俺達に迷惑だと言うように言った。
別に迷惑ではないが···。
そんな事を思っていると、サチは俺達の方を向き、口を開く。

「ごめんね、キリト、メテオ···」

「いや、俺は別に···」

「気にすんなよ、サチ。こう言うのは持ちつ持たれつだって、な?」

「うん···」

そう答えたサチの顔は、少し暗く見えた気がした。

* * *

今は時間で言うと24時くらいだろうか、俺は全員が寝静まったと思うタイミングに部屋を出る。
同じ事を考えていたらしいキリトが、同じように部屋から出てくる。
俺達はお互いにまた笑い、一緒に目的地へと向かった。

* * *

俺とキリトが向かった先は、最前線である28層にある《狼ヶ原》である。
夜のここには人気が少なく、LVを上げるために経験値を稼ぐにはもってこいだ。
――しかし、どうやら今日は先客がいるようだ。
見下ろして見える光景は、3人の男性が1匹の狼を狩っていると言うものだ。
うわっ、全員おっさんじゃん。
俺は密かに失礼な事を思っておく。
それを無視して進んでいき、俺は狩りを開始した。

* * *

しばらくして街に戻ると、メッセージが届いていた。
内容を確認するために、メッセージマークをタップする。

『ケイタです

 サチが出ていったきり帰ってこないんだ。
 僕らは迷宮区に行ってみる。
 メテオも何かわかったら知らせてほしい。』

うへぇ、マジか···面倒くさ···なんでもない。
俺はウィンドウを開き、索敵スキルをタップ、そこから追跡を選択する。
すぐに足跡を発見、その足跡を追って走る。
頼むから、変な所にはいないでくれよ···!
俺はそう願いながら駆けていった。

* * *

足跡を辿って来た先の場所は、地下坑道に近い(?)場所だった。
その奥に、額を膝につけて座っている少女······間違いない、サチだ。
どうやら、見付けたのは俺が1番のようだ。
俺はゆっくりサチに近付き、声をかける。

「サチ···こんな夜中にお散歩か?」

俺は冗談混じりにそう言う。
サチはビクっと肩を震わせ、顔を上げる。
その顔には不安の色が見られる。

「ううん、ちょっとね······ねぇ、メテオ···」

「ん、どうした?」

サチは何か言いたげに、俺を見る。

「一緒に、何処かに逃げよ···?···ギルドから······《ソードアート・オンライン》から」

「ははっ、そりゃ心中か?悪いけど、俺にはまだまだやる事があるんで無理だぜ?」

俺がそう言うと、サチは皮肉めいたように少し笑う。
その顔はどこか儚げだった。

「ううん、嘘···。私ね、きっと怖いの。死にたくないから、こんな弱音を吐くんだと思う···」

なるほど···サチはサチなりに、不安だったんだな。
俺は女と話した事は少ないし、そう言う事に気付けなかった···。

「サチ、お前は死なない。黒猫団は充分強いし、安全マージンも取れてる。それでも不安な時は···」

少し間を開け、口を開く。

「俺が守ってやるよ」

俺はそう、笑顔で言った。
サチはそれを聞くと、少し泣いていた···が、笑っていた。
俺はその笑顔を、忘れる事はないだろう。 
 

 
後書き
文字数多い···。
メテオ「何か俺が口説いたみたいになってんだけど、どういう事だ駄作者」
そう言う事だ、メテオ。
感想等、お待ちしてます! 
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