Sword Art Online~星崩しの剣士~
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02:勝って帰ろう
前書き
サブタイてきとうw
翌日の10時、俺達はボスの部屋へと向かうべく移動を開始していた。
昨日のうちにあって驚いた事は、俺の右隣を歩く少年――キリトと再開した事だ。
そして、キリトが少女――アスナとパーティーを組んだ事だ。
別にアスナに問題がある訳ではないが、キリトがパーティーを組んだ事に驚いたのだ。
とは言え、やはりと言ったところか、彼もこのデスゲームの被害者である。
まあ、今となってはそんな事を考えても無駄なので止めておこう。
移動中のこの時間で皆の役割を決めるべく、俺はキリト達に話しかける。
「なあ、キリト。俺達の役割を決めなくていいのか?」
俺がそう言うと、キリトは思い出したような顔をする。
······この野郎、今の今まで忘れてやがったな。
「あ、ああ、そうだな······じゃあ、俺とメテオでセンチネルのポールアックスを跳ね上げるから、2人はその隙にスイッチしてセンチネルに一撃叩き込んでくれ」
「「スイッチ···?」」
少女2人――否、アステとアスナは、スイッチという単語に反応した。
反応と言うよりかは、聞き慣れない単語を聞いたと言う感じだ。
これは、まさか······まさか···?
「お、おい···もしかして2人共···」
とキリト。
「スイッチを······知らない···のか?」
と俺。
そう言うと、2人は特に否定する様子もなく、ただ首を縦に振った。
「マジかよ······」
俺は面倒だなと思いながら、キリトと共に分かりやすくスイッチについて説明した。
* * *
――ザン!
鈍い効果音と共に、剣が地面に突き立てられる。
剣を突き立てた青年―――ディアベルは、顔を上げ、俺達に向けて話す。
「皆···俺から言う事はたった1つだ。······勝とうぜ!」
その言葉にプレイヤー達は一斉に頷き、そして身構える。
「行くぞ···!」
ディアベルの掛け声と共に、扉がゆっくりと押し開けられる。
見えるのは、薄暗く広い部屋。
ディアベルが先行し、俺達は後に続く。
部屋の1/3(3分の1)まで進んだ所で、部屋が急に明るくなる。
そして、第1層フロアボス――《イルファング・ザ・コボルドロード》が奥の椅子から立ち、跳躍する。
「グゥルアアァァァッ!!」
イルファングは大きく吠える。
それに応えるかのように、取り巻き――《ルイン・コボルドセンチネル》が姿を現す。
「攻撃、開始ぃッ!」
ディアベルが上げていた剣を降り下ろし、攻撃開始の合図をこの場にいる全プレイヤーに送る。
先陣をきったのはキバオウだ。
「うおおおおっ、どぉりゃあっ!!」
キバオウはソードスキルを発動し、センチネルに降り下ろす。
センチネルは一撃で体をポリゴン片へと変える。
――俺も負けてらんねーな。
そう思いつつ、俺はセンチネルに向かって疾走する。
向かっている途中、キリトとアスナのナイスなコンビプレーを見る。
「俺もあんな風にやらねーと···っと···!」
俺がぼやいていると、左斜め上からセンチネルが棍棒のような物を降り下ろしてくる。
俺はそれを体を捻らせる事によって回避し、すかさずそこに反撃を叩き込む。
「そら、よっ···!」
降り下ろしてきた棍棒を体ごと宙に跳ね上げる。
「今だ、アステ、スイッチ!
「っ!?······了解!」
アステは俺の指示に応え、すぐさまソードスキルを発動する。
アステのもつ曲刀がソードスキル発動時のエフェクトで輝く。
あのスキル······確か《リーパー》だったか。
アステの容赦ない一撃が、センチネルの首の根本を捉える。
「やあぁっ!」
気迫のこもった声を上げ、アステはセンチネルを仕留める。
「···ナイスだ、アステ」
俺は聞こえないようにそう呟き、再びセンチネルに向かって行った。
* * *
―――戦闘を開始してから、数10分が経過した。
「グゥルアアァァァッ!!!」
イルファングが急に吠え、持っていた斧とバックラーを投げ捨てる。
「···っ」
遂にくるか···。
そう、ここから武器をタルワールに―――。
「······な、に···?」
しかし、イルファングが変更したそれは、タルワールとは似てもにつかぬものだった。
――そう、それは余りにも長く······言うなれば、野太刀。
瞬間、それに気付いたキリトが叫ぶ。
「駄目だっ、全力で、後ろに跳べっ!!」
しかし、キリトの叫びは届かず、ディアベルはイルファングに突進していく。
そして、ディアベルの攻撃がイルファングに届――かなかった。
イルファングは部屋の柱を利用し、柱から柱へ撹乱するかのように跳び移る。
そして、イルファングは一気に、ディアベルに向かって急降下する。
ディアベルは反応仕切れず、イルファングを見上げる。
―――そして···。
「うわああああぁぁっ!!!」
遂に、イルファングの野太刀がディアベルを捉えた。
ディアベルの胸部をプレートごと切り裂く。
そこに追撃をかけるかの様にスキルを発動。
当然、宙に浮いているディアベルはどうすることも出来ず、そのまま無抵抗に撥ね飛ばされる。
「ディアベルはんっ!!」
キバオウが悲痛な叫びを上げる。
その隙が仇となったのか、キバオウ達の背後にイルファングが着地する。
「グゥルアアァァァッ!」
キバオウ達はそれに気圧されたかのようにジリジリと後退する。
「くっそ···マジかよ···!!」
俺は下がり、叫ぶ。
「キリト、ディアベルの所に行ってくれ!!」
「···っ、分かった!」
そう言うと、キリトはディアベルの元へ駆けて行った。
キリトがディアベルにポーションを飲ませようとしたが、ディアベルはそれを拒む。
そして、キリトに何かを告げた後、ディアベルはその体をポリゴンの欠片へと変えた。
――部屋中が、悲鳴で包まれた。
* * *
―――この状況、どうにかして打破しないとな······。
部屋中が悲鳴で包まれているなか、まともに動けるのは俺とキリトくらいだろうか···。
そう思った俺は、キリトに声をかける。
「キリト、俺とお前で、イルファングを倒す。······やれるか?」
「······やる···いや、絶対に倒す」
キリトは目に確かな決意をたぎらせる。
俺達がイルファングに向き直ると、隣に並ぶ影が2つあった。
「······私も」
「ちょっと、忘れないでよね?」
――アステとアスナだ。
「······頼む」
「おお、心強いね」
キリトに比べると軽口をたたき過ぎな気がするが、緊迫した空気を和らげるためだと思えば、まあいいだろう。
「さぁて、いっちょ派手に暴れようぜ······!」
俺がそう言うと、4人で一気に疾走する。
ちょ途中、アスナがフードを脱ぎ、かなりの美少女顔が露になる。
―が、今はそんな事どうでもいい。
目の前の事に集中だ。
「アスナ、アステ、手順はセンチネルと同じだ、やれるか···?」
「「当然」」
キリトがそう訊くと、2人は頼もしくそう答える。
「心配はいらねーみたいだな······っし、先手必勝っ······!!」
俺はそう言うと、一気に距離を詰め、ソードスキルを発動する。
――片手長剣単発水平斬り、《ホリゾンタル》。
···この距離から届くか······?
俺はそう思っていたが、果して、俺の剣は見事にイルファングの足に直撃した。
「グゥルアアァァァッ!?」
イルファングは大きくノックバックする。
「今だ、皆、一気に叩き込めぇぇぇっ!!」
「「「了解!」」」
キリト達は俺の声に応えると、一気に距離を詰め、イルファングに仕掛けていく。
「セアッ!」
「やあっ!」
「てやっ!」
キリト達は正確に剣を振るい、的確にイルファングに命中させていく。
「···らあっ!」
俺の攻撃が、イルファングに直撃する。
「キリト、アステ、アスナ、一気に決めるぞ!」
「「「おう(了解)!!」」」
「······うおらぁっ!」
「せやぁっ!」
「いやぁっ!」
俺、アスナ、アステの順に、イルファングに攻撃を命中させる。
――決めてくれよ、キリト···!
「いけぇぇっ、キリトぉぉぉっ!!」
「うおぉぉぉぉっ!!!」
キリトの剣が光る。
V字斬りのようなソードスキル、《バーチカル・アーク》が、イルファングの腹から顔までを切り裂く。
イルファングは空中に跳ね上げられる。
しばらくイルファングの体が眩しく光る。
――そして、遂にイルファングはその体をポリゴンの欠片へと変えた。
* * *
暫しの時間、静寂が部屋を包む。
「や、やったーっ!!」
誰かがそう叫んだ瞬間、部屋の中が一気に騒がしくなる。
ある者は肩を組ながら喜びを分かち合い、ある者は地面に座り込み、ある者は戦利品を確認する。
そんな中、俺は相棒――キリトに駆け寄り、声をかける。
「おっす、キリト。お疲れさん」
「ああ、サンキュー······」
キリトは、疲れきった顔をして膝をついている。
そこに、アスナとアステ、そしてエギルが歩いてき、声をかけてくる。
「お疲れ」
とアステ。
「お疲れ様」
とアスナ。
「見事な剣技だった。congartulation、この勝利はあんたの物だ」
と、見事な英語の発音のエギル。
「いや······」
キリトは否定しようとする。
――その時だ。
「何でや!!」
悲痛な関西弁の叫びが、部屋に響き渡った。
後書き
いやぁ、長い文は疲れますねw
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