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時空を渡る精霊

作者:蒼鈴六花
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響きあう心

 
前書き
これで一応完結です。
続きを書くにしても書き直す可能性が高く、それ以上に新作出しちゃう方が早いかもです。
まあ、ネタとかなら後から思いついたのを書くのもあるとは思いますが……

では、今回は様々な人の視点に移り変わりますので注意?を。
意味不明な最後で終わったかもしれないorz 

 
俺達はフェイトを別の部屋に移動させる最中に先に部屋を出たクロノと出くわし、なのはとユーノが一緒に行くとクロノについていく事になったのだが……

「君は、どうするんだ?」

「俺は少し遅れて向かう。なのは達を任せた」

クロノ達と別れた俺はアルフを連れてフェイトを別室へと運ぶ。
フェイトを寝かせて、なのは達の様子を見る。今の所、問題はなさそうだが急ぐに越した事はない。
俺はアルフの横に立ってフェイトを見た。

「フェイト……周りをよく見ろ。……最初の記憶が他人の者でも、お前にはお前として生きた時間があるだろう。その時間に嘘はない、フェイトはフェイトだ」

そっとフェイトの頭を撫でる。

「俺は、フェイトを信じている。……だから、戻って来いよ。お前は、生きていても良いんだ。こんなに心配されてんだからな」

そうして俺は部屋を出た。
遅れて来たアルフと共になのは達のもとへと向かう。



◆ ◇ ◆

ずっとそばにいてくれたアルフ。
なんどもぶつかった真っ白な服の女の子。
そして、私を心配してくれる不思議な男の子、エミル。

母さんに認めてもらう以外に生きる意味なんてないと思っていた。
それができなきゃ生きていけないんだと思っていた。

『お前は、生きていても良いんだ。こんなに心配されてんだからな』

捨てればいいって訳じゃない。逃げれば良いって訳、もっとない。
私達の全てはまだ、始まってもいないのかな?

『フェイト……周りをよく見ろ。……最初の記憶が他人の者でも、お前にはお前として生きた時間があるだろう。その時間に嘘はない、フェイトはフェイトだ』

彼の声が、頭に蘇る。

『俺は、フェイトを信じている。……だから、戻って来いよ』

私はバルディッシュに問いかける。
いつもそばにいてくれたバルディッシュ。

「お前も、このまま終わるなんて嫌だよね」

『Yes, sir.』

ふわりと彼に撫でられた頭が温かくなった気がした。
彼が、背中を押しているような気がした。
いや、彼だけじゃない。
私の周りには私を心配してくれる人がいる……

「行こう、バルディッシュ。本当の自分を始めるために、今までの自分を終わらせよう」


◆ ◇ ◆

「エミルお兄ちゃん!アルフさん」

「エミル!それにアルフさん」

なのは達の近くにワープした俺とアルフ。
アルフにはこれから何をするか伝えているから俺からすぐさま離れていく。

「最初から全力で行く。全員俺から離れな!……響きは契約の絆、我と契約せし神話の魔物達よ、我が元に来よ、魔物の王と契約せし守護者、魔物召喚、神秘なる魔、来よ!語られし魔物達よ!」

複数の魔方陣が館中に表れ、そこから強大な力を纏いながら魔物達が出現する。
今回はかなり強めの奴を何体か呼んだ。あいつらなら適当に数分で館の鎧を倒してくれるだろう。
なのはやアルフはぽかーんと口を開けてぼけっとしている。
ユーノは何かに諦めた表情をしていた。

「どうしたんだ?」

「もう、エミル一人でいいんじゃないかなって思って」

「大丈夫、お前らの分は残してあるから」

「はぁー……」

何をため息ついているんだかと思っていると上空から知っている気配がする。
見上げるとそこには見覚えのある黒い少女。
少女は周りの状況に驚いているものの鎧に攻撃しながらこちらに降りてきた。

「おかえり、フェイト」

少し恥ずかしそうにしている少女、フェイトは微かな声で呟くように答えた。

「ただ、いま……」

ばっちり聞こえたのだが、まあそこは何も言わない。
復活したアルフはフェイトに抱きつき、なのはは嬉しそうにフェイトの名を呼んだ。
俺達は再会に喜びつつも移動を始め、駆動炉に向かう俺となのは、ユーノは途中でフェイトとアルフの二人と別れる際、なのははフェイトを応援し、フェイトは素直にそれを感謝した。
フェイトの心が変わってきている。とても良い方向に。
そう思いつつ、フェイトへ声をかける。

「あの時の約束、守れよ?」

「分かってる」

一瞬だけお互いを見て、俺達は別々の方向へと走り出す。
そして数分後、駆動炉についた俺達は戦闘を開始する。

「防御は僕に任せて!二人は思いっきり戦って!」

ユーノが前に出て全ての攻撃を防ぎ、俺は前衛で、なのはは後衛で攻撃を仕掛ける。

「ユーノ君がいるから安心して戦える。背中が何時も温かいから!」

なのはの台詞にユーノが顔を真っ赤にしているがそれでも防御の手を緩めない。
ユーノはユーノで成長しているようだ。

その後、俺達は駆動炉で役割を果たし、フェイト達のもとへと向かう途中で屋敷の崩壊が始まった。
魔物達は帰還させ、フェイト達のもとへ急ぐ。

「悪いな、なのは!少し先に行く!」

「お兄ちゃん!?」

なんだか、胸騒ぎがする。
速度を速め、フェイト達の所につくとプリシアとアリシアが虚数空間に落ちていくのが見えた。
あそこは魔法が使えない。落ちたら最後、重力に従って落ちていくだけ。

「エミル……!」

フェイトが俺に気付いて声をだし、俺はフェイトの頭に手を置く。

「お前の思い、無駄にはしない。お前の願いを届かせて見せるさ」

フェイトの頭から手を離した俺は虚数空間に近づいた。

「エミル……何をっ!?」

「フェイト達は先に脱出してろ。俺の事は心配するな、少し行って来る」

「エミル……?エミルーーーー!!」

俺は、自ら虚数空間に落ちた。
その後すぐに駆けつけてきたなのはの声が聞こえてきたがすぐに聞こえなくなった――



―――虚数空間内。
虚数空間を落ちて行くと底にプレシアとアリシアがいた。
着地した後、プレシアに歩み寄るとプレシアはこちらに気付いて睨みつけてきた。

「……何の、よう?」

「警戒するな、俺はお前達を助けに来ただけだ」

「魔法の使えない空間で、どう助けると言うの?自分もこれから死ぬと言うのに……」

プレシアは嘲笑するが気にしない。
今のプレシアは血を吐きとても弱弱しく、アリシアを庇うように座っている。

「死ぬつもりはねぇよ……っとそれより時間がない」

俺はアリシアへと近寄る。

「アリシアに近寄らないで!!」

プレシアが叫ぶが気にしない。
アリシアに手を向ける。

「成功するかどうかは分からない。だが、可能性はある」

手にマナが集まり始め、緑色の光がこぼれる。

「何……その力は?ここでは魔力は使えないはず」

「これはマナ、命の源。これで一時的にアリシアの体と魂を結びつける。目覚めたとしてもそう長くは持たないだろうがな」

手からこぼれたマナがアリシアを包む。
薄らと感じるマナに近い力はおそらく魂。体と魂があるのならマナで繋げる事がおそらくできる。
ただ、完全に生き返らせる事は無理だが……
そう思っていると、アリシアの目が微かに動く。

「アリシア!!」

アリシアは目を覚ました。成功だ。
目を覚ましたアリシアを管から出し、プレシアはアリシアを抱きしめた。

「おかあ、さん?」

「アリシア!あ、ああ……」

アリシアを抱きしめながら泣き崩れるプレシア。
だが、残された時間は本当に少ない。プレシアにも、アリシアにも。
手っ取り早く話を終わらせて外に出ないといけない。

「感動の再会の最中悪いが、時間はない。手短に話すぞ」



◆ ◇ ◆

エミルが虚数空間に落ちてから数日たった。
なのはとフェイトの落ち込みようがひどく、食事さえまともにとらない。
僕は今、なのはと一緒に昼食を食べているけれど……なのはの手は一行に動かない。

「なのは、食べなきゃ元気がでないよ」

「どうして、ユーノ君は平気そうなの?エミルお兄ちゃんが心配じゃないの……?」

心配はしてないわけじゃない。でも、それほど大きな心配はしていない。

「心配してないわけじゃないんだ……ただ、エミルなら大丈夫って思えるんだ」

「……どう言う事?」

いつもとんでもない事を平気でやってしまうエミル。
彼ならなんでも乗り越えていけるような、そんな気さえする。
そんな彼に憧れてしまう。
だからかな?

「うまく言えないけど、フェイトだってエミルが心配するなって言っていたって言っていたでしょ?エミルがそういうなら心配ないって思えるんだ。何かしら考えがあるから言っているだろうしね」

「……」

「大丈夫、きっとその内何事もなかったかのように現れるよ。だからエミルが帰って来た時に怒られないように元気な姿で迎えようよ」

「うん、そうだね。このままじゃ、エミルお兄ちゃんに怒られちゃう」

少し笑顔を取り戻したなのはは食事を始める。
なのはが元気になってよかった。
でも、フェイトは……

早く戻ってきてよ、エミル……


◆ ◇ ◆

なのは達が自身の世界へと帰る日。
フェイト達のいる部屋に緑色の淡い光がこぼれた。

「……な、に?」

フェイト達は光の中から出てきた人物達に言葉を失う。

「残された時間は少ない、もって明日の朝までだ。家族としての大切な時間は誰にも邪魔はさせねぇ……後悔のねぇように時間を使え」

◆ ◇ ◆ 

フェイト達の部屋に緑色の光がこぼれた数分後、なのは達はクロノ達と別れを惜しんでいた。
そしてなのは達が帰ろうとした直後。

「ちょっと待て」

聞き覚えのある声に全員が声の方へと向く。
金色の髪に紺色の服を着た良く知る少年がそこにはいた。

「エミルお兄ちゃん!」

「エミル!」

真っ先になのはがエミルに抱きつき、ユーノは駆け寄った。
リンディ達は驚いているものの嬉しそうに微笑む。

「遅くなったみたいだな、すまない」

「まったくだ。いくら待たせるつもりだったんだ」

クロノは少し素直じゃない言い方をしていたが、エミルはクロノの発言ににやりと悪い顔をする。

「ほう、待っていてくれたのか?」

「っば!……君は死んでも死にそうにないからね!」

「素直にいやあ良いのになぁ」

クロノは恥ずかしさから顔を真っ赤にして怒りつつも帰って来た事を喜んでいる様子。
そんな様子にユーノやリンディは苦笑する。

「それで、エミルお兄ちゃん。ちゃんと話してくれるよね?」

「ああ、だが少し話が長くなるだろから場所を変えるぞ」

それから一同は場所を変えてエミルから話を聞き、色々あったのだが……それはまた別の話。
話を終えたエミルとなのは達家へと帰り、日常へと戻っていった。
そして数日、犯罪に加担していたと裁判にかけられる事になっているフェイトの無罪がほぼ確定した事をクロノとエイミィが連絡してくれたのだ。
聴取と裁判には時間がかかるからと最後にフェイトと会う事になったエミルとなのはは急いで支度をしてフェイトに会いに行った。

そして、再会したフェイトはとても表情が明るく、エミルとなのはを見て笑顔を見せた。その様子にエミルは微かに笑顔になり、なのはは満面の笑みで喜ぶ。
そして限られた時間の中で会話する事になったが、まずフェイトはエミルと話したいと言い二人で会話をする。

「エミル……ありがとう。私達に時間をくれて……」

「その様子じゃ、後悔はしなかったみたいだな」

「うん……たくさん、たくさん話したよ。最後の最後まで、いっぱい……」

フェイトは母とアリシアと再会した。
エミルはフェイト達を再会させはしたが、フェイトが何を話したかは知らない。
しかし、フェイトの顔を見て察する事はできた。

「そうか……」

「本当に……ありがとう。エミル……」

一筋の涙が零れ落ちるが、フェイトは笑っていた。
エミルはその表情を見て微かに微笑んだ。

その後、なのはとフェイトは友達になり互いの髪紐を交換して、お互いに別れを惜しんだ。

そして、別れの時は訪れる。

「じゃあな」

「うん、じゃあね」

交わす言葉は少なくとも、それには思いがこもっている。
それは、小さくとも確かな絆。
響きあう心。

「さあ、帰るぞ。なのは、ユーノ」

「「うん」」

また、道は交差する。
きっと、また……



 
 

 
後書き
なんか……続きそうな終わり方だが、一応続ける予定、ないんだけどな……

補足説明ですが、プレシアとアリシアは死んでいます。エミルの言っていたもって明日の朝とは彼女達の命の時間です。時空管理局に捕まって貴重な時間を事情聴取と裁判にまわすわけにはいかなかったので……フェイト達家族はほんの少しの時を一緒に過ごしました。
どんな会話がされたかは読者さんの想像次第?

と、これで時空を渡る精霊は終了です。
続き、未定!新作、予定中?

新作予告?(FF9×ラタトスクの騎士)

少年と少年は出会う。

「ぼ、僕はビビ。君は?」

「え、えと、エミルです」

少年達はその後、事件に巻き込まれ、波乱に満ちた旅が始まる。
響きあう心、通じ合う心。
何をするために生きているのか?何がしたかったの?何をして生きたかったの?
様々な経験を経て旅を終えた者達。
別れる時は、必ず訪れる。

「僕はっ!……生きていて欲しいよ!」

「……うん。僕も、生きたかった……」

「さよならなんて、言わせないから!絶対に!」

彼らの旅の終わりで何を見るのか、そしてどう動くのか。
全ては自身の心に従って……

「僕の、僕の望むものは……なに?」

動くのみ……

「僕が選ぶ選択肢は……」


はい、ここで予告終了です。
注意※この予告通りの内容かは未定です。台詞が違っていたりするかも知れません。出すのも何時になるかわからないですので。
全てはテンションとやる気次第。あとネタが降ってくれば……

では、長くなりましたのでこの辺で。
未熟な私の小説ですが、読んで下さっている読者の皆様には感謝しています。
作品を読んでくれてありがとうございました!

 
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