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ヘタリア大帝国

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TURN133 隠された航路その四

「いいわね」
「そうですね、ロレンスにも話しましょう」
「そしてね」
「私達でエイリスの危機を」
 セーラは言った、そしてだった。
 今いる己の座、即ち玉座から立ち上がった。その上で今自身の前にいる母と祖国達に宣言したのだった。
「今より反撃作戦を開始します」
「その作戦名は?」
「クイーン=ビクトリア」
 エイリス最盛期の女王だ、誇り高き祖先の名をその作戦に冠させるというのだ。
「この名とします」
「あの人の名前かよ」
「敵の後方を絶え間なく攻め攪乱させそのうえで敵主力艦隊を破り」
「そしてだよな」
「枢軸諸国を破り彼等に城下の盟約を誓わせます」
 そのうえでエイリスをあらためて世界盟主の座に据えさせるというのだ。
「今からその作戦を開始します」
「それじゃあね」
「今からな」
 エリザとイギリスが応える、こうしてだった。
 エイリス軍、上層部の僅かな者達だけが知るこの作戦を発動させた。枢軸諸国の星域、つまり世界各地にエイリスの艦隊が現われた。
 彼等は確かに今の枢軸諸国の艦隊の敵ではなかった、第一世代第二代の艦艇では最悪でも第六世代の艦艇で編成されている艦隊の相手にはならない。
 だがそれでも後方が攻撃されている、それが為に枢軸諸国はロンドン侵攻に戦力を集中させられなかった、このことについてだ。
 ガメリカ国務長官のハンナがだ、眉を曇らせてダグラスとアメリカに話すのだった。
「ワシントンにも出て来るから」
「ガメリカの戦力や物資もか」
「オフランスに充分に送られないんだな」
「ええ、何時出て来るかわからない相手に備えないといけないから」
 だからだというのだ。
「送られることは送られるけれど」
「それでもかよ」
「充分にはなんだな」
「何処も同じよ」
 それはガメリカだけではないというのだ。
「このパリまで送られないわ」
「じゃあエイリスとの戦いはどうなるんだ?」
 ダグラスはサングラスをかけている顔を顰めさせてハンナに問うた。
「世界各地から何とかそれぞれ充分でないにしてもね」
「送るものは送ってるからか」
「戦力は維持出来るし攻撃も出来るわ」
「しかし想定通りじゃないんだな」
「当初の予定では枢軸諸国の全戦力でロンドンを一気に攻略するつもりだったけれど」
 その戦力を維持出来ないというのだ。
「このままじゃね」
「出来ないのか」
「攻めても五分と五分ね」
 ハンナはアメリカにも話す、完全な戦力は整わないというのだ。
「どうもね」
「参ったぞ、膠着状態になるのか」
「ええ、そういうことよ」
「くっ、ここまできてそれはないぞ」
「下手をすれば反撃を受けるわ」 
 この危険もあるとだ、ハンナは話した。
「エイリス軍の戦い方次第ではね」
「まずいね、それは」
 アメリカ妹が出て来た、そのうえでハンナに応えて言うのだった。
「向こうはまだ名将が揃ってるからね」
「ええ、セーラ女王にね」
「先代の女王さんにロレンスさんもいるよ」
「イギリスと妹さんもだぞ」
 アメリカはこの二人の名前を出す。
「皆確かな采配をするからな」
「そうよ、楽観出来なくなってきたわ」
 再び現実を話すハンナだった。
「だからね」
「ったくよ、嫌な状況になってきたな」
 ダグラスはハンナの話を聞いて忌々しげに述べた。 
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