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ヘタリア大帝国

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TURN131 二度破られるものその三

「大軍ですね、しかも」
「はい、尚且つです」
「兵器の質もいいです」
「そうですね、しかも」
 周りにいる参謀達に応えつつだ、さらに話すセーラだった。
「見事な布陣です」
「将兵もかなりのものですね」
「相当な強さですね」
「彼等に隙はありません」
 まさにだ、そこまで至っている軍だというのだ。
 だがそれでもだ、セーラは一歩も引かないという面持ちだった。
「しかし我々もこれまでのことを思うのです」
「これまでのことですか」
「そうです、エイリスのです」
 歴史、そこから来る言葉だった。
「エイリスはこれまで多くの危機を乗り越えてきました」
「そうでしたね、先の大戦でも」
「そしてナポレオンとの戦いでも」
「この程度の危機は幾度もありました」
「国家存亡の危機が」
「それが」
「そうです、しかし常に勝ってきました」
 だからだ、この戦いでもだというのだ。
「この戦いも」
「何としてもですね」
「必ず」
「全軍このまままずはマジノ線を楯として戦います」
 そうするというのだ。
「そしてです」
「機を見てですね」
「そのうえで」
「攻勢に出ます」
 こう言ってだ、今は守りに徹するのだった。
 そのエイリス軍を見てだ、東郷も言う。
 モニターにはクイーン=エリザベスがあった、セーラの乗るまさにエイリス軍の旗艦である。
 その優美なシルエットを見てだ、東郷は秋山に言ったのである。
「綺麗な船だな」
「クイーン=エリザベスですね」
「あの女王さんが乗っている戦艦だな」
「確かに優美です、しかも」
「その性能は桁外れだな」
「はい、エイリス軍の総力を結集して建造したものです」
 それがクイーン=エリザベスなのである。
「大和に匹敵するまでのものです」
「そうだな」
「そして今のエイリス軍自体も」
 秋山はエイリス軍を見て言う。
「第六世代から第七世代になっています」
「まだ第八世代にはなっていないがな」
「しかし迫っています、数もです」
「ああ、かなり多いな」
「互角です」
 ややエイリス軍の方が多いだろうか、しかもだった。
「尚且つ女王自らの出陣なので」
「士気も高い、統率も取れているか」
「只でさえ精鋭のエイリス軍が」
「これは相当だな」
「まさに正面からの戦いですね」
「そうだな、しかしだ」
「しかしとは」
「やり方はある」
 東郷はここでもいつもの態度だ、余裕のある飄々としたものだ。
 その飄々とした態度でだ、こう言うのだ。
「このまま攻めるのもいいが」
「しかしですか」
「あの女王さんはかなり真面目な性格らしいな」
 東郷はセーラの性格についても言及したのである。
「潔癖症で」
「そう聞いています」
 秋山も知っていることだ、セーラの性格はエイリスだけでなく全世界で知られている程だ。
「しかしそれが何か」
「名将でもあるな」
 今度はこう言う東郷だった。 
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