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もてる男のバレンタイン

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第四章

「あいつ性格なんだな」
「性格が抜群にいいんだな」
「抜けているところはあっても」
「本当にな」
「俺達にも分け隔てないからな」
 彼の性格は当然ながら友人である彼等にも向けられていた。
「差別とかしないし」
「何時でも助けてくれてな」
「いじめなんか止めるしな」
「その為に手を打ってくれて」
「困ってる奴は絶対に見捨てない」
「馬鹿にもしないし陰口も叩かない」
「そういう奴だよな」
 彼等にとってもだった、彼は好人物なのだ。それでだった。
 女の子達の言うことにも納得してだ、こう言うのだった。
「納得だな」
「ああ、全くだよ」
「あいつならな」
「チョコレートもらうのも当然だな」
「あれだけ貰えるのも」
「納得出来るな」
 彼等も納得したのだった、そしてだった。
 そうした話をしてだった、ここでだった。
 あらためて順一郎を見る、また女の子からチョコレートを貰っていた、そして貰いながら満面の笑顔でお礼を言っていた。
「有り難う」
「いいのよ、お礼なんて」
「いや、本当に嬉しいからね」
 その笑顔での言葉だ。
「有り難うね」
「そう言ってもらえると有り難いわ」
 女の子も気分よく渡していた、そして。
 そのチョコレートを貰う彼を見てだ、また言う彼等だった。
「ああいう奴は貰える」
「性格第一か」
「女の子達も見てるんだな」
「顔だけ見ていないんだな」
「顔だけ見る女の子は駄目よ」
 これが女の子全員の返答だった、順一郎にチョコレートをあげた。
「そんな娘が悪い奴に騙されるのよ」
「私達そんな馬鹿じゃないつもりだから」
「あげる相手は見ているから」
「そのつもりだからね」
 こう力説するのだった。
「河原崎君はいいの」
「彼にならあげてもね」
「まあチョコレートまで、だけれど」
「そこから先はね」
「やっぱりね」
 ここからはくすりと笑って誤魔化す、あえて言わなかった。
「尻軽じゃないからね、こっちも」
「それに彼純情だからそこからは刺激的過ぎるから」
「それは彼女になる娘に任せて」
「私達はね」
「彼女はいないんだよな」
 男連中はこのことにも気付いた。
「それはこれからか」
「そう、私達の誰か立候補しようかしら」
「いいわね、それも」
「悪くないわよね」
 女の子達の何人かが乗り気になった、そしてだった。
 笑顔で河原崎を見る、そして言うのだった。
「あれだけいい人ならね」
「一緒にいて幸せになれるから」
「いいわね」
 こうしたことを話すのだった。その順一郎を見ながら。少なくとも彼がもてる条件は外見ではなかった。大事なものは。
「性格いいから」
「神様みたいにね」
 女の子達の言葉が答えだった、男連中は彼女達の言葉を聞いてそういうことかと納得するのだった。それも確かに。


もてる男のバレンタイン   完


                    2014・3・2 
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