MS Operative Theory
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
MS戦術解説
一撃離脱➀
——射撃戦と格闘戦で難易度が変化する戦法——
A.D.1900年代初頭から中期にかけての戦闘機の戦法は、敵機の背後を採り攻撃を加える「格闘戦(ドッグファイト)」と、目標に急接近したのちに攻撃を行い、高速で離脱する「一撃離脱(ヒット・アンド・アウェイ)」が主流であった。20世紀後期になると、長射程ミサイルが発達したため、これらの戦法が使用されるケースは激減した。
しかし、宇宙世紀に入るとミノフスキー粒子の使用に伴う有視界戦闘の復活により、戦場の様相は第二次世界大戦レベルへと回帰した。同時にMSなどの起動兵器を用いた「格闘戦」と「一撃離脱」戦法もMS・MA戦の基本として再構築されることとなった。
この内、格闘戦は戦闘機的なドッグファイトの要素を残しながらも、人型起動兵器の特性を利用した「殴り合い」から「撃ち合い」が組み込まれ、「ドッグファイト」から「グラップル」へと変化を遂げた。
これに対して一撃離脱は航空機のそれと同じく、➀高速接近(奇襲)、➁攻撃、➂離脱という3つのプロセスを継承している。そのため、「ヒット・アンド・アェエイ」方式が引き継がれたが、選択した兵器によってその難易度が変化する戦法として生まれ変わった。
元々航空機の一撃離脱戦法は、下方向の目標に向かって、急降下しながら接近した後にすれ違いざまに攻撃を行い、一気に離脱するものである。奇襲的要素が強い攻撃方法のため、練度の低いパイロットでも戦果を挙げやすいという利点があった。
さらに、交戦時間が短く、命中弾の有無に関わらず戦域からの離脱が前提となるため、生存性が高いことも特徴とされる。また、高空からの降下攻撃は、重力加速によってスペック以上の高速が得られる点も、生存性を向上させる要因であった。
MSやMAの一撃離脱は、地上や宇宙で行わるために重力加速を利用しにくいという欠点はあるが、それ以外は航空機のそれに類似している。一年戦争時には、通常MSを撃破可能なジャイアント・バズを持つMS-09(ドム)が、高い戦果を挙げている。
このように一撃離脱戦法はMSやMAでも有効な戦法といえる。しかし、格闘兵装で一撃離脱戦法を行う場合、相手に接近する必要があるため、敵機にリアクションを採られやすく、また衝突や反撃を受ける可能性が増すために、リスクの高い戦法と考えられる。
しかし、機体の速度と質量を威力に換算できるという利点は、ヒート・サーベルやクローなどの実態式兵装を装備する機体や、質量が大きいMAなどで有効な戦法とされている。また、誘導兵器が無効化されるミノフスキー粒子散布下では、離脱時に攻撃を受ける可能性が低くなっているため、一撃離脱を仕掛けやすい環境が整っていることも、その有効性を高めている。
補足事項
——一撃離脱戦法の長所と短所——
■長所—————高い生存性
高速での突入と離脱が前提で、交戦距離も短いため、低被弾率と公生存率が両立できる。また、誘導兵器の減少も、離脱時の生存性の向上に繋がった。
■長所—————速度と質量の利用
特に格闘兵装を使用した場合は突入速度を威力に加算できる。さらに、質量も威力に反映できるため、高い攻撃力を発揮する。
■短所—————連続攻撃の不回避性
すれ違いざまに攻撃するために連続攻撃が困難となる。さらに再攻撃時には奇襲性が期待できず、迎撃を受けやすくなる。
■短所—————奇襲効果の減少
ミノフスキー粒子散布下でも完全な目視環境ではなくセンサー類は活用できるため、第二次世界大戦時ほどの奇襲性は期待できない。
ページ上へ戻る