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大ピンチ

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第四章

「こうしたことは誰でもあるのよ」
「うんちとかおしっこを我慢したいことが」
「そう、あるのよ」
 そうだというのです。
「誰もね」
「嫌だよね」
「嫌だけれど仕方ないのよ」
 お母さんはにこりと笑って建太君に言うのでした、ここでも。
「だって何処でもうんちをしていい訳じゃないでしょ」
「うん、うんちもおしっこもおトイレでするものだよね」
「そう、だからね」
「我慢しないといけないんだ」
「山とかなら仕方ないけれどな」
 正一郎さんはこの場合はというのでした。
「それでもだよ」
「普段は我慢しないといけないの」
「そう、絶対にだから」
 何としてもだというのです。
「我慢するんだぞ」
「漏らしそうでも」
「漏らしたら駄目なんだ」
 このことも絶対にだというのです。
「仕方ないよ」
「そうなのね」
「そう、絶対にだから」
 正一郎さんもこう言ってそして理子さんもです。
 それでなのです、健太君も言うのでした。
「それじゃあ僕もこれからもこうしたことがあったら」
「その時はな」
「我慢するのよ」
「おトイレまでね」
「そう、その他のことも」
「我慢しないといけない時はね」
 二人で建太君に言います。
「我慢するんだぞ」
「その時まで」
「人間我慢しないといけない時はしないといけないんだね」
「そうだよ、絶対にな」
「我慢する時は終わるから」
 いつも我慢しないといけないということではないというのです。
「だからね」
「いいわね」
「うん、わかったよ僕」
 建太君はお父さんとお母さんにはっきりとした声で頷きました。
 そしてです、こう言ったのです。
「僕こうした時は我慢するよ」
「そうだぞ、それでな」
「その時まで待つのよ」
「うんちでも何でもね」
 その他のこともだというのです。
「僕我慢しないといけない時は我慢するから」
「そうしなさいね。どんなに辛くても」
 お母さんもその建太君に言います。
「わかったわね」
「うん、わかったよ」
 建太君は強い声で頷きました、そうして。
 建太君は我慢することを知ったのでした、うんちから大切なことを学んだのです。


大ピンチ   完


                  2013・9・20 
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