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ヘタリア大帝国

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TURN129 コアその十

 少女の声がしてきた、少女の声はキングコアに対して話す。
「もうこれ以上は」
「その声はまさか」
「そう、私」
「プリンセス、手前もいたのかよ」
「機械の身体になったけれど」
「逃げたって聞いたがな」
「そう、ベルリンにいて優しい老夫婦に拾われて育てられていたの」
 それが機械になってからの彼女だったというのだ。
「けれど」
「何で今ここにいるんだ?」
「ボスを助けたいと思った、けれど」
 だがそれでもだというのだ。
「お爺さん達の言葉を思い出して。悪いことはもう」
「しねえっていうのかよ」
「止めたい、だから」
「馬鹿言え、殺人と強盗は最高のゲームだ、止められるかよ」
「もうそれも終わりにしよう」
 まだ言う少女、プリンセスだった。
「これで」
「おい、ヴァージニアの中にいるんだよな!」
「そう」
「じゃあ動かせ!これから連中を皆殺しにするんだからな!」
「だからそれはもう」
 プリンセスの声は言っていく。
「止めよう」
「だからそんなことが出来るか!俺は!」
「司令」
 秋山は今の動きを止めているヴァージニアを見てすぐにだった、東郷に告げた。
「大怪獣は動きを止めています」
「そうだな、今だな」
「総攻撃です」
 全軍でだというのだ。
「そうしましょう」
「よし、それならな」
 こうして枢軸軍は即座にヴァージニアへの総攻撃を開始した。全ての攻撃が機械の大怪獣に炸裂した。
 それを受けてだ、さしものヴァージニアもだった。
 揺らぐ、キングコアはその中で叫ぶ。
「おい、プリンセス!」
「だからもうそれは」
「動かせ!さもないと!」
 こう話して必死に動かそうとする、だがヴァージニアは動かない。
 それでだ、遂にだった。
 ヴァージニアの各部から火があがる、ショートも起こる、その間も枢軸軍の激しい攻撃が絶え間なく続いて。
 爆発も起こる、プリンセスの声はその中で言うのだった。
「ボス、ずっと」
「ずっと!?何だ!」
「私が一緒にいるから」
 こう彼に言うのだ。
「一人じゃないから」
「手前、まさか」
「ずっとボスと一緒だったから」
 だからだというのだ。
「これからも」
「死んでからもかよ」
「そう、一緒だから」
 こう穏やかな声で言うのだ。
「怖がらないで」
「おい、俺が死ぬのを怖がるっていうのかよ」
 キングコアの言葉に余裕が戻った。あちこちから火の手があがる狭い機械の部屋の中でプリンセスに対して話す。
「馬鹿言え」
「それじゃあ」
「人間は皆どうせ一回は死ぬんだよ」
 こうプリンセスに言うのだ。 
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