鉄槌と清風
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76部分:74:休日の一幕
74:休日の一幕
ヴィータ妊娠発覚から暫く、ヴィータ自身は溜まっていた有給休暇と、早めながら育児休暇を申請して、今は基本自宅でゆっくりとすごしている。
セプトもアウトフレームをフルサイズにして、ヴィータとほぼ変わらぬ大きさになり、家事などを手伝っている様子だ。
良彦は、長期出張になりそうな仕事などは一時抑えてもらえるように、カリムに頼んでいた。
ヴィータ懐妊の報告は、地球にももたらされており、お祝いの連絡や、気の早いプレゼントなどが届いたりもしている。
また、比較的時間の空くザフィーラが、ヴィータとセプトだけでは何かあった時困るだろうという事で、大抵居てくれるようになった。
そんな中、良彦も休日の一幕。
「ただいまー、何時ものとってくれー」
扉を開きトレーニングウェアで入ってくるなり、良彦が一言、それに対し
「タオルとスポーツドリンクでよいな、ほれ」
と、セプトが持ってきてくれる。
「あんがとな、ヴィータはどうだ?」
「あんずるな、ようやく悪阻も落ち着いたようで、居間でくつろいでおるよ」
「そうか、近くで妊娠した人とかいなかったからな、悪阻が酷いのかも判らねー」
「専属でシャマルが付いておる、それだけでも安心できると思うがのう、その上盾の守護獣に、我、セプテントリオンが付いておるのだぞ」
そういわれれば、そうだなと思う良彦。
「ん…俺がどっしりしないとな、ヴィータも初めてだし緊張してるだろうから」
と、気を入れなおす。
居間に行ってみれば、狼モードのザフィーラとソファに腰をかけ、楽な格好…マタニティウェア…をしたヴィータが良彦を見る。
「おっす、今日も修行してきたのか?」
「いつもどおり動いてないと、どうしてもおちつかねーしな、そっちはどうだ?」
「少し身体も動かした方がいいって言われてッからな、掃除とかしといたよ」
「んじゃ、朝飯ちゃちゃッと作るか、希望ある人は?」
3人を見渡すと、セプト、ザフィーラは任せるといったそぶり、ヴィータが
「玉子焼き、甘いのが良いな」
「ん…そうすると、ご飯、玉子焼き、焼き魚、味噌汁辺りか」
そう言いながらキッチンに立ち、エプロンをつけて、調理を開始する。
「どれ、我も手伝おう…味噌汁は、大根と揚げでよいな」
「あぁ、それで頼む…ザフィーラはどうする、同じのにするか、ドッグフードか」
振り返り、ザフィーラを見れば
「同じ物を貰おう、良彦の作る物も美味いしな」
こくんと頷く。
「あいよ、んじゃ4人前だセプト」
「心得た」
余談だが、このマンションのキッチンなどには、少し手が入っている、良彦の身長でも無理なく使えるようにサイズが小さめだ、これは他の場所でも高さが関係する所は全部そうなっている。
サイズの合ったキッチンで、手早く馴れた感じで、調理をすまし、テーブルに料理を並べて行く。
「できたぞ、ザフィーラも人形態で頼む」
「あぁ、判った」
ザフィーラも人形態になり、椅子に付く。
4人揃って手を合わせ。
「「「「いただきます」」」」
食前の挨拶、そのまま、食事を進めながら、今日の予定の確認だ。
「一応今日休みだけど、しときたい事なんかあるか?」
「ん、そうだな、体動かすのにも、買い物とかどうだ?」
「何か欲しいもんあるのか?」
「セプトの服も、あたしの貸してるばかりじゃなくて、ちゃんと揃えたいしな、どうだ?」
その言葉に、軽く頷き、セプトにも視線を送れば。
「それは、ありがたいが、金子は大丈夫か?」
「共働き、しかも隊長クラスやってた人間舐めんな、六課時代の給料はほぼ残ってんだ」
「ならば、言葉に甘えよう」
「ふむ…ならば、このままで付いていった方が良いか?」
ザフィーラがそう聞いてくる。
「だな、狼形態は、服屋はいれねーだろ」
「俺もそう思うな、そのままで頼む」
「判った」
そのまま食事を終え、オレンジジュースを皆でゆっくりしながら飲み、食休み。
昼食も食べて、午後一でクラナガンのデパートへ。
車ははやての家のを借りた、流石にザフィーラ込みでミニクーパーは狭すぎるからだ。
「さて、セプトの服か、基本ヴィータに任せて良いか?」
「おう、良彦じゃ、わかんねーだろうしな、いくぞセプト」
「うむ、よろしく頼む」
ヴィータとセプトは、女性というか、女の子の服飾売り場へ歩いていく。
良彦とザフィーラは、近くにある休憩スペースで待機だ。
「ザフィーラ何か飲むか?」
「そうだな、良彦と同じもので構わん」
「了解」
近くにあった自販機で、結局水を買って戻ってくる。
「ほいよ」
「ん、ありがとう」
二人水を飲みながら、ベンチに腰掛。
「何時もすまねーな、付き合ってもらって」
「何をいう、我らはもう家族だぞ、家族に多少迷惑を掛けても気にするな」
そういってくるザフィーラと、笑い合い、拳を打ち合わせる。
「しかし、どのくらい掛かると思う、俺は最低30分くらいだと思うんだが」
「一応1時間は覚悟しておけ、主が一人それくらいは掛けていた」
「…そっか、まぁ、気晴らしになるならそれも良いか」
「そのくらいに思うのが丁度良い」
そのまま、ベンチで雑談を繰り返す。
どのくらい時間が掛かったか、声が掛かりそちらを見れば。
ヴィータと、恐らく買ったばかりなのか、水色のワンピースに、青と白の縞模様の靴下のセプトが来ていた。
「二人とも、何話ししてんだ?」
「っと、お帰り…セプト似合ってるな、可愛いぞ」
「む…そうか、ヴィータが選んでくれたのだが」
「俺も似合ってると思うぞ」
良彦、ザフィーラが褒めると、セプトは嬉しそうにくるっと周り微笑む。
「他にも何着か買っといたからな、暫くは大丈夫だろ」
「そうか、んじゃ帰りにおやつでも買ってくか、地下で食材も買いたいし」
「うむ、心得た、我は生クリームが入ったクレープで頼む」
「あたしは、アイス入りのな」
「…たこ焼きがあればいいのだが」
「まぁ、適当にみてこうや、行くぞ」
そういって、歩き出す4人。
その後それぞれのデザートを買い、食材も買ってマンションへと戻り、ゆっくりとすごした。
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まったりとした時間編です。
次回は、子供が生まれる頃の話しにする予定です。
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