ヘタリア大帝国
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TURN128 ヒムラーの誤算その五
「貴族連中は理解もしねえしな」
「受け入れもしませんね」
イギリスいもうとも言う。
「何がどうあってもな」
「植民地と盟主の座にしがみつきますね」
「それが連中の利権だからな」
「それこそエイリスがどうなろうとも」
「彼等は本当にどうしようもないわ」
エリザがエイリスの最大の問題点と考えていることだ、本当にそれをどうすべきかを考えているのである。
「大規模な改革をしないとね」
「貴族の権限を抑制してな」
「貴族院の終身制等も終わらせて」
「平民の力も拡大させてな」
「彼等への課税も増やし」
「そうしていかないと駄目だけれど」
だが、だというのだ。
「それ自体がね」
「難しい状況だよな」
「戦争前ならそちらに力を向けられましたが」
セーラも実際にそうしようとした、しかしなのだ。
戦争が起こってはそこに力を向けるしかない、それでなのだった。
「戦争の後でないとな」
「無理ですから」
「何かもう打つ手がないって感じでもあるからね」
こうも言うエリザだった。
「エイリスも盟主の座にこだわらないでね」
「普通に生きていくべきか」
「重荷を背負わずに」
「エイリスはエイリス国民全てのものでもあるわ」
貴族のものではないともいうのだ。
「私物化する勢力も抑えてこなかったから、私もずっと気付かなかったわ」
「俺もだよ」
「私もです」
このことはイギリス兄妹もだ、順調な時こそ問題点に気付かないものだ。三人共このことに不明を感じ悔やむがこれは追い詰められているからだ。
それでだ、また言うのだった。
「気付いたら遅過ぎたなんてな」
「因果なものですね」
「エイリスもそうなるなんてね、私も馬鹿だったわ」
本当に苦い顔で言うエリザだった、そうした話をしつつ。
それでもだった、セーラの意を汲んでそれで言うのだった。
「けれどセーラちゃん、女王が願うなら」
「ああ、戦うか」
「そして勝ちましょう」
「絶対にね。だからこそね」
「切り札を出すか」
「その時は」
三人で決意した、そしてであった。
彼等は決意していた、オフランス戦の後を見ていたのである。
エイリスとオフランスはベルリンの後の自分達の戦いを見ていた、そして。
そのベルリンではドクツ国民達が熱狂的に叫んでいた、その声はというと。
「総統がもうすぐ来られる!」
「間もなくだ!」
「よし、それならな!」
「あの方と共に再びだ!」
「羽ばたくぞ!」
「第三帝国万歳!」
「総統万歳!」
「レーティア=アドルフ万歳!」
こう口々に叫びそうしてだった。
彼等はレーティアを迎える準備にかかっていた、彼女の生きていることはまさに日輪の復活だったのだ。
だがヒムラーはその彼等を見て忌々しげに言うのだった。
「ふん、何が嬉しいんだ」
「全くですね」
「我々の気も知らないで」
「何を喜んでいるのか」
「ふざけた連中です」
「副総統?そんなものに何の意味があるんだ」
間もなく去ることになる総統官邸の総統室において慌ただしく働きながら言うのだ、そしてそのうえで言うのである。
「こうなったら何としてもな」
「はい、コアを出して」
「そしてですね」
「サラマンダーは今何処にいるんだ?」
己の真の側近達にあらためて問う。
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