ヘタリア大帝国
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TURN127 アルプス要塞その三
「攻略出来るかな」
「いや、攻略する必要はない」
レーティアは言った、この言葉を。
「前から言っている通りだ」
「レーティアさんが出てなんだ」
「そうだ、私は故国を逃げた」
このことは今も悔恨としてある、だがだというのだ。
「その故国に戻っても彼等が私を受け入れてくれるかどうかわからない」
「大丈夫よ、皆貴女が戻ってくれるなら」
グレシアはそのレーティアの小さな肩に後ろから手を添えて優しい声で言った。
「迎えてくれるわ」
「そうだといいがな」
「心配することはないわ」
レーティアにこうも言うグレシアだった。
「貴女なら皆ね」
「ではか」
「ええ、前に出てね」
そうしてだというのだ。
「皆に宣言して、いいわね」
「わかった、それならだ」
レーティアもグレシアの言葉に頷く、そうして。
枢軸軍はアルプスのすぐ前まで来た、その軍勢はアルプスにおいて陣頭指揮を執るヒムラーも観ていた。彼はその司令部から悠然として言った。
「彼等がどれだけ強くともね」
「あの数ならですね」
「このアルプス要塞は」
「攻略出来ないさ」
絶対にだとだ、ヒムラーは断言した。
「それこそ枢軸軍の全軍でもないとね。いや」
「それでもですね」
「それだけの数でも」
「無理だろうね」
アルプス要塞攻略は、というのだ。
「この要塞だけはね」
「では我々は今から」
「守り」
「うん、勝とう」
ヒムラーは勝利も確信していた、そうしてだった。
枢軸軍が来ても落ち着いていた、これから戦闘が起こると考えていたからこそ。
しかしその枢軸軍から放送が来た、その放送はというと。
「諸君!」
「諸君!?」
ヒムラーはその声に眉をぴくりと動かした。
「今諸君と言ったこの声は」
「あの、総統今の声は」
「まさか」
今司令部の周りにいる表の側近達が一斉に言ってきた。
「私の耳が間違えているのでしょうか」
「確かに」
「いや、そんな筈がない」
ヒムラーも狼狽しだしていた、そのうえでの言葉だ。
「あの娘、いやあの方は確かに」
「そうですね、最早」
「ベルリン陥落の時に」
自害した、その筈なのだ。
「それでどうしてあのお声が」
「聞こえてきたのでしょうか」
「私の声を覚えているか!」
また声が言ってきた。
「この声を!」
「間違い、あの声は」
「あの方のお声だ」
「総統だ!総統のお声だ!」
「レーティア様のお声だ!」
遂にだ、この名前が出て来た。
「レーティア=アドルフ総統だ!」
「あの方が生きておられたんだ!」
「まさか、奇跡だ!」
「こんなことがあるのか!」
「私は生きている!エルミー=デーニッツ提督と日本帝国の東郷毅長官、そして日本殿達にベルリン陥落間際に救出されていたのだ!」
「何と!」
レーティアのこの言葉にだ、ドクツ軍は騒然となった。
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