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少年少女の戦極時代

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最終話 戦極乱世へ

《 パッションフルーツアームズ  Time on the Bladedance 》

『すぅ――――はああ!!』

 時針を象った双刃でセイリュウインベスに交互に斬りつけ、さらに回って3、4撃を決める。双刃を繋げてダブルセイバーにする。

『仕上げはぁ――ヨロシクっ!!』

 大上段からの一斬の勢いでセイリュウインベスをナックルとバロンのほうへ吹き飛ばす。
 バロンがバナスピアをセイリュウインベスに突き立てて動きを止める。

『ザック!!』
『これで最後だぁ!!』

《 クルミオーレ! 》

 ナックルの巨拳が巨大なソニックブームとなり、セイリュウインベスをついに粉砕した。




 セイリュウインベスとの決着が、ラストのポーズを決めるタイミングとぴったり重なったことで、場のビートライダーズ全員から大喝采が上がった。

 皆がステージを降り、中央に集まって歓声を上げ、手を叩き合い、喜び合う。
 その中には咲のチーム、リトルスターマインのメンバーもいる。大人たちにもみくちゃにされながらも、元気に飛び跳ねている。

(今度は、壊されなかった。あたし、守りきれた)

 咲は荒い息をしながら変身を解いた。

 同じく変身を解いた戒斗とザック。戒斗はザックに何かを告げて広場を去って行った。何を言われたか聞きたかったが、チームメイト同士のことにそれは無粋だ。

「おつかれさま」
「あ、ああ……終わった、のか」
「うんっ。すっごくリーダーらしくてカッコよかった」

 ザックはドライバーを外し、それを見下ろした。まだ自分がやったのだと実感できていないようだ。咲も初陣はそうだったからよく分かる心理だ。

「やったね」
「――、ああ」

 咲の言葉で、ザックはようやく落ち着きを取り戻したようだった。

 戦いは終わった。咲は、この喜びの熱狂にもう一人加わるべき人物を迎えに行くべく踵を返した。

「あたし、紘汰くん呼んでくるね」
「あ、おいっ」
「ザックくんはみんなとよろこんでていーのっ」
「は? ――おわ!」

 ザックの後ろからペコをはじめとするチームバロンのメンバーが飛びついた。当然ザック一人では重みに耐えきれず芝生に倒れ、チームメイトにわちゃわちゃにされる。

 咲はそれを軽く笑って、広場を出た。




 ずっと日差しの下にいたので、陰に目が慣れない。咲は数回目を瞬いて、紘汰を探した。いない。
 広場を出てすぐの場所にいないことに、咲は疑問を持たなかった。ここにいないなら別の場所だ、としか考えなかった。
 ――そして、咲は完全に忘れていた。今いる場所が、ユグドラシル・タワーの前――敵地の目と鼻の先なのだと。

 咲は広場から少し離れたビルの前の階段を上がった。視界を掠めるオレンジ色。

「紘汰く――!」


 どしゃっ


「……、え?」

 咲はその光景を見て、笑顔のまま凍りついた。

 地面に倒れ伏す鎧武。鎧武を見下ろすのは、レモンの鎧をまとった、青いアーマードライダー。

『ああ。キミは確か――室井咲君だったね。キミも変身してみてくれないかな?』










 人は己一人の命すら思うがままにならない。
 誰もが逃げられず、逆らえず、運命という名の荒波に押し流されていく。
 だが、もしもその運命が、君にこう命じたとしたら。
 世界を変えろと。未来をその手で選べと。
 君は運命に抗えない。だが――世界は、君に託される。


【少年少女の戦極時代 第一部 -完-】 
 

 
後書き
 これを持ちまして「少年少女の戦極時代」を一度完結とさせていただきます。長いながーい連載にお付き合いくださいました読者の皆様、本当にありがとうございます。
 小学生が出てしかもライダーになるというキテレツ展開にご好評を寄せてくださった方々には特に感謝してもしきれません。
 作者が好き放題奔放にこの作品をここまで書けたのは皆様の応援あってこそです。

 今後は展開を練るためにしばらく原作の観溜め期間に入ります。
 もしまだまだ付き合ってやんよという懐の広い方がいらっしゃるなら、第二部をお読みいただけると幸いです。 
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