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オズの五人の子供達

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第一幕その九

 三人目はくるくると踊っています、茶色の三つ編みにボタンの目と刺繍でつけた口、身体はつぎはぎの布でできていて赤地に様々な色のチェックになっています、その上から服を着ています。五人はこの三人を見て言いました。
「かかしさんに」
「ブリキの木樵さんね」
「あとはつぎはぎ娘」
「あら、あんた達あたい達のことを知ってるの」
 そのつぎはぎ娘が言って来ました。
「そうなのね」
「有名人ですから」
 笑顔で、です。ジョージがつぎはぎ娘に答えます。
「オズの国の」
「そういうあんた達は見ない子達だけれど」
「ああ、ドロシーと一緒だね」 
 ここでかかしが言ってきました。
「あっちの世界から来た子達だね」
「はい、そうなんです」
「ジャックさんと一緒のやり方で来ました」
「そうだったんだね、実は私達もさっきまであっちの世界にいたんだよ」
 かかしはその描かれたお口の下に右手を当てて言います。
「ハロウィンのパーティーに参加していたんだ」
「あの学校で遊んでいたんだよ」
 ブリキの木樵も言ってきます。
「そうしていたんだ」
「それでなんですか」
「皆さんここに」
「遊びに行っていたのはあたい達だけよ」
 つぎはぎ娘は今もくるくると踊っています、そのうえでの言葉です。
「ドロシー達はエメラルドの国にいるよ」
「あっ、ドロシーもいるんだ」
 ドロシーと聞いてです、神宝は目を輝かせて言いました。
「あの火共」
「うん、いるよ」
 つぎはぎ娘は神宝に明るく答えます。
「ちゃんとね」
「そうなんだ、サイン貰えるかな」
「サイン?何枚でも書いてくれるよ」
 ドロシーはそうしてくれるというのです。
「ドロシーもオズマもね」
「じゃあドロシーに会った時は」
 サインを書いてもらおうとです、神宝は目を輝かせたまま微笑みました。
「サインしてもらおう」
「さて、ここで一つ問題があるね」
 かかしが言ってきました。
「食べものと飲みものことだけど」
「実は僕達お金も何も持っていないんです」
 カルロスがかかしに答えます。
「オズの世界はお金はいらないですよね」
「いらないよ、けれどね」
「食べものと飲みものはですね」
「君達は必要になるね」
 こう言うのでした。
「その二つは」
「そう、それですよね」
 恵梨香もかかしの言葉にすぐに応えます。
「かかしさん達は何も食べなくていいですけれど」
「それをどうするかだね」
「どうすればいいでしょうか」
「すぐ近くにパンの木があるよ」
 かかしは微笑んで五人の子供達も答えました。
「それはね」
「あっ、そうなんですか」
「すぐそこに紅茶の泉もあるよ」
 都合のいいことにそれもあるというのです。
「林檎や梨の木もあってね」
「今なっています?」
「オズの国だと果物は何時でも出来るよ」
 だから皆食べることには困らないのです、何時でも何処でも食べるものと飲むものが一杯ある国なのですから。
「林檎や梨だけじゃなくてね」
「じゃあそこに行けば」
「パンや果物を好きなだけ食べられるよ」
 そして紅茶もあるというのです。
「じゃあそこに案内するね」
「お願いします」
「それじゃあ行きましょう」
 ナターシャが四人に言います。
「かかしさん達と一緒にね」
「うん、まずは食べないとね」
「はじまらないからね」
 神宝とジョージはナターシャのその言葉に頷きました。
「そろそろお腹が空いてきた頃だし」
「ここで腹ごしらえをしておかないとね」
「パンに果物があると言うことなしだよ」
 カルロスはそれだけで満足といった様です、とても明るいお顔です。
「それじゃあ皆でね」
「行きましょう」 
 恵梨香もそのカルロスの言葉に明るく応えます、そうしてでした。
 五人はジャック達と一緒にエメラルドの都を目指す前にパンや果物を食べることになりました、まずは食べることからでした。 
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