ハイスクールD×D ~ Shade of the moon~
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Chapter,1:旧校舎のディアボロス
夜の狩り人
前書き
さてさて、それでは第1話です。
放課後、不意にマナーモードに設定している携帯が鞄の中で青く光った。
黒髪の少年、月陰新音はクラスメート達に気づかれないように静かにメールを見た。
メールの内容は新たな依頼。
新音は自分の荷物をまとめ、そっと席を立つと、1つ下の学年にいる自分の相方を呼びに行く。
「ハァ…」
ため息交じりに誰もいない廊下を新音は歩いて行った。
目的の教室の前まで行くと、廊下には1人の白髪の少年が壁にもたれかかっていた。
白髪の少年の名は、天乃輝歌。
常日頃無表情な新音の相方だ。
彼らは特に何も話さず、お互いに相手を見ると2人で校門の方へと歩いて行った。
しかし彼らの目は普通の高校生のような目ではなく、狩り人の目へと変わっていた。
夜の公園、寒い風に2人の服がなびきながらも2人は目標の悪魔を探していた。
S級はぐれ悪魔“ディテス“。それが今回の2人のターゲットだ。
2人にはいってくる依頼の殆どがはぐれ悪魔討伐。
弱いはぐれ悪魔もいれば強いはぐれ悪魔もいる。
今回は後者のようだ。
これは新音にとって面倒なことだ。
確かに依頼報酬でお金ははいってくる。
勿論、はぐれ悪魔が強ければ強いほどその報酬は大きい。
しかし、今の2人にはお金は有り余っていた。
高校生に多額のお金をどう使えと言うんだろうか……。
それに相手が強ければ強いほど時間がかかる……かもしれない。
それを思うと何時も仕事に集中出来ない新音だった。が、突然前方の木の陰から殺気を感じ、2人は自分たちのいた地面を強く蹴り、大きく後方に飛んだ。
すると次の瞬間には、2人がさっきまでいたところの地面が削られており、その後、若い20代前後の男が前方の木の陰から出てきた。
男の方から声をかけてきた。
「へぇ~…やるじゃないか」
パチパチと拍手をし、感嘆の声を上げながら男は2人に近ずいていった。
その動作に少し苛立ちを覚えながら新音は隣にいる輝歌に小声で話しかける。
(舐められてるな、俺ら)
(あぁ)
(さっさと始めっぞ)
(了解した)
輝歌のその言葉と共に2人はそれぞれの武器に手を掛けた。
新音は腰かけてある日本刀に。輝歌も腰にかけてある2つ銃に。
すぐに新音は日本刀の柄の部分を掴み腰を屈めた。
輝歌も2つの銃を構える。
すると新音の日本刀の鞘からは青白い光が漏れだし、輝歌の銃は2つとも白く輝いた。
そして2人はボソッと呟く。
「「…神器発動…」」と。
ディテスの耳には聞こえなかったがそれは2人には公園に響き渡っているような感覚だった。
そしてそれがディテスの
死刑執行の合図だった。
次の瞬間には、ディテスの体が宙を舞っていた。
「はっ?」
未だに何が行ったか解らなかったディテスは自分のいた所を見る。
すると、そこにいたのは、先程ディテスの目の前にいた1人の人間だった。
そう、新音であった。新音は日本刀を反対にして下から高速で打ち上げたのだ。
しかし、それは輝歌、ましてやディテスにも見えない程の速さだったので、日本刀で打ち上げられた当の本人は一瞬痛みがなかった。だが、それは一瞬である。
ディテスは空中で突如として強烈な痛みに襲われた。
不意打ちということもあってか肺から空気が抜け、ろくに息も出来ず空中で悶え苦しんでいるディテスに輝歌は静かに自分の2つの銃の照準を合わせる。
そして、カチッという音と共に2つの銃からは白くて大きな雷が発射された。
悶え苦しむディテスに避けるすべはなくディテスは叫び声1つあげることなく白く大きな雷に飲まれた。
その後、雷がゆっくりと消えていくと、既にディテスは跡形もなく消え去っていた。
地面には何枚か落ちていたディテスの羽があった。
新音はそれを2,3枚拾い、ポケットから出した袋に入れた。
「「…依頼完了…」」
そう2人は呟き、その場を後にしようと足を踏み出そうとする。
が、2人はすぐにその足を止めて、逆の方向へと走りだした。
「新音、お前はもう帰っていいんだぞ?」
「誰が」
2人は短く話すと無言で走った。
あれから2分程で足を止めた2人。
見ると、黒髪の少年が駄天使に襲われているところだった。
少年は、どうやら普通の人間ではないらしい。
(グレモリーの魔力を感じる……あいつ、転生悪魔で間違いないな)
駄天使ははぐれ悪魔とその少年を勘違いしているらしい。
すると駄天使は左手を上げ、光の槍を形成し、少年へ向かって投げた。
が、それはある人間によって阻まれた。
「面倒ごとはキライなんだが……」
新音はそう言いながら光の槍を日本刀で斬りつけ、駄天使に高速で近ずくと、駄天使の手を持って思いっきり北へ投げた。
駄天使は何か言っていたが新音は全く気にせず、輝歌の所へ行くと黒髪の少年を置いてさっさと暗闇へ消えた。
黒髪の少年も何か言っていたがそれでも2人は気にせず歩いていった。
「無駄だったな」
「何が」
帰っている途中、突然輝歌が新音に話しかけてきた。
日頃輝歌から新音へ話しかけることはめったに無いので新音は少し驚きつつもすぐに返した。
「グレモリーがいたぞ」
「マジで?」
「マジだ」
「・・・」
「ハァ…」と新音は肩をガックリと落とした。
あの場にグレモリーがいたのならばあの少年を見殺しにすることはない。
その事実を聞いた新音はブツブツと何やら呟き始めた。
それを見た輝歌は足に力を入れてダッシュした。
(だって面倒じゃん)
それが輝歌の本音だった。
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