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オズの五人の子供達

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第一幕その一

               オズの五人の子供達
            第一幕  不思議なジャック
 今日はハロウィンです、世界中から人が集まって勉強をしている八条学園でもハロウィンを楽しんでいます。
 あちこちで魔女や妖怪、お化けの格好をした人達、特に学生さん達が楽しんでいます。そしてその中に。
 ある女の子がいました、その娘はといいますと。
 黒髪を長く伸ばしていて切れ長の黒い目を持っています。お人形さんみたいな整った顔立ちの小柄な女の子です。お顔とお肌はとても白くピンクと白の上着と長いスカートを着ています。
 この娘の名前を三上恵梨香といいます。八条学園初等部に通う娘で五年生です。この恵梨香に綺麗な長い金髪で青い大きな目の女の子が声をかけてきました。ふわりとした黒いドレスは何処か魔女みたいです。この娘の名前をナターシャ=ゴルチャコワといいます。ロシアから来た留学生で恵梨香と同じ初等部の五年生です。
 そのナターシャがです、恵梨香に声をかけてきて言います。
「恵梨香、楽しんでる?」
「あっ、ナターシャちゃん」
「私は楽しんでるけれどね」
「そうみたいね、ナターシャちゃんの服も」
「そう、これね」
 ナターシャはにこりとしてその黒いドレスをひらひらとさせます。そのうえで身体はくるりと一回転させます。
 それからです、こう言うのです。
「これゴスロリの服なの」
「ゴスロリって聞いたことはあるけれど」
「それでもなのね」
「そう、ハロウィンに合ってるわよね」
「そうよね、私ゴスロリの服ってはじめて見るけれど」
 ナターシャの黒いドレスとストッキング、それに頭や手のアクセサリー、小悪魔めいたそれも見ての言葉です。
「似合ってるわ」
「似合ってるの?私が」
「そう、似合ってるわ」
 そうだというのです。
「それにハロウィンに合ってるわ」
「そうなの、よかったわ」
 ナターシャは恵梨香の言葉ににこりと笑って応えます、ですが。
 ナターシャはその恵梨香の服を見てです、こう言うのでした。
「ただ恵梨香の服は」
「いつもと一緒だっていうのね」
「うん、そうよね」
「私あまり。ハロウィンの時はね」
「こうした服は着ないの?」
「そうなの」
 だからだというのです。
「いつもと変わらない格好なの」
「袴とかは着ないの」
「袴?剣道の?」
「そう、日本のね」
 ナターシャはにこりとしてです、今度は剣道の素振りの動きをしてみせます。そのうえで恵梨香に言うのです。
「あれとか」
「私剣道はしないし」
「茶道とか華道の方ね」
「そういうことは習ってるけれど」
 それでもだというのです。
「武道はしていないから」
「それじゃ袴ははかないの?」
「うん、武道ではね」
「じゃあ巫女さんになる時は着るわよね」
「巫女さんになることも」
 そのことはどうかとです、こう答えた恵梨香でした。
「ないから、今のところは」
「そうなの、何かね」
「何かって?」
「残念よ。折角似合いそうなのに」
「その言葉は嬉しいけれど」
 それでもだというのです、恵梨香はナターシャに困った笑顔になって言うのでした。 
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