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IS 龍咲桜子の虚実の日々

作者:僧正
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< 前ページ 次ページ > 目次
 

IS学園 入学初日 一

 
前書き
基本的にですます調の一人称表記
実験作品 

 


 
「ここがIS学園……」

 風に揺れる長い髪を押さえつけ、視線の先にそびえる校舎を見つめる私。これからここで三年の時を過ごすと思うと、期待と不安が湧き上がってきますね。
 見上げていた視線をおろしてみると、モノレールの駅から校舎までの道のりは私と同じ白い制服を着た少女たちであふれています。基本的に全寮制の学園なので、ここにいる人たちは皆一年生なのでしょう。旧知の仲の子は固まってわいわいと。遠くから一人で入学したらしき子は緊張した面持ちで。おや、あの外人さんは留学生? 彼女にとっては外国だというのに気負うことなく颯爽と歩く姿がとても凛々しいです。

「十人十色、ですね」
「観察もいいが私たちもそろそろ行こう、桜子」
「ええ、すみません箒。では行きましょうか」

 いつまでものんびり眺めているわけにもいかないので、そろそろ私たちも校舎に向かいます。
 そうだな、と気にした様子もなく隣を歩く女の子。IS学園の白い制服をきちっと着こなし、背筋をぴんと伸ばして歩く姿にちょっとだけ見惚れます。
 
「どうかしたのか? 桜子」
「いえ、制服がよく似合うと思っただけです。生地が白いですから箒の綺麗な黒髪が映えるますね。これなら一夏もイチコロです」
「な、ななな何を言うのだお前はっ」
「あーーーー………… ごめんなさい。そうですね。一夏がこれくらいで落ちるようなら苦労しませんよね」
「そ、そういう話ではなくてだな」

 否定しつつも小さく消沈する箒。そんな言葉のじゃれ合いを続けつつも、私たちの足は進んでいきます。右手に持った入学のしおりに描かれた学内地図と現在位置を照らし合わせ、私たち二人はIS学園の昇降口を目指しました。

「基本全寮制だから普段は関係ないのかもしれませんが、駅からは結構遠いですね」
「この程度の距離で根を上げるとはだらしないぞ」
「すこし前まで重症者だったのですから、そこは汲んでください」
「完治はもう半年も前の話だろう。今では剣で私を伸せるくらい回復しているくせに」
「リハビリとか大変だったんですからね? それに、現状では怪我する前の実力には全然追いついていません。戦い方が変わったからというのもありますが」
「……私は全中制覇したはずなのだがな」
「部活をやっていない強者もいるということです。……しかしこの鈍り様では一夏にも追いつかれているかもしれません」
「っ…………」
「興味があるなら素直に聞けばお答えしますよ?」
「べ、別に興味など………… あ、いや、アイツは一応私の弟弟子にあたるからな。どれだけ腕が上がっているか姉弟子として確認する必要があるのだ」
「残念ながら、一夏は篠ノ之流の原型をほとんど留めていませんよ? 暇さえあれば"俺"が喧嘩吹っかけてましたから剣そのものは続けてましたけど、そのせいでむしろうちの流派の動きに似てしまっています」
「なん、だと……」

 私の言葉に打ちひしがれる箒。同門のはずがいつの間にか同門ではなくなっていてショックなのでしょうか。
 でも仕方ありません。師範がいなかったのですから型の矯正をする人がいませんし、実践の中で腕を上げていくしかなかったのですから。そうやってでも腕を上げなければ、"俺"に抵抗もできずやられてしまいます。一夏はあれでかなりの負けず嫌いですから、勝つための方策として、教える者のいなくなった流派にこだわるよりも、目の前の相手の動きを盗む方が手っ取り早いかったのでしょう。

「篠ノ之流の型を思い出させてやるー、と言って一緒に練習すればいいのではありませんか? 一緒にいられる口実にもなりますよ」

 身体を傾けて箒の顔を覗き込むように見上げて、ニヤニヤとした笑いを向けてみます。

「べ、別に口実などいらん! だがアイツが教わりたいと言ってきたら教えてやらんでも……」

 後半の声がどんどん小さくなっていっているのは、意地と乙女心が葛藤しているのでしょうね。

「まあ、好きにするといいですよ。と、ここですね」

 話している間に昇降口にたどり着きました。臨時の掲示板に貼られているクラス分け表の前には人垣ができていて、後ろからではどうなっているのか伺えませんね。箒よりもわずかに低いこの身長が恨めしいです。

「あらら、どうしま――」
「さくちゃ~ん、しのの~ん」
「――しょう?」

 私たちを呼ぶ声に振り向くと、そこにはのほほんとした笑顔であまった袖をぶんぶんと振る女の子の姿がありました。その横には眼鏡をかけた青い髪の子。二人とも私の古くからの幼馴染です。箒は私を橋渡しとして二人と友人になりました。

「本音、簪、先に来ていたのか」

 箒が二人に向かっていったので、私も後についていきます。

「クラス分けはもう見た~?」
「いや、ここからでは見えないのでな。本音はもう見たのか?」
「見たよ~。かんちゃんだけ別のクラス~」
「……うぅ」
「にこやかにいうことではない気がするが……。一、二組や三、四組など隣り合ったクラスは合同で授業するらしいが、クラス分けは?」
「私と、さくちゃんと、しののんが一くみで、かんちゃんが四くみ~」
「…………うぅ」
「それは、まあ、強く生きろ、簪」
「頑張ってください、簪。私も時々遊びに行きますから」

 ぽん、と簪の肩に手を置く箒と私。
 人見知りというほどではありませんが、人付き合いがあまり上手いとは言えない簪です。旧知の仲がいない状況で大変だとは思いますが、ここでそろそろ一皮むけてほしいところです。どちらかと言えば"気難しい"というカテゴリに収まる箒とも打ち解けられたのですから、大抵の人なら大丈夫だと思いますよ?

「一夏のクラスはどこですか?」

 簪の現状はさて置いて、私はある意味一番懸念となる相手の名前を挙げます。

「私たちと同じ一くみ~」
「そう…… よかったわね、箒」
「わ、私は別に一夏のことなど気にしていない! ……それで、お前はどうするのだ」
「私ですか? 私は、どうもしません。"私"は初対面ですもの。お友達になれたらお友達になるもよし、特に関わり合いがなければただのクラスメイトになるだけですよ」
「……つまり、事情を話す気はないのだな?」
「一夏は口が軽いとは言いませんが失言は多いのです。余計なリスクは負いたくありません。少なくとも"私"個人が一夏を信頼できると思うまで話すつもりはありません」
「そうか」
「だから、もし聞かれたら双子ということで宜しくお願いします」
「わかった」
「りょ~かい」
「……私はクラス違うから関係ない」
「そこで地味にいじけないでください」

 そうやって話しているうちに、昇降口前の人垣も薄くなったのでそれぞれの教室に向かうことになりました。



 あれから十数分。私の席は窓際の一番後ろなので教室の様子がよく見渡せます。教室の席もあと一つを除いて埋まりました。
 教室の中はぴんと張りつめた空気が漂っています。それは新生活への期待と不安というよりも、もっと目先に事に向いているようです。今このクラスに集う少女たちが見つめている物は二つに一つ。一方は「織斑一夏」というネームプレートが乗せられた机、そしてもう一方は――

「お、お邪魔しま~す…… ひぃっ!?」

 その瞬間、全ての視線が一糸乱れず教室の入り口に集まりました。そりゃ悲鳴も上げようものです。ですがそれも仕方がありません。彼こそ世界中に一番最初に名をとどろかせた男性IS装者。教室内の少女たちが今か今かと待ち構えていたイレギュラーなのですから。

「お、お邪魔しましたーー」
「「「「あぁっ!?」」」」
「あら、逃げましたね」

 まあIS学園においてのイレギュラーとは言っても、一応普通の男子。これだけのプレッシャーに晒されれば逃げ出すのも道理でしょう。

「こら、待て一夏」

 素早く立ち上がり、閉じられた扉を箒が開き直しました。その素早い行動に、ある子は「出遅れたっ!」と嘆き、ある子は「いきなりファーストネーム!?」と驚愕しているようです。にわかに騒がしくなってきました。

「やっぱ何かの間違いだったんだ。よし、帰ろう」
「何をバカなことを言っている。お前の席はこっちだ」
「おぉっ?」

 手首をぐっとつかんで、箒が一夏を教室内に引き込みました。その動きでふわり止まった箒の黒髪が、腕を引かれたせいで前かがみになっていた一夏の頬を撫でました。一夏は顔をあげ、自分の手を引くのが誰なのかようやく気づいたようです。

「ほ、うき? 箒かっ!?」
「ああ、久しぶりだな」

 5,6年ぶりだというのに顔を見ただけでタイムラグなしで言い当てましたよこの人。ああ、箒も表情は変わっていませんが、一夏に見えない角度でガッツポーズをしていますね。私以外にも気づいている子もいるようで、小声で「小っちゃいガッツポーズ可愛いっ」という声も聞こえてきます。私も同意です。見た目や姿勢で凛々しい印象を抱かせる箒がやるからこそ感じる可愛さですね。いわゆるギャップ萌えでしょうか。
 一夏の方は生命線を見つけたことで力が抜けたようですね。女の園で孤立無援だと思っていたら幼馴染がいたのですからそれも当然なのでしょうか。あの唐変木がそんなことを気にしていたのかと私としては意外に感じますが。

「箒がいてくれてホントよかった」
「そうか」

 表向きそっけない返答していますが、内心は歓喜の嵐でしょうね。ポニーテールが犬の尻尾のように揺れているのは気のせいでしょうか……? しかし箒も再会した当初と比べると丸くなりましたよね。政府の要人保護プログラムで各地を転々としていたせいでまともに友人もできず、両親とも離れ離れの環境では気の休まる日もなかったのでしょう。箒が偶然"彼"と再会し、私と出会い、そのつながりで本音や簪と友人になってからは尖った感じが薄くなっていきました。IFの話をしても仕方ありませんが、もしも私たちとの繋がりがなく、この場で唯一の知り合いが一夏だけだった場合、箒はどんな反応をしていたのでしょうか。
 そうこうしているうちにスーツに身を包んだメガネの女性が開け放たれたままだった扉からか入ってきました。一夏はもう少し話したそうな様子ですが、箒に促されておとなしく席に着くことを選びました。幸い箒と一夏の席は隣同士。一夏は多少の緊張はあるものの、親しい友人がそばにいることである程度リラックスできているようですね。

 山田真耶と名乗った教師の進行で各自生徒の自己紹介が行われていきます。一夏の苗字は「お」りむらなので比較的早く呼ばれました。さてどんな自己紹介をするのかと教室中の注目が一点に集中していきます。かくいう私も一夏の一挙手一投足から目が離せません。
 名前を呼ばれた一夏は、焦った様子も慌てた様子も見せず、落ち着いた様子で立ち上がりました。先頭の席からくるりと振り返り、クラス全体をゆっくりと見渡していきます。いずれ私の自己紹介の時に気づくでしょうが、今は面倒を避けるため私は前の子の背中に顔を隠すことにしましょう。
 そんな私の行動に気付いた様子もなく、一夏は決意のこもった強い瞳で語り始めました。

「織斑一夏。何の因果か世界で唯一ISを動かせる男子になってしまった男だ。生身でISを打倒する術を磨いていた俺としては最初IS学園に入るのを躊躇してたんだが、逆に考えればISを身に纏ってその技が使えたならまさに鬼に金棒だ。剣の腕もISの腕も磨いて、どんな奴が相手でもダチを守れるくらい強くなってやるっ!」
「「「「「っっっっっっっっっ!!??」」」」」

 校内唯一のイケメン男子が、熱い口調で守る強さを謳った自己紹介というより決意表明。…………赤い実が爆竹のように連鎖的にはじけていく光景を幻視したのは気のせいだと思いたいですね…… あれですか、一夏が英霊になった時の宝具は"真の英雄(イケメン)は眼で(オト)す"とかになるのでしょうか。

 しかしそれにしても"生身でISを打倒する術"ですか。もしや一夏は既に"心剣"を会得しているということでしょうか? あの時一度見ただけでその原理と効果を把握する辺りやはりそのセンスは侮れないと思いますが、ひとの家の秘奥をべらべらと話すその口の軽さのほうがもっと侮れないです。

「随分大口を叩いたな」
「千冬姉っ!?」
「学校では――」

 ひゅん、と風を切る音が聞こえました。なかなかの速度でしたが、私はしっかりと振り降ろされた黒い出席簿の軌道を捉えました。

「……え?」

 大多数の生徒たちは何が起こったのかわからないようで、出席簿とそれを振り下ろした教師、そして若干立ち位置が変わっている一夏に交互に目を向けています。一瞬の攻防でしたが、一夏は死角から振り下ろされた出席簿を無駄のない動作で避けたのです。私には見えていましたよ。

「――織斑先生だっ!」
「うごぅあっ!?」

 素早く切り返し、今度こそ反応できない速度と威力を持って一夏の額をはたいた出席簿。一度避けられただけで黙って引き下がるような人じゃないですよね、織斑千冬先生は。ああ、一夏は頭を抱えて蹲っています。こんなことなら一撃目で食らっておくべきでしたね。
 しかしあの回避は体が勝手に、という感じでした。手加減をしていたとはいえ、千冬さんの攻撃を無意識で避けられるくらい一夏は成長しているということでしょうか。これは本格的に抜かれたかもしれません。

「織斑、先生?」
「そうだ。これから一年、このクラスを担当する織斑千冬だ」

 頭をさすりながら席に着いた一夏を確認すると、織斑先生は教壇に立って名乗り上げました。
 その後はやいのやいのの大騒ぎです。モンド・グロッソ第一回大会の優勝者、通称ブリュンヒルデ。強さもさることながらその中世的なルックスから百合的な意味で女子たちの憧れを一身に請け負う理想の女性。一組に配属された生徒はどうやらその中でも熱狂的な部類の様で、「好きですっ!」「抱いてっ!」はまだいい方で、「叱ってくださいっ!」「躾けてくださいっ!」とかアブノーマルな方もいるようです。さすがの先生も頭が痛そうです。
 そんなこんなで一夏の自己紹介はいつの間にか終わってしまいました。"生身でISを打倒する術"が引っ掛かった子もいたようで、聞きたそうにしている子や、世迷い事を、と馬鹿にしたような子も見受けられましたが、次の子に移ったおかげで追及されることはなさそうです。少なくとも今この場に関しては。
 ……口止めしなければ勝手にしゃべってしまいそうですね。これはちゃんと話しておく必要があるようです。はぁ、本当はあまり関わり合いになりたくはなかったのですが仕方ありませんね。そもそも同じクラスになった以上、関わらないというのは土台無理な選択でした。ここは腹をくくるしかないでしょう。
 そんなことを思っている間に私の順番になりました。「わ」たなべさんや「わ」ださんなどはこのクラスにいないので、「り」の私がトリのようです。

「私は龍咲さく――」
「桜華っ!?」

 立ち上がった私の顔を見た途端、一夏ががたんと椅子を倒して勢いよく立ち上がりました。まったく、自己紹介くらい黙って聞いてほしいものです。

「違います。私の名前は桜子です」
「いやそれはお前が女装する時の名前だろっ! 生きてたんなら連絡しろよっ! っ、そうだ怪我はっ!? 生身でISに殴られたときの怪我はもう大丈夫なのかっ!?」

 …………他人の重大事をこんな教室の中でぺらぺらと……っ! 失言が多い男だとは思っていましたがここまでとは……っ。
 一夏の言葉のせいで教室中がざわめいています。一夏は"女装"と言いました。女を装うという言葉なのですから、つまり私が男性だと一夏は言っているということになります。そしてもう一つの"生身でISに殴られた"。現在ISは基本的に競技用ということになっています。スポーツです。建前でしかないかもしれませんが、それでもスポーツなのです。それが人を殴った? それも生身の人間を? それが本当であれば一大事です。一夏が無意識で投げ入れた火種はクラスの中で好奇心という薪に火をつけて私にとって不都合な形で燃え上がってしまいそうな気配がします。
 この場を治める方法は………… っ、一つ思いつきましたが、これは…… いえ、考えている暇はありません。私が悩んでいる間にも私に対する疑念は大きくなってしまう。直ちに実行です。
 私は「なんで二年も連絡をくれなかったんだ」などと言っている一夏に、つかつかと近づいていきました。

「桜華、お前は――」
「少し頭を冷やしましょう」



 ふにょん



 素早く一夏の手を取って、私のおっぱいに押し当てました。



「え」
「え?」
「……へ?」
「「「「「ええええぇぇぇぇっっっ!!!!????」」」」」



 一夏からの又聞きよりも目の前でインパクトのあることをすればその前に起きたことの印象が薄れるというわけです。教室中の女子と、あと山田先生も驚きの声を上げて固まりました。
 目論見通りです。…………恥ずかしいですがここは我慢。一夏が驚きで硬直している間にここで畳み掛けます。

「あなたの知る龍咲桜華の性別は?」
「お、男」
「ええそうです。龍咲桜華は男です。戸籍上も男。染色体もXY。さらに言えば外見的特徴についてもあなたは見たことがありますね?」
「あ、ああ」
「で、これはなんですか?」

 ふにふに、と一夏の手ごとおっぱいをもみます。

「お、おっぱい」
「ええ、パットでもシリコンでもありません。血の通った天然ものです。温かいでしょう?」
「あ、ああ」
「私が女装をしている男だという発言、取り消していただけますね?」
「…………」
「ふむ、片手だけでは足りませんか? ではもう片方の手も――」
「いいかげんにっ――」
「あ」

 何か黒い影が……?

「――せんかぁぁぁっ!」
「あうっ!?」
「ぐぼぉっ!?」

 ――――大きな二連続の打撃音と共に、私の体と意識は吹っ飛ばされました。後から聞いた話では織斑先生の出席簿攻撃だったそうです。ブラコンの姉の前ではっちゃけ過ぎましたね。反省。
 ちなみに私の体を張った行動のおかげで、私は女性だとクラスに認識されました。……同時に痴女ではないかという噂も流れました。くすん。



 
 

 
後書き
一夏のISに対する姿勢の違いは何故か?
龍咲桜華とは誰か?
桜華と桜子の関係は?

一夏をよく知っている風なのに初対面と言う桜子の真意とは?

 
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