ヘタリア大帝国
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TURN124 アンドロメダ星域会戦その十
「ソビエトとの戦いも総統がおられれば」
「勝てたというのか」
「はい」
その通りだと、エルミーは言う。
「国民は総統が戻られたなら絶対にです」
「私を出迎えてくれるか」
「それも笑顔で」
「私は国民を見捨てて逃げたのにか」
今枢軸軍にいることについてもだ、レーティアは今も己を責めているのだ。潔癖症の彼女だからこそである。
「それでもか」
「ならばベルリンまで戻られて下さい」
その時にわかる、エルミーはレーティアにこうも言った。
「そうされて下さい」
「その時にわかるか」
「そうです、国民は必ず総統を支持します」
「だが国民を見捨てた私には」
「時には生きることも必要かと」
脱出してもだというのだ、これは危険を冒してまでレーティアを救いに向かったエルミーだからこそ言えることであった。
「国民の為にも」
「そういうものか」
「私はそう思います」
「だといいのだが」
「皆総統をお慕いしています」
だからこそだと、エルミーはレーティアに話し続ける。
「戻りましょう、そして再びドクツを」
「雄飛させるというのだな」
「そうされて下さい、絶望のどん底にあったドクツを救われたのは総統です」
他ならぬ彼女だというのだ、それを為したのは。
「ですからもう一度我々を総統と共に歩ませて下さい」
「そう言ってくれるか」
「はい」
エルミーはレーティアに熱い声で語っていく、そしてだった。
彼女と共にいるドイツもだ、こうエルミーに言うのだった。
「俺達も総統が出て来てくれたからだ」
「また立ち上がれたというのか」
「第一次大戦の後俺達はどうしていいかわからなかった」
完全に絶望していた、そうだったというのだ。
「しかし総統が出て来てからだ」
「そうです、全てが変わりました」
そうなったとだ、エルミーがまた話す。
「ドクツに希望が戻ったのです」
「若し総統が出てくれなかったならば」
つまりグレシアが彼女と会わなかったならというのだ。
「私達は今もです」
「ただ絶望し何もない中にいた」
「そのドクツと国民を救われたのは総統です」
「それでどうして受け入れないでいられる」
「ですから是非共」
「戻ってきてくれ」
「そう言ってくれるか」
レーティアは多くを言わなかった、だが。
顔を上げてだ、こうエルミーとドイツに言った。
「ではまずはだ」
「はい、ドクツに戻りましょう」
「俺達の国にな」
「そうしよう、まずはな」
エルミーとドイツの言う通りにしようというのだ、それが彼女の今の考えだった。そしてその話をしてからだった。
レーティアは東郷の前に赴いた、そのうえでこう言うのだった。
「これからイタリンを攻めるな」
「ああ、そこからドクツに向かうつもりだ」
「そうだな、ではまずはシチリアだな」
「そこから攻め入っていく」
イタリンの諸星域をだというのだ。
「ナポリ、ローマをな」
「わかった、ではシチリアについてだが」
最初に攻略するその星域のことについて話すレーティアだった。
「あの星域のことは統領が詳しい」
「ベニス統領がか」
「マフィアのことも聞いていてくれ」
「あの連中はかなり深刻らしいな」
所謂犯罪結社だ、日本で言うヤクザである。
「シチリアやナポリの経済を牛耳っているな」
「今はイタリン軍に協力している」
「なら俺達の敵だな」
「艦隊は持っていないが惑星の防衛を担っている」
即ち地上部隊の一翼を担っているというのだ。
「そうなっている」
「手はあるか」
「統領は抑えていた」
そのマフィアをだというのだ。
「ナポリのカモラもな」
「そのやり方を聞きたいな」
「ではこれから統領と話すか」
「それとロマーノ君とな」
彼も呼ぶというのだ、こう話してだった。
東郷達は遂に欧州侵攻、その第一としてシチリア降下にかかるのだった。アンドロメダでの傷を大急ぎで癒しつつその戦いに向かっているのだ。
TURN124 完
2013・7・13
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