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バトルロワイアル 桐山和雄の章

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バトルロワイアル 桐山和雄の章 第9話~第11話

 
前書き

この作品の中で私のお気に入りの人物は
桐山和雄 沼井充 月岡彰 稲田瑞穂 杉村弘樹 
琴弾加代子です

他の人物も勿論大好きですがこの6人は書きやすい
人物なので特に好きです


桐山は1人だと書きづらい人物ですが
沼井や稲田と絡ませるととても書きやすかった
のを覚えています


月岡はある意味稲田と同様に何でもありの人物
なので本当に楽しく描けました

杉村と琴弾は私の中ではパーンとディードと
並んで永遠の2人です(爆笑)


 

 




豊「フゥッ! フウッ! フゥッ!」
 ズルッ ズルッ ズルッ


三村信史と合流した豊は皆を助ける為に
脱出の為に其々のやるべき事をやっていた


その為に瀬戸豊は一人で爆弾の材料集めを
していた


豊「うぐぅ、 ぐうぁッ ふうぅッ」
ズルッ ズルッ ズルッ


三村信史は分校のコンピュータをハッキング
する為にパソコンのカスタマイズをしていた


豊「このくらいッ、 なんでもないさッ!」
ズルッ ズルッ ドタァ!


そして豊は爆弾の材料の内 肥料、ガソリン
滑車はすぐに見つける事が出来た


最後の難関であるロープ、分校を上空で跨ぐ為
優に300メートルは必要である


豊「僕はもう逃げないッ」
ズルッ ズルッ


だが豊はそれを一人で見つけた、しかし
300メートルである 重量も相当あるだろう
農協まで直線距離でも2キロはある 豊の体格
では運べる筈がない


豊「月岡も、友美子さんも雪子さんも
立ち向かったんだ!」
ズルッ ドタァッ ズルッ


それでも豊は諦めなかった、全身汗にまみれ
何度も転倒しながらも豊は決して逃げなかった


豊「そうさ……僕も戦う!!、僕が僕である為に
皆と一緒に………帰るんだ!!!!!」


  ……時間は間も無く正午になろうと
していた………






バトルロワイアル another story 
桐山和雄の章 第9話 前編 

僕が僕である為に







飯島「ハァッ ハァ 怖い怖い…ちくしょう
……もう一人は嫌だ」

   ガサガサ


飯島「ヒィッ!……なんだ野良猫か…ちくしょう
誰か助けてくれよ」


飯島敬太は島の南東の森の中を彷徨っていた


何時襲われるかわからない状況の中彼の精神は
限界に近づいていた


  ……その時……


   「ハァッ、ハァッ、フゥッ」   ズルッ ズルッ ズルッ


飯島「だっ! 誰だ!」


後ろから聞こえた人の声に飯島は大声で叫ぶ


豊「えッ……その声は飯島かい?」


飯島「その声…豊か!?」


ゲーム開始以来漸く聞く事の出来た知り合いの
声に飯島は大喜びで後ろを振り返る


飯島「………豊?」


後ろを振り返った飯島が見たものは重いロープ
を担ぎ全身汗と泥にまみれた豊の姿だった


余りにも予想外の格好に飯島は先程までの
恐怖も忘れて豊に質問した


飯島「豊………お前何やってるんだ?」


豊「あぁこれかい? これは皆を守る為に
必要な物なんだ」


だが帰ってきた答えは飯島の予想外の答え
だった


何事も強く断る事の出来ない豊の事だから
てっきり良いように押し付けられたのだと
思ったが豊は晴れ晴れとした笑顔ではっきりと
言ったのだ


飯島「だからと言ってさ、お前がそんな事する
必要ないんじゃないか」


飯島は今までの沈みこんだ気分を紛らわせる為
冗談まじりでそう言ったが返ってきた答えは
又しても予想外の答えだった


豊「駄目だよ……もう逃げる訳にはいかない
んだよ………飯島」


飯島「……豊?」


豊「もう逃げる訳にはいかないんだよ飯島」


豊の真剣な表情に飯島は聞き入っていた


豊「この島に来てから僕は逃げてばかりだった
あの呼びかけの時だってそうだった」


飯島「…………」


豊「友美子さんと雪子さんが川田章吾に
撃たれてそれを守ろうとした月岡も殺されて」


飯島「ハァッ!? 本当かよそれ!?」


豊「僕はそれを助けようともしないでただ
見てただけだった、月岡は身を挺して二人を
守ろうとしたのに、僕は怖くて怖くてただ
震えてただけだった」


飯島「……豊」


   ジャリ
   「・・・」


予想だにしなかった真実に飯島は言葉も無く
聞き入っていた


豊「杉村は月岡を看取ったのに、それなのに
僕はそれすらもしないでただ逃げ出したんだッ!」
ギリッ ポタポタ


飯島「………豊」


   「・・(豊)・・」


豊「だから………だから僕はもう逃げない
もう逃げる訳にはいかない あの時逃げ出した
弱い自分から卒業するんだ!!」


飯島「……豊……お前」


豊「僕は戦うッ、皆を守る為に 一緒に帰る
為に!! もう弱い自分には戻らないッ
僕は戦う、僕が僕である為にッ、僕が僕に
なる為に!!」
ポタッ ポタッ


飯島「………豊ァ」


   「(お前は弱虫なんかじゃないさ)」


豊「そして絶対に皆と一緒に帰るんだ!!
そして胸を張って生きて行くんだ!!」


飯島「……弱い自分には戻らない…か……」


飯島の脳裏に以前三村信史が上級生に絡まれた
時に自分一人逃げ出してしまった苦い
記憶が蘇る


飯島「……そうだな………もう、逃げる訳には
いかないよな」
ポタッ ポタッ ポタッ


飯島は何時のまにか泣いていた


豊「飯島ッ、一緒に行こう!一緒 に戦おう!!」


力強い言葉と強い意志で豊は飯島に言い放った


飯島「なぁ豊……俺は今でも正直怖いよ
…怖くて怖くて震えが止まらないよ………
でもな、怖くても………もう逃げる訳には
いかない……戦わなければならない それは
良くわかるよ」


豊「…………飯島」


   「(豊…飯島)」


飯島「だから豊! 俺も連れて行ってくれ!
俺も一緒に戦うッもう逃げない!!」


飯島は顔中涙でぐちゃぐちゃになりながらも
その瞳には決して折れない強い光があった


豊「勿論だよッ!! 一緒に行こう飯島!!」
ギュッ!!


そう言って2人は力強く握手をした


お互いの瞳には今や何者にも屈しない強い
輝きがあった


  ………そしてもう一人………


ガサガサ
杉村「俺も一緒に戦うぞ」
ギュッ


  ……杉村弘樹であった……


飯島「杉村ァ!」


豊「来てくれたんだね杉村!!!」


杉村「あぁッ、勿論だとも!!」


  ……一人の強き心が心強い二人の仲間を
呼び寄せた…………


  ………三人の心は強い意志で結ばれ
それは悪を許さない大きな力となる………


  ……そしてもう一人の強い意志との再会も
間近に迫っていた………






バトルロワイアル another story 
桐山和雄の章 第9話前編 

僕が僕である為に




あとがき

長かった 1話で終わりませんでした


後編はいよいよ三村信史と杉村弘樹が再会します


三村サイドは豊が格好良くなりすぎます


最早主人公と言っても過言ではありません


対する桐山サイドは沼井充が完全に桐山を
喰ってますね(笑)


何はともあれお付き合いよろしく











飯島「そうか…そんな事があったんだな」


杉村「あぁ 七原は嘗ての面影がない位に
変わってしまった 既に川田の思うがままだ
……このままでは典子さんがとても危険だ」


豊「秋也がそんな事になってたなんて
信史の言った通りじゃないか、秋也ァ」


合流した3人は 三村信史と瀬戸豊の拠点である
農協を目指しながらこれまでの情報交換を
していた


その際に杉村の口から聞かされた七原秋也の
変貌ぶりに2人は驚きをかくせなかった



農協で訪れる三村信史との再会は果たして
七原秋也と中川典子を救う突破口となるの
だろうか







バトル ロワイアル another story 
桐山和雄の章 第9話 後編 受け継いだ魂







カタカタカタカタカタカタ
三村「フゥー」


農協に作った一角で三村信史はパソコンの
カスタマイズをしていた


進行状況はおよそ50%まで進んでいた


三村「フゥッ、熱くなるな信史 クールにいけ
クールにだ」


カスタマイズは順調だこのまま行けば特に
問題なく作業は終了するだろう


  ……問題はその後だ……


三村「ふぅッ、少し考えを整理するか」
カタカタカタカタカタ…タタンッ


信史は作業を中断しこれからの事を考える


三村「そぅ…ハッキングはおそらく成功する
……問題はその後だ……」


三村信史は考える、瀬戸豊には分校のシステム
を制御できるのは30分と言ったが実際には
それは有り得ないとおもっている


三村「…………精々15分………だな」


そうおそらくは15分だろう、それも過ぎれば
何時システムが復旧するかわからない


全ては15分でケリを付けな ければならない


そこまで考えて三村信史は胸元のロケットを
握りしめた


三村「……大丈夫だよおじさん……俺は大丈夫
クールにやってみせるよ …おじさんがくれた
この爆弾の雷管を必ず奴らにぶち込んでやる」


信史の叔父は反政府活動家だった、信史の持つ
技術は全て叔父から受け継いだ物だった


しかしその尊敬する叔父も政府に見つかり
殺されてしまった


だがその魂は今も信史の中で生きていた


ギュッ
三村「…ねぇおじさん、俺は死なないよ
必ず皆と一緒に生き残って見せるよ」


  ………だから俺を見守っていてくれよ
おじさん………



信史が物思いに耽っていると外が騒がしく
なってきた


三村「もしかして豊が帰ってきたのか?」


思ったよりも早い豊の帰還に信史は足早に
入り口に向かう


三村「豊か、随分早かった……な!?」


豊「信史ただいま」


杉村「三村………無事で何よりだ」


飯島「三村…………あ……あの」


三村「まさかッ、杉村か!?…それに飯島
お前らどうして」


思わぬ再会に信史も驚きが隠せない


豊「信史、二人にはさっき会 「三村!」
 って、飯島?」


二人と出会った経緯を話し始めた豊を遮って
突如として飯島が信史に話し出す


三村「んッ? どうした飯島?」


飯島「俺……お前に謝らなきゃってずっと
思ってて・・ゲームセンターで三村が上級生に
絡まれた時俺逃げ出しただろ」


三村「………………あの時か」


飯島「本当にすまんッ、お前の心を傷つけて
俺一人逃げ出して」


豊「………飯島」


杉村「……………」


飯島「何時か謝らなきゃってずっと思ってた」


三村「……なぁ飯島」


飯島「何だ三村?」


三村「そんな事どうしてこんな所で話すんだ?
別に今じゃなくても良いだろ」


信史が聞きたいのはそれだった…こんな状況で
何故今なのか だが飯島は迷わず言った


飯島「……豊が言ってたんだ」


豊「えッ僕が…何か言ったっけ?」


杉村「………あの言葉か」


だが杉村には分かったようだ


豊「えッ?」


飯島「もう逃げる訳にはいかないって…
弱い自分には戻らないって」


三村「豊が………………そうか」


豊「なっ……なんだか恥ずかしいなぁ」


杉村「フフッ」


飯島「俺はここで逃げたらもう二度とお前達の
事を友達って呼べなくなる」


三村「……飯島」


飯島「俺はッ、お前らとずっと一緒にいたいッ
ずっと友達でいたいッ! だから……本当に
すまなかった三村!!」


三村「飯島…そうだな……一緒に帰ろうぜ
俺達はずっと一緒だ なぁそうだよな豊、杉村」


豊「当たり前だよッ! 僕らはずっと友達さ」


杉村「あぁッ! ずっと一緒だ」


飯島「ううッ ありがとう、ありがとう」


  ………その後三村も交えて4人で現状を
話し合った……


  ・・七原秋也の変貌、中川典子に迫る危機
診療所での待ち合わせ等・・


  ・・中でも三村信史の一番の注目はやはり
七原秋也の事だった・・


三村「…………そっかぁ、秋也はやっぱり
そうなちまったか」


溜息とともに三村信史の口から意味ありげな
言葉が漏れる


豊「どういう事だい信史」


何か知っているのかと豊が訪ねる 見れば
飯島も杉村もどういう事だと聞きたそうだ


皆の視線を受けて信史は話し始める


三村「……正直豊に話しを聞いた時から嫌な
予感はしてたんだ……あいつは純粋すぎるんだ
普段は正義感の塊のような奴で皆の中心に
居るような男だ」


杉村「あぁ……本当にそうだよな」


豊「うん、秋也はいつもそうだよね」


飯島「まったくだな」


3人とも明るい返事を返すが次の三村信史の
言葉が3人を絶望へと引き落とす


三村「……だからまずいんだ」


杉村「??」


豊「えッ」


飯島「何か…だ?」


三村「あいつ は人を疑う事を知らない
人間全てが優しい心を持っている……そう
思ってるんだ秋也は………だがな人間全てが
善人な訳がない、悪い心を持たない人間なんて
いない」


飯島「………分かるよ……俺には凄くよく
分かるよ」


豊「……飯島」


杉村「………なるほど」


三村「秋也はクラスメートを信じていた
誰一人として殺し合いなんてしないと………
実際は川田に騙された所もあるんだろうけどな
けど一番の問題はあいつ自身だ、疑う事を
知らない秋也の心の弱さが原因なんだ………
秋也は人の心を移す鏡なのかもしれない
もし川田が殺し合いに乗っていなければ
あいつは対主催のリーダーになっていただろう
……今となっては架空の話だがな」


杉村「なるほど…… な………七原」


豊「秋也ァ、目をさましてくれよ」


飯島「………こりゃ何としても七原を正気に
戻さないと」


長い長い三村信史の話が終わっても話しを
聞いた3人は返す言葉が見つからなかった


そんな3人をみて三村が再び話を始める


三村「とにかく七原を救う鍵を握っているのは
典子さんだ、もし典子さんが死んでしまったら
もう取り返しがつかなくなる」


  ………その言葉を受けて皆の顔に
緊張が走る………


杉村「診療所………か、全ては診療所…
負ける訳にはいかないな」


豊「そこに秋也と典子さんが来るんだろッ
絶対助けてやろう!」


飯島「そうだな……みんなで一緒に帰ろうぜ」


  ・・絶望的な言葉を聞いても皆希望を
捨ててはいなかった・・


  ・・そんな彼らを見て信史の胸にも
熱い気持ちが膨れ上がる・・


まだ時間に余裕があるとはいえパソコンの
カスタマイズや爆弾の製作等やらなければ
ならない事はまだまだある


だが自分はもう決めてしまったのだ………
彼らと一緒に行くと


三村「その通りだ、例え可能性が低くても
最後までしがみついてやろうぜ…(ねぇおじさん
今は熱くなる時なんだ…今回ばかりは
クールなままじゃいられないんだ、仲間を
助ける為にも今は熱くなる時なんだよ…
ごめんよおじさん)…」




  ・・絆を深め4人は診療所へ向かう・・


  ・・全てが揃いし診療所で彼らを
待ち受けるものは希望かはたまた絶望か・・




あとがき


第9話やっと終わりました


いよいよ診療所近いです


以前も書きましたが本当は月岡彰は最後まで
死なせるつもりはありませんでした


なので診療所での桐山や充との再会も頭に
ありました


最早書くたびに何処行くか分からない状態です


はたして彼らは生き残ることができるのか










あれから南の山を後にした桐山和雄、沼井充
千草貴子は東に歩いた場所にある神社で
これからの事を話し合っていた


貴子「それじゃあ先ずは最初の予定どおり
診療所には向かうのね?」


桐山「あぁ…このままじっとしてても
しょうがない、それに診療所に行けば何か
分かるかもしれない」


充「そうですね………彰の事も何か分かるかも
しれねぇ」


桐山達「…………充……さぁ行こう」ポンッ


そう言って桐山は充の肩を叩いた


充「和雄さん………えぇ行きましょう……
(彰……お前は本当に死んじまったのか)…」


貴子「………フフっ さぁ行きましょうか
(本当に信頼しあってるのね貴方達……少し
羨ましいな) 」



  ・・診療所に向かい始めた一行達・・


  ・・はたして診療所で彼らを何が
待ち受けているのか・・






バトルロワイアル another story 
桐山和雄の章 第10話 診療所へ……






  ……稲田瑞穂は光の中にいた………


稲田「……アペポ……パナカパ……オサーン
……オバ!ゾバ!サンルーナ!!」



  ……彼女は光の中で語りかけていた……


稲田「サムリーナ・・オンソーバ!!・・
(大いなる光の神サンルーナよ私に力を与え
たまえ!! 私は見ました我らが民ユミーコと
ユキーコを殺した邪神カワダーを! そして
我ら光の一族でありながら邪悪な力に溺れ闇の
軍団の手先になったシャウヤ・ナナハーラを!
闇の軍団に捕まった我らが光の巫女ノリコを
助ける為に力をお貸し下さい!!)・・我らが
大いなる神サンルーナよーー!!!…ラミダス
…ラミダス…シャイターン!!」
スルッ パサッ 



   【我が忠実なる戦士ミズホよ恐れずに
進みなさい、貴方には我が光が力を与えて
くれるでしょう】


稲田「あぁ……我が神………あぁ」


   【貴女はその力で邪悪な力を討ち滅ぼし
なさい 我が巫女ノリコは心配ありません】


稲田「何とッ、本当ですか我が神サンルーナよ」


   【無論です、ノリコの元には戦士カヨコ
がいます、彼女なら必ずやノリコを守って
くれるでしょう】


稲田「カヨコが………ならば安心ですね
分かりました邪神カワダーと裏切り者
ナナハーラは必ずや私がうち滅ぼして
ご覧に入れます」


   【頼みましたよ戦士ミズホ、光の導きに
従いなさい そこに貴女が倒すべき敵が居ます】


稲田「お任せ下さい」


会話を終えた 稲田は直ぐ様立ち上がり
光の中へと消えていった、彼女には自分の
進むべき道が道がはっきりと見えていた


  ……大いなる神サンルーナが戦士ミズホを
見守っていた ……


そして稲田瑞穂がいなくなってから程なくして
桐山達も同じ場所を通っていた


そんな時ふと桐山が千草貴子に質問をした


桐山「ふむ………なぁ千草今残っている
メンバーで杉村達や委員長達以外でお前が
信用できるメンバーは誰だ?」


桐山の突然の質問に躊躇しながらも千草は
質問に答える


貴子「そうね………信用できるって言うのとは
ちょっと違うけど……稲田さんなら大丈夫
だと思うわ」


その答えに充は顔を歪める


充「………あの電波娘か……あぁ確かにな
なんか納得するわ」


桐山「なるほど………稲田瑞穂か」


貴子「あの子ってさ普段からかなりズレた娘
でしょ、だからさ今回の事ももしかしたら
まったく理解してない んじゃないかなって」


充「だよなぁ…………確か光の神だったか?
光の戦士だとか、邪悪な軍神と日々戦っている
とか頭ん中ですげぇ妄想してるからなぁ」


貴子「あの娘と仲良くしてたのって香織位じゃ
ないかしら…まぁベクトルは全く違う方を
向いてたけど」


充「あぁ…………あいつか…………方やリアル
ストーカー、方や妄想電波娘だからなぁ
ズレてる者同士気があったんじゃねぇか……」


桐山「ふむ………とにかく稲田瑞穂とは接触する
価値があるという事だな」


充「げっ………マジっすか?………まぁ和雄さんが
そう言うならかまいませんが」


貴子「……………ま…まぁ少なくとも敵意が
無ければいきなり襲われる心配はないと
思うけど」


そんな事を話しながら歩いていると貴子が
道のはずれに何かを発見した


貴子「あらっ、何かしらあれ」
タタタッ


桐山と充も後を追い掛ける


貴子「えッ キャッ! ちょっと……これって」


突然小さな悲鳴を上げて貴子が唖然とした
表情になるとそれを心配して2人が駆け寄る


桐山「千草 何を見つけたんだ?」


充「…なんか上着みてえだったが、一体なんだ?」


貴子「…………これ」


俯いた表情のまま貴子は拾ったものを
二人に渡す


桐山「むっ?……これはどういう事だ」


充「勘弁してくれよ………はぁ……だから俺は
嫌だったんですよ、あの電波娘に関わるの
だけは………ハァァ」


充同様に2人も呆れ顔を隠せなかった
何故なら渡された物は………


  ………裏側に稲田瑞穂と名前の書かれた
女子生徒の制服だった………


貴子が溜め息を吐きながら言葉を出した


貴子「はぁ………つまり瑞穂は今下着姿って
事よね………はぁッ、全くあの娘は」


桐山「うむぅ…………どうしたものかな………
なぁ充、何か考えはあるか」


充「ちょっ………俺に聞かんで下さい和雄さん
ったくッ、何を考えてるんだあの電波娘は!!」


貴子「……でもさぁほっとく訳にはいかない
でしょう」


桐山「ふぅ…………仕方ない一緒に持っていこう
そしてもし稲田に会ったら渡そう」

充「………そうっすね、さぁさっさと
行きましょう」


貴子「そうね今はとにかく診療所に向かい
ましょう」


  ……ほんの僅かな時間差で再会を逃した
稲田瑞穂……


  ……光の神に導かれた彼女は唯一人邪神に
立ち向かって行く……


  ………果たして彼女は桐山達にとって敵か
味方か………


バトル ロワイアル another story 
桐山和雄の章 第10話 診療所へ……



あとがき


満を持して稲田瑞穂登場です


彼女は凄いですよ、何せ原作の小説版では
最後まで残った女性ですし漫画版でも終盤まで
生き残りました


彼女は漫画版ではとにかく電波が凄いです(笑)


見てる方は面白いかもしれませんが彼女は
凄く真剣です

笑っちゃ駄目ですよ(笑)


ではまた次回










????「あぁ…ジュンヤァ」
トボトボ

  ・・時間は15時を過ぎた頃だろうか・・


  ・・一人の少女が虚ろな目で歩いていた・・


????「ひひッ、ねぇジュンヤこれは夢だよね」


  ………少女はただひたすら首から下げた
ペンダントの中の写真に語りかけていた………


????「ねぇジュンヤ聞いてぇ 皆があたしを
狙ってるんだよ……フヒッ、フヒハッ」


  ………少女の目には全てが敵に見えていた
信じられる者はジュンヤだけだった………


????「だからねぇジュンヤ……私決めたんだ
……殺される前に皆殺してやるの…ヒフハァッ
ねぇジュンヤァ 私を誉めてくれるよねぇ……
ケハッ、ウハヒヒッ!」


  ………彼女の向かう先は…………





バトル ロワイアル another story 
桐山和雄の章 第11話 血に染まった手 前編


診療所へ向かう一行 川田章吾、七原秋也
中川典子、琴弾加代子の四人は異様な雰囲気に
つつまれていた


中川典子は今日何度目になるかわからない
質問を秋也に投げかけた


典子「ねぇ秋也君、もし桐山君に会ったら
……まず話し合ったほうがいいんじゃない
かしら…」


秋也に人殺等してほしくない、そう願い典子は
ひたすら秋也に言葉を投げかける


横を見れば加代子も同様のようで、探るような
視線で秋也と川田を見ている


だが彼女達の想いに反して返ってきた答えは
彼女達の期待を裏切る………否ある意味
期待通りの答えだった


秋也「ありがとう典子さん、心配してくれてん
だな 俺の事……けど心配すんなよ 俺はあんな
卑怯者になんか負けやしねえよッ」


川田「………フフ」

  
琴弾「………(はぁ…七原君相当重症ね………
典子はこんな状況でずっと耐えてたんだね)」 


だがそれでも典子は諦めなかった


典子「秋也君……違うの」
  

秋也「んッ? 典子さん何が違うんだい?」


典子「私は秋也君に傷ついてほしくないのッ
人殺しなんてしてほしくないのッ!」


典子は涙ながらに秋也に訴えた


琴弾「典子…………ねぇ七原君、典子の気持ち
わかってあげたらどうなの……典子はね
七原君に無意味な人殺しなんてしてほしく
ないんだよッ!」


加代子も七原に懸命に訴える


  …………だが返ってきた答えは…………


秋也「無意味なんかじゃないさ、人殺しを殺す
だけだ、心なんて痛まないさ、あんな奴ら
死んで当然なんだ」


  ………最早善悪の区別がつかない悲しい
言葉だった………


川田「落ち着けよお嬢ちゃん達、誰だって
人殺しなんてしたくないさ……だがな
だからと言ってむざむざ死ぬ訳にはいかない
だろう」


川田章吾がその場を取りなすように皆を
落ち着かせる


秋也「そうさッ、川田の言う通りなんだッ!」


  ………しかし典子と加代子には分かって
いた……………
 

典子「くッ、だって」


琴弾「………そうね、立派な言葉ね(ただし
それが本心ならね)」


  ………何故なら川田章吾の瞳は殺戮を
楽しむ野獣の目だったから……………


秋也「心配すんなよ典子さんっ 典子さんは
しっかり守ってやるよ、だって典子さんが
悪人な訳ないからな」


秋也は無意識の内にそんな言葉を発した
だがわかっているのだろうか……自分の言った
言葉の意味を


典子「秋也君ッ……」


琴弾「………ホントッ最低…(それってつまり
あんたが悪人だと判断したら…………殺すって
事でしょ……よりにもよって典子を…七原君
……アンタがッ!!)…」


川田「…………ククッ」


やり取りを横目で見ながら川田章吾は
込み上げる笑いを懸命に押さえていた


川田「……(最高だ七原……お前は最高だ
それでいい七原…ここまでくればあとは
仕上げだけだ、フハハハッ、……七原……
俺色に染めてやるよ お前を!!!)…」


琴弾「…………(何を考えてるの…川田君)」


  ……最早七原秋也は止められないのか
川田章吾の邪悪な野望は最早とどまる事を
知らない……


   バキューン! ドンッ!!


典子「何!!!」


琴弾「銃声!!!」


川田「殺り合ってる奴がいるんだろうなぁ
……なぁ七原お前はどうする…ククッ」



七原「決まってるさ…〔ガチャンッ!!〕…
ゲームに乗ってるなら……迷わず殺す!!」


典子「秋也君、駄目よ! 落ち着いてェー!」


琴弾「七原君!!! やめなさいッ!!」



二人の少女は必死に止めようとするが
二人の声は虚しく響くだけだった


川田「フハハハァッ、いい答えだ なら…
〔ガゴンッ〕…行くぜ七原!」
ダダッ


七原「あぁッ、皆殺す  殺してやる!」
ダダダッ



  ………闇は益々大きくなり七原秋也を
飲み込んで行った…………




バトル ロワイアル another story 
桐山和雄の章 第11話 血に染まった手 前編




あとがき


診療所目前にして波乱です


そして 次回











七原達の場所から程近い場所で二人の少女が
撃ち合っていた


清水比呂野「ちぃッ、 このクソ野郎が!
死んでたまるかッ」
バンッ!


一人は清水比呂野であった どうやら彼女の
瞳は正気を保っているようだ


そして もう一人は


南香織「フヒッ クヒッ ねぇジュンヤァ
私殺すよ…もうすぐ会えるよ、キャハァ!」
ダンッ !


南香織であった 最早彼女は正気を失っていた


瞳は虚ろで口からは涎を垂れ流し奇声を上げ
ながら銃を撃っていた


清水「ふざけんなよッ、いきなり襲って
きやがって! 死ねやコラァ!」


南「ケヒッ イヒャァィ!」
ダダンッ!!


  ………迫る今以上の危険に気ずかぬまま
少女達は争い続ける………


  ………やがてくる出会いは彼女達にとって
希望かはたまた絶望への誘いか……………





バトル ロワイアル another story 
桐山和雄の章 第11話 血に染まった手 中編






清水「クソッ、 何でこんな目にあうんだよッ」



清水比呂野は毒づいていた 彼女はこんな
クソゲームに乗るつもり等なかった


だからと言って仲間を探す事等出来ない
何せ自分はあの相馬光子と連んでいたのだ
誰も信用してくれないだろう


そんな状況で森をさまよっていた所出会い頭に
南香織に攻撃されたのだ


南「ケヒィッ、 ジュンヤァ!」
ダダンッ!


一目見てわかった、こいつはもう駄目だと


本来なら負けなどしないが相手は正気が無く
限界を忘れていた為に恐ろしかった


清水「ちぃッ、 ちくしょう!…(バキュッ
カチカチ)……なっ!? 弾切れ!……クソォッ!」


そんな状況で撃ち合いが続き遂に清水の拳銃の
弾が無くなってしまう


南「イヒィ……イヒャァィ!」


清水「クソッ」


バックから弾を出す暇もない 最早これまでか


清水「なんでてめーはこんな糞ゲームに
乗っちまうんだよー!!」



最後の悪あがきとばかりに疑問を投げ掛けるが
無駄な事だった


  ……既に南香織は目の前で銃を構えていた
のだから………


南「ケヒッ……もう直ぐ会えるよォァ! 
ジュン 〔ドンッ!〕 ヤァギャヒァー!!」
 ゴロゴロッ


清水「……何が起こった?」


突然の事だった、銃を撃とうとした南香織が
銃を持った腕を肩からもぎ取られのた打ち
まわっている


南「イギャァィ、ダズケデェ ジュン 
〔ババァン!!〕 ジャァ!」
ゴロゴロ バタバタ


清水「なっ!!?……酷ェ」


襲撃者は容赦がない今度はもう一つの腕も
もぎ取られひどい有り様だ


これにはさっきまでやられていた清水比呂野も
痛ましそうに南香織を見つめている


  ………そして現れた………


  ……地獄の使者が………


  …………殺戮の悪魔が…………



七原「大丈夫か清水?」


川田「やれやれ…(カチッ スウゥ)…どうやら
無事なようだな」


清水「…………川田……と、お前………誰だよ
………嘘だろ……七原……か?」


清水比呂野は目の前に現れた二人の男の片方が
誰だかわからなかった


何故なら顔つきが違う、瞳が違う、何より
身体から出る臭いが違う


いつも彼は周りを満点の笑顔にしていた
自分は薄汚れてるからそんな彼に密かに
憧れていた


南「ヒギャァィ! ダダァィヨォ!!」



だがそんな自分が憧れた七原秋也は最早
見る影もない


清水「…………何があったってんだ…今のお前は
光子より酷いぞ」


そんな清水の葛藤も知らず二人はいまだに
まだ生きている南香織を見て話しを続ける


七原「さて 川田こいつをどうする?」


川田「答えはきまってるだろう…なぁ七原」


七原「あぁ当然だ……ククッ、殺人者は
皆殺す!!!」


清水「………(こいつはもう駄目だ、もう
戻れない所まで来ちまった)…」


二人は南香織に近づきトドメをさそうとする


清水比呂野は唖然と見てるしか出来なかった


七原「死ね……「秋也君駄目ー!!」 
「七原君ッ 、駄目よー!!!」 〔!?あれは
中川と琴弾!〕 〔ドダァン!!〕 「フゲンギャ
アアア!!」 「(フハハハ!! ようこそ七原
お前はもう戻れない、最後の希望ももうすぐ
終える)」…」


  ………南香織は死んだ……


清水「……中川……琴弾…何があったんだ」


典子「ううぅっ…止められなかった…秋也君ッ
ううぅっ」


琴弾「…………川田章吾ッ 〔ギュッ!〕 
あんたはッ」


七原「もう大丈夫だよ典子さん、典子さんも
……みんなも守ってやるよ…みんな殺して
やるよ」

血みどろの顔で七原秋也は楽しそうに
笑っていた


川田「クハハハッ!!! アハハハハッ!!!!」


川田章吾の狂笑が辺り一帯に響き渡る


  ………診療所は目前……


  ………再会は近い………



バトル ロワイアル another story 
桐山和雄の章 第11話 血に染まった手 中編



あとがき


七星は遂にその手を血に染めてしまいました


果たしてその道の先には救いはあるのか


次回ご期待ください










  ………其処には慟哭があった……


琴弾「七原君ッ、なんて……なんて事をッ!」


典子「そんな……ぐぅふっ… ううぅっ!…
止められなかった、ううぅっ……ごめんなさい
…ごめんなさい」


清水「なんて事しやがる……人間のやる事じゃ
ねぇよ……ちぃッ」


  …………其処には嘲笑があった…………


七原「殺す……殺してやる……ゲームに乗った
奴はみんな殺してやる………殺してやるッ……
みんな殺してやるー!!」


川田「フクカカッ、 そうだそれでいいんだ
こんな奴ら死んで当然なんだ……フフッ」



   ザザッ
   「………」


  ………其処には例えようもない絶望と
悪魔の咆哮があった………






バトル ロワイアル another story 
桐山和雄の章 第11話 血に染まった手 後編


典子「………南さんッ……ごめんなさい」


琴弾「…………くッ、なんでこんな事に」


清水「…………(どうやらこの二人はまともな
ようだな、さてどうするか)…」


女性3人は言葉もなくただ立ち尽くしていた


七原「大丈夫だよ典子さん…俺典子さんの事
だけは絶対守ってやるからな、典子さんに害を
なす者はみんな殺してやるよ……ハッハハッ」


七原秋也は顔を両の手を血に染めながら何事も
無かったように呟いている


最早嘗ての面影は何処にもなかった


川田「…さて、さっさと先に行こう」


そんな中で川田が何事もなかったように話し出す


七原「あぁそうだな、さっさと診療所に行こう」


典子「そんなッ、このままじゃ可哀想だよ!!」


琴弾「そうだよッ、せめて目を閉じさせて
あげようよ」


清水「……こいつらっ」


人を殺したとは思えないあっさりした言葉に
清水比呂野は例えようもないヤバさを感じる


女性達が暗い顔をしていると何を思ったのか
秋也が 笑顔で話しかけてくる


秋也「気にする事ないさ、こんな奴ら死んで
当然なんだ さぁ行こう邪魔者は居ない
もぅ安全だ」


  ……それは何の罪も感じさせない歪んだ
笑顔だった………


   「っ!?・・(七原…お前はもう)」


典子「っ!?……くぅッ」


琴弾「そッ、なッ」


二人は最早言葉もなく項垂れるだけだった


仕方なく二人も歩きだそうとしたその時


清水「ちょっと待ってくれ」


清水が皆を呼び止める


川田「ん…?」


七原「どうした清水?」


典子「清水さんどうかしたの?」


琴弾「清水さん?」


何事かと皆が振り向くと


清水「……すまないが南に撃たれた所がまだ
痛むんだ………今のままじゃ歩くのも辛い
悪い んだが中川と琴弾手当てしてくれないか」


典子と琴弾の顔をチラッと見ながらそう清水が
言った


典子「!?………そうねわかったわ それじゃあ
川田君と秋也君は辺りを見張っていて」


琴弾「……(そういう事ね)……そうね清水さんは
私達にまかせて貴方達は辺りを警戒していて」


二人はそう言って清水に駆け寄っていく


川田「………仕方ないか、なるべく早く
手早くしてくれよ」


七原「あぁ わかった、怪しい奴がいたら
殺してやるか まかせてくれッ!」


そう言って秋也と川田は離れていった


   「(チッ こっちへくるか……これ以上は
危険だな)」
タタタッ


辺りに誰もいなくなったのを確認した3人は
今までの事を手早く話し合った


まずは典子が月岡彰に助けられた事から始まり
続く呼び掛けの真実を話した


清水「はぁ…………なるほど…な、桐山に罪を
かぶせるか……とんでもねぇ事考えてたんだな
川田の野郎」


琴弾「そう…………そっかッ、それが始まり
だったんだね、そして友美子と雪子だけじゃ
無くて月岡君も……」


典子「ぐすん……私……何も出来なかった 
〔ギュッ〕 月岡君に助けて貰ったのに…
ぐずっ…何も……ううっ……何もしてあげられ
なかった」


琴弾「典子ォ……辛いよね、そんな辛い思いに
ずっと耐えてたんだね」
ガバッ ギュッ


そう言って琴弾は典子を抱きしめてやった


清水「……ハァッ……そして人の良い七原は
川田の野郎にまんまと騙されちまったんだな」


清水がやり切れないとばかりに溜め息を吐き
天を仰ぎ見る


典子「うん……それでね、その後に」


そして典子は続きを話す、杉村との再会と
診療所での待ち合わせの事を


琴弾「えぇ!? 典子っ杉村君と一緒に
いたの!?」


杉村の話が出ると琴弾が食い付いてきた


典子「う…うん、ろくに話も出来なかったし
ほんの僅かな時間だったけど…でもそお陰で
診療所で皆と再会できるかもしれないの」


琴弾「そう……だったのね……そっかぁ診療所
……そこに杉村君もくるんだね」


加代子がそうつぶやく


清水「……診療所か………なぁ処でよちょっと
気なったんだけど……あ………のさ」


何故か酷く言い辛そうに清水が言葉を濁す


琴弾「ん?……どうかしたの」


典子「なぁに清水さん?」


二人に促されて清水は漸く先を続ける


清水「うぁあ………気を悪くしないでくれよ?
……あの野郎が七原を自分の側に引き込みたい
それはわかったんだけどよ……それじゃあよ
………なんで中川の事はさっさと始末しちまわ
ないんだ?…そこがわからないんだ」

琴弾「あ・・そっか」


清水の言葉に加代子も思いだしたように唸った


だが典子は既にわかっていたようで些かも動揺しなかった


そして彼女は先を続けた


典子「……理由はもう大体わかってるの」


琴弾「本当……な…の?」


清水「何なんだ、その理由って?」


典子「………ふうっ」


典子は決心したように話し出す


典子「それはね………私を秋也君の目の前で
殺す為……或いは秋也君自身の手で私を
殺させる為……だよ」


琴弾「なッ、そんなッ!?」


清水「あの野郎っ………そういう事かよ!!
…糞野郎がッ、なんて事考えやがる!!」


  ……川田の思惑に典子は既に気づいていた
だがそれでも………


典子「………確かに怖いよ私も……でもね
それでも 〔ギュッ ポタポタ〕 私は…
秋也君を助けたい…助けたいのッ」


それは涙混じりの悲痛な叫びだった

そしてその叫びは少女達の心も奮い立たせる
大きな力となる


琴弾「………強いね典子…だったらさッ最後まで
食らいついてやろうよッ!」


清水「……ふんッ、……ただの小娘かと思ったら
良い顔するじゃないか……だったらよ」


そして二人は典子の手を取り力強く叫ぶ


   「「必ず七原(君)を助けるんだ(よう)
私達みんなでッ!!」」


典子「っ!?…ありがとう、ううぅっ……本当に
ありがとう二人とも」


  ………絶望の後に訪れた大きな誓い………


  ……果たして少女達の祈りは絶望を光に
変えられるのか………


  ………舞台はいよいよ診療所に移る……





あとがき


いよいよ面白くなってきました


覗き見していた人は一体誰なのか


はたして彼女たちの運命は


光の戦士は間に合うのか


桐山達はどのように動くのか


ご期待下さい





新規あとがき


稲田瑞穂は月岡彰と同様にある意味
何でもありの人物なので機会があれば
他の作品でも出したいですね


因みに新バトルロワイアルには
七原秋也の他に現在バトルロワイアル
桐山和雄の章から二人が出演しています


それが誰かはお楽しみです


次回投稿の診療所編でお会いしましょう










 
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