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バトルロワイアル 桐山和雄の章

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< 前ページ 目次
 

プロローグ~第4話

 
前書き

個人的には川田章吾の悪役っぷりが原作の桐山和雄よりも
凄まじく強烈です
 

 




>

タッタッタッ


誰かが海岸の道路を走っているようだ


沼井充「ハァ ハァッ ハァッ もう少しだ」


彼の名前は沼井充 桐山和雄をボスと崇める
桐山チームのメンバーである


彼は今桐山和雄と合流するために南の端へと
向かっていた


教室での事だあの時桐山はチームのメンバーに
メモを渡していた 南の端で待っていると


桐山和雄が自分達を勝利へと導いてくれる
沼井充に恐怖などなかった


自分達は落ちこぼれだ そんな自分達にとって
桐山和雄は正にカリスマだった


桐山和雄に初めて会った時の輝きは今でも
心に焼き付いていた


自分達にとって桐山和雄とはそれ程の
存在だったのだ


充「……もう近いな、もうすぐボ スに会える
見てろよ!政府の連中め! ボスが桐山軍団が
お前らをぶちのめしてやるぜ!!!」


  ………その時…………


バシュッ! ドンッ!! パラララララララ
ラララー!

充「! 何だ! 今の音は!!」


充は全速力で走った


そして待ち合わせ場所で見たものは


充「なっ!!?! こ これはっ!!!!」


走り去る人影、その手には大型の銃を持って
いるようだ


そしてすぐ近くには片手にマシンガンを持ち
立ち尽くす桐山和雄


その周りには自分たちのメンバーである雲長博
笹川龍平 そしてクラスメイトで自分が密かに
想いを寄せていた金井泉の死体が無惨にも
転がっていた


無表情で立ち尽くす桐山和雄の足元には
コインが落ちていた


近づくとボスも自分に気がついたようだ


桐山和雄「……………充か?」


充「…ボス……一体何が……」


  …………コインは表だった…………




あとがき

まだ杉村弘樹編終わっていませんがネタが
出来たので投稿してしまいました


もしも桐山和雄のコインが表だったら
その様なお話になります


はたして走り去った人影とは


そしてもう1つ重大な事があります!!
何と遂に桐山和雄が喋りました!!


凄いぞ自分!! よくやってくれたー!!






  ……沼井充はただ静かに桐山和雄の言葉を
待っている……


辺りは静まり返っている この場にいる者は
全部で5人だ


再会する筈だった同じ桐山ファミリーである
黒長博と笹川龍平、そして同じクラスメートで
ある金井泉は既に帰らぬ人となっていた


  ……沼井充はただ静かに桐山和雄の言葉を
待っている……





バトルロワイアルanother story

桐山和雄の章 第1話 動き出す悪意


充「ボスっ! 一体何があったって言うんです!」


静寂に耐えられず充が叫んだその叫びを受けて
ついに桐山が口を開く


桐山「……暗闇から襲撃された、充お前が
今来た道路の先にある民家からだ」


充「なっ! そんな奴が……ボスっそいつは
一体誰なんです!?」


充にしてみればこんな殺し合いに乗るような
愚かな奴がいるとは思わなかった


確かに自分達は世間から不良と言われているし
自分達もその自覚はある だが何の抵抗も
しないクラスメイトをしかも女を殺すなんて
そんな事は考えもしなかった


桐山「襲撃者の顔はわからなかった、
ただ大柄な人物だと言う事は確認できた
俺も大したことはないが若干頭に傷を負った」

 
見ると桐山の頭からは若干の血がながれていた


充「………( ギリッ)…許せねぇ」


だがそこで充は月岡彰が見当たらない事に
気が付いた 彼は直ぐに桐山に確認する


充「ボスっ、 彰は? アイツはどこに
行ったんです?」


桐山「彰は襲撃者を追い掛けた、彼奴なら
尾行がバレる心配はないだろう」


充「………なるほど、確かにそうですね
それじゃ俺がさっき見た人影は彼奴じゃ
なかったのか…………」


月岡彰は気に入った男がいればストーカーまで
してしまう奴だ、しかも今まで一度も
バレた事がないんだからまさに筋金入りだろう


桐山「何時までもここに居てもしょうがない
俺達もここを移動しよう」


そう言って桐山は一度黒長博達の遺体を見た後
歩き出した


充「そうですね、とにかくここを離れましょう」


そこで充は肝心な事を確認していなかった事に
きがついた


充「あっ、そうだボスっ彰とはどこで
待ち合わせになってるんです?」
 

桐山「ああ…その事か、それなら禁止エリアに
ならなければ夕方6時以降に診療所で
待ち合わせになっている、もし禁止エリアに
なっていたらその少し離れた場所にある
漁協の倉庫だ」


充「成る程、流石ボスですね俺なんかと違って
頭の出来が違いますね」


桐山「そうでもない、では行こう」


充「はいっ!」


出発する直前充はもう一度仲間達の遺体に
目をやると遺体の瞼をそっと閉じてやる


充「……(ギリッ)……お前らの仇は必ず
取ってやる、必ず!」


  ・・このゲームを打破する為に
桐山と充は歩き出す・・


  ・・だが同じ頃1つの悪意が動き出して
いた・・






  …………それから暫しの時間がたった
ある森の中で……………


川田章吾と赤松と合流した七原達は桐山の
殺戮劇を聞いていた、そしてそれを聞いた
秋也は込み上げる怒りを押さえきれなかった


七原「っ!! 本当なのか川田、赤松 
桐山がこのゲームに乗っていて自分の仲間達を
殺したのは!」


典子「そんなっ! 本当なの?」


川田「ああ間違いない 俺達も襲われたんだ
なぁ赤松」


赤松「うん そうだよ七原君間違いないよ」


七原「そんなぁ……くそっ桐山!」

  
川田「……………(ニヤリ)……」
 

怒りに身を震わせる七原だがそれを見つめる
川田の目には恐ろしい冷酷な光があった


確かに普段の無表情な桐山ならば全ての人間は
その言葉を信じるだろう


だがこの時の川田は気がつかなかった
今の桐山にはその瞳に強い意志が戻り初めて
いた事に


桐山は幼少時の事故が原因で感情を無くした
だが人間の脳はまだ未知数だ、ならば
頭部に衝撃があれば何時いかなる時に
感情が戻る可能性がある事に川田は気が
つかなかった


  ………運命の引き金を引いたのは自分自身
だという事に…………




バトルロワイアル another story 桐山和雄の章 第1話 動き出す悪意




あとがきです
始まりました桐山和雄の章です


自分でもとんでもないことしたなあと
思っています


もはや原作の欠片もありません


この話を見ると桐山和雄ではなく沼井充が
主人公になってしまってますね
( ̄∇ ̄)


単純で人のいい七原はすっかりだまされて
しまっています


あとこの話では赤松は分校に戻っていません
その訳は…………


さてさてこれからどうなる事かお楽しみに









何処かで二人の大柄な男が話しをしている
一人はおどおどしていて気が弱い感じ
もう一人は凄まじい威圧感を放っていた



????「本当なんだね、言うとおりにしていれば
生きて帰れるっていうのは」


????「あぁ 約束する、俺は首輪の外し方を
知っている 言うとおりにしていたら
お前の首輪を外してやる」



????「…分かった、なんでも言うこと聞くよ」


???「(カチッ フゥッー) ……OKだ、
契約成立だ赤松」


赤松「う…うん、よろしくね川田君」


川田「あぁ (首輪は外してやるさ……ただし
その時お前が生きていればな……フフ)」



  …………闇の中で男達は暗躍する……………





バトルロワイアル another story 
桐山和雄の章 第2話 その名は




  ………夜が明けて暫しの時間帯 
七原達の居る森の中…………


秋也「赤松ー!!!」


典子「キャー!!」


二人が目を覚ますと赤松が死んでいた


典子「あっ! 秋也君あれ!」


七原「か…川田!!」


そしてその直ぐ側には川田が倒れていた


川田「…うっ……ううっ……痛ッ」


二人は慌てて川田に駆け寄る



典子「川田君しっかりして、大丈夫なの?」


川田「大丈夫だ すまない見張りをしていたら
突然暗がりから襲いかかられて…結界が
作動しなかったので安心しきっていた
どうやら気絶していたらしい」


七原「そんな……一体誰が ……ッ!…まさか」


典子「……桐山…君……なの?」


川田「わからない、顔は確認出来なかった
だがおそらく」


七原「くっ…赤松ゥ…畜生!!! 桐山ーー!!!」


典子「こんなの酷い…なんでこんな事を」


川田「………………(フフッ) 」


2人は川田の言葉を信じ桐山に激しい怒りを
募らせる


  ……それすらも仕組まれた事だと知らずに…………


川田「…(くくっ、それでいい…そうやって
怒りを募らせろ 今度はお前らが俺の為に
働いてくれ……赤松このお人よし二人を
手に入れた以上お前に用はない安心して
死んでくれ、フハハハッ)…」


  ・・全て計画通り川田は己の思い通りに
進むとそう信じて疑わなかった・・………


  ・・だがそんな彼ら を見つめる
一対の視線があった・・


  ・・あの桐山和雄すら一目置くその男
の名は・・


月岡彰「あらあら川田君ったら酷い男
あんな可愛らしい七原君と中川さんを
騙すなんて」


月岡彰であった、彼は桐山和雄の下を離れて
からずっと川田章吾を見張っていた


なので赤松義生が殺された真実もしっかりと
見ていた


彰「それにしても自業自得とは言え赤松君も
可愛そうよねぇ、あんなに涙流して助けて
くれって言ってたのに川田君ったらあっさり
殺しちゃうんだものね」


彰は父親がオカマバーを経営しているので
大人の世界に深く関わっていた


その為人の心理状態も良く察する事が出来た


彰「それにしても川田君ったら普通の人とは
何処かずれているとは思っていたけど
あんな本性隠してたのね、人を殺すのに
あんなに楽しそうにして流石の私もちょっと
怖かったわぁ……そして その罪を全て桐山君に
押し付けるのね………フフッ随分なめた真似
してくれるじゃない川田君」


彰の脳裏にはあの時の会話が甦っていた
襲撃者を追いかける時桐山は言ったのだ


彰頼んだぞ と気を付けろとそう言ったのだ


彰「安心して桐山君、貴方に危害なんて
くわえさせない川田章吾は私がしっかり
見張っているわ…ウフフッ…だ…か…らっ
後でご褒美頂戴ねっ、愛しいダーリン」


どうやら彼は桐山に優しい言葉をかけられ
頼りにされた事で彼にゾッコンloveして
しまったようである


彰「…ところでどんなご褒美がいいかしらねぇ
ウフフッ楽しみだわぁ」


  ……桐山に最大の危機(?)が迫っていた……


場所が変わり南の端から程良く離れた処で
桐山と充は休憩をとっていた


だが先程から充の表情はすぐれなかった
何かを考えているようだ


それを見ていた桐山は若干躊躇ったものの
充に声をかける


桐山「充………どうした?」


充「はっ いえ、なんでもないです…ただ」


言葉を濁す充に桐山は以前笹原龍平が話して
いた事を思い出した


桐山「……金井泉の事か?……以前龍平から
聞いた事がある、お前が…」


知られていた事に一瞬驚いたものの充も
正直に話す


充「は…はい、分不相応だとは分かっては
いたんですが……ずっと好きだったんです
……なのに俺………何も…何も出来なくて」


悔しそうに辛そうに話す充に桐山は言いようの
無い感情に戸惑いながらも言葉を探す


桐山「…充…俺にはよく分からない……
ただお前のそんな辛い顔は見たくない
元気を出せ充 元気を出せ充」


不器用ながらも思いのこもった言葉に
充の表情も柔いでく る


充「ボス……ありがとうございます…
ありがとうございます…俺」


桐山はまたしても一瞬躊躇ったものの
言葉を続ける


桐山「…充、俺のことは和雄で良い…
仲間とは……名前で呼び合うものだろう」


充「ボスっ、俺の事仲間だと思ってくれるん
ですか…」


桐山「…お前は俺の大切な仲間だ」


充「ありがとうございます…俺本当に
嬉しいです」


涙ながらに話す充を見つめる桐山の表情も
何処か人間らしい感情にあふれていた


桐山「さて、充そろそろ行こう」


充「はいっ、ボスっあ……いや………和雄さん…」


桐山「………和雄で良い」


  ……充と桐山はこの日真の友達になった………



あとがき

月岡彰がいい味出し てますね

この人だけ進んでギャグキャラに出来ます











バトルロワイアル 超番外編 月岡彰編




私の名前は月岡彰、今日は愛しい愛しい
和雄君とデートなの


やっぱり恋人同士だもの♪


思いっきりおめかししちゃおうかしら♪♪


お昼はもちろん私の手料理よ


和雄君ったらどんな反応してくれるかしら
楽しみね


そしてデートの後は…ウフフフフ♡



彰「…ウフフ…ウフフフフ…やだぁ♡
和雄君ったら」


龍平「……おっ…おい……幸せそうな顔して
眠ってやがるぞこいつ…」


黒長「…………はぁ」


充「……………(-_-#)」


和雄「…………」


充「…ボス、こいつ捨ててきていいですか?」


龍平「触ると彰が移るんじゃねえか?」


黒長「……なんか触りたくねぇよな」


充「…………ならこの場で楽にしてやるか」


龍平「………このアホが……くたばるとは思えんが」


彰「ふふふ…ウフフフフ和雄君」



  …………(スタスタスタスタ)………


黒長「おい!! こいつ不気味に笑ってやがる!
誰か何とかしろ!!!」

充「コイツは……ボスこいつどうします??」


………………
……………………?


充「……ボス?……おい!ボスはどうしたんだ!!?」


龍平「ボスならさっき逃げて行ったぞ」


黒長「……無理もないよなぁ・・はぁ」


彰「……ムフフ♪♪ ……ウフフフフ」












南の山頂上付近で桐山和雄と沼井充は朝の放送
を聞いていた


流された放送は自分達の期待を遥かに
裏切るものだった


充「クソッ(ダンッ!)…信じらんねぇ10人だって!
もうそんなに死んじまったのか!!」


桐山「……想像以上だな」


朝の放送で赤松義生、大木立道、黒長博
笹川竜平、元渕恭一、山本和彦、江藤恵
小川さくら、金井泉、天童真弓の死亡放送が
流れた


こんなゲームに乗る奴などいない そんな
二人の願いは儚い夢となってしまった


充「ちくしょう、ちくしょう」


やりきれない思いになる充、そんな彼を
桐山はただ見つめている


だが悲しんでばかりはいられない


桐山「……襲撃者以外にゲームに乗った人間が
いるという事だな 」


桐山の言葉に充も意識を切り替える


充「なっ、 まさか……一体誰が?」


桐山「……分からない、だが確実に存在する
事は間違いない」


そこで桐山は思いついた事があるのか
充に質問する


桐山「……充、逆に考えてみよう」


充「?どういう事ですか?」


桐山「この場合の俺達にとって信用に値する
人間は誰だ?」


その言葉で充も桐山の言いたい事が分かった
ようだ


充「……そうですね、向こうが俺達の事を
信用してくれるかどうかともかく、こちらが
信用できそうな奴と言えば・・七原、三村
杉村、滝口、瀬戸・・女子の事はよく
わかりませんが委員長の内海と一緒にいる
連中は概ね信用できるんじゃないでしょうかね」


その言葉に桐山も納得する


桐山「そうだな、今の連中ならゲームに
乗る事はあるまい」


充もうなずき言葉を返す


充「……つまり襲撃者は他のメンバーの中に」


桐山「…………そういう事だ、おそらく
間違いは無いだろう」


充「…でも一体誰が……………」


桐山「……分からん、とにかく夕方の
彰との再会を待とう」


充「そうですね」
 

二人の予想は概ね正解だった、だが彼らは
知らない


信用できるメンバーの中の七原と中川典子は
闇の魔手に捕らわれている事を


  ………そしてもう1つ、運命の時間は
近づいていた………


????「皆ー殺し合いなんて止めてー!」


突如として響き渡る放送


桐山「!!?」


充「なんだこれは!! 呼びかけてるのか!!」


この場所からでは遠くてよく聞こえないが
殺し合いをやめてくれと呼びかけているのが
よくわかった


  ……だが………


桐山「……不味いぞ充、あんなに目立つ事を
したら、もし襲撃者やゲームに乗った連中が
近くにいたら危険だ」


充「はっ! クソッ なんとかならねぇのか!」


どうにもならない状況に憤りを感じる二人


  ………そしてあり得ない言葉が流 れる……


????「お願い! 私達の言葉を聞いて」


???「みんなで一緒に帰 「桐山ー!!」
 〔ドオゥン!!!〕 キャアア!!」

………………
…………………


二人には言葉がなかった


何が起こったのかわからなかった


充には理解出来なかった


何故?? 何故ボスの名前が呼ばれる????


何故和雄さんの名前が呼ばれるんだ??


ここからでは距離がありすぎて誰が喋ったのか
分からない


誰なんだ?


一体何があった?


その後も銃声が聞こえた、どうやら最初の一撃
でマイクが壊れたらしいため聞こえてきたのは
銃声だけだった…………


桐山「………まんまとやられたな…」


今まで黙っていた桐山が言葉を話す


その言葉に充も反応する


充「どッ! ということです! やられたって!!」


桐山「俺に全ての罪を押し付けるつもりだ
その為にマイクを壊す……まんまとやられたよ」


充「……………誰だ……博や竜平、金井泉を
殺しただけでなくよりにもよってその罪を全て
和雄さんに押し付けるってのか!!」


桐山「……このままでは不味いな、襲撃者の
思う壺だ」


充「一体誰なんだーーー!!!!」


  …………周囲に充の絶叫が響き渡る………………





  …………ほんと いい子よね……


  ………お前か、残念だったな…………


  ………ほっとけるわけ ないでしょ…………


  …………誰か 伝えて頂戴……



バトルロワイアル another story 桐山和雄の章 第3話 その先にあるもの


次回 見ていた者 聞いていた者

 
あとがき

やっぱり充が主人公になってしまっている……
 
襲撃者が誰なのか皆さんにはお分かりでしょう


彼が今度もとんでも無い暗躍をしています


次の話ではこの話の別サイドでお送りします


辛い話になる予定です


正直書くのが辛いです














彰「……七原君と中川さん大分落ち込んでいる
みたいね、無理もないわ僅かな時間で
もう10人も死んじゃったんだものね」


実際ここから見ていても七原君がやりきれなさ
に自分を責めていたのがよくわかった


彰「いざという時の女の度胸は凄いから
中川さんは大丈夫でしょうけど 問題は
七原君よね」


その言葉どおり典子は怒り 悲しむ秋也を
一生懸命支えていた


彰「彼正義感が強いから川田君に変な入れ知恵
されておかしな方向にねじ曲がらなければ
いいけれど………まぁ 中川さんがいるから
大丈夫でしょうけれど…………」


そこで彰は中川典子に視線を移す、彼女を見る
彰の表情はとても優げな笑みをうかべていた


彰「………ほんと良い子よね……」



ここは桐山、充達の居る場所から遥か北東に
位置する北の山展望台に程近い位置にある
森の中


そこで月岡彰は川田章吾を見張っていた




バトルロワイアル another story 
桐山和雄の章 第4話

見ていた者 聞いていた者 前編






あれは赤松が死んだ直後だった 桐山への
怒りで七原は森を飛び出してしまったのだ


幸い川田が程なく見つけたので何も問題は
なかったが……(川田にとっても今の段階で
七原に勝手に動かれるのは都合が悪かったの
だろう)…


川田が七原を連れ戻しにその場を離れた時
一人残った典子に野犬が襲い掛かってきたのだ
突然の事に立ちすくむ典子


気がついたら彰は飛び出していた


あっという間に野犬を気絶させて事なきを得た
…(殺すと血が残り厄介なので離れた処で
逃がしてやった)…


最初は典子も殺人鬼桐山和雄の仲間だと
警戒していたが、直ぐに誤解だとわかり
疑ってゴメンなさいと誤ってくれた


だ が真実を話していない、下手に話せば
川田章吾に感づかれ危険だからだ


なので彼女には自分との事は絶対に話すなと
約束させた


彼女も追求せずに快く納得してくれた


彰「………でも、中川さんも感づいてるかもね」


七原君や中川さんに危害を加えさせる訳には
いかない


彰「守ってやらなきゃね、二人とも……」


  ……月岡彰は決意する 川田章吾の魔手
から必ず二人を守ると……


  ……運命の瞬間は刻一刻と近づいていた……



月岡彰は焦っていた、殺し合いをやめてくれ
そう言ったのは恐らく北野雪子と日下友美子
だろう


だがあんな放送はマイナスにしかならない
自分達を追い詰めるだけだ


それに今の放送を聞いて川田章吾も何かを
考えてる ようだ


彰「…………一体何を考えているの……
川田君……」


……………………
 ……………………


七原「二人を助けなきゃ!」


典子「友美子、雪子………」


川田「………………………(ニヤリ)…」


典子「!?……………………」


川田「俺が行く、二人はここで待っててくれ」


七原「何言ってるんだ川田!! お前一人じゃ
危険だ!!」


典子「…………(何を考えてるの)…」


川田「いやっ 俺一人の方が身軽だ…
頼む俺を信じてくれ」


典子「…………(どうすればいいの・・
どうすれば・・月岡君)…」

………………
 …………………


彰「そうくる訳ね、川田君……」


視線の先では事態が進展していく


どうやら二人を残し川田章吾が一人で展望台へ
向かうようだ


だがそれは……助けに行く為ではない
……その逆だ


川田章吾が走り出した、もう一刻の猶予もない


彰「…くっ…不味いわね」


  ………だが躊躇は一瞬だった………


悲しそうな中川典子の顔を見た時既に心は
きまっていた


彰「はぁ、ほんと私も甘くなったわねぇ
………でも今の桐山君なら同じ事する
でしょうね」


そんな彼から自分は託されたのだ、頼む
そう言われたのだ


  ………だったら………


彰「ッ! ほっとけるわけ ないでしょ!!!!」
ガサッ! ダダダッ!!


  ・・彰は走り出した・・


  ・・最早躊躇いはなかった・・


  …………例え彼がこの先待ち受ける自分の
運命を知っても同じ事をしただろう……



  ……その背中はまさに守るべき者を
見つけた誇り高い背中だった……


  ………運命は加速する最早誰にも
止める事は出来ない…………






バトルロワイアル another story 
桐山和雄の章 第4話

見ていた者 聞いていた者 前編















  ………北の山 頂上展望台に向かって走る
二人の人影があった……


前を走る川田章吾は込み上げる興奮を
押さえきれなかった


川田「クックックッ、いいぞ いいぞ
また血が見れる! そして全ての罪は桐山和雄
お前の物だ! フハハハハハハハ!」


川田章吾は笑いが止まらなかった


全てが自分の思い通りに行っている


その姿は まさに血に飢えた悪魔だった


川田章吾より遅れる事後方 月岡彰も懸命に
走っていた


だがそれは川田章吾とは違い守るべきものを
見つけた誇り高い表情だった


彰「間にあって頂戴、お願い間にあって!」


  ………運命は加速する そして それは
新たな運命を呼び寄せる………





バトルロワイアル another story 第4話

見ていた者 聞いていた者 後編






場所は変わり森の中 川田章吾がいなくなり
七原秋也と中川典子は


秋也「川田頼むぞ、雪子さんと友美子さんを
救ってくれ」


その表情は既に川田章吾を微塵も疑っては
いなかった


それが間違いだと知らず秋也はただ川田を
信じ続ける


典子「…………秋也君………(どうすればいいの
このままじゃ秋也君は取り返しのつかない事に
なっちゃう)」


そしてそんな秋也を見つめる典子の表情は
言い知れぬ不安と悲しみに満ちていた


例え典子がこの場を離れようと言っても
今の彼では聞き入れはしないだろう

どうにもならない状況に彼女はただ祈り
続けていた


典子「…(お願い月岡君、桐山君、沼井君
秋也君を助けて)」


  ・・少女は祈り続ける・・


  ・・その願いを聞き届けるのは果たして
誰なのか・・


川田章吾は既に展望台が見える所まで来ていた
その視線の先では二人の少女が必死に
呼びかけをしていた


川田「フフフ、待ってろよもう直ぐ殺してやる」
カチャリ ダダダッ


そう呟くと彼は押さえきれぬ興奮を最早
隠さずに展望台へと走り出した


…………
 …………


友美子「お願い皆こんな事やめようよ!!」


雪子「そうだよ! 殺し合いなんてやめて
お願いー!」


少女達は叫び続ける 恐怖もあるだろう
だがそれでも彼女達は呼び掛けをやめない


  ……だが先に来たのは救いの手では
なかった……


友美子、雪子「みんなー!! 同じ気持ちの人は
ここに来て! そしてみんなで一緒に脱
 「桐山ー!」 〔ドオゥン!!!〕 キャー!!! 」
ガシャン ドタァ! カラカラ


???「!?!」


雪子「ッ! 痛い 誰! ッア!」


友美子「うっ グッ ううっ」


それは突然だった 呼びかけをおこなっていた
二人を突然の銃弾が襲う


その衝撃でマイクは壊れ2人も酷い怪我を負う


友美子「だ 誰なの? 桐山君?」


雪子「桐山君? ハッ! 違う! 貴方は」


カチ フウゥー
川田「よぅお二人さん 地獄の入口へようこそ
…フハハハ」


タバコを吸いながら現れたのは恐ろしい悪鬼の
形相の川田章吾だった


その恐ろしい形相に二人は何も抵抗する事が
出来なかった


雪子「どッ どうしてこんな事を?」


友美子「そっそうだよ! 皆で力を合わせて帰
 「殺したいからさ…血が見たいのさ」
 なッ」


ピッピッピ
???「ハァハァッ! 5つの反応 2つは
友美子さんと雪子さん、残り3つは誰なんだ!」
タッタッタッ


川田の言葉が二人には理解出来なかった


川田「血を見るのは最高だ 人を殺す瞬間!
あの感触を一度味わったらもう他の楽しみ
なんて何も無くなるんだ……だから 
お前らも死んでくれ、俺の楽しみの為に」
カツン カツン ガサガサッ カチ ャリ


???「!!」
ブルブル ガタガタガタ


そう言って川田は二人の荷物を奪い用済みと
ばかりに拳銃を二人に向ける


友美子「………ごめんね雪子、私が馬鹿だった
のかな 呼びかけをしようなんて」


雪子「………そんなこと無いよ、ありがとう
友美ちゃん、私達精一杯やったもん 
私達の呼び掛けきっと無駄じゃなかったよ」


友美子「!………ありがとう雪子」


雪子「私もありがとう友美ちゃん」


川田「……お別れの挨拶はすんだか? 
ならさっさと死ね 「そうはさせないわ!」
 ぬっ?」

   バチュン!!


川田「! チィッ」


彰「………川田君 貴方はちょっとやりすぎた
ようね」
ハァ ハァッ ハァッ!


間一髪で現れたのは月岡彰であった

全身汗まみれになりながらも彼は二人を庇い
仁王立ちしていた


雪子「月岡君?」


友美子「助けに来てくれたの?」


だがそれにも川田は些かも動揺しなかった


それ処か新たな獲物に興奮しているようだった


川田「……お前か だが残念だったなぁ」
カチッ コロコロ ダダッ


彰「ハッ! 手榴弾!! なんて事をー!ー!」
バッ ガバッ ドガァ!!!!


友美子「キャアアアアアア!!」


雪子「アアアアアアアア!!」


一瞬の事だった 川田章吾が手榴弾を使い
前方に転がした時は既に爆発寸前だった


間に合わないと悟った彼はその身を呈して
二人を守った


  ………だが現実は非情だった………


彰「グハッ! ハグァ! ハァハァッ 
ふ 二人とも大丈夫?」


雪子「……………」


友美子「……………」


彰「ねぇ! 目を開けなさい!!!」


  ………二人は既に事切れていた……


彰「バ カァ なにやってんのよぉ 
目を開けなさいよ」
ギュッ ポタポタポタ


自分も満身創痍ながら必死に呼びかける
涙で顔がめちゃくちゃになりながらも必死に
呼びかけたが二人の意識が戻る事は無かった


???「………」ギリッ


彰「……頑張ったわね二人とも………ゆっくり
おやすみなさい…もう怖い夢なんか見ないから
……だからゆっくりおやすみなさい」
ポタポタポタ


川田「……安心しろお前も同じところに
送ってやる」


彰「…………そしてその罪を全て桐山君に
押し付けるのね……」


彰は怒りが押さえ切れなかった


間に合わなかった自分が悔しい


こんな奴に殺される自分が悔しい


桐山君を助けられなかった自分が悔しい


七原君と中川さんを助けられなかった自分が
とても悔しかった


川田「感謝しろよ、彼奴に相応しい末路だろう
フハハハ!!」


彰「……七原君や典子さんも貴方の都合の良い
道具って訳ね」


川田「…なんだ知ってたのか、教えてやるよ
七原は化けるぜ…心の闇を大きくすれば
とんでもねぇ 化け物になるぜクククッ」


彰「……まだ何も終わらないわ」


川田「なにぃ 悪あがきか…さっさと死ね」


彰「…ドジ踏んじゃったわね、でも後悔なんて
してないわ………」
ドオゥン!! ダンッ!!!



  ………当たりには静寂が戻った……


川田「…(カチャ スウゥー)…上手ぇなぁ
やっぱり殺しをした後のタバコは最高だ
…アハハハ クハハハハハ!!」


血の臭いに酔いしれながら川田章吾は
二人の場所に戻っていった



ピクリ
彰「……(あたし生きてるのかしら? 
もう何もわからない、手足の感覚も無い)」


ガサッ
????「!?!! これは! 友美子さん!雪子さん!
月岡!!!」


彰「……(でも伝えなきゃ 川田君の事を
誰かに伝えなきゃ)……」


???「は ッ! まだ生きてる! おいっ月岡!!
しっかりしろ!!」


彰「………お願い誰か聞いて頂戴」


???「月岡ッ!俺が分かるか!……聞こえて
無いのか…」


彰「雪子さんと友美子さんを殺したのは
桐山君じゃないわ 川田章吾よ」


???「なッ!?」


彰「川田章吾は桐山君に全ての罪を押し
付けたのよ、そして川田章吾は七原君と
中川典子さんを騙して仲間にしたの」


???「!?……七原……典子さん」


彰「七原君は完全に川田章吾を信用してるわ
中川さんは川田章吾の本性に感づいているわ
……グハッ!!」


????「しっかりしろ! 月岡ッ!」


彰「……グフッ!…お願い二人を助けてあげて
…………夕方診療所…診療所に………充君
後は頼んだわよ…………桐山君を守ってあげて
クハ ッ!ゴフォ!!………桐山………君ありがとう
……………………」


  ・・それっきり月岡彰は動く事は
なかった・・


  ・・だが三人の頑張りは決して無駄では
なかった・・


杉村「……月岡…………ゆっくり眠ってくれ
……お前の願い確かに聞き入れたぞ」


杉村は月岡を友美子さんや雪子さんを
そっと並べて瞼を閉じてやった


ギリィイッ
杉村「…川田章吾ッ お前の好きには
させない!!!」
ダダダダダッ


  ・・意志を受けついだ杉村弘樹は
走り出す・・


  ・・その心には確かに月岡彰の魂が
受け継がれていた・・


  ………そしてその他にも………


タッタッタッ
豊「クソッ! ゴメンよ何も出来なかった
ゴメンよ!!」


  ・・瀬戸豊であった・・

  ・・彼もまた運命の鍵を受け継いだ
一人だった・・


豊「……知らせなきゃ……この事を誰かに
知らせなきゃ」


????「……豊か?」


  ……彼も又受け継ぎし者であった………


  ・・一つの運命の終着は新たな運命を
呼び寄せた・・


  ・・その先には果たして何か待ち受けるの
だろうか・・



バトルロワイアル another story 
桐山和雄の章 第4話

見ていた者 聞いていた者 後編





あとがき

スイマセンでした_(._.)__
月岡彰ここでリタイヤです


本来なら彼は最後まで死ぬ予定ではありません
でした


ですが書き出したら止まりませんでした


ですがとても素晴らしい人物になってくれたと
思っています


これからどうなるのか


運命の診療所………どうなる事やら





 
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