ヘタリア大帝国
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TURN122 砂嵐の中でその五
「ですから」
「では」
「はい、使って宜しいでしょうか」
「確かに、最早あれしかありませんね」
風を使えなくなった、それではだった。
「この状況では」
「今よりですね」
「全軍に伝えます」
イギリス妹からエイリス軍の将兵達に伝えられる」
「三列縦隊になります」
「三列縦隊!?それでは」
「あの戦術を使うのですね、これから」
「ネルソンタッチですか」
「あれを」
「そうです、エイリス軍のあの戦術を使います」
イギリス妹は確かな顔で全軍に告げていく。
「それでいいですね」
「は、はいそれでは」
「今より」
エイリス軍の将兵達は緊張と共に応えた、そうして。
彼等はすぐに三列縦隊になった、その時にはもう風は止んでいた。
その風がなくなった中で枢軸軍に進む、その陣を見たサフランが言う。
「ネルソンタッチですね」
「あの伝説の!?」
「はい、エイリス軍がトラファルガーで使った戦術です」
まさにそれだとだ、サフランはクリオネに話した。
「ネルソン提督のご先祖様が使われた」
「まさかそれを使ってくるなんて」
「思われませんでしたか」
「ええ、必殺戦術よねエイリスの」
「はい」
まさにだ、それだというのだ。
「乾坤一擲に」
「それをしてくるってことは」
「エイリス軍は全てを賭けています」
そのうえで仕掛けてきているというのだ。
「間違いなく」
「突撃してきて後は」
「砲塔を左右に回して総攻撃を仕掛けてきます」
それがネルソンタッチだというのだ。
「そうしてきます」
「厄介ね、これは」
クリオネもそのことを聞いて言う。
「勝てるかしら」
「はい、勝てます」
サフランの問いはここでも確かなものだった。
「無事に」
「いつものクールな自信ね、けれど」
「私は自信のないことは言いません」
だからだというのだ。
「今も」
「じゃあ今回はどうするのかしら」
「司令、宜しいでしょうか」
サフランは東郷にモニターから言った。
「ここはです」
「ああ、聞かせてもらおう」
「全軍で正面に弾幕を張ります」
そうすべきだというのだ。
「それによって敵の攻撃を防ぎます」
「いけるか?それで」
「いえ、無理です」
そうしてもだ、エイリス軍の突撃は防げないというのだ。
「それだけでは」
「そうか、ではだ」
東郷はそのことを聞いてこう言った。
「機雷だな」
「それを撒かれるのですか」
「丁度いい具合に風もなくなっている」
このこともあった。
「だからな」
「機雷を前方に撒布されますか」
「突撃していればこれは避けられない」
このことは当然のことだ、機雷は敵の進路を阻む目的もある、陸上戦での地雷とその役割は全く同じものなのだ。
それでだ、ここでもだというのだ。
「いいな」
「はい、わかりました」
「全軍前方に機雷を撒布しろ」
東郷は全軍に告げた。
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