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MS Operative Theory

作者:ユリス
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軍編制
  地球連邦軍の編制③

——軍閥化と分裂の兆しが見え隠れする、U.C.0080年代中期以降の地球連邦軍——

 地球連邦の成立とともに編成された地球連邦軍は、地球連邦を構成する国家の軍隊から戦力を抽出して組織されたこともあって、軍閥傾向が強い軍隊となっている。一年戦争でもレビル将軍やゴップ大将の派閥が存在しており、MSに対する意識の差や星一号作戦前後における意見の相違などが見られた。

 しかし、戦争中だったこともあって各派閥の対立は深刻なものではなかったようだ。 軍閥の政治力学が顕著化された時期は一年戦争後のことで、特にU.C.0081,10,13に連邦会議で承認された「連邦軍再建計画」がその引き金となったと考えられる。

 U.C.0080年代前期、地球連邦軍にはジーン・コリニー大将の派閥や、ジョン・コーウェン中将の派閥などが存在していた。特にジョン・コーウェン中将は、「連邦軍再建計画」の中でも重要な位置を占める「ガンダム開発計画」の式をとって居た。

 かつてレビル将軍閥に属していたとされるコーウェン中将は、レビル将軍が戦死した後も勢力を失うことなく、地球連邦軍内に派閥を築いていた。

 しかし、コリニー大将閥がU.C.0083のデラーズ紛争を利用してコーウェン中将を失脚させると、大将の腹心であったジャミトフ・ハイマン准将が特殊部隊ティターンズを設立。そして、この後、コリニー将軍の派閥はジャミトフ准将が受け継いでいる。

 こうして誕生したティターンズは、旧ジオン公国軍残党勢力の掃討を表向きの任務とする特務部隊だったが、その規模は特務部隊という概念を超えるものであった。ティターンズは独自の予算を持つだけではなく、サイド7宙域に基地コロニー「グリプス」を建造し、さらに新型機や艦艇も装備していた。

 また、ティターンズ将兵は一般軍の二階級上の権限を持つうえ、指揮権などの面でも優遇されていた。これは、U.C.0087,08,16にティターンズ権限拡大法案が可決されたことでより顕著になった。これにより、ティターンズが母体である地球連邦軍を超える権限を持つ組織となったのである。

 これに対し、ブレックス・フォーラ准将を中心とした地球連邦軍の一部が、アナハイム・エレクトロニクス社などのバック・アップを受けてエゥーゴを組織していた。このように、U.C.0080年代中期から後期にかけての地球連邦軍は、ティターンズとエゥーゴの二大派閥への分裂を起因として大きく乱れていた。

 U.C.0090年代に入ると、地球連邦軍は旧来に近い編成となって居た。ジオン公国軍残党の掃討を目的として外郭新興部隊ロンド・ベルが創設されたものの、実際にはロンド・ベルは遊撃隊としての側面が強い舞台として運用された。

 しかし、U.C.0100年代に入ると地球連邦政府の統率力が低下したこともあって、地球連邦軍は各部隊が独自の判断で動くケースが多く見られるようになった。地球連邦体制の弱体化とともに、地球連邦軍の分裂も始まっていたのである。



——グリプス戦役期の編制———ティターンズとエゥーゴ——

 U.C.0080年代中期から後期にかけて、地球連邦軍の特殊部隊に過ぎなかったティターンズが台頭し、U.C.0087,08,16には合法的に地球連邦軍の指揮権を得た。

 つまり、地球連邦軍内の一組織であったティターンズが、地球連邦軍の上位組織となったのである。また、反ティターンズを掲げた地球連邦軍一部勢力が結成したエゥーゴやカラバも出現し、地球連邦軍は分裂状態に陥っていた。

 この時期は、ティターンズとエゥーゴが二大派閥であったが、グリプス戦役中期頃まで、地球連邦軍の大半はティターンズを支持していた。


■U.C.0080年代後期の地球連邦軍の編制

 U.C.0080年代後期の地球連邦軍は、ティターンズとエゥーゴに二分されると逝っても過言ではない。宇宙と地球に拠点や部隊を持つティターンズとは異なり、エゥーゴは主に宇宙を中心に部隊を編制しており、地球ではカラバが展開していた。また、ティターンズはニュータイプ研究所や木製船団を擁するなど、地球連邦軍の大部分を傘下に収めていた。



——U.C.0100年代の編制———リーダーシップの不在——

 グリプス戦役と第1次ネオ・ジオン戦争の終結により、ティターンズとエゥーゴが消滅し、地球連邦軍は一年戦争のそれに近い体制へと再編された。

 しかし、U.C.0120年代頃から地球連邦政府の求心力の低下が顕著となり、コスモ・バビロニア建国戦争以降に到来した宇宙戦国時代の解決手段を提示できなかった。

 これは地球連邦議会がコロニー間の利益調整機関としての側面を強くして居たことが一員で、これにより地球連邦軍も軍全体としての格闘が困難になっていた。このため、軍閥化が進み、各派閥が独自の判断で行動するケースが見られた。


■U.C.0090頃の地球連邦軍の編制

 第1次ネオ・ジオン戦争の終結直後から、シャアの反乱時にかけての編成は詳しくは知られていない。外郭部隊としてロンド・ベル隊が結成されていたが、地球連邦軍そのものとしては、旧来通り軌道艦隊や各コロニー駐留軍を中心に編成されていたと思われる。


■U.C.0100以降の地球連邦軍の編制

 U.C.0120頃からザンスカール戦争にかけては、地球連邦の弱体化に伴い、軍も独自の権限を強めていたと考えられる。ムバラク将軍の用に部隊や艦隊単位で行動を行うケースも多く、リガ・ミリティアと共闘するケースも見られた。





補足事項

——各時代の地球連邦軍部隊——

 ホワイトベース隊やアーガマ隊と逝った有名な部隊以外にも、地球連邦軍には多数の実戦部隊が存在した。しかし、一年戦争末期以降、航空部隊や戦車部隊など、旧来の兵器で構成された部隊の認知度は低下し、MS部隊が広く知られるようになった。

 AFVや航空機などの既存の兵器は、コロニー内などの特殊環境への対応や大量物資の輸送など、MSでは困難な任務に投入された。


■一年戦争~デラーズ紛争

▼G-4実験部隊

 単に「G-4部隊」とも呼ばれる。一年戦争末期、サイド6のリボー・コロニーにおいてRX-78NT-1(アレックス)の調整を行っていたことで知られる。クリスチーナ・マッケンジー中尉らが所属。


▼スカーレット隊

 ペガサス級強襲揚陸艦グレイファントムを母艦とするMS部隊で、RGM-79SP(ジム・スナイパーⅡ)やRX-77D(ガンキャノン量産型)などを装備していた。サイクロプス隊との交戦で壊滅した。


▼マチルダ隊

 第136連隊に所属する輸送部隊で、ミデア輸送艦で編成されていた。隊長はマチルダ・アジャン中尉。レビル将軍との繋がりが深く、幾度かホワイトベース隊と接触している。


▼不死身の第4小隊

 サウス・バニング中尉(当時)を隊長とするMS小隊。アルファ・A・ベイト、ベルナルド・モンシア、チャップ・アデルが所属する4機編制のMS小隊だった。デラーズ紛争でも再結成されている。

■グリプス戦役~第1次ネオ・ジオン戦争

▼ブラン・ブルターク隊

 ブラン・ブルターク少佐が隊長を務めた大気圏内起動兵器部隊。ガルダ級スードリを確保してアウムドラ追撃を行った。NRX-44(アッシマー)やRMS-106(ハイザック)、ゲターを装備していた。


▼ホンコン特務

 ホンコン・シティに駐留する地球連邦軍の情報支局で、工作員やMS部隊を有する。水圏が多い地域に配備されていたため、水陸両用MSのMS-06M(マリン・ハイザック)を装備していた。


▼ボスニア隊

 サラミス改級宇宙巡洋艦ボスニアを母艦とする部隊で、艦長はチャン・ヤー少佐。ライラ・ミラ・ライラ大尉を隊長とするMS部隊(RMS-117(ガルバルディβ)を装備)が配備されていた。


▼ハリオ隊

 アレキアンドリア級重巡洋艦ハリオを母艦とする部隊で、艦長はデッド・アヤチ少佐。新型の艦艇が配備されていたが、艦載MSは一年戦争型のMS-06K(ザク・キャノン)だった。

■コスモ・バビロニア建国戦争

▼フロンティア・サイド駐留軍


 新興コロニー群フロンティア・サイドに駐留していた地球連邦軍。士気と練度が低く、クロスボーン・バンガードの奇襲を受けてフロンティアⅠ宙域に追い込まれた。

■ザンスカール戦争

▼ムバラク隊

 ムバラク・スターン将軍が指揮する宇宙艦隊で、旗艦はカイラム級戦艦ジャンヌ・ダルク。ザンスカール戦争当時、リガ・ミリティアと共闘してエンジェル・ハイロゥの阻止作戦を展開した。


▼ロンドン・テリー隊

 アイルランド駐屯地を拠点とする部隊で、基地司令はエトロフ・ロシオ。リガ・ミリティアにロベルト・ゴメス大尉を派遣したほか、高速戦闘艦で戦闘支援なども行った。

 
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