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ソードアート・オンライン~紅き剣聖~

作者:ARISEN
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一部 浮遊城アインクラッド編
  死闘の果てに

sideソウスケ


キリトの剣は冷静さを欠いていた、しかし油断出来る程甘くはない、一撃一撃が俺の命を狙っている。
「うぉぉぉぉぉっっ!!」
キリトの放つ剣撃。
「ちっ!」
俺はキリトから距離をとる。
「取った!」
キリトの剣が再び血の色を帯びる。
俺とキリトの距離が詰められる。

死が迫る。

「ソウスケ君!!」
その声は届かない、意識を眼前の《(キリト)》に集中させる。
「………………風魔一刀流……………………」
俺からは斬らない、これは待ちの技。
「…………壱ノ型…………」
俺の刀が緑色の光を帯びる。
姿勢を低くする。
「…………神威(かむい)………!!!」
疾風の如き居合い斬り。
狙うはキリトの右腕、剣を持つ腕だ。
「な……………!!」
キリトはとまる。ことなどできない。
知覚が加速される、キリトと視線が合う。
おを狙いが解ったところで、もう遅い。
右腕が斬り落とされる。
だが、キリトは諦めていない。
空中の剣を左腕で掴む。
「仕返しだ」
一閃、俺は左腕を斬り落とされた。
加速が終わる。
俺達は再び距離をとる。
「……キリト……お前……」
正直、今の反撃は驚いた。
キリトも《蘇生アイテム》をそれほどまでに欲しいってことだ。
「次で終わりだ!!」
片手剣ソードスキル《ソニックリープ》
左腕だけなのにあの精度、スピード、流石としか言えない。
 だけど!
「キリト!!」
俺は反撃の姿勢をとる、しかし─


「ソウスケ君!!」
俺の目には華奢な少女の背中が写っていた。














***********







sideサキ


ギンッッ、ガキィンッ

目の前ではソウスケ君とキリト君が斬りあっている。
止めたいけど止められない。
それが辛い、ソウスケ君がああすることでしか今は自分を保てない。
ひーちゃんを蘇らせる事だけが今のソウスケ君の目標であり、全てで………
「アスナ…………私じゃソウスケ君の傍に居られないのかな?」
つい、そんなことを口にした。
するとアスナは本気で怒った顔で、
「………そんなことない、サキは!!」
と言ってきた。
「……ごめん、ちょっと弱気になってるみたい……」
私はソウスケ君の事が好きだ。
きっと、出会った時から彼に惹かれている。
強いのに弱い、強がって、ボロボロになって、それでも強がる。
涙は見せない。
「───てる? サキ、聞いてる?」
「ぇ………ア、アスナ? どうしたの?」
アスナの言葉にビックリしながらも、答える。
「だから、その《蘇生アイテム》本当に本物なのかって!」
「……うん、見てみるね」
アイテムの名前は《還魂の聖昌石》。
「還魂って事は本当に─」
私は還魂の聖昌石を実体化させ、ポップアップメニューからヘルプを選択した。
「ぇ───────」
そこには馴染んだフォントで簡素な、そして絶望的な解説が記されていた。

【このアイテムのポップアップメニューから使用を選ぶか、あるいは手に保持して《蘇生 : プレイヤー名》と発声することで、対象プレイヤーが死亡してからその効果光が完全に消滅するまでの間(およそ十秒間)ならば、対象プレイヤーを蘇生させることができます】

およそ十秒間
この石には目の前の死を防ぐことは出来るけど、過去の死を無かったことには出来ない。
私はその場にしゃがみ込む。
「こんなの……………こんなのって………」
「サキ? どうしたの!?」
私はアスナに還魂の聖昌石について説明した。
「そんな…………じゃあ二人は」
「うん、殺し合う必要なんてない」
止めたい。
意味なく殺し合うなんて嫌だ。
今止めに入ったら巻き込まれ、死ぬかもしれない。
それでも!
「ソウスケ君!!」
二人の間に飛び込んだ。
次の瞬間、私の視界は真っ白になった。











*************







sideソウスケ





俺の目の前には華奢な少女の背中が───
「っ! バカ野郎!!」
幸い、サキは宙に浮いているから足を掴み、思い切り後ろに引っ張る。
「わぷっっ!」
結果サキは顔から雪の積もる地面に飛び込んだ。
そして、キリトの剣を受け流す。
「───!」
流石に片腕じゃあ完全に受け流すことは出来ず、俺はバランスを崩す。
だが今はサキの軽率な行動に腹が立つ。
「この────」
俺は、まだ倒れていたサキの胸ぐらを掴んで起こす。
「───大バカ野郎が!! 何考えてんだお前は!」
サキの頬に涙が伝う。
「………何って、二人が命を賭ける必要なんてないから………このアイテム、《還魂の聖昌石》には過去に死んだ人を蘇生する力はない、目の前の人しか救えないの!」
正直、何を言っているか分からなかった。
「……………は? そんなわけ、ないだろう?」
「………サキ、それ見せてくれ」
キリトはあくまで冷静だ。
だけど、キリトはアイテムを見たらサキに返し、無言で何処かに行ってしまった。
「サキ、俺にも」
解説を見た瞬間、足の力が抜けた。
「……………………」
何もできない。
救えない。
やっぱりこの世界はゲームでありながら、現実と同じ恐ろしさをもっている。
「………今は、一人に、してくれ」
何とか言葉に出来た。


それから、どれだけ時間が経ったかわからない。
朝日が見える。
涙は流れない、そこの感情は何年も前に凍らせた。




 攻略に行こう。
ふと、そう思った。
戦って、戦って、戦って、戦って、戦って、戦って、戦って、戦って、戦って……………この体が消える日まで─





─一人で生きて行こう






ずっとアイテムストレージに入っていた、ヒナの槍を地面に突き刺す。


「じゃぁな、陽菜」

言葉はそれだけ、もう振り返らない。 
 

 
後書き
リン「間に合わなかったね」

ユウマ「・・・・・・」

ソウスケ「言葉にならない」

ユウマ「主人公って、ズルい」 
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