ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
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閑話ー聖槍と聖剣の英雄ー
67.裁きの審判
前書き
第67話投稿!!
最後の守護者降臨!!
果たして《ロンギヌスの槍》を入手することはできるのか?
祭壇の前に落下してくる巨大な十字架。そこから空間を切り裂いたように現れたのは、人。正確に言えば、人型の巨人。真っ白な体に仮面を被っているような顔。手には、巨大な十字架を模した両手剣。
《Cross of The Judgment》ー十字架の裁きー
「はぁ.....はぁ.....マジで休憩させてくれないみたいだな」
リーファとシノンに支えられる体は今だに技後硬直が解けていないせいか、《剣技共有》の副作用による疲労でビクとも動かない。
ジャッジメントは、自らの手に持つ十字架の両手剣を高々と振り上げる。
(あの攻撃はマズイ!)
脳が俺の身体に電気を送るが反応しない。だが、思考と同時にリーファとシノンが俺の体を持ち上げその場から離脱しようとする。
「アーチャーさん!!」
「わかってるよ!」
リーファが叫び、早口の詠唱が響く。感覚としてはそれと同時くらいに俺たちの後方に壁が出現。
壁を超えるほどの高さの十字架の両手剣は壁など関係ないというように振り下ろされる。光をまとった両手剣が振り下ろされ、土魔法の壁が激突。
その瞬間、劈くような爆発音が大気を震わせる。激突が生み出した衝撃波はその場にいた全てのものを吹き飛ばすほどの破壊力となった。
「な.....なんだ.....っ!?」
衝撃波に吹き飛ばされて顔を上げ先ほどの壁の方向を見やるが何もない。いや、十字架の両手剣を振り下ろしたジャッジメントの姿しかそこにはない。
脳内で先ほどの爆発の正体を探る。その正体をわかった瞬間、俺は言葉を失った。
.......やつはあの壁を破壊した。物理破壊不可能なあの壁を破壊した。物理破壊不可能というのは、プレイヤーでも、NPCでも、Modボスでも、どんなモンスターであってもそれは変わらない。
こいつは......ジャッジメントは、物理破壊不可能な壁を俺と同様に物理攻撃で破壊した。
それが意味することは......このモンスターの振り下ろしは、俺が持つ最強威力の《剣技共有》と同じかそれ以上の威力となる。
咆哮が響く。
人型の姿から出てくる叫びではなく野生の獣のような咆哮。
ようやく技後硬直が解けて体の自由が効くようになった。槍を地面に立ててそれを支えにして立ち上がる。技後硬直が解けたとはいえ、疲労が消えたわけではない。
「だ....大丈夫か.....?.....みんな?」
「まあ、なんとかな」
キリトは、片手剣を支えにしてなんとか立ち上がる。だが、その姿はボロボロだ。
「わ、私は.....へ、平気.....だよ」
かなり無理しているのが分かるくらいボロボロの体でアーチャーは立ち上がる。
リーファとシノンは俺をかばったせいか、HP自体は全損したわけではないが動けるような状況ではない。他の皆も同様の状況だ。
動けるのは、俺とキリトとアーチャーの三人のみ。こんな状況で倒せる可能性は万に一つも存在しない。
(.......いや、まだだ......)
この絶望的なボスを倒す手段があるかもしれない。
一撃で物理破壊不可能な土の壁を破壊するこいつをーー
一撃で皆のHPを削り取るこいつをーー
諦めたらそこで終わりだ。
このゲームは死んだって死なないんだ。
......だったら最後の最後まで希望を捨てるな!!
思考を巡らせる。
アミュスフィアが《如月集也》の思考の電気信号を《シュウ》の思考へと流し込む。現実から仮想の肉体へと電気が流れる。
そして導き出される一つの答え。
この化け物を倒すことができるかもしれない可能性ーー
だが、それには俺一人では確実に無理だ。でも、こんなボロボロな状態のみんなに出来るような作戦でもないし、第一俺の予想であって確定ではない。
「アッくん……その顔、なんか思いついてるでしょ?」
アーチャーの言葉を聞いて少し驚く。
「アッくんがなにか思いついた時の顔、すごくわかりやすいもん」
少し、自慢でもするように俺の方を見やるアーチャー。
「で、俺たちはどうすればいいんだ、シュウ?」
片手剣を構え、こちらに顔だけ向けるキリト。
βテストの時から一緒に戦ってきた彼にも俺が何かを思いついたとということは、わかるみたいだ。
「お前ら.....」
二人は俺の前に立ち、片手剣と右手を前に突き出してこちらに顔だけを向けて指示を待っているような格好をとる。
俺も右手に片手剣を左手に槍を構えて戦闘体制にはいる。
「キリト、アーチャー、俺をあの祭壇まで援護してくれ!」
「「了解!!」」
俺とキリトはほぼ同時に地を蹴り、祭壇に向けて駆ける。それと同時に後方から詠唱が響く。
そのすぐ後に俺とキリトの体は緑色の光に包み込まれる。アーチャーによる回復魔法でHPバーが赤から緑へと色を変える。
咆哮が再び、空気の流れを引き裂く。どうやら、ジャッジメントもあの技を使用すれば技後硬直で動けなくなる時間があるらしい。
だが、今はこいつを倒すよりも先にジャッジメントの後方にある祭壇に向けて疾駆する。
硬直が解けたジャッジメントが十字架を模した大剣を地面と平行になぎ払う。その攻撃が見えていたが俺たちは疾駆することをやめない。
決して俺たちは攻撃を受けにいくわけではない。あいつが必ず止めてくれることを信じているから俺たちは駆けることをやめない。
十字架の大剣が当たる寸前に突如として大剣は上空へと弾かれる。その正体は考えるまでもなくアーチャーが作り出した土属性の巨壁である。
大剣を弾かれたジャッジメントは、少し後ろに仰け反るが右足を後ろに下げて転倒するのを回避する。
「うぉぉぉぉぉ!」
キリトが叫び、赤い光を纏った片手剣を前へと突き出して突進。
片手剣重単発技《ヴォーパル・ストライク》物理三割、炎三割、闇四割
ジャッジメントの左足へと突進。突進の勢いでそのままバランスを崩す。
崩れた左足を支えようと右足を後ろへと下げてバランスをとろうとするが勢いに耐えきれずジャッジメントは、完全に体勢を崩す。
「いけッ、シュウーーッ!」
「いって、アッくんーーッ!」
二人の声に押されて地を強く蹴り、さらに加速する。体勢を崩して今にも倒れそうなジャッジメントの股の下をくぐり抜けて一気に祭壇を目指す。
するとジャッジメントは、崩れた体勢のまま俺をいかせまいと無理やり右足を軸に旋回し、十字架の大剣を振り回す。
(ここまで二人が、みんなが繋いでくれた道を途絶えさせるわけにはいかねぇよ!)
右手の片手剣を強く握りしめて肩に担ぎ上げる。
システムアシストという見えざる力がシュウの体へと力を与える。
体が軽くなり右足で強く地面を蹴り上げ、片手剣を前へと突き出す。
片手剣突進技《レイジスパイク》
《レイジスパイク》の突進が生み出した加速はジャッジメントの攻撃範囲を抜けるには充分だった。
システムの力を受けたまま強く地面を蹴り、祭壇へと差し掛かる。
後方から怒り狂った絶叫が響く。
だが、祭壇を駆け上がる足を止めることはしない。
息を切らしながら長い祭壇を駆け上がりたどり着いた頂上。その地面に突き刺さるこの状況を打開できるかもしれない武器。俺が追い求めた武器。
ーー神殺しの槍《ロンギヌスの槍》
三つに分かれた矛先。
禍々しい赤色。
その槍は紛れもなく俺がSAO時代を共にした武器そのものだ。
「また会えたな」
色々の感情が俺の中を巡る。だが、今はそんなことよりもあのボスを倒すことにのみ集中しろ。
「.....すまねぇがもう一度、お前の力貸してもらうぞ!」
祭壇の地に突き刺さる《ロンギヌスの槍》を握りしめ、思いっきり力を入れて引き抜く。
再び自らの手にするこの感触。一ヶ月にも満たなかったが俺のことを支えてくれた槍。
ロンギヌスを右手で握りしめ、祭壇の頂上の地をもてる力の全てを使って蹴り上げ、上空へと飛び上がる。
空中で上半身に捻りを加え、ロンギヌスを今一度強く握りしめて後ろへと引き絞る。
ジャッジメントがこちらに気づき十字架の大剣でガード体制に入り込む。
そんなこと関係なしに引き絞られた槍を一直線に《十字架の裁き》めがけて解き放つ。
槍投撃技《レイヴァテイン》
弓に引き絞られた矢のようにロンギヌスは、紅の光を放ちながら空を引き裂く。
十字架の大剣と神殺しの槍が激突した瞬間、両手剣は砕け散りジャッジメントの心臓一直線に突き刺さる。
「そんなもんでロンギヌスを止められると思うなよ」
途轍もない絶叫とともにジャッジメントは、光の欠片となってその姿を消し去る。
『全ての試練を汝らは、乗り越えた。汝らなら我が力を預けることができるであろう』
こうして俺たちは、《ロンギヌスの槍》を入手することに成功した。
後書き
次回はまだ未定なため予告は今回は無しとさせていただきます。
あと、急いで書いたため、かなり適当になってしまったことすいません。
後にしっかりと書き直しますのでその時は、また読んでいただけると幸いです。
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