ドラゴンボールIF
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
逞しく成長した嘗ての少年は今漸く家族と再会し彼等に一時の安らぎが訪れた・・そう束の間の安らぎが
前書き
地球の神の審判により地球上から永遠に
ドラゴンボールが失われ 神と融合した
ピッコロによりナメック星との干渉が失われた
日から一夜明けたまだ朝早い時間に彼は居た
ピッコロ「・・(此れで良いんだ俺は一度
故郷を捨てた身だ それにナメック星には
俺以上の龍族の素質を持ったナメック星人が
居る 彼奴ならきっと近い将来ナメック星を
背負っていける程に成長するだろうさ)・・
新しい未来を切り開いていくのは
若者だお前ならきっとやれるさ ナメック星の
事は任せたぞデンデ 同じ龍族の血筋をもつ
兄弟よ」
・・ピッコロは庭に出て一人朝焼けに
包まれ始めた星空を見上げていた・・
・・星空の一つに永久の別れを告げた
ナメック星を重ねるピッコロ・・
・・その表情はとても悲しく寂しそう
だった・・
そんな彼に家の中から近づいて来る気配があった
それが誰か既に分かっていたピッコロは
驚く事もせずに只只星空を眺めていた
近づいてきた三つの人影はピッコロに優しさと
感謝の気持ちが込もった言葉投げ掛けた
牛魔王「ピッコロおめぇは知ってただな
悟空の事を・・ずっと儂等を守ってくれて
いただな 礼を言わせてくれ ありがとうだべ
ピッコロ」
チチ「迷惑かけて申し訳なかっただな
本当に感謝してるべ ありがとうピッコロ」
孫悟飯「ピッコロさん・・・お父さんは本当に」
ピッコロ「俺は只自分のやりたい事をしただけだ
畏まった礼等要らんさ」
自分達を心配してずっと側にいてくれて
その果てには 愛する祖国と別れまで
告げさせてしまった事に対し申し訳なさと
それ以上の感謝の気持ちを述べる彼等に
照れ隠しなのか或いは本当に何とも思って
いないのか 無表情に言い返すピッコロで
あったが その視線が哀しく辛そうな表情で
自分を見ている孫悟飯を見ると申し訳ない
気持ちで一杯になってしまう
だがそれも無理も無い事だろう まだ子供の
孫悟飯には気持ちの整理がまだつかないの
だろう
そんな悟飯を見ていると本当に申し訳ない
気持ちになってしまう
本当に不思議なものだと思う 初めて会った時は
殺してやりたいとさえ思っていたのに何時の間にか
この子の存在が俺の中でかけがえのない者に
変わっていった
・・(「甘いぞ悟飯!! 何だそのへっぴり腰は
身体のバランスがまるでなっていないぞ!! はい!!
そりゃあああ!! 駄目だ駄目だ俺教えを忘れたのか
力に頼りすぎるな!! はあ・・はあっ
何をやっている時間は待ってくれないんだ
休んでいる暇などないぞ!! はいっ
行きますピッコロさん!! そうだ
その意気だもっと打ち込んでこい悟飯!!
お前の全てを俺にぶつけてみろ!!
うりゃあああ!! 良いぞ悟飯それでこそ
俺の弟子だ お前はもっと強くなれるぞ
心も身体も強い一人前の男にしてやる!!
ねぇピッコロさん聞いても良いですか?
むぅ何だ? 強さって何でしょうか・・
僕本当に強くなれてるんでしょうか?
お前は強くなれてるさ・・良いか悟飯
本当の強さと言うのはな腕力だけじゃない
寧ろ心こそが大切なんだ 心・・ですか?
そうだ幾ら強い力を持っていても己の欲望に負けて
しまっては何の意味もない だからといって
人間である以上欲望を捨てる事は出来ん
はい・・何となくわかります 必要なのは
欲望を制御する心 技術 身体つまり心技体の
精神を持つ者こそが真に強い者なんだ
僕もなれるでしょうかピッコロさんみたいな
強い人に あぁきっとなれるさ お前は俺の
唯一の弟子だもっと自信を持て はい!!
僕頑張ります!! そうだ頑張れ悟飯」)・・
ピッコロの脳裏に懐かしい記憶が甦る あの時は
よもやこんな事になるとは思いもしなかった
悟飯にとっては本当に残酷な仕打ちだろう
そんな酷く落ち込んでいる悟飯に対しピッコロ
は少しの躊躇いの後孫悟飯の頭を撫でながら
優しい言葉をかける
ピッコロ「・・なぁ悟飯 今は辛いかも
しれんが決して目の前の現実から目を反らし
逃げ出すような事だけはするな どんなに辛い
現実でもそれを受け入れて生きていくんだ
それが出来るのが人間の強さだ そしてお前が
何時か大人になった時 胸を張って歩める
自分で在り続けろ お前ならきっと大丈夫さ
お前は俺の自慢の・・弟子なんだからな」
孫悟飯「ピッコロさん・・はい!!
ピッコロさんの言葉絶対に忘れません
そして何時かピッコロさんのような強くて
優しい大人になってみせます!!」
ピッコロ「そうだそれで良い 頑張れ悟飯
常に心強く在れ」
そこには血の繋がり等関係ない一つの
立派な絆があった そしてそんな二人を
微笑ましく見ていたチチと牛魔王が楽しそうに
口を開く
チチ「はははっ おめぇ達似合ってるだぞ
二人でそうやってるとまるで本当の親子
みてぇだぞ」
牛魔王「んだ 見てる此方が恥ずかしくなる位
羨ましい親子に見えるべ」
孫悟飯「あはっ ピッコロさんが僕のお父さん
だったら本当に嬉しいな」
ピッコロ「親子か・・ふふ」
親子と言われ無表情を装いながらもピッコロの
表情は何処か嬉しそうだった
何故ならその言葉は ピッコロがずっと心に
思っていながらも言葉にする事が出来なかった
大切な言葉だったのだから
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
儂はまるで自分の孫が出来たようで嬉し
かったんじゃ 初めてあの子を見つけた時
儂は天からの授かりものじゃと思った
人里離れて長い間一人孤独に山奥で生活して
いた儂に取っては何者にも変えがたい
宝物じゃった
そして儂はその子に孫悟空と名付けて
儂の孫の様に可愛がった 悟空は拾った時から
暴れん坊で手のつけられない子じゃった
まるで生まれた時から闘う事しか心の中に
存在しない様なそんな暴れん坊じゃった
それでも儂にとってはどんなに暴れん坊でも
お前が可愛かった
ある満月の夜お前が初めて大猿になり
付近の森を荒らし回ってしまった時も
儂はお前に黙っていた
子供のする事だとお前には罪はないと
儂はそう思ってしまった そんなお前が
ある満月の夜近くの小さな村を襲いとうとう
人を殺してしまった
それでも儂は何も理解していないお前を
咎める事が出来んかった 儂はもう一人に
なりたくなかった じゃから師匠の武天老師
にも孫が出来たと言っただけで他には何も
伝えんかった
それはお前が三つになり崖から落ちて頭を打ち
大人しい性格になってからも満月の夜に
姿を消し儂が気がついた時には既に何百何千
ともすれば何万と数えきれぬ位殺していった
本来ならそのままではいかんかった
大人しい性格になったのは一時的な事
しかも本来の自分を隠したままでは肉体的に
成長しても一番大切な精神が子供のままだと
分かっていた
そして何れ本来の性格が現れ皆を災いに
導く事も分かっていた そうなる前に
自分の手で殺すべきだった事も 或いは
武天老師様に相談して何とかしてもらう事も
出来たであろう
しかし儂はその何れもがどうしても出来ん
かった 儂はお前とずっと一緒にいたかった
お前とずっと一緒にいたかった もう1人には
戻りたくなかった
・・儂は只 悟空 お前を真実心の底から
愛していた・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
孫悟飯「それだけだったんじゃ・・それが
まさかこんな事になるとは」
占い婆「ふざけるでないわ!! 何を
逃げの言葉をつかっておるんじゃこの
救い様の無い愚か者めが!!・・のぅ孫悟飯よ
弟が今どんな気持ちじゃと思う? 弟のように
思っていた貴様から信用すらされていなかった弟が
どれ程嘆き悲しんでいると思う?」
孫悟飯「儂はそんなつもりは・・儂は只悟空が・・
悟空の事を」
占い婆「この期に及んでまだ言い訳をするのか!!
貴様のせいで弟は最愛の弟子と決別した
ピッコロは勿論の事恐らくはベジ—タやヤムチャも
他にも天津飯や餃子も孫悟空と決別するぞ
そして家族からも見放され孫悟空は一人
ぼっちじゃ じゃがそのままでは終わらん
どんなに遅くても三年後あやつのサイヤ人の
本性が目覚め今の人格は完全に消える
そしてフリ—ザを遥かに越える究極の破壊者の
誕生じゃ・・全て貴様のせいじゃろうが!!
孫悟飯よ!! 人間でありながら人間を
裏切った愚か者めが!!」
孫悟飯「ううぅぅっ・・うああああぁぁぁ」
占い婆の己を責める言葉に孫悟飯は何も
言い返せなかった
占い婆「思えば1番の被害者は他ならぬ孫悟空
自身かもしれんな・・じゃがもう遅い遅すぎるのじゃ
ここまで事態が動いてしまっては最早誰にも
止められぬ」
孫悟飯「くぅうっ・・儂は・・儂は」
彼にも分かっていたからだ全て自分が悪いと
占い婆「はぁ・・悲劇はおわらんぞ」
そんな孫悟飯を尻目に占い婆は悲しげに
水晶玉を見つめる
・・水晶玉は告げていた・・
・・三年後一人の心優しき男と小さな命が
破壊者の手にかかり死ぬ・・
・・そして周りを取り巻く命にも
暗雲が迫っている・・
占い婆「一体どれだけの命が犠牲になるんじゃ
・・何故こんな事になったんじゃ・・
これでは余りにも救いが無いではないか」
・・水晶玉が鳴いていた・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
一方時間を遡りヤムチャはプーアルと共に
自分の故郷に隣接していたレッドリボン軍跡地
に来ていた
ここに来た訳は自分の弟と妹及び祖父の
ドクターゲロの居る場所の手がかりを探す為と
自分の故郷の皆のお墓参りがしたかったからだ
ヤムチャ「あった・・ここだな」
プーアル「この墓の下にヤムチャ様のご家族や
村の皆さんが眠ってるんですね」
そして二人は村の人々が眠るお墓の前に
立っていた 慰霊碑にはこう書かれていた
・・幼き命を守り未来を託しその命を
散らせた誇り高き人々此処に眠る・・
それを慰霊碑に手を当て暫く懐かしそうにも
寂しげにも見ていたヤムチャがぽつりと呟く
ヤムチャ「俺の故郷の村はさ寒い影響もあって
子供の数が極端に少なかったんだ だから俺や
産まれたばかりの弟と妹は本当に可愛がって
もらったよ 俺にとっては血の繋がり何て
関係無く村人皆が俺の家族だったんだ」
プーアル「ヤムチャ様・・・」
キィコキィコ
「・・・・・・?」
プーアルの悲しげな呟きを聞きながらヤムチャは
膝を折りお墓に語りかける その時二人の
後ろに車椅子に乗った老人が来た事に彼等は
気が付かなかった
その表情が若干の驚きを含んでいた事も
ヤムチャ「親父お袋村の皆 ただいま
・・悪かったなこんなに遅くなっちまって
俺はちゃんと生きてるよ 親父やお袋村の皆が
・・そしてゲロじいさんやレッド総帥
・・いやケロンじいさんが守ってくれた
命だから・・だから俺はちゃんと生きてるよ
・・それにさ今は新しい家族が一緒だから」
プーアル「初めましてヤムチャ様の仲間
・・いいえ家族のプア—ルです ヤムチャ様の
命を救っていただいてありがとうございます」
「!?・・(ゲロじいさんだと!?
ケロンじいさんだって!?・・まさか
・・まさか)・・」
ヤムチャの言葉に車椅子の老人が驚愕の表情を
浮かべるが二人は気が付かなかった
ヤムチャ「だから俺はこれからも精一杯
生きていくよ そして必ずじいさんも弟も妹も
見つけ出して今度こそ俺が守ってみせるから
皆が俺を守ってくれたみたいに皆の息子の
サムが必ず守って見せるから!!・・だから
・・親父 お袋 産んでくれて
ありがとう」
プーアル「ヤムチャ様の事は僕に任せて下さい
・・ですから後の事心配しないで どうか
安らかに眠って下さい」
「っ!?・・(お・・おお・・よく生きて
いてくれたこんなにも見違える程に成長して)
・・サム・・お前なんだな」
ヤムチャ「え!?」
プーアル「誰ですか!?」
突然の予期せぬ後ろからの言葉に二人は
驚き振り返る
そこには車椅子に座った老人が涙を目に一杯に
溜めながら泣いていた
その両脚は無残にも膝から先が無くなっていた
しかしヤムチャの驚愕はそんな所ではなかった
知っている 自分はこの老人を知っている
長年の苦労が祟ったのかすっかり窶れて
しまっているが自分がこの老人を忘れる訳がない
祖父のゲロじいさんと一緒に自分達の冒険談や
世界中の様々な話を何時も聞かせてくれた
何時も笑顔の絶えなかったおじいさん
笑った顔が蛙に似ていたのでは自分何時も
ケロンじいさんと呼んでいた ヤムチャは
何時の間にか大粒の涙を流し泣いていた
ヤムチャ「ケロンじいさん・・なんだな?」
レッド総帥「サム・・ああそうだよ
ああそうだとも!!」
それ以上言葉はいらなかった 二人は
泣いていた 抱きしめあって泣いていた
両目からは涙が枯れる事なく次々と溢れ
出てくる
ヤムチャ「ううぅ・・じいさん・・ケロン
じいさん・・ありがとう生きていてくれて
ありがとう・・ただいまケロンじいさん」
レッド総帥「ううぅっ・・ああ お帰りサム
・・サム・・こんなに大きくなって・・
良く帰ってきてくれた 良く無事でいてくれた」
・・そんな二人をプーアルは優しく
見守っていた・・
プーアル「良かった・・ヤムチャ様・・
本当に良かった」
・・プーアルも嬉し涙が止まらな
かった・・
・・二十五年の歳月を経てヤムチャは漸く
故郷にただいまと言えたのだ・・
・・何処からか風が吹いてきた・・
・・その風はまるで二人の再会を
祝福しているかのようだった・・
・・それはもしかしたら亡くなった村人達の
想いの結晶だったのかもしれない・・
・・ある老人の手記・・
儂らの住んでいた村は北の都に分類されるものの
実際は都からはかなり離れた距離にあり
交通の便は飛空挺等が無ければかなり悪い
だが食料等の物資関係は兄が総帥を勤める
レッドリボンの所有する大型飛空挺のお陰で
余り苦労はしなかった
だが寒い地方特有の寒冷の影響もあり年々
子供の数が減っていった それでも儂等は
自分達の生まれ育った村が大好きだった
そんな中で儂の娘夫婦が三十年前元気な
男の子を授かった儂らは村人全員で祝福した
そして儂らは産まれてきた子供に村に古くから
伝わる祝福の言葉を与えサムと名付けた
この日からサムは村人全員の子供となった
のである 儂等村人にとって何時も笑顔一杯で
元気なサムは正しく儂らを照らしてくれる
太陽だった
儂らは幸せに溢れていた年齢等忘れて皆で
雪合戦をしたり 地平線から覗く太陽に
照らされた綺麗な雪景色を皆で何時までも
見ていたりもしていた
それは本当に幸せな日々じゃった そして
五年後 即ち今から二十五年前儂らに更なる
幸福が訪れる 娘夫婦が双子の男の子と
女の子を授かったのだ
村人もサムも本当に喜んだ お兄ちゃんに
なったサムは産まれてきた男の子と女の子に
兄ちゃんが守ってやるからな これからは
兄ちゃんが守ってやるぞと満面の笑顔でそう言っていた
そして名付け親を頼まれたサムは本当に
嬉しそうじゃった 双子の弟と妹もサムの事が
お兄ちゃんだと分かるのかとても良く懐いていた
儂等はこの幸せが永遠に続くものとそう信じて
疑わなかった
・・しかしそれは束の間の幸せだった・・
・・それは正しく悪夢以外にあり得
なかった・・
・・子供達の幸せは未来はこの日
終わってしまった・・
二十五年前のその日の夜突然儂らの村を
怪物が襲った
村の人々は何の抵抗も出来ずに次々と
殺されていった
それでも戦わない訳にはいかなかった
何故なら儂らの後ろには三人の子供達が居る
未来を創る希望を命をこんな所で終わらせる
訳にはいかなかった
儂らは必死の思いで怪物と戦いサムだけは
逃がす事が出来た しかし娘夫婦は子供を
守ろうとして命を落とし 産まれて来た
ばかりの双子の男の子と女の子は見るも無残な
有様だった
そして生き残った村の人々も儂と兄のレッドを
含めても二十人に満たなかった
儂らは泣き叫び絶叫した そして必ず村人を
子供達の笑顔を未来を奪ったあの怪物を倒すと
心に誓った
無論復讐心だけでは無くあの怪物から世界の
平和を守る為にも 儂等のような犠牲者を
これ以上出さない為にも逃げる訳には
いかなかった
そしてその為に兄は生き残った村の人々と
あの怪物に襲われた世界中の仲間を集めて
組織を作り直し軍事組織レッドリボンを
作り出した
そして儂は研究に必要な材料や資源が豊富に
採れる南の都に研究所を移し 都に程近い
場所に作った研究施設でまだ微かに息のあった
子供達を助ける為に人造人間にする決意をした
儂は始めから実験は自分の身体でする
つもりだった しかし儂の研究の手伝いで
世界中から付いてきた人達が最初に自分達を
実験台にしろとそういった
人造手術は貴方にしか出来ない ならば貴方は
絶対に死んではいけない貴方が自らの
人造人間手術をするのは私達全ての人間の
実験データが取れた後です
未来在る子供にもう一度太陽の光を見せて
あげて下さいそう言って笑顔で実験台に
なってくれた
儂は流れる涙を拭う事もせずただただ
頷くしか出来なかった それからの二十五年間
儂は研究に没頭した
その間兄からの情報により色々な事が分かった
儂らの村を襲った怪物の正体は孫悟空と言う男で
その後の調査によりどうやら満月の夜に
あの怪物に変身するらしい事
ある日を境に性格が大人しくなった様だが
それでも十を過ぎる迄は時々満月の夜になると
忽然と姿を消している事 詳細までは確認は
出来ていないがその間大勢の人を殺している
可能性が高い事
幸か不幸か仲間達はその事実を知らない事
唯一人知っていたと思われるのは孫悟空を
拾ったと言う孫悟飯だけで有ろう事
そしてこれは良識の有る大人なら誰でも
分かる筈の事だが 本来の人格を隠したままでは
精神が成長しない事は直ぐに分かる
即ち孫悟空は何れ必ず破壊の化身となり
世に災いを招く それを止めようとして
孫悟空抹殺を掲げ行動していた兄もレッドリボン
もやられてしまった事も知った
これは第一には急に強大過ぎる軍事力を持った
レッドリボン軍を市民達が誤解し恐れるように
なってしまった事
市民達を孫悟空から守る為に世界中の都市や
村を徘徊していた事も皮肉な事に誤解を招く
原因になってしまったようだ
そして何も知らない人々が孫悟空の味方を
してしまった 幸い一命は取り留めたようだが
組織は修復不能な程に壊滅し兄自身も
生涯車椅子の生活を余儀なくされてしまった
事を知った時には嘆かずにはいられなかった
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
ドクターゲロ「何故じゃ・・儂らが一体何を
したと言うのだ・・只幸せに静かに暮らしたい
そう願うのがどれだけの罪なのです・・
教えて下さい神よ」
研究の手を休め昔からの日課としている日記を
書き記していたドクターゲロは知らず知らずの
内に呟いていた
自分達はあの村が好きだった 例え寒い環境でも
村人の心は一つだった 暖かくて優しくて
村人全員が家族だった
自分達は生涯を大好きなあの村で過ごす
つもりだったし骨を埋める気でいた
それなのにこの仕打ちは余りにも酷すぎる
仕打ちだ ドクタ—ゲロの目の前には
液体の入った巨大なカプセルの中で眠る
十代中頃の男の子と女の子が居た
本来の年齢からこれだけずれているのは
若い身体をベースにした方が人造人間化への
成功率が高いのと二人の精神年齢を考慮した
結果だった
今研究は最終段階に入っている 既に
調整は終わり後は肉体と機械の身体が
付着するのを待つだけだ
それが終わるのは後三年もう暫くすれば
カプセルの中から出す事は出来なくても
コンピュータを通しての会話が出来る
ようになる
ドクターゲロ「もう直ぐお前達に陽の当たる
世界を見せてやるぞ」
これ迄に多くの村人が犠牲になった
最後まで残った十九人目の村人も先日
息を引き取った
しかし誰一人として後悔はしていなかった
ドクターゲロ「お前達は皆が残した未来への
希望だ 幸せになってくれ そしてこの世界の
何処かで生きているであろう兄のサムと一緒に
家族五人で暮らそう」
本音を言えば孫悟空への恨み憎しみは
未だ消えてはいない しかし何時までも
過去に囚われていても仕方のないのも
わかっている
今はただ1握りの幸せが欲しい
ドクターゲロ「儂等が死んでもお前達が将来2人で
立派に生きていけるように儂等が家族の暖かさを
教えてやるからな 〔コンコンコン〕・・ぅん誰じゃ?
・・もしや南の都の者が又差し入れを持ってきて
くれたのか?」
そこまで呟いた時研究所の外に人の気配がした
ドクターゲロは南の都の人間が差し入れに
来たのかと思い入口に向かおうとした時
兄からの無線通信が入った
レッド「はあ・・はあっ・・喜べゲロ!!
生きていたんだ!! あの子が!!
儂らの子供が!!・・サムが生きてたんだ!!」
ドクターゲロ「何!! 本当なのかレッド!!
サムが見つかったのか!!」
思っても無かった無線の内容に驚愕する
ドクターゲロを他所に兄のレッドからの
無線は続く
レッド「お前の居場所が知りたいと儂の
村に来た あの子はちゃんと覚えてたよ!!
お前の事も儂らの事も弟と妹の事も・・
ちゃんと覚えていたぞ!!」
ドクターゲロ「お・・・おおお・・・
サム・・・サム」
いつの間にかドクタ—ゲロも無線の先の
レッドも泣いていた
レッド「あの子は言ってくれたよ 俺が
守るって 今度こそ俺が皆を守るって
・・そう言ってくれたぞ!! もう直ぐ
お前の所に着く筈だか 「サム!!」
・・しっかり抱きしめてやれ・・もう二度と
離すんじゃないぞ」
言葉を最後まで聞く事無く駆け出した
ドクターゲロは勢い良く研究所の扉を開けた
ドクターゲロ「ううぅ・・・あああ・・・
良く生きていてくれたサム・・・おおお」
・・そこには子供の頃の面影を残しながらも
逞しく成長した若者が立っていた・・
・・感動に上手く言葉が出ないドクターゲロ
に目の前の若者が口を開く・・
「ただいま ゲロじいさん」
「ああ・・お帰りサム」
「暫く見ないうちに随分と痩せちまったな
・・でもケロン爺さんと同じでその瞳の暖かさは
ちっとも変わってないや」
「ふほほほ あれから25年も経つからのぅ
儂も随分と年をとったもんじゃ・・サムは
見違える程に立派に成長したな」
「25年か・・・長かったな・・ごめんな
帰って来るまでこんなにかかっちまって」
「何を言っておるか お主が無事に帰ってきて
くれただけです何よりの宝物じゃ」
「なんかさ・・ゲロ爺さんに会ったら話したい事
色々あったんだけど上手く言葉が出てこないや」
「なぁに焦る事はないさ時間は幾らでもある
・・儂等はこれからずっと一緒なんじゃからな」
「あぁそうだよな・・もう1度言うよ
ただいまゲロ爺さん」
「あぁお帰りサム・・お帰り」
・・2人はそれ以上言葉を発する事なく
力強く暖かく抱き締めあった・・
・・2人の瞳からは涙が留まる事なく
零れ落ちていた・・
・・この日ドクターゲロは二十五年振りに
嬉し涙を流した・・
・・そして研究所では夜が更けてもずっと
涙と笑い声と・・
・・家族の語らいが終わる事無く
続いていた・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
「オギャァアアア!! オギャァ
アアア!!」
「ふふ・・可愛い赤ちゃん 私達の
赤ちゃん」
・・何処からか赤ん坊の泣き声が
聞こえてくる・・
・・母親と思われる女性は生まれた
ばかりの赤子を胸に抱き優しく微笑んで
いた・・
・・そんな母親と赤子の周りには
数人の人影が見える・・
・・その内の一人が赤子を抱いている
母親に優しく声を掛ける・・
ベジ—タ「ブルマ良く頑張ったな ありがとう
俺達の赤ちゃんを産んでくれて」
ブルマ「ありがとうベジ—タ 貴方が側で
ずっと声を掛けてくれていたお陰よ」
・・母親の名はブルマ 父親の名は
ベジ—タ・・
・・そして産まれてきのは二人の
愛の結晶・・
・・幸せそうな三人に周りに居た
ブルマの両親が嬉しそうに声を掛ける・・
ブリーフ「おめでとうブルマ ベジ—タ君
この日が来るのをずっと待ち望んでいたよ
元気な男の子だもう名前は決めてあるのかい?」
ブリーフ夫人「そうよそうよ ねぇねぇ二人供
赤ちゃんの名前はもう決めてあるの?」
・・二人の言葉にブルマとベジ—タは顔を
見合わせると息を合わせて口を開く・・
・・ベジ—タとブルマの愛の結晶・・
「「この子の名前は」」
・・その名は・・
「「トランクス!!」」
・・トランクス 未来を守る希望の
戦士・・
「「生まれてきてくれてありがとう」」
・・誇り高きサイヤ人の王子たる夫と
世界有数の頭脳を持つ妻の間に産まれた命の
誕生の瞬間だった・・
後書き
これで第1部の前半が終わりです
この後は幕間を挟んで後半に移りますが
幕間で衝撃の事実がわかります
一言言わせて貰えれば私も孫悟空は大好きです
ページ上へ戻る