モダンな悪魔
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第八章
悪魔もその言葉を受けてラッパーの姿に戻った、そのうえで結界を消して普段の顔に戻って彼等に言う。
「契約完了だな」
「ああ、ご苦労さん」
「お疲れ様」
「さて、じゃあステーキを食うか」
この話に戻った。
「レアな、早速食うか」
「今ここでか?」
「ステーキ食うのかい?」
「いや、場所は用意するさ」
右手の親指と人差し指をぱちんとさせる、そしてだった。
その馬にテーブルと椅子を出す、そこには白い皿と銀のフォークとナイフも出す。その皿の上にもだった。
分厚い大きなステーキが出た、その肉はというと。
「あんた達が貢ぎものでくれた肉だよ」
「それをもう焼いてか」
「ここで食うんだな」
「ああ、腹が減ったからな」
それでだというのだ。
「早速な、アイスも出すぜ」
「というかあんたこれまで結構食ってるだろ」
「それでも食うのかよ」
「ああ、魔術を使うと腹が減るんだよ」
早速だった、悪魔はフォークとナイフを使ってステーキを切りだしている。ステーキの上にはチーズが乗せられて溶けている。
それでだ、こう言うのだ。
「一回使うと普通に二千カロリー、変身だと三千は消費するな」
「じゃあ魔術使ってると痩せるな」
「二千とか三千ってな」
「だからこのスタイルなんだよ」
いつも魔術を使っているからだというのだ。
「幾ら食ってもな」
「いいな、それは」
クラウスも悪魔の話を聞いて述べる。
「今もここでか」
「食うんだな、ステーキ」
「さて、食うか」
悪魔イグナシウスは実に楽しげに言う、まさに大好物を目の前にした顔で。
「デザートはアイス、早速ご馳走になるな」
「ああ、何か悪魔への見方変わったけれどな」
「是非食ってくれよ」
少年達もこう返す、そして悪魔がステーキを実に美味そうに食べるのを見届けるのだった。契約を終えた悪魔はアイスまで食べて。
そのうえで少年達と別れる、手を振りながら言う言葉は。
「じゃあ今からチャイナタウンで野菜食ってくるな」
「ああ、また縁があればな」
「宜しくな」
「これ位の仕事ならステーキでいいからな」
魂まではいかないというのだ。
「また呼んでくれよ」
「何かあればな」
「そうさせてもらうな」
こう話してだ、悪魔は少年達と別れてチャイナタウンに向かった。少年達もその後ろ姿を見送ってだった。
クラウスがだ、仲間達にこう言った。
「とりあえず悪魔がわかったしな」
「ああ、じゃあな」
「今日はこれでな」
仲間達も応える、そうしてだった。
彼等は夕暮れのニューヨークの街中で解散した、赤い夕陽が急に暗くなっていき夜がやって来ようとしていた。
モダンな悪魔 完
2013・9・3
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