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ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―

作者:Nation
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月光校庭のエクスカリバー
  第40話

 
前書き
分けた二つ目、交渉の話です。

是非見ていってください。 

 
 場所を移して、近くのファミレス。
 俺たちの前にはものすごい勢いで食事を取る紫藤とゼノヴィアの姿があった。
「うまい!日本の食事はうまいぞ!」
「これよ!これが故郷の味なのよ!」
 チェーン店のファミレスの洋食をそう言われてもしっくりこないが二人が満足しているのだからいいか。
 二人で十人分位は平らげ、満足したところで落ち着いたようだ。
「信仰のためとはいえ、悪魔に救われるとは世も末だ」
「私たちは悪魔に魂を売ったのよ」
「奢ってもらっといてそれかよ」
 全くである。そして末なのは二人の金銭の管理能力だ。
「主よ。この心優しい悪魔たちにお慈悲を」
 そう言いながら紫藤は十字を切る。
 だが、俺を除き皆悪魔だ。慈悲など貰えるわけがなく
「痛い痛い!神の祝福なんているかぁ!!」
 三人はひどい頭痛に襲われたようだ。
「ごめんなさい。つい癖で」
「お前ら。コントをしに来たんじゃないぞ」
 この席を設けて結構時間が立つが全く話が切り出せていない。
 それを察したのか、ゼノヴィアが改めて聞いてくる。
「それで、私たちに接触してきた理由は?」
 今回の立案はイッセーなため、イッセーが代表として言う。
「エクスカリバーの破壊に協力したい」
 その申し出に二人は驚愕していた。
「わけを聞こうか」
 イッセーは祐斗の事情を掻い摘んで説明した。
「なるほど。理由は把握したよ。でも私たちは悪魔と協力したという事実は欲しくなくてね」
 雰囲気から言って、協力事態はやぶさかではないと言った感じだ。
 だが教会のモノとして悪魔の協力は受け取れないと。
 ここからは俺が話をつけよう。
「なら偶然鉢合わせたと言うことにすればいい。そっちは任務として、こっちは領内の侵入者の排除としてなら有りえる事だ。それに少なくとも俺と祐斗は相手から狙われている」
「それはどういうことだ?」
「俺たちを狙っているはぐれ悪魔祓いがエクスカリバーを持っている。この前の交渉の前日に一度襲われているんだ。フリード・セルゼンと言う名なんだが知ってるか?」
 この情報にイッセーたちも驚いていた。部長以外に話してなかったし当然か。
「確か元ヴァチカン法王庁直属のエクソシストだったわ」
「殺戮に快楽を見出した異常者だったか。面倒なのに狙われたな」
 教会側でもそんな扱いか、あいつは。本当に面倒な奴だ。
「そういうことだ。だからいずれフリードと戦うことになるんだ。その時に違反だの言われるのは面倒でもある。なら事前に許可をもらっておきたいわけだ」
 ゼノヴィアは少し考えて口を開く。
「わかった。一本くらいならいいだろう。ただしこちらと関わりを持っているとは思われないようにしてくれ」
 交渉成立。以外にすんなりいった。
 だが、紫藤は異を唱える。
「いいのゼノヴィア?相手はイッセー君とはいえ悪魔なのよ?」
「イリナ。正直私たちだけでは聖剣三本の回収とコカビエルとの戦闘はきつい。奥の手を使ったとしても任務の成功率は三割程度だ」
「それでも高いと覚悟を決めてきたはずよ」
「それに借りるのは人間とドラゴンの力だ。悪魔の力を借りるなとしか言われていないんでね」
 ここでイッセーが赤龍帝であることが生きたか。ありがたい。
「成立だな。俺も魔法使いとして全力でやろう」
「俺はドラゴンの力を貸す!それじゃ、もう一人のパートナーを呼んでもいいか?」
 イッセーは祐斗に連絡を入れた。


 ◇◆◇


「・・・話はわかったよ」
 イッセーが教会組と会っていると連絡を入れるとすぐに来てくれた。
「正直、エクスカリバー使いに破壊を承認されるのは遺憾だけどね」
「ずいぶんないいようだね。はぐれならすぐさま殲滅しているところだ」
「やめろ、お前ら。共同戦線前だぞ」
 足の引っ張り合いは勘弁してほしい。
「やっぱり、『聖剣計画』の事で恨んでいるのね。エクスカリバーと教会を」
「当然だよ」
 紫藤の問いに祐斗は即答した。
「でも、あの計画のお蔭で聖剣使いの研究は飛躍的に向上したわ。だからこそ私たちみたいに聖剣に呼応できる使い手が誕生したの」
「なら失敗作なんて言われるのはおかしいね。ましてや処分として被験者全員を殺すことが許されると思っているのか?」
 紫藤の言い方は被験者からすれば慰めにもならない。自分たちは失敗作と呼ばれ、殺されているのだから。
「その事件は私たちの間でも嫌悪されているよ。だからあの計画の首謀者は異端の烙印を押され追放され、堕天使の所にいるよ」
「バルパー・ガリレイ。『皆殺しの大司教』と呼ばれた男よ」
「バルパー・・・。堕天使を追えばその男にたどり着くのかな」
 計画の首謀者を知ることが出来ただけで祐斗にとっては大きな前進になったようだ。
「今回の件に関わっている可能性はあるだろう」
「・・・それを聞いて、僕が協力しない理由はなくなったよ」
 これで仕込みは完了か。
 結構危険な綱渡りだったがうまくいって良かった。
 だが、あくまで仕込みだ。本番はここから。
「それじゃ、なにかあったら連絡してくれ。食事の礼はいつか必ず。赤龍帝の兵藤一誠」
「食事ありがとね」
 そうして二人は去って行った。
「皆、君たちは手を引いてくれ」
 祐斗は俺たちにそういってきた
「この件は僕の個人的な復讐なんだ。君たちを巻き込むわけにはいかない」
 確かにこの件は祐斗個人の問題で、俺たちは部外者ともいえる。だがそれで納得できる俺たちではない。
「俺たち眷属だろ!仲間だろ!それに俺はお前に何度も助けられてるんだ。今回は俺が力になるさ」
「諦めろ祐斗。こいつは決めたら止まらないのは知ってるだろ?それにもう巻き込まれてるんだ。なら思いっきり首を突っ込む」
 ここまでやっておいて引き下がるなんて真似はしたくない。
 それでも納得していない祐斗だが、止めが来た。
「・・・祐斗先輩。私は先輩が居なくなるのは・・・寂しいです」
 普段見せない寂しそうな表情。その表情を見てイッセーと匙は狼狽え、向けられている祐斗も反応に困っている。
「・・・お手伝いします。・・・ですからいなくならないでください」
 これは断れないな。
 祐斗も困惑しながら折れたようだ。
「まいったね。そんな目をされると断れない。わかったよ。今回はみんなの好意に甘えさせてもらおうかな。それに真の敵もわかったしね。でもやるからにはエクスカリバーを倒す」
「おう!それじゃエクスカリバー破壊団の結成だ!」
 オカルト研究部のメンバーがやる気を出す中、一人だけ状況についていけてないのが居た。
「俺だけ蚊帳の外なんだが・・・。木場とエクスカリバーにどう関係があるんだ?」
「イッセー。全く説明してなかったのか?」
「勝手に人様の事情を話すのはどうかなーっと」
 最低限の説明もなしに引っ張ってきていたのか。少し悪いことをしたな。
「・・・少し話そうか」
 そういって祐斗は自分の過去を話し始めた。
 カトリック教会が秘密裏に始めた『聖剣計画』。
 集められたのは剣に関する才能や神器を持つ少年少女だった。
 彼らに自由はなく、毎日非人道な実験を繰り返し受け、人としても扱われず、それでもいつか特別な存在になれると信じ聖歌を歌いながら耐え忍んでいた。
 だが、誰一人聖剣に適応できず、計画は失敗した。
 そして被験者である彼らは『処分』されることになった。
「計画の関係者は僕たちに毒ガスを巻いたんだ。そしてそれに耐えきれなくなり同士たちは一人ずつ死んでいった。だけど、僕は同士たちに助けもあって施設から逃げ出した」
 そして追っ手を何とか振り切ったところで限界が来て、倒れていたところを部長に助けてもらった。
「あの施設から唯一逃げ出せた僕は、同志たちの想いをこめてエクスカリバーを破壊しないといけない。それが僕の義務なんだ」
 おもい話だ。
 二年になるまで特殊な属性を除けば普通の人間だった俺からすれば小説のような話。
 俺もイッセーも感傷にふけていた。
 だが俺たち以上に暴走しているのがいる。
「うぉぉぉぉお!木場ぁ。お前にそんな過去があったなんて!」
 号泣している匙。
「そういう事なら俺も協力するぞ兵藤!会長の扱きだろうと受けてやる!絶対にエクスカリバーを破壊するぞ!」
 匙もやる気になってくれたようだ。
「よっし。いい機会だ!共同戦線を張るんだし俺の事も知ってくれ!」
 そう切り出し、匙は少し恥ずかしそうに言う。
「俺の目標は―――会長とデキちゃった婚することだ!!」
 ああ、こいつの第一印象がイッセーと同じ人種だと思ったことは間違いではないらしい。
 そして隣の同族はその目標に言葉に表せない何かを感じ取ったらしい。
 そしてイッセーも目標を口にする。
「匙!俺の目標は―――部長の乳を吸うことだ!!」
 匙もイッセーの目標に何かを感じとたらしい。涙をこぼしだした。
「兵藤!分かっているのか?その目標がいかに険しい物なのかが!?」
「ああ!わかっているとも!だが俺は部長の乳を揉んだことがある!触ることができるんだ!」
「本当なのか兵藤!?」
「本当だ!匙、俺たちは一人ならダメな『兵士』なのかもしれない。だが、二人ならやれる!二人ならどこまでも飛べるんだ!ご主人様とエッチしようぜ!」
「うん。うん」
 二人は手を取り合って高らかに宣言していた。
 最初は犬猿の仲とも呼べそうな雰囲気だったのにこの一瞬でここまで仲良くなれたものだ。
 まぁこれなら不仲が原因の足の引っ張り合いは無くなったしいいだろう。
 だが見過ごせないことがある。
「・・・あはは」
「・・・最低です」
 祐斗と小猫は嘆息している。
 そして俺は
「・・・さてお前ら覚悟はできたか?」
 二人を説教してやる。
 ここはファミレス。当然他に客もおり、迷惑極まりない。
 仲良くなるのは大いに結構だが、こんな迷惑行為を友人として見過ごせない。
 その後、俺は二人を一時間ほど説教した。
 最後は閉まらなかったがこうして『エクスカリバー破壊団』を結成することが出来た。 
 

 
後書き
祐斗のあるセリフに小ネタを挟んでみましたが気付く人いるんだろうか。

感想お待ちしております。

ここまで読んでいただきありがとうございました。 
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