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魔法超特急リリカルヒカリアン

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無印編
  第二話

木の中から救出された二人を病院に運んだ後、ヒカリアン達は基地で回収した宝石の解析をしていた。

「博士、ドクター。何か分かりましたか?」

ひかり隊長が解析を担当した300X博士とドクターイエローに聞いた。

「ああ。あの宝石は一言で言えばエネルギーの塊だ。しかも、かなり不安定で危険な代物だから、誰も触る事が出来ないよう、厳重に保管するべきだ。」

「でも、何でそんな物が町の中に?」

博士の説明を聞いてのぞみが言った。それに対しドクターが答える。

「それについては、もっと詳しく調べるのと。あの二人から事情を聞く事が必要だ。」

そこへ、ウィンダッシュがやって来た。

「博士。病院からあの二人が目を覚ましたと連絡が来ました。」

「そうか。じゃあ、早速誰かに事情を聞きに言ってもらおう。」

「なら、本官に任せて下さい!」

博士が答えると、ポリスウィンが名乗り出た。

「分かった。頼むぞ、ポリスウィン。」




一方、ブラッチャー三人組はと言うと・・・

「う〜ん・・・」

何処かの部屋の床に敷かれた布団の中で目を覚ました。

「ここは何処だ?」

最初に目覚めたブラックエクスプレスが辺りを見渡す。すると、隣でドジラスとウッカリーが寝ていた。

「おい、ドジラス、ウッカリー。起きろ。」

「う〜ん・・・」

「あれ?ここ何処?」

ブラックエクスプレスが身体を揺すると、二人は目を覚ました。その時・・・部屋にある扉の向こうから匂いが漂って来た。

「何だ、この匂いは?」

「食べ物?」

「いい匂い。」

三人はその匂いに誘われ、扉を開ける。その向こう側にあったのはダイニングのテーブルの上に広げられた食べ物だった。どれもインスタントやレトルト食品だが、最近ろくな物を食べていないブラッチャーからすれば充分ご馳走だった。

「あ、あれは・・・」

「飯だ!!!」

早速、目を輝かせる三人。すると、そこへあの金髪の少女がやって来た。初めて会った時とは違い、黒いワンピースを着ている。

「あ、三人とも目を覚ましたんだ。」

「君は!」

「あの時の子だ!」

「あれ?親分とウッカリーの知り合い?」

「ん?何だドジラス、覚えていないのか?」

三人のうちブラックエクスプレスとウッカリーはしっかりと覚えていたが、ドジラスは宝石に操られていた時の記憶が無いようで、彼女の事はしらなかった。その時、ウッカリーがテーブルの上の料理を見ながら少女に聞いた。

「これ、食べてもいいの?」

「うん。手伝ってもらったし、お腹も空いていたみたいだから。」

「やったー!いただきまーす!!」

早速、ウッカリーは食べ始めた。

「コラ!ウッカリー!!俺様達の分もちゃんと考えろ!!!」

「ああ!待ってよ親分!!」

ブラックエクスプレスとドジラスもそれに続く。そして、あっと言う間に料理はなくなった。

「げふっ。もう食えん。」

「いや〜満足、満足。」

「こんなお腹一杯食べたの何日ぶりですかね!」

すっかり満腹になったブラックエクスプレス、ウッカリー、ドジラスの三人。すると、そこへ一人の女性がやって来た。

「うわっ!もう無くなってるよ。どんだけ腹減ってたんだい?」

「あれ?お姉さん誰?」

ウッカリーが彼女に聞いた。

「アタシはアルフ。あんた達を助けたフェイトのパートナーだよ。」

「ほお。フェイトちゃんと言う名前だったのか。」

「あれ?そう言えば親分。オイラ達まだ自己紹介してませんよね。」

と言う訳で、お互いに自己紹介をする事になった。

「俺様はブラックエクスプレス。ブラッチャーの親分だ。」

「オイラはドジラス。親分の子分だよ。」

「僕はウッカリー。ドジラスと同じで親分の子分なんだ。」

まず、ブラッチャー三人組から自己紹介をした。

「私はフェイト。フェイト・テスタロッサ。」

「さっきも言ったけど、アタシはアルフだよ。」

続いて少女...フェイト達も自己紹介をする。そして、ブラックエクスプレス達に聞いた。

「それで早速聞きたいんだけど、あなた達は何?」

「何って、俺様たちはブラッチャーだ。 ほら、知らないか?」

「ごめん、知らない。」

「「「あらら!?」」」

申し訳なさそうに言うフェイトに、ブラッチャー三人組はずっこけた。

「いや、自分で言うのも何だが、俺様達は相当悪さをしてきたぞ。」

「ご、ごめんなさい。私たちの居た所にはブラックエクスプレス達みたいな種族は居なかったから。」

「そうなのか?よおし!それなら俺様達の事を教えてやろう!!」

そして、ブラックエクスプレスは自分達とついでにヒカリアン達について説明した。

「と言う訳で。俺様達は今では真面目に働いている。」

胸を張りながらそう言うブラックエクスプレス。すると、アルフが聞いた。

「働いているんならさ、何でそんな腹ペコだったんだい?」

「うっ・・・それは・・・」

「いやあ、それが何故かどんな仕事をやっても上手くいかなくってさ。」

「ご飯を買うお金が無かったんだよね〜。」

「コラ!お前ら!!」

あっさりとバラすドジラスとウッカリーにブラックエクスプレスは顔を赤くしながら怒鳴る。その時、ドジラスが聞いた。

「って言うか親分。そろそろ何があったのか教えてもらいたいんだけど。」

「ん?ああ、そうだったな。」

ブラックエクスプレスはドジラスにフェイトに助けてもらった時の事を説明した。

「へえ〜。そうだったんだ。」

「ああ。ところで、そろそろフェイトちゃん達の事についても教えてもらいたいんだが。」

「あ、はい。」

ブラックエクスプレスに言われ、フェイトは説明を始めた。

「私は“次元世界”からやって来た“魔導師”なんです。」

「次元世界?」

「魔導師?」

フェイトの口から出て来た難しい言葉にドジラスとウッカリーは?マークを浮かべる。

「つまり、異世界からやって来た魔法使いと言う意味で・・・」

「あ、なるほど。」

「そう言う意味なんだ。」

だが、フェイトが分かりやすい言葉で言い直してくれたので、理解する事が出来た。

「あと、アタシはフェイトの使い魔。さっき言った通りパートナーだね。」

さらに、アルフが自分の説明を付け足した。

「それで、あの青い宝石は何なんだ?」

ブラックエクスプレスが次の質問をした。すると、フェイトが答える。

「あの宝石はジュエルシードと言って、願いを叶える宝石と言われています。ただ、魔力が不安定なせいで、願いを正しく叶えなかったりして暴走する代物なんです。」

「え!?オイラそんなヤバイのに取り憑かれてたの!?」

フェイトの説明を聞いてドジラスが驚愕した。

「そう。で、アタシらは今それを集めてるって訳さ。」

そして、自慢げに言うアルフであったが・・・

「何の為に?」

「え、それは・・・」

ウッカリーに聞かれて言葉を詰まらせる。すると、代わりにフェイトが答えた。

「私の母さんがこれを欲しがっているんだ。」

「そうか、お母ちゃんの為か・・・」

それを聞いたブラッチャー三人組は故郷の家族の事を思い出す。

「よし!俺様達もフェイトちゃんのジュエルシード探しを手伝うぞ!!」

「「ブラッチャー!!!」」

「え!?でも、さっきも手伝ってもらったのに、そんなの悪いよ。」

協力しようとするブラッチャー達に遠慮するフェイト。すると、そんな三人にブラックエクスプレスが言った。

「何を言う。俺様達こそドジラスを助けてもらったばかりか、飯までご馳走してもらったんだ。ここで『はいさようなら』と行く訳にはいかんだろ。」

「でも・・・」

それでも未だに渋るフェイト。すると、アルフが言った。

「いいじゃんかフェイト。手伝ってくれるって言ってんだしさ。」

「アルフ・・・分かった。お願いするよ、ブラック、ドジラス、ウッカリー。」

「ああ。こちらこそよろしく頼む。」

協力する事となり、互いに握手するブラックエクスプレスとフェイト。その時、ブラックエクスプレスが言った。

「所で、協力するに当たって一つ頼みたい事があるんだが・・・」

「何?」

「今回みたいに、いつも俺様達の分の食事も用意してくれると助かるんだが・・・」

「ふふっ。」

それを聞いたフェイトは思わず笑ってしまった。

「もちろん。ちゃんと三人の分も用意するよ。」





その頃、ヒカリアン達はポリスウィンから事情聴取の結果を聞いていた。

「あの宝石は男の子の方が偶然拾った物で、女の子に渡そうとした時、突然光り出したそうです。ただ、それ以降の記憶が無いみたいで・・・」

「何だ。手がかり無しかよ。」

E3が肩を落としながら言った。すると、そんな彼にドクターと博士が言う。

「そんな事は無い。おかげであの宝石が暴走する条件のデータが一つ集まった。」

「ああ。この後の解析をそれを念頭に起きながら行えば早く結果が出るかもしれない。」

「「「「なるほど・・・」」」」

二人の言葉に納得するヒカリアン達。その時、部屋の扉が開いて二人の子どもが入って来た。

「ごめん!遅れちゃった!!」

「もう。ミナヨちゃんが寄り道するから。」

この二人はJHR特別隊員で小学6年生の新橋テツユキ君とガールフレンドの神田ミナヨちゃんだ。

「二人とも。寄り道とはどう言う事だい?」

遅れて来た二人を見て、ひかり隊長が少し怒りながら聞いた。

「その、実は商店街で福引きをやっていて・・・」

「こんなの当てちゃった!」

それに対し、テツユキ君がビクビクしながら説明する中、ミナヨちゃんが堂々とある物を見せた。それは・・・

「“海鳴温泉一泊二日の旅”?」

のぞみがそれを読み上げながら?マークを浮かべた。すると、マックスがある事に気づく。

「海鳴って、確かあの木が出現した街だよな?」

「そう言えばそうだな。」

ソニックもそれに気付く。

「若しかしたらよ。あの宝石と同じもんがまだあの街に有るんじゃねえか?」

さらに、ネックスが言った。それを聞いたひかり隊長は考える。

「テツユキ君。その旅行は何人まで行けるんだい?」

「え?確か、四名様ご招待ってなっていたハズだけど・・・」

「なら、私とのぞみが一緒に行こう。君達も最初からのぞみを誘う気ではいたんだろう?」

「そ、それはそうですけど・・・(ひかり隊長が一緒かあ・・・)」

真面目で口うるさいひかり隊長が一緒に来ると言う事に少し嫌そうな顔をするテツユキ君。その時、つばさが羨ましそうに言った。

「いいな〜。のぞみも隊長も温泉に行くなんてさ。」

「つばさ。これは別に遊びで行く訳じゃ無いんだぞ。」

そんな彼に、ひかり隊長は注意するのであった。



続く

 
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