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魔法少女リリカルなのはANSUR~CrossfirE~

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動き出す使者 ~後編~

†††Sideはやて†††

スカリエッティの主力が向かうと思われるヘリと地下の両方に、こちらの主力を向かわせるってゆう最大の手を打った。ならあとは私の仕事をするだけや。クロノ君からの限定解除によって120分の間だけ、3ランク――Sランクまでの魔力出力が戻った。ガジェットを殲滅するのには余裕すぎる時間と魔力量や。

「よしっ、久しぶりの遠距離広域魔法や・・・気合い一発、行くよっ!」

気合は十分。私の言うなれば相棒(デバイス)であるリインとは別行動やから、精密射撃・長距離砲撃は出来へんから、ロングアーチにサポートしてもらうことになる。シャーリーから『全サポートシステムの準備完了しました、八神部隊長。いつでも行けますっ』と報告を受ける。

「おおきにな。簡単な処理なら独りでも十分やけど、こうゆう細かいんはリインが居らんと苦手でな」

『その辺はこっちにお任せください!』

ほんま頼りになる子らや。これで私の魔法が間違って変なところに行くこともない。

「来よ、白銀の風、天より注ぐ矢羽となれ」

私の左手の上で浮かぶ“夜天の書”のページが勢いよく捲れて、中間程度のところで止まる。開かれたページは、今から私が使う魔法が記されたページ。ロングアーチからなのはちゃんとフェイトちゃんが退避したこと、着弾地点の安全確保の報せが入る。これで全ての準備は整った。掲げていた“シュベルトクロイツ”を前方に振り下ろして・・・

「フレース・・・ヴェルグ!!」

術式名のフレースヴェルグと唱えた。そして放たれた4つの白い砲撃は、ずっと向こうにおるガジェットのいくつもの編隊へと進んでく。少しして、ロングアーチから報告が掃討成功の随時入ってきた。順調に破壊できとるようで何よりやな。

†††Sideはやて⇒????†††

「本当にそんなのが居るなんて・・・」

ルシルさんの指示のままに先行したあたし達は、ガジェットを破壊しながらケースのある場所を目指していた。その合間に、ギン姉に“ペッカートゥム”や“レーガートゥス”と呼ばれる存在について説明した。ギン姉のその反応はあたしにも判る。あたし達だって最初はルシルさん達の言う事が信じられなかった。

(でもホテル・アグスタでのシグナム副隊長とレヴィヤタンと呼ばれた小さい女の子の戦いを見れば誰だって信じるしかないと思う)

あの短い戦い、シグナム副隊長のリミッターがどうこうとかじゃなかった。レヴィヤタンという子は一切のシールドとかを張らずに攻撃を素で受けていた。でも傷1つと付かなかった。人の姿をした人じゃない存在・“ペッカートゥム”、その使い魔“レーガートゥス”。倒せるのはルシルさんとシャルさんだけ、という魔導師では勝てないモノ。

「でもルシルさんの言うことだから・・・」

「ええ・・・」

ギン姉と2人して微苦笑しながら頷き合う。うろ覚えだけど、あたしとギン姉がずっと幼い頃、お母さんが連れてきた男の子。それが小さい頃のルシルさんだった。あたし達にとってお兄ちゃんのようなルシルさんのことが、あたしとギン姉は好きだった。そのルシルさんがそう言うなら、それが本当のことなんだと・・・信じる。

「ケースの反応はここからですっ」

キャロからの知らせを聴いて、あたし達は辿り着いた広い空間をぐるっと見回す。そこはさっきルシルさんと別れた場所と同じような開けた広い空間。あたし達は手分けして“レリック”のケースを探し始めた。そして探し始めて数分、キャロが「ありましたっ、ケースですっ」って声を上げた。見つけてくれたみたい。合流するためにキャロの居るところへと向かおうとしたら・・・

「待って、何か変な音がする」

近くに居たティアがそう言って辺りを見渡した。あたしにも聞こえる。何かを蹴るような音が連続で鳴り続けてる。途切れたと思った瞬間、次はキャロの悲鳴と爆発音が聞こえた。キャロが何かに攻撃されたんだって判って、急いでキャロのところに向かう。
駆けつけて視認した時には、キャロがケースを抱えた紫色の髪の女の子の攻撃を受けて吹き飛ばされて、それに巻き込まれたエリオと一緒に柱に叩きつけられた場面だった。

「こんのぉぉおおおおおおおっ!!」

エリオとキャロに追撃をかけようとした人型のナニかのような奴に蹴りを放つ。あたしの蹴りを余裕で躱したソレと目が合う。ソレはあたしの蹴りを躱した直後に、「せぇぇぇい!」ギン姉の一撃を受けて殴り飛ばされた。あたしはケースの回収を優先して、ケースを持ってここから去ろうとする女の子を追う。

「待って、そこの子っ! それはとても危険なもので――って、ちょっとちょっと無視しないで! お姉ちゃん達にそのケースを渡してっ。おーい、聞いてる!? 持ってっちゃダメだってば!」

最初は立ち止まって振り返ってくれたけど、何も言わないでまた歩き出そうとした。すぐに追い掛けようとしたところで突然ティアが現れて、「乱暴でごめんね。けど危ないものだから、渡してもらえる?」ってその女の子にダガーモードの“クロスミラージュ”を向けた。ティアは女の子をきっちり捕まえていてくれてる。ナイスだよ、ティア。

――スターレンゲホイル――

これで解決と思ったら目の前に何かが着弾して、強烈な音と閃光が発生させた。目を開けてられないほどの閃光と、耳を塞がないと鼓膜が破れそうな爆音があたし達を襲った。攻撃じゃないのは判る。判るけど・・・あまりの爆音に耳がすごく痛い。必死に両耳を手で押さえるけど、ほとんど気休め程度でしかない。

「あいたた・・・」

やっと爆音と閃光が消えたからゆっくりと目を開けてみると、ティアが自分から離れていく女の子に“クロスミラージュ”を向けていたところだった。でもそれを邪魔するように、さっきの人型のソレがティアに飛び蹴りを入れて吹き飛ばした。
吹き飛ばされたティアはそれでも銃口を、今度は女の子の方に向けて発砲・・・。だけど、女の子に迫っていたティアの弾丸をその身を盾にしたソレ。そして弾丸を受けた肩の装甲?のようなものが壊れて地面に落ちた。

「まったくさぁ、あたし達に黙って勝手な事しちゃうから、こんな大変な目に遭っちゃうんだぞ?」

第三者の声がこの空間に響き渡る。声のしたところを見てみると、リイン曹長並みに小さな女の子が浮いてた。その小さな子は女の子の元まで飛んで向かって・・・

「それにしてもレヴィは何やってんだよっ? アイツ、ルールーを守るとか言ってたくせに守れてねぇじゃんかよっ」

不機嫌そうにレヴィって子に対して愚痴を漏らすのが聞こえた。

「レヴィは仲間と一緒に仕事だって。すぐに片付けて戻ってくるって言ってた」

女の子たちの会話を聞きながら一旦距離を開けてエリオとキャロの側に行く。エリオは大丈夫そうだけど、キャロが気を失ったままだ。

「まぁいいや。とにかく烈火の剣精アギトが来たからには、大船に乗ったつもりで安心してくれよなっ♪」

†††Sideスバル⇒シャルロッテ†††

私は今、隊舎から戦闘が行われている区域に向けて飛行中。それはルシルが地下へと向かう時に、地上の警戒を頼まれたからだ。“レーガートゥス”がフォワードの子たちと遭遇、それなのにフォワードの子たちに手を出さない。
目的はケースの回収でも妨害でもない。なら地下で何をしている? 答えは至極簡単。ルシルを誘っているんだ。じゃあ、誰がそんなことをする? それもまた簡単。“ペッカートゥム”の誰かだ。ヤツらが間違いなくあの区域の近くに居る。

(私とルシルの居る世界で好き勝手出来ると思わないでよホント・・・)

ルシルも同じ考えに至ったから私に、地上を頼む、と一言だけ告げたんだ。地下だけじゃなくて地上にも“ペッカートゥム”が居る可能性がある、と。飛行の最中、戦闘になった時のことを考えて、私は自分の戦力についての現状を把握する。さっきまでは、というより今もAA+ランクとして活動中だ。この状態での複製術式使用のおかげで馬鹿みたいに魔力を消費した。だけど、リミッターを解除すればそれも大した問題にはならないと思う。

「いつでも来いって感じよね」

そんなことを呟きつつ広い空を翔る。ここから戦闘区域まで大体あと5分弱。

『ルシル。私はもうすぐなのは達にところに着くけど、そっちの状況はどうなってる?』

ルシルの現状を知ろうとしてリンクを通すけど繋がらない。こんなこと今までなかった。魔法による念話はジャミングとかあって繋がらないこともある。なのに守護神としてのリンクが妨害されるなんて・・・まず有り得ない。ヤツらの中に、そんな術を持つヤツがいるということ? それとも・・・。

「・・・ルシルに・・・何かあった・・・?」

空を翔けながらルシルのことを思っていると、「来たか。三番」と私を待ち構えていたように男が2人、私の行く手を拒んでいた。

「・・・ペッカートゥム。どっちも知らない顔だけど・・・ナニ?」

許されざる傲慢(ルシファー)だ」

「そんでオレが許されざる憤怒(サタン)だ」

白いスーツの男が腕を組みながら“ルシファー”と静かに告げて、黒の燕尾服の男が左手の親指を自分に向けて“サタン”と笑みを浮かべた。

「傲慢と憤怒、か・・・。六番目と四番目が私に勝てると思ってるの?」

軽い挑発を口にしながら、自分で掛けたリミッターを解除する。使用する魔力はSSランク。状況を見てSSSへと上げる。けど市街地ということで、SSやSSSの魔力攻撃は使えない。だから使うのは“キルシュブリューテ”の神秘による攻撃のみだ。

「俺たちに勝てるかどうかは試してみるといい」

「こっちは時間がねぇんだ。だが、簡単に終わってくれるなよ、三番!!」

「上等・・・。そっちこそ簡単に・・・あ、終わってくれていいんだ」

“キルシュブリューテ”を鞘から抜いて臨戦態勢に移る。ルシルのことは気になるけど、今はこいつらを片付けるのが先だ。

・―・―・―・―・―・

首のないルシリオンの遺体を前に3体の“大罪ペッカートゥム”が静かに佇む。許されざる嫉妬レヴィヤタンは無表情、許されざる強欲マモンはつまらなそうに、そして許されざる色欲アスモデウスはただルシルを見下ろして口元を堅く結んでいる。

「結構簡単に終わっちゃったよね。もう少し苦戦すると思っていたけどさ」

マモンの言葉に他の2体は応えない。そんな中、アスモデウスは辺りを探るように見回し始めた。

「どしたの?」

「判らないの、マモン? 欠陥品は今は人間なのよ? なのにこの体からは一切血が流れていない。つまり、これは・・・贋物(フェイク)

アスモデウスの言うとおり、ルシりオンの首からは血が一滴も流れていない。マモンもそのルシルの体から血が流れていないことに気付いたようで、アスモデウス同様、周囲を警戒し始める。

「こんなモノで私たちを欺けるとでも思ったのかしら」

アスモデウスは転がっているルシリオンの頭部へと近づき、勢いよく踏みつけた。グシャっと音がしたあと、頭部だったものは光となって消滅していった。

「あはは、たとえ贋物でもスカッとするよこれ」

マモンは未だに残っているルシリオンの胴体を散々痛めつけてから消し飛ばした。改めてルシリオンに警戒する中、この2体の頭の中に1つの疑問が生まれる。それはルシリオンがいつの間に贋物と入れ替わったか、ということだ。

「でも欠陥品の首に刃が当たったのは間違いないよ。刃先に・・・血が付いてるしさ」

マモンはアスモデウスへ大鎌の刃先を向ける。そこには確かに乾いていない赤い血が付着していた。これは本物であるルシリオンに何らかのダメージが入っている証拠である。

「仕掛けてこないということは、すぐに仕掛けられないような傷を負ったということかしら?」

「案外もう死んでるかもよ? 首って人間の急所だしさ」

「その油断が自分の終わりを呼ぶわよ、マモン」

アスモデウスはマモンから大鎌を受け取り肩に担いだ。

「・・・わたし・・・先に戻っていい?」

今まで沈黙していたレヴィヤタンがそう囁く。当然それは許されない。だがそれを承知で彼女は告げた。

「もう少し待って。それはそうとレヴィヤタン。あなたも少しルーテシアに固執しすぎよ? 彼女もまたこの世界と一緒に消えるんだから、必要以上に関わるのはやめなさい」

アスモデウスはレヴィヤタンにそう告げる。レヴィヤタンは少し逡巡した後、コクリと小さく頷いた。それはこの場での待機のことか、それともルーテシアとの関係のことか、アスモデウスには判らなかった。

「・・・探すのも面倒だし仕方ないわ。この付近一帯を吹き飛ばしましょう」

「おおっ、過激だね。でも大賛成♪ 壊すの大好き❤」

「・・・判った・・・」

3体が行動に移ろうとしたその時、それは起こった。

――我が御名の下、開け、英雄の居館(ヴァルハラ)――

「「なにっ!?」」「あ・・・」

3体のすぐ近くで黒い穴が開いた。そして彼女たちを吞み込もうと勢いよく吸引を始める。アスモデウスは呑まれた右腕を自ら切断して、側に居たレヴィヤタンの速度を以って離脱、完全に穴へ呑まれることはなかった。しかし、あまりにその穴に近かったマモンは成す術なく呑み込まれた。この瞬間、マモンの消滅は確定された。
ルシリオンの精神世界にて展開されている創世結界・“英雄の居館ヴァルハラ”に居る“異界英雄エインヘリヤル”は、総勢3万超。だが全員が戦闘員というわけではない。だがそれはマモンにとっては何の気休めにもならない。“エインヘリヤル”の中には、正真正銘の神だっているのだから、戦い以前の問題なのだ。

「やってくれるじゃない、欠陥品・・・!」

アスモデウスの綺麗な顔が怒りに歪む。自らが決定した行動の果てのマモンの消滅。レヴィヤタンだけは無表情を崩さず、「・・・ルーテシアに・・・早く会いたい・・・」仲間の消滅よりひたすらルーテシアの事を考えていた。

・―・―・―・―・

アスモデウスとレヴィヤタンから離れた場所に、首と右肩から血を流したまま座り込んでいるルシリオンが居た。しかし綺麗だった銀色の後ろ髪は今はもう短く、血に染まって赤くなっていた。ルシリオンは首を刎ねられるその刹那に複製術式、神騙す夢幻(レフィナド・イルシオン)を発動。そのおかげで大鎌から逃れ、首と右肩だけの傷だけで済んだのだ。

――神騙す夢幻(レフィナド・イルシオン)。大戦時、夢幻王プリムスがたった一度だけ使った魔術。全てを欺くほどの質量のある精巧な自分の幻影(みがわり)を生み出す、というものだ。幻影と入れ替わるようにして最大数百メートル内に瞬間転移することで、敵からの攻撃を回避し、代わりに攻撃を受けた幻影(みがわり)によって自分を死んだと思わせる術式。本来なら血液や臓器などの効果も含まれるが、今回は全てに余裕のなかったために術式を省いたことで、単なる回避用の手段となってしまっていた――

(たった1体だけしか潰せなかったか。弱ったな・・・)

座り込むルシリオンの傷は深いが、彼は治癒魔術を使おうとはしていなかった。魔力を放つことで、自身の居場所を察知されてしまうためだ。そうなると“英雄の居館ヴァルハラ”で一気に決めようとしていた策が無に帰すことになると判断したからだ。だが結局それは叶わず、取り込んだのはマモンの1体だけ。ルシリオンは「チッ」と舌打ちしたあと、首と右肩に負った怪我を治す。これで残りの2体に自分のいる場所を知られたはずだ。

「全く、シャルにもリンクが通らないし、面倒なことをしてくれた」

ルシリオンは残りの“大罪ペッカートゥム”と戦うために立ち上がる。ここでさらに数を、可能ならば2体とも完全に斃すことを目指す。リンクに関しては、この場にいないルシファーが仕掛けたことだが、もちろんルシリオンは知らない。

「地上はどうなっているだろうか? いや、フェイト達が居るのだから心配はないな。それ以上に気になるのは、あの子たちがちゃんとケースを回収できたかどうかだが・・・」

ルシリオンが気になるのは先行させたフォワードとギンガの5人。気にはなるもののどうすることも出来ないため、まずは現状を打破するために・・・

「第三級断罪執行権限・・・解凍」

ルシリオンはS-ランクからSSSランクの魔力を制限する第三級の執行権限(リミッター)を解凍、その身に宿す魔力をSSSランクとした。

「我が手に携えしは確かなる幻想」

ルシリオンは冷静に考え、魔力攻撃はまずいと判断、全て神秘の攻撃に切り替える。なら魔術は不可、複製術式もまた不可、ならば複製能力を使えばいいと結論した。ルシリオンは、別の世界で契約を行っている別の自分が複製した能力を引っ張り出す。オリジナルに神秘はないが、“英知の書庫アルヴィト”に一度登録されたものは例外なく神秘を宿すようになる。だから何も問題なく“ペッカートゥム”にダメージを与えられる、と考える。

「さぁ、第2ラウンドを始めようか」  

――ディーンドライブ――

ルシリオンはそう呟いて、複製能力を発動させた。

†††Sideシャルロッテ†††

廃棄都市区画のある一画で、私はルシファーとサタンと空戦を繰り広げる。“キルシュブリューテ”に宿る神秘を斬撃として飛ばし続けるんだけど、ルシファーとサタンに容易く避けられる。分裂体ってこんなに身体能力高かったっけ。なんか、こう・・・先代と比べるまでもなく強くなってる気がする。

「まだまだぁっ!」

位置的に近いルシファーを斬り捨てるために肉薄する。“キルシュブリューテ”の届く間合いにルシファーが入り、一気に右斜めに斬り上げる。

「惜しかったな」

「っ! ペッカートゥムが武器を持つ・・・?」

ルシファーは、刀身部分が赤黒く染まった細長い四角柱の剣を構えて、私の斬撃を防いだ。わけが解らない。どうして“ペッカートゥム”が武器を持っているのか・・・。今までにこんなことはなかった。今代の“ペッカートゥム”は何かがおかしい。

「ボサッとしていると直撃だぜ?」

サタンが私に向けて、レヴィヤタンと同じような砲撃を放ってきた。砲撃と言っても、それはレーザーより少し太い感じのようなモノ。それをいくつも連続で掃射してくる。私はそのレーザーの掃射を、“キルシュブリューテ”で斬り払っては回避する。

「これ以上は・・・魔術を使わないとキツイかな・・・?」

“キルシュブリューテ”の神秘による直接斬撃や放出斬撃にも限界を感じ始めた。陸戦ならそれで十分だろうけど、空戦じゃメチャクチャなハンデに感じる。

(何ならSSSランクで“キルシュブリューテ”の能力を解放、真技の“牢刃”でも使おうかな?)

けどそれははやて達に迷惑を掛けることになるかもしれない。絶対に地上本部のヒゲに何か言われるに決まってる。

「ん? ルシファー、聞いたか?」

「ああ。マモンが敗れたそうだな」

思考の最中にルシファーとサタンが、マモンが敗れた、とか言い出した。そういう話は普通敵の前ではしないと思うんだけどね。でも、それが事実ならルシルは無事で、そのうえ“ペッカートゥム”の1体を斃したということだ。

「・・・誘き出しといて返り討ちってことでしょ、それ? これで残り6体ってことよね。ここに2体、ルシルの方はどうなのかな?」

たぶんルシルの方も1体だけってことはないと思う。居るのはベルゼブブ、ベルフェゴール、アスモデウス、それとも・・・レヴィヤタン? どちらにしてもルシルなら何とか出来るはずだ。

「三番、俺たちはここで撤退する。別に構わないだろう? ここで俺たちと戦い続けるより、仲間の方に向かうのが良いと思うが?」

ルシファーからのいきなりの撤退申告。私は思考を巡らせる。確かにこのままじゃ埒が明かないのも事実。空戦においての速さが互角である以上、私のような接近戦タイプは辛い。でも、ここでヤツらを見逃すのも何か嫌だ。空に静止して少し。私は考えた末の結論を出す。

「大人しく撤退するならいい。けど、私の友達に手を出すような真似をしたら容赦しない」

ルシファーとサタンの撤退を見逃す。それが私の出した結論。次に会ったときは市街地じゃなくて、私が全力を出せるような場所で思いっきり戦って、そんでもって絶対に勝つ。

「いい判断だ、三番。では、これで失礼させてもらおう」

「・・・次はその首を落とす。待っていろよ、三番」

ルシファーとサタンはそう告げて、その姿を消した。

・―・―・―・―・―・

ルシリオンは再度戦いに臨む為、執行権限(リミッター)を解凍しようとしていた。

「・・・マモン・・・死んじゃったの?」

「はぁ・・・そうね」

レヴィヤタンとアスモデウスが黒い穴が閉じた場所を見ながら佇んでいた。アスモデウスは知らなかった。ルシリオンにこのような力があるということを。歴代のアスモデウスの記録の中のルシリオンは、干渉もしくは簡単な魔術しか使っていなかったから当然だ。番外位である“大罪ペッカートゥム”相手に創世結界を使うことが異常なのだ。

「マモンは死んだ。戦闘行動も一時中止、退却する」

このまま戦い続けても構わないが、此度における“ペッカートゥム”の目的はあくまで“標”だ。無理に戦って勝つ必要もないし、それ以前に負けて目的を果たせなくなる方が問題だ。そう判断しての退却となる。

「レヴィヤタン、もう戻っていいわよ。欠陥品とは改めて――そう、やる気なわけね」

そのとき、2体の立つ場所より500m弱よ離れた場所から強烈な魔力が発生したのを2体は感じた。ルシリオンがまだ戦おうとしていることが判り、やれやれといった風に首を振る。

「どうしたい、レヴィヤタン?」

「・・・ルーテシアのところ・・・戻りたい」

「そう・・・・」

アスモデウスの失っていた右腕部分に光が集束していく。そしてその次の瞬間には、失う前と何ら変わらない右腕があった。閉じられていた右拳が開く。開いた手の平の上にあるのは、淡く輝く光球。

「マモン。あなたの“力”、有効に使わせてもらうわ」

その光球はマモンの“力”そのもの。アスモデウスは呑まれた右腕を使い、同じく呑み込まれたマモンの“力”だけを取り戻したのだ。そしてアスモデウスは、その“力”の光球を胸に押し当て取り込んだ。これで彼女は2体分の“力”を有することになった。

「欠陥品、私たちはこれで――」

全てを言い終わる前に、アスモデウスはその場から離脱。レヴィヤタンもまた、その場から完全に姿を消していた。それと入れ替わるようにして彼女たちが居た場所にはルシリオンの姿があった。

「・・・逃げたか」

“グングニル”を携えたルシリオンは静かに呟き、地上へと出るために歩を進めた直後、地下に大きな揺れが起きた。

「な、何だ・・・?」

・―・―・―・―・―・

車の通りが1つとない廃棄されたハイウェイ上に、ルーテシアとアギト、ガリューの姿があっら。優勢に立っていた地下での戦いで、フォワードの増援として現れたヴィータとリインの奇襲によって一時的な撤退を余儀なくされたのだ。

「これはまずいって、やり過ぎだって! 崩落なんかさせたら、アイツら死んじゃうかもしんないんだぞっ! それにケースはどうすんのさっ?」

アギトの言っていることは、地下を崩落させようとしている甲虫のことを指しているのだろう。確かに普通の人間ならば崩落に巻き込まれれば死ぬことになる。

「あの赤い子と小さい子も居るし、あの人たちのレベルも高いから、これくらいじゃ死なない。ケースはクアットロ達に頼んで探してもらうから、きっと問題ない」

「よくねぇって、そんなのっ。 なぁ、ルールー。あんな奴らと関わっちゃダメだって! アイツら、絶対にあたし達のことを道具――最悪実験動物くらいにしか思ってねぇよ!」

アギトがスカリエッティ一味のことをそう評した。自分たちのことを単なる実験動物としか見ていない、と。

「それにペッカートゥムって奴らもそうだ! あいつらも絶対ヤバイって! 何かこう・・・、あぁもうっ、なんて言っていいか解んないけどさ、ヤバイんだって!!」 

アギトは的確な表現が出来ない所為でそう声を荒げる。“大罪ペッカートゥム”は危険だと。しかしそれを聞いたルーテシアは・・・

「そんなことないよ、アギト。レヴィはすごく優しいし、アスモデウスだって面白い。わたしとアギトにもよくしてくれる」

ルーテシアは“ペッカートゥム”のことを庇うような言葉を囁く。だが彼女は知らない。その大罪の名を冠する連中の目的を・・・。そして轟音が響く。音の出所は甲虫の足下。地面が大きく陥没していた。あれではもう地下は完全に崩落しているだろう。

「あー、やっちゃったよ本当に・・・」

アギトが崩落した地上を見てガックリと項垂れた。ルーテシアは自身の側に居るガリューに、ティアナやヴィータに負わされた怪我の状態を訊くと、ガリューはまるで、問題ない、というように頷き応えた。それを見たルーテシアは優しく「戻っていいよ」と告げ、ガリューの召喚を解いた。今度は地面を陥没させた甲虫――地雷王の召喚を解こうとしたその時、地雷王の足下に四角い魔法陣が展開された。

――アルケミックチェーン――

召喚魔法陣より生み出された無数の鎖によって、地雷王は捕縛された。そこから繰り広げられたのはフォワード達とルーテシア達の短い戦闘。だがフォワード達の方が一枚上手だったのか、ルーテシアとアギトは捕らえられてしまった。

「ま、こんなもんだろ。市街地での危険魔法使用、公務執行妨害・・・どんだけ積み重ねんだよ、たく。そういうことでお前らを逮捕するから。逃げようとか考えんなよ」

ヴィータがルーテシアとアギトに対する罪状を告げた。そして彼女たちへの簡単な尋問が始まる。その最中、バインドで拘束されているルーテシアに、スカリエッティの手足として動く1人、クアットロからの念話が届く。
その内容は、ルーテシアとアギトを救出する算段。ルーテシアは本音を言えばレヴィヤタンの助けを待ちたかった。しかしすでに待っていられる状況でもなく、仕方なしにクアットロの話に乗ることに。救助手前、そのクアットロから伝言を託されたルーテシアは、ヴィータに向けて告げた。

「わたし達を逮捕するのはいいけど、仲間のヘリを放っておいていいの?」

それを聞いたヴィータを始めとしたフォワードたちは焦る。だがルーテシアを介してのクアットロの伝言は終わらない。ルーテシアから向けられる視線に気付き、ヴィータは怪訝そうな表情を浮かべる。

「あなたは、また守れないかもね」

今度こそヴィータの表情に変化が現れた。そして次の瞬間、ヴァイスの駆るヘリに向けて、彼女らの仲間による砲撃が放たれた。

†††Sideなのは†††

フェイトちゃんと2人でヘリの機影を視界に捉えて安堵したその時、大きな魔力・・・とはまた違う、だけどかなり強い反応を感じることが出来た。そこにロングアーチからの報告が入る。物理破壊型の砲撃のチャージを確認したって。しかもランクは推定S。Sランクの、しかも物理破壊型の砲撃なんて、ヘリに備えられているシールドじゃ防ぎきれない。ヘリを守るために全力で飛ぶ私たちを尻目に砲撃が放たれた。

「ダメっ! 間に合わないっ!!」

一直線にヘリへと向かう暴力の一撃。目に見えているのに、あと少しなのに・・・。この距離でリミッターを解除されてもギリギリ、ううん・・・届かない。最悪の光景が脳裏に過ぎったところで、『私が守る!!』って、ここに居ないはずのシャルちゃんからの念話が届いた。

「そう上手くいくと思うなぁぁぁっ!!」

砲撃がヘリに着弾するまであと僅かというところで、ヘリと砲撃の間に現れたシャルちゃんが振るう“キルシュブリューテ”によって砲撃は防がれて・・・違う、綺麗に斬り裂かれていた。

『ヘリは無事っ! なのはとフェイトは狙撃犯の逮捕、急いでっ! はやて、2人のリミッターの解除をお願い!』

シャルちゃんから私たちに指示が飛ぶ。私たちはその勢いに負けてただ「了解!」と応えて、すぐさま行動に移った。
 
†††Sideなのは⇒ヴィータ†††

『こちらロングアーチ! ヘリは無事です!』

『シャルさんがやってくれました!!』

ヘリが無事っていう連絡があたし達に届く。どうなることかと思った。また守れないんじゃねぇかって・・・。

「よくもやってくれたな・・・テメェら・・・!」

捕まえている紫のガキに“アイゼン”を突きつける。もう少しでヘリが落とされて・・・シャマルもヴァイスも死んでいたかもしれなかった。そう思うと怒りが込み上げてきて、どうにかなりそうだ。スバル達があたしを止めようとしてくるが、こればっかりは怒りが収まらねぇ。それに“また守れない”っつう言葉。あれは、8年前のことを指しているんじゃねぇか? だったらコイツらの仲間は、あの事について何か関わってるかもしれねぇってことだ。

「答えろっ、テメェやその仲間は8年前のこと知ってんのかっ!?」

感情が抑えられねぇ。バインドで縛られてるアギトっつう奴が何か言ってるが耳に入らない。一切感情を見せないガキに掴みかかろうとした時、「・・・っ! エリオ君、足下!」後ろでギンガが叫んだ。それであたしもガキから視線をエリオに向ける。地面から変な格好をした女が現れて、「はい、いただきっ♪」エリオの持つケースを奪い取って、また地面へと・・・潜っちまった。

「チックショー、何なんだよっ!?」

「副隊長、危ない!!」

ティアナの叫びに反応して振り返ろうとしたけど、その前に強烈な衝撃を受けた。突然のことで一瞬だけ頭ん中が白くなっちまったが、すぐに体勢を立て直して前を見る。

「・・・ごめん、ルーテシア。・・・遅れた・・・」

そこに居たのはレヴィヤタンっつう人間のようで人間じゃない化け物。“ペッカートゥム”の1体で、セインテストかフライハイトにしか斃せない人外。

「・・・帰ろう・・・」

レヴィヤタンがそう呟いて、鯨のぬいぐるみを掲げると、辺りが紫の閃光に包まれた。光が収まったとき、もうそこにはあたしら以外、誰も居なかった。

「・・・反応・・・ロストです」

「くそっ、やられたっ!」

†††Sideヴィータ⇒シャルロッテ†††

ヘリの護衛の最中、モニターに映るのは犯人と思しき2人の女。1人は眼鏡を掛けた女で、なんとなくお近づきになりたくないような奴だ。もう1人は“殲滅姫カノン”の持っていた神器と似た、無反動砲のような砲塔を手にした女。いきなりのフェイトのプラズマランサーから回避して、必死に逃げ回っている。

「さっさと諦めればいいのに」

『フライハイトちゃん。助かったわ、ありがとう』

『マジで助かりましたシャルさん。出来れば、このまま護衛を任せちまってもいいですか?』

「ん、了解。逃亡犯たちはなのは達が捕まえるだろうしね」

私が砲撃を防いだことでヘリは無傷。そのままヘリの護衛に就くことにした。そしてルシルのことは、ルシファーとサタンが居なくなったことで連絡をとることが出来た。
今回の詳細は帰ってから、ということになったけど、ルシルは結構まずい戦況だったみたい。モニターに映ったルシルはボロボロだった。綺麗で長かった髪は短く雑に切られていて、戦闘甲冑の首と右肩を覆う部分は、裂けている部分を中心に赤く血で染まっていた。

――無事だったから問題ない――

それは下手をすれば死んでいたことを意味しているのに、そう軽く言うルシルには呆れ果てる。だから私もそれ以上は何も言わなかった。だったら今は、目の前の問題を先に片付けることを優先しよう。

「はやて、デアボリック・エミッション、スタンバイ」

『それはあのうちのどっちかが幻影の使い手やから、かな?』

「間違いなくね。そろそろ姿を消すはず・・・」

狙撃犯の側に居ながら何もしないで、たとえ安全を確保していても戦場にいる時点で黒。幻影系はおそらく現代(いま)も近いところからじゃないと発動できないと私は踏んでいる。仮に違ってもあの2人を捕まえることには変わりないからよし。そしてはやては発動のための詠唱を終えて、いつでも発動できるように待機している。

「なのはとフェイトは、はやての一撃のあとに出てきたところを撃って」

『『了解!』』

――シルバーカーテン――

そして予想通りに犯人の2人が消えた。だけど実際にはまだ消えた付近に居るはずだ。そこを潰すのが、広域空間魔法デアボリック・エミッション。見えなくてもそこに居るんだから、動き出さざるを得ない状況を作り出す。んで、出てきたところでなのはとフェイトで挟撃させる。それでチェックだ。

「なのは、フェイトは離脱! はやて・・・撃って!!」

『遠き地にて、闇に沈め。デアボリック・エミッション!!』

遠隔発生された一撃が廃棄都市区画の一画を飲み込んでいく。そんで、あの2人は・・・っと、なんとまぁ、いい具合になのなとフェイトの間に現れた。それでもまだ逃げようとする間抜けな2人。だったら一度キッツイ一撃を受けてみなさい。

――トライデントスマッシャー――

――エクセリオンバスター――

なのはとフェイトから放たれた砲撃は真っ直ぐ向かっていって、でも「やられた・・・っ!」寸でのところでかなり速い伏兵に邪魔された。ダメ、速い。突然過ぎて目が追いつけない。なのはとフェイトも気付いたようで、ロングアーチに追跡するように指示を出した。ロングアーチが足取りを追ったけど犯人は逃亡、逮捕は出来なかった。

†††Sideシャルロッテ⇒ティアナ†††

「こっちは最悪だ。召喚士一味には逃げられた上にケースまで取られた。逃走経路も掴めねぇし。迂闊だった」

ヴィータ副隊長が沈んだ声で、隊長たちと連絡を取ってる。けど、あたし達は言わないといけないことがある。あるんだけど、ヴィータ副隊長の放つ重い空気にたじろいでしまう。

「あ、あのー、ちょっとお話があったり・・・」

ギンガさんに急かされたスバルがヴィータ副隊長に声をかけるけど、邪魔すんなって意味が籠められた“グラーフアイゼン”がスバルに向けられた。どんどんヴィータ副隊長が沈んでいくのを見て、早く言わないといろいろとまずい気が。だから今度はあたしが意を決して口に出す。

「副隊長・・・あの、大切なお話がありまして・・・」

「報告中だ、後にしろっ!」
 
こ、恐い。けどここで言わないと、きっとあとでさらに恐いことになる。だから後々ヴィータ副隊長に何かを言われる前にさっさと切り出さないと。あたしが「レリックには、あたし達で一工夫をしてまして・・・」って切り出すと、ヴィータ副隊長もようやく話を聞いてくれた。
ヴィータ副隊長の前に集まって、あたし達がレリックに施した工夫の説明を始める。ケースからレリックを取り出して厳重に封印処置を施し、ケースを囮にしたって事を。本当ならケースごと騙したかったんだけど、あたしの幻術は衝撃に弱いから断念。

「――ということで、ケースの中身であったレリックは・・・」

スバルがキャロの被っている帽子を手に取る。キャロのカチューシャの上に一輪の花が咲いている。ヴィータ副隊長がそれを確認したのを見て、あたしは指を鳴らす。すると花はレリックへと変わった。これがあたし達がレリックに施した一工夫だ。

「僕たちの中で一番敵と接触する可能性が低いだろうキャロに持っててもらうことにしたんですけど・・・」

説明を終えると、リイン曹長は「やりますね~♪」って感嘆の声を、ヴィータ副隊長は「はは、はははは」乾いた笑い声を・・・あの、大丈夫ですか? あたし達はどうしていいのか分からず、ヴィータ副隊長が復活するまで待つことにした。ヴィータ副隊長の力のない笑いが続いている中、

「みんなも無事にレリックを回収したみたいでよかった・・・」

上空からルシルさんの声が聞こえた。あたし達は空から降りてきたルシルさんへと視線を移した。けど、ルシルさんの姿を見て絶句。ルシルさんの姿は、別れたときと違ってボロボロだった。

「「「「「ルシルさん!?」」」」」

「セインテスト!? ちょっ、お前、大丈夫なのかよ、それっ!?」

「す、すぐにシャマルを呼んで――」

さっきまでの雰囲気が一気に消し飛んだ。それほどルシルさんの見た目が酷かった。綺麗だった髪は短くなっているし、髪も顔も服も血で赤く染まってる。

「あぁ、大丈夫だから。止血も終えたし、傷も塞いだ。・・・心配することはないよ」

笑みを浮かべるルシルさんに、あたし達一同ドン引き。このあと、フェイトさんやシャマル先生に捕まったルシルさんは隊舎の医務室に強制連行された。
 
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