MS Operative Theory
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グフの開発②
——グフの生産と性能傾向——
グフは試作機のYMS-07以降(地球降下作戦に参加したと言われる機体は、このYMS-07だとされる)、ザクⅡJ型用の生産ラインで量産体制に入った。しかし、腕部固定兵装の生産が遅れたため、両腕に通常のマニピュレーターを使用したMS-07A(グフA型)が32機生産されたといわれている。
その後、設計通りに腕部固定兵装を装備したYMS-07Bが先行量産され、直後に「真のグフ」であるMS-07Bの生産が開始された。なお先行量産型のYMS-07Bは宇宙攻撃軍のランバ・ラル大尉の乗機として知られている。
ラル大尉やMS-07B-3(グフ・カスタム)に搭乗したノリス・パッカード大佐など、グフのパイロットとして知られる軍人には卓越したMS操縦技術もつ、所謂「エース」と呼ばれるものが多い。
彼らが操縦したグフが地球連邦軍のRX系MSと互角の戦いを繰り広げたこともあって、本機は高い評価を受けることが多い。しかし、実際にはグフは高い性能をもつ機体ではなかった。
グフは、少ないリソースを格闘性能に大きく振り分けたために特定性能に特化した機体で、操縦にもクセがあったといわれる。また、格闘性能を強化したことは射撃性能の低下を招いたとされ、一般のパイロットには不向きなMSとなっていた。
——グフの開発理由と要求された仕様——
グフは陸戦用格闘型MSという仕様のもとに開発が進められていた。これは、地球侵攻作戦以降の地上戦と、地球連邦軍製MSへの対抗手段の確保に端を発している。
局地戦用MSが必要になった背景には、地球降下作戦後の戦線の膨着とザクⅡJ型の性能限界という問題もあった。その解決策の一つが陸戦用格闘型MSグフという形で結実したのである。
➀陸戦用MSの必要性
当時、本格的な陸戦型MSはザクⅡJ型だけしか存在していなかった。しかし、ザクⅡJ型も汎用機の改修型であったため、陸戦性能には限界があった。そこで、より高度な陸戦対応能力と運用性を持つ機体が必要とされたのである。
➁格闘戦への対応
ミノふスキー粒子散布下で発生する有視界戦闘に最適化されたMS同士の戦闘は、資金、もしくは近距離での格闘戦になると予想された。このため、グフには高い格闘戦能力が求められた。その結果、専用の装備も開発された。
——グフの構造——
グフは、ザクⅡJ型をベースとしてZEONIC社が開発した機体である。そのため、頭部形状や動力パイプが露出したスタイル、肩部スパイク・アーマーなどにザクⅡの影響が見受けられる。しかし、高度な冷却機講やパワーサプライが導入されたほか、汎用性を犠牲にして内蔵兵装を装備するなど、陸戦用格闘型MSとして高い威力を持つに至った。
■頭部
ザクⅡの影響が強い頭部。ブレード・アンテナは標準装備となっている。
■腕部
両肩にスパイク・アーマーが装備され、右前腕にはヒート・ロッド、左前腕は5連装75mm機関砲が内蔵された。このため左手のマニピュレーターとしての機能は低下することとなった。
■胴体
補助デバイスをエネルギーサプライのターミナルに分散配置することで、運動性が大きく向上した。装甲、冷却機講もザクに比べ高性能化している。リュックサックはMS-08系モデルが採用された。
■脚部
動力パイプを内蔵式とし、サブスラスターを装備することで脚部のショックアクションが大幅に向上した。
——グフの技術成果とバリエーション開発——
ホバー走行能力による高機動性を持つ重MS、MS-09(ドム)の開発によって、グフが地上戦の主力となることはなかった。これはグフの戦術機動性が低いためだけではなく、汎用性の欠如とクセのある操縦性も理由とされる。主力機とならなかったグフだが、汎用性を拡充したタイプや、俊敏な機体特性を無視した派生機が開発されたことで、MS開発史において重要な位置を占めている。
➀格闘戦用MSとしての技術的な確立
MS同士の戦闘は、ジオン公国の技術者が予想したような格闘戦に特化したものとはならなかった。しかし、至近距離での格闘戦が重要なファクターであることは間違いなく、特に高い技量をもつパイロット同士の戦闘は格闘戦に発展することが多かった。そのため、グフの開拓した「格闘戦用MS」というカテゴリーが消滅することはなかった。
➁飛行システム対応への模索
グフは、祖の機体特性のため、汎用性が低いという評価がなされている。しかし、重装タイプののC型や、飛行試験タイプのH型などからもわかるように拡張性は確保されていた。特に飛行試験型のMS-07Hシリーズは、空中爆発事故を起こしているが、MS-07H-8(グフ・フライトタイプ)にいたって、低運動性ながらも飛行に成功した。
後書き
次回 ドムの開発
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