ヘタリア大帝国
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TURN115 オリジナル対クローンその十
「私達はずっとジャムを入れて飲むものと思っていましたね」
「そうだったな」
「はい、しかし実際はどうかといいますと」
「ロシアでは紅茶にジャムは入れない」
実際はそうだったのだ、ロシアでは。
「スプーンに付けたジャムを舐めながら飲む」
「牛乳は入れますが」
つまりミルクティーはあるのだ。
「ですがジャムは入れませんね」
「そうだったな」
「はい、そうでした」
「俺もソビエトに入るまで知らなかった」
「私もそうでした」
これは日本もだった、彼もソビエト領に入るまでロシアンティーというとジャムを入れるものだと思っていたのだ。
しかし実際は違っていた、舐めるのだった。
それでそのロシアンティーについてだ、東郷はさらに話した。
「しかし実際にやってみるとだ」
「それもまた美味しいですね」
「そうだな、ロシアの人達が言う通りな」
「ロシアのお菓子とも合います」
「カテーリン書記長は贅沢は嫌いだがお茶位は出るだろう」
「そしてそのお茶を飲みながらですね」
「交渉をしよう」
こう言うのだった。
「余裕を以てな」
「それ程余裕を以て交渉出来る相手か?」
山下は眉を顰めさせてその東郷に問うた。
「カテーリン書記長、それにロシアだぞ」
「手強い相手だな」
「わかっているではないか」
「しかしこちらの条件はもう言ってある」
全領土と捕虜の返還のうえでの講和である。
「あちらにとっては最高の条件だ」
「それはそうだが」
「まさかカテーリン書記長も断らないだろう」
これが東郷の読みだった。
「講和は成る」
「いや、問題は講和ではなくだ」
「ソビエトの去就か」
「出来れば枢軸側に加わってもらいたい」
山下が懸念しているのはこのことだった、ソビエトが講和してからどう対応をするかなのだ。
「中立も敵でなくなるからメリットはあるがな」
「しかし枢軸に入ってくれるとか」
「ソビエト軍の戦力は大きい」
それもかなりだ、伊達にこれまで枢軸国を一国で相手をしてきた訳ではない。
「参加してくれると大きい」
「それはその通りだ」
「では貴様もだな」
「ソビエトは枢軸国に入ってもらいたい」
実際にそう考えているというのだ、東郷にしても。
「戦力的にもな」
「そしてだが」
山下は東郷の話を聞いてさらに言う。
「経済的にもだな」
「太平洋経済圏にだな」
「ソビエトは入るだろうか」
「それは無理だろうな」
東郷はこのことについては否定的だった。
「あの国は共有主義だからな」
「だからか」
「例え資産主義になったとしてもだ」
そうなってもだというのだ。
「あの国は独特だ、我々と経済的な交流がない」
「これから入るというのはどうだ」
「どうだろうな、それもな」
やはりわからないというのだ。
「そうだとは言い切れない、俺もな」
「太平洋経済圏により我々はかなり発展しているが」
このことは経済的にだけではない、あらゆる交流が進み文化的にも技術的にもそれはかなり進んでいるのだ。
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