虹との約束
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第一部
エピローグ
エピローグ
少年は河川敷に向かった。二年ぶりの再会だ。たまたま彼女の父親が東京に訪れる機会があり、時間を取ることができたらしい。
そっとあの日のように河川敷に腰を下ろす。風の香りも、河面に映る光の粒も、風に乗って歌う草の声も、何もかもあの日のままだ。
河川敷の道路に、一台の車が止まった。中から一人の少女が出てくる。二年経っているのに、変わっていないように見える。また、その少女の胸には、未だ汚れ一つない、金色のロケットが光り輝いていた。
少女が手を振ってくる。少年も振り返す。自然と胸が温かくなった。
あの雨の日、勇気を出してよかった
少年は思った。
二人は駆け寄り、抱擁を交わした。少女は微笑むと、行こうよ、と言った。
二人の男女は、春の光の中へと消えた。
繋がれた手は、決して離れなかった。
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