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転生物語―魂の力―

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DS編
  アノールロンド~王の器入手

「つ、疲れた・・・・・・」

 ガーゴイルによってアノールロンドへと誘われた俺だったが、到着地点よりさほど遠くない篝火にたどり着くのにとんでもなく披露してしまっていた。それもそのはず、ここにたどり着くまでの道中、巨大な騎士三人と激闘を繰り広げていたのだ。
 こちらに全然反応しないため敵ではないのかと目の前まで近寄ってしまったのがいけなかった。突如動き出した巨人騎士はその丈に見合った巨大なハルバードと盾を振りかざし襲いかかってきたのだ。驚いて建物へと逃げ込んだはいいもののそこにも二体の巨人騎士が佇んでおり、これはまずいと思ったもののハルバードを回避した拍子に近寄ってしまい巨人騎士三人対俺一人の構図が出来上がってしまったのだ。

「ということがあったんですよ」

「そうか。奴らは近づきすぎなければ特に何もしてこないから、今度からは注意するんだな」

 篝火の下にいた鎧を着込んだ火防女としばしの雑談をかわし、俺はいよいよアノールロンドの探索へと乗り出した。
 まず初めに、やってきたのとは逆側の建物及びその先を探索したが、わずかばかりのアイテムと何かのチカラで封印された門があるだけだった。そのため、俺は篝火のある部屋から出て正面。下へと降りていくエレベーターに乗って降りていくことにした。

「あれは、ガーゴイルか?」

 降りた先は長い通路となっており、その先は上へと上がってしまっている円形の回廊が見える。そして、その通路に、かつて戦ったガーゴイル――体色が違うことから亜種と思われる――が待ち構えていた。
 恐らく通路へと出れば奴が襲ってくるだろう。だが、ここで立ち止まっているわけにはいかない。俺はクレイモアを抜き放ち、ゆっくりと通路へと歩を進めた。

「ここから入れそうだな」

 雷のブレスを吐くガーゴイルは中々に厄介だったが、それでも俺の敵ではなく尾を切り落とし動きが鈍った所で一気に畳み掛けて倒した。
 そして、現在の俺は上に上がってしまっている回廊を下げるべくどこからか建物の内部に侵入できないかと周囲を調べていたのだ。
 細い屋根を伝った先にベランダがあり、どうやらそこから中に入れそうなのだ。おあつらえ向きに、人が一人入れそうな具合にガラスが割れている。俺はそこから侵入し、奥へと進んでいった。

「これでよし、と」

 建物の中を梁の上を通って渡り、ようやく回廊を下に下ろすことに成功した。途中白い装束に身を包む者たちが立ちふさがり落ちそうにもなったが、なんとか無事にすんだ。
 さて、正面に見えるは恐らく本殿とも言うべき場所だ。気を引き締めて進むとしよう。

――――――――

「もう何なんでしょうね、ここ。道なき道を行くってレベルじゃないですよ」

「ハハハ、私もそうやってここにたどり着いたのだ。それに、文句をいってもどうにもならないぞ」

 あの後、俺はまたしても本来の道ではないルートを通って中へと入る羽目になった。それもこれも、全部正面の大扉が閉まっているのが悪い。おかげででっかい矢が飛んでくる中細い屋根やらヘリやらを進む羽目になり生きた心地がしなかった。思わず、前世の竜神シリーズフル装備で進んでしまったほどだ。
 それにしても、こっちの建物は普通の人間サイズで作られているが、どうなっているのだろう? 巨人騎士は元々こちらにははいれないようになっているのだろうか。まあ、考えた所で答えは出ない。さあ、もう急速は十分だ。探索を再開するとしよう。

「それじゃあソラールさん。俺は先に行きます」

「ああ、気をつけてな。また貴公に会える時を楽しみにしているぞ」

 ソラールさんに別れを告げ、俺は篝火をあとにした。
 探索を再開したわけだが、主な敵は銀の鎧に身を包む騎士たちだった。その様相はかつて不市街で戦った黒騎士のそれにそっくりである。もっとも、扱っている武器は片手剣に槍、大弓と違ったが。
 それからも、途中でジークマイヤーを再び助けた以外は特に何もなく順調に探索を進めて行った。そしてようやく、閉ざされた大扉の先と思われる大きな通路にたどり着いた。通路には外にいた巨人騎士より高位と思わせる鎧に身を包んだ巨人騎士が二体。
 このまま奴らを倒しにかかってもいいが、その前に他に何かないか探索するとしよう。

「っし、準備は万全だな」

 探索した結果、銀騎士が使用していた竜狩りの大弓、そして巨人の鍛冶屋を見つけた。特に巨人の鍛冶屋は雷および結晶派生に加え、特別なソウルを用いた武器の鍛錬を行えるらしい。他にも豊富な強化素材を販売しているなど、アノールロンドでの一番の探索の成果は彼かもしれない。
 早速素材を買って強化した銀騎士の剣と盾、そして上級騎士の鎧を装備し先へと進むことにした。

「・・・・・・出てこいよ。いるんだろ?」

 通路の先。そこは左右に柱が並ぶ大きな広間となっていた。だが、俺は気づいていた。ここに入ったとたん向けられた、敵意の混じった視線に。
 やがて、視線の主たちが姿を現す。一人は、俺程度なら楽々とミンチにできそうな巨大なデブ騎士。もう一人は、デブ騎士よりは小さいがそれでも大きく、獅子をかたどる鎧に身を包み身の丈ほどもある槍を手にした騎士。
 直感だが、この二人はこの奥にいる何者かを守護しているのだろう。

――処刑者スモウ

――竜狩りのオーンスタイン

 耳に残る不思議な声が響き渡る。この二人の名だ。これから戦う相手に、尋常に名乗りをあげたのだ。ならば、俺も答えよう。

「日本人、八神将也にして元トロデーン国国王、エイト!」

 折角強化した銀騎士の剣と盾、および上級騎士一式だがそれを外して竜神シリーズを身につける。この戦い、全力で行く!

「ベギラマ!」

 炎を放射し、僅かな時間ではあるがオーンスタインの足を止める。思った以上に、苦戦している。
 巨体を活かしたパワーで襲いかかってくるスモウと速さと技、そして手に持つ槍に宿った雷の力で襲いかかってくるオーンスタイン。スモウの隙をオーンスタインが埋め、スモウの攻撃によってひるんだ所にオーンスタインが追撃をしかけてくる。全く、よくできた連携だ。
 だが、俺も負けてはいない。かつて会得した特技や呪文を駆使し、二人を相手に真っ向からぶつかり合う。雷に耐性を持つオーンスタインを後回しにし、スモウへと攻撃を集中させる。当然、オーンスタインがそれを阻止せんと責め立ててくるが、オーンスタインの攻撃であれば真っ向から受け止めることができるため俺のスモウへの攻撃を止めるにはいたらない。

「ギガッデイン!」

 強力な雷がスモウに直撃する。すると、ダメージが大分蓄積していたのかスモウの動きがわずかに鈍る。このチャンスを逃すまいと俺はスモウへとトドメを指すべく駆ける。オーンスタインが凄まじい速度で接近してくるが、俺の方が速い。

――はやぶさ斬り!

 目にも止まらぬ高速の二連撃により、スモウの胴体に十字の傷が深々と刻まれる。手応えあり。これで後はオーンスタインとの一対一だ。一対一ならば断然俺が有利。ただし油断は禁物。今もこちらへと接近してくるオーンスタインを油断なく見据えながら距離を取る。
 スモウの元へとたどり着いたオーンスタインはスモウを慮るかのように奴の体に手を添え・・・・・・

――汝が力を我に・・・・・・

「!?」

 スモウの亡骸からオーンスタインへとソウルが流れ込んでいくのを感じる。その証拠に、オーンスタインはスモウと同じ・・・・・・いや、それ以上の巨体へと変貌した。

「ここからが本番、ってか」

 だが、それでも負けるわけにはいかない。

――火炎斬り

 剣に炎を宿し、俺はオーンスタインへと斬りかかった。

――――――――

――見事だ

 勝った。巨大化したオーンスタインに。その巨体のまま衰えぬ速さで攻撃を繰り出すオーンスタインは真に強敵だった。少しでも気を抜けば、俺があの槍に串刺しにされていたことだろう。
 オーンスタインの体が消えていく。俺は、後に残された彼のソウルと獅子の指輪を拾い、先へと進む。この先で、王の器を入手することができるはずだ。
 エレベータで上へと登り、その先にあった篝火で念のためエスト瓶を補充する。そして、アノールロンド最後の扉へと手をかけた。

「・・・・・・・・・・・・」

 最初に感じたのは、違和感だった。まるで、そう。幻惑呪文であるマヌーサにかかったような感覚だ。ただし、マヌーサが相手を惑わすことで攻撃を外しやすくするのに対し、これには全く敵意や悪意といったものは感じない。だからだろうか。俺は特に警戒するまでもなく、部屋の奥へと歩をすすめる。
 待っていたのはこちらは静かに見つめる一人の巨大な女性。そして直感する。この女性は幻であると。当然、彼女からも敵意の類は感じられない。
 そして俺は、王の器を彼女から受け取り改めてグウィンのあとを継ぐように告げられる。さて、もうここに用はない。ひとまず、帰るとしよう。 
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