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ハイスクールD×D~紅の鬼神~

作者:GUARDIAN
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第二話 俺とポニーテールの悪魔事情

 
前書き
二話投稿です!かなり遅くなりましたが読んでくれると嬉しいです! 

 
二度あることは三度ある、なんて言葉がある。いやまだ2回目だけど俺――高上穂斑は何かの予兆なんじゃねぇかとこの2回目を疑ってる訳だ。ここは俺の家の二階、俺の部屋のベッドの上、外にはいつも通り最近うぜぇと思い始めた太陽が部屋に朝日を送ってきている。くそ、そんなもんはいらねぇからずっと沈んでろよ――だがそういう訳にもいかねぇ、曇りとか雨だと姉貴が「洗濯物が全然乾かねぇ!」とか俺に逆ギレするから三日に一日くらいの割合で晴れればいい。だが今はそんなのどうでもいい、何で俺の部屋の俺が今寝てるベッドでつい昨日会ったあの人――姫島朱乃先輩が横で寝てるんだ!?ちょちょ、ちょっと待てよ。確かに昨日俺はとある非日常に巻き込まれた、堕天使とか名乗る意味の分からねぇおっさんに襲われて逃げて、槍みてぇな攻撃の中を掻い潜って野郎の顎に一発叩き込んだけど効かなくて、反撃を食らって死ぬかと思ったら姫島先輩が助けに……。

ここまで不自然な所あったか?いやある意味全部が全部不自然だけどそれを差し引いてもだ!こんな展開になる要素がどこにある!?どこにもねぇよ!訳が分からねぇ!ちくしょおぉぉぉ!思い出せ俺!昨日何があった!?俺は一体どこで道を間違えたんだ!?姫島先輩は俺の名前知ってたけどさすがに家の場所は知らねぇだろ、だったら俺が連れてきたことになる!ありえねぇ、家には姉貴も穂乃実もいるんだぞ!?絶対止められる、最悪追い出される!ならどうやって――

「うぅん……」

「――ッ!!」

ヤベッ、起きたか!?まずいまずいまずい!どうすんだ!?このまま下に降りる訳にもいかねぇしかと言って降りなかったら姉貴か穂乃実が起こしに来ちまう!それは本気でまずい!俺が追い出されるわ!洒落になってねぇよ!くそ、どうする!?打開策が思い浮かばねぇうわぁぁぁっ!当たって砕けろだ!無駄にテンション高く行こう!

「ふぁ……あらあら、おはようございます」

「どもっす!いい朝っすね、姫島先輩!」

「ウフフ、朝から元気ですわね、高上くんは」

よし!こっちはなんとか行ける!あとは下の二人――

「何してんだ、穂斑?」

「……不純異性交遊」

……俺の人生は、終わった。

―☆★☆★☆―

「つまり、昨日不良に絡まれていた姫島さんを助けるために喧嘩して、そっから逃げて時間も時間だからうちに上げた、と」

「そ、そう。そういうことだ。い、一般人として女性が不埒な輩に絡まれてたら姉貴だって助けに入るだろ?俺は何一つおかしなことはやらかしちゃいねぇよ」

「はい。高上くんには本当に感謝していますわ。あのままあの人たちに連れていかれたら何をされていたか分かりませんもの」

ナイスフォロー姫島先輩!あの後色々と言い訳を並べて、こうしてリビングに降りて来られた。正直そのまま二階よりもさらに上のどっかに行っちまうかとヒヤヒヤしたが今のような姫島先輩からのフォローで、俺の首はまだ繋がってるって訳だ。マジ助かった……。

「なるほど……でもな、私はまだ腑に落ちねぇんだよ」

「な、なにがだ?今の話で別におかしいことは――」

「――穂斑、お前、女が苦手だったよな?なのにその人を助けたってのはどういう訳なんだ?普段のお前なら不良に絡まれてるのがたとえ学校一の美少女だろうが美人タレントだろうが知らん顔で無視してる筈じゃねぇか?」

――っ。さすが俺のチート姉……そこらの奴なら気にも留めないようなとこにも食いつく……。もう弁解のしようがねぇな……。俺が諦め気味に――信じてもらえないだろうが――話そうとすると――。

「隠しても仕方ありませんね……。実は私たち、付き合っているんです」

……えっ?今、なんつった?突然の突飛な発言に、俺はおろか姉貴、穂乃実も固まっている。それを気にせず姫島先輩は続ける。

「先週から付き合い始めたんです。まだ日が浅いので他の人たちには隠そうと思っていたのですが、ウフフ。『穂斑』くんのお姉さんは勘が鋭いですわ」

「そ……そう!付き合ってるんだよ俺たち!いやもう少ししたら話そうと思ってたんだけど、こうなったら隠せないもんな!うん!」

「……お前と、その人が、付き合ってると?女が苦手で泣かせたことしかなくて恋愛の『れ』の字と果てしなくかけ離れたお前が、こんな美人と付き合ってると、そう言うんだな?」

全力で首を縦に振る俺。姫島先輩は変わらず柔らかい微笑みを浮かべてる。しばらくして姉貴がでかいため息を吐く。ヤベッ、やっぱバレたか!?そう内心かなり不安になっていると姉貴は――テーブルに手をついて頭を下げた。

「――弟を、よろしくお願いします!!」

「……は?」

「見ての通りのバカで年上の人にも言葉の利き方もなってないようなバカな弟です。ですがそんなバカをあなたみたいな美人で優しそうな女性がもらってくれるなら安心です!どうか私からもお願いです、弟と付き合ってもらえないでしょうか!?」

「ウフフ、こちらこそ認めてもらえて光栄です。聞けばお姉"さま"は元プロバスケ選手と聞いております。そんな素晴らしい女性の弟さんとお付き合いできるのですから、私も嬉しいですわ。弟さんのこと、お任せください」

"お姉さん"から"お姉さま"になってる!?ちょっと言いすぎじゃ、って姉貴も顔赤くしてまんざらでもねぇ顔してやがる!言いくるめられんの(はえ)ぇだろ!?

「お、お姉さまだなんて……へへっ」

キ、キモっ……。あの姉貴が顔赤くして照れてるよ……。普段ならありえねぇ光景だ……。

「穂斑、こんないい人がお前をもらってくれるんだ。お前も大事にしろよ?」

「えっ?あ、あぁ。もちろん」

「女性は繊細だよ、お兄ちゃん……」

おぉう、妹にまで忠告されちまった。マジかよ……俺、これから家ではずっとこんな感じになんの?勘弁してくれ……。姫島先輩は相変わらず笑ってるし……。はぁ、どうなんだ、これからの俺の生活……。

―☆★☆★☆―

朝飯を済ませて(姫島先輩も一緒に)、俺は学校への道を突っ走っていた。ただし学校で授業は受けない。転校の手続きだ。どうも姫島先輩が手配したのか、俺は今日から急遽あの駒王学園に通わなければならないらしい。でも女子高生一人にそこまでのことができるか?昨日のこともあるし、姫島先輩ってよく分からねぇな……。考えてる内に学校に着いて、職員室へ直行して手短に話だけ済ませて次は部活棟に行き野球道具一式を回収、来た道を逆走。日々の人間離れした筋トレのおかげでこのくらい余裕で走れてしまう。徐々に人から離れてる気がする……あっ、俺、もう人間じゃないんだった……。悪魔だったな……。

俺、本当に悪魔になっちまったのか?実感が湧かねぇ……。いや湧いたらまずいけど。昨日の一件で俺は自分が悪魔だと堕天使のおっさんから言われた。いつなったのかは分からないけど心当たりがないわけでもない、俺は急に朝に弱くなった。たぶんその日から前じゃねぇかと思う。確証は一切ねぇけど俺は元々朝に弱い方じゃねぇし。どう考えても不自然だ。……考えるのはよそう、今はこのクソったれな状況に慣れる。絶対に行きたくねぇ駒王学園に行かなきゃならねぇんだから。走る足を速め、俺は駒王学園に向かった。

数分走ると目的の駒王学園に着いた。さすがに元女子高……塀の外からでも女子の声が聞こえてきやがる。男女比率3対7は伊達じゃねぇな。時間は9時半、予想より掛かったな……。外からの声ってことは体育の授業でもやってんのか?うわ、見られたくねぇ。恐る恐る校門をくぐり中に入ると、予想的中。校庭でランニングをしてる大量の女子――の後ろに僅かな男子。マジで少ねぇ……。こんなところで俺はこれからの高校生活を送ってくのか。あれって1個のクラスだろ?女子20くらいに対して男子10ちょいってとこか。ありえねぇ……ここを受験した、もしくは編入した男はバカなのか……?あぁやだやだ、金持ちの考えることは理解できねぇ。さっさと職員室に行って、手続き済ませちまおう。そんで帰ろう。校庭の横を通り過ぎて行こうとして――。

「先生、あそこに生徒いますよー!」

「なに!?サボりか!?」

はっ!?なに、俺を指してます!?制服 (ちげ)ぇだろ!先生らしき男が一人来て俺の腕を掴み、校庭へ引きずっていく。おいおい、勘弁してくれ……。

「お前、名前は?」

「た、高上っすけど……。あの、俺は――」

「サボりの罰だ。クラスは違うだろうがランニングに参加しろ。一人5周だ」

「はぁっ!?」

「なんだ、文句でもあるのか?」

「……いや、もういいっすわ。5周でいいんすよね」

体格的に見ても恐らく体育教師であろう男に言われ、仕方なく参加する。俺が確認すると体育教師は頷き、顎をしゃくり早く行けと催促してきた。はぁ……こんな狭いトラックを5周?舐めてんじゃねぇのか?制服のままでいいか。靴も運動靴だし問題はねぇだろ。俺は軽く息を吐いて――(はし)った。風を切り、前を行く奴らを片っ端から抜き去りあっという間に1周、体操服の生徒が埋めるトラックを俺はなんの苦もなく駆け抜ける。偶然目が合った奴には睨みを利かせ邪魔だと目で言って退()かす。そして1分も経たない内に俺は5周を終えた。

「これで、いいっすか?」

「あ……あぁ。行っていいぞ」

余計な体力使わせやがって……。俺は荷物を担ぎ、今度こそ職員室へ向かった。校庭にいる連中が全員唖然としていたのを、俺は気にしなかった。

少し迷ったが、職員室で手続きを済ませた俺は適当に校舎をぶらぶらしていた。無駄にだだっ広いな……。慣れるのは時間が掛かりそうだな。まぁ自販機が充実してるのはありがてぇ、いつでも買えるじゃねぇか。購買もあるし、それなりに過ごせそうだ。しっかし、本当に女子ばっかだな……少し覗いた教室の中も大半が女子。男子の自由は保障されてるよな……?

俺が思案する中、いかにもなチャイムが鳴り響く。時間から考えて、授業の終わりか?ってことは外にいた連中も戻ってくるな。絡まれると面倒だし……さっさと失せるか。俺がどこかに行こうとすると上から声がした。

「穂斑くん、穂斑くん。こっちですわ」

「あっ?」

階段の上を見ると見覚えのあるポニーテール――姫島先輩がいた。そういや3年って言ってたな。階段を上がり姫島先輩の後ろをついていくと非常階段にたどり着き、そこからまた下に降りる。一体どこに向かってんだ、姫島先輩……?

校舎の外に出た姫島先輩は、校舎から離れた場所にある森に入っていく。校内にこんなところまであるのか……。すげぇ敷地の広さだな。俺も後に続き踏み込むが、正直かなり深い森だ。先輩の後をしっかりついていかないと迷っちまう。しばらく歩くと、古い建物が見えた。まさかあそこに入るってのか……?

「あれが、私たちオカルト研究部が活動している旧校舎ですわ。部長の計らいで今も取り壊されず残り私たちが部室として使っていますのよ」

「オカルト、研究部……?」

「表向きはそうですが、悪魔のお仕事をするのに使っています。ここに一般の生徒は入ってきませんわ。さぁ」

旧校舎の中は、意外と綺麗だった。掃除も行き届いていて目立った汚れは一つも見えない。床がギシギシ鳴るのは外観からも想像できたし雰囲気があっていいんじゃねぇかな、うん。そこから上の階へ上がり、ある部屋の前で立ち止まった。ここに、オカルト研究部の部長がいるのか……。

「開けますわよ。失礼します」

『朱乃ね、いいわよ』

って部長も女子かよ!?中から帰ってきた声は落ち着いた女性の声、その声を聞いて姫島先輩が扉を開けた。中はかなり広く、ソファが二つに横長のテーブルが一つ、奥にある机には、女子生徒が腰掛けていた。この人が、部長……。開いた双眸は怖いほどに綺麗な碧眼、だけどそれ以上に俺の目を引くのは――髪。血よりも赤い、紅蓮の髪、紅の髪。その女子生徒は呆気に取られる俺を見ても気にせずに言った。

「ようこそ駒王学園オカルト研究部へ、高上穂斑。私の名はリアス・グレモリー――悪魔よ」

 
 

 
後書き
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