RAINBOW STATION
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第三章
第三章
「何だ、一緒なんだ」
「一緒っていうと」
僕はそれを聞いて呟いた。
「この線路の先を旅してるんだね」
「そうさ」
彼はベースを背中にやりながら答えた。
「何処まであるのかな。気になってさ」
「じゃあさ、一緒に行く?」
僕は彼にそう提案してきた。
「どう?」
「そうだな」
立ち上がりながら僕の言葉に応える。
「じゃあいいか?」
「うん、旅はやっぱりさ。多い方がいいし」
「丁度都合がいいしな」
リーダーも笑って頷いてくれた。
「俺がギターだしな。ここでベースも入れば音楽的にも都合がいいし」
「じゃあ問題なしだね」
僕はそれを聞いて述べた。
「それで」
「よし、じゃあ御前もな」
リーダーが彼に声をかけた。
「一緒だ」
「よし」
こうして六人になった。そう、六人だ。
けれど何かが足りないような気がしてきた。僕達は一人から六人になった。けれどまだ誰か、何かが足りない。それについて考えていたらそこで髭が言う。
「もう一人いねえかな」
「もう一人か?」
ベースが彼に顔を向けてきた。
「ああ、今六人だろ」
「そうだな」
「ここにもう一人入ったらラッキーセブンじゃないか」
彼はそう言ってきた。そういえばそうだった。
「七人いればよ。それに」
「ドラムだよね」
弟がふと言った。
「ここは」
「そう、それだよ」
リーダーもそれを聞いて頷く。
「太鼓がいないんだ。それがいればな」
「といってもさあ」
白がぼやいて上を見上げる。
「こればっかりはね。前にいるかどうかで」
「いるぜ」
髭がふと言った。
「何処にだよ」
リーダーがそれを聞いて彼に問う。
「何処にもいないじゃないか」
「あそこでヘ垂れ込んでるのがそうさ」
「!?」
リーダーだけでなく僕達も彼の言葉に顔を向けた。見れば丁度岩場で一人太鼓を叩いてるのがいた。何か車掌の服を着ている。
「あいつか?」
「ああ。何か車掌の服着てるな」
髭はリーダーに応えて述べる。
「いるよな」
「確かにな」
「あいつ、車掌さんみたいだね」
弟が彼を見ながら言う。
「よくわからないけれど」
「よくわからないっていうよりそのものじゃないの?」
白が弟に応えて言う。皆その車掌の服を着た目の細い顔を見ている。
「やっぱり」
「ドラム、だな」
ベースはふと呟いた。
「だよな」
「ああ、ドラムだ」
僕がそれに頷く。
「決まりだね。なあ」
僕が彼に声をかける。
「あんたどうしてここにいるんだい?」
「俺?」
彼はそれに応えて顔をあげてきた。そして僕達に顔を向けてきた。
「俺さ、実は電車から降りちゃって」
彼は苦笑いを浮かべてこう言ってきた。
「それで今ここで太鼓叩いてたんだ」
「そうだったのか」
リーダーは彼の言葉を聞いて述べた。
「じゃあ暇か?」
「うん、凄い暇」
彼は言う。
「何していいかわからなくてここで太鼓叩いているけれど」
「じゃあ俺達と一緒に来いよ」
リーダーが言った。
「あんた車掌さんなんだろう?じゃあこの線路の先に何があるのか知ってるよな」
「一応はね」
彼は太鼓を背中にやって立ち上がってそう述べてきた。
「知ってるよ。大きな駅があるんだ」
「駅が」
「うん、オアシスがあってね」
「オアシスが」
それを聞いて僕達は自分の目が輝くのがわかった。荒地ばかり見てきた僕達にとってオアシスという言葉はそれだけで凄く魅力的なものだった。目が輝かずにはいられなかった。
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