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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第6章:女の決意・男の勘違い
  第12話:身勝手な連中

(ロザリーヒル)
マリーSIDE

「あ、もの凄い美女の匂いがする!」
まだ何も言ってないのに、匂いでお母さんの存在を感じ取ろうとするパパ……
色んな意味で凄いなぁ。

「そうよお父さん。この村にお母さんが居るはずよ……ほら、あの塔を夢で見たでしょ。イムルの宿屋で夢見たでしょ」
「本当だ! あの塔は夢で出てきた塔だ! あの最上階にビアンカが居るんだな!?」
言うが早いか、私の事など一瞥もせずロザリーが潜んでいる塔へ走り出すお父さん。

やれやれ、子供ねぇ……
『あやかしの笛』を持っている私が一緒じゃないと、塔の最上階へは行けないのに(笑)
お父さんが困り果てた瞬間を狙って、私が出入り口を出現させてやりましょう。
私ってば救世主ね♥


もういい加減ウザかったから、天空の鎧を手に入れて直ぐに、私達はロザリーヒルへとやってきました。
途中、私の正体を知ってしまったリューノを、お父さんが説得してくれたみたいで、以前より姉妹としての関係が深まった様に感じる。結構嬉しい。

そのお礼を込めてではないけど、焦らす事無く(お母さん)の事を教えてあげたのだが、その反応に“イラッ”とくるのは何故だろう?
判り切ってた事なのに“イラッ”としてしまうのは何でなんだろう?


おもちゃ屋に向かうガキの様に、我々を残し先行するお父さんを追いかけ、無関係な塔の一階部分に入る。
中ではお父さんが、ドワーフのシスターに叱られていた……と言っても、シスターが勝手に「ここは貴方達の様な者が来るべき場所ではありません。お帰り下さい!」と言ってるだけだけどね。

叱られている対象者(お父さん)は、ガン無視で上階に向かう階段を探してる。
そんな物はここに存在しないのに、地下と一階を行ったり来たりして、この塔の造りを把握しようと勤しんでいる。
普段は何でも出来ちゃう男なのに、今日の姿は滑稽よね!

「あ、この壁の向こうからビアンカの声が微かに聞こえる! くっそぅ……どうやって向こうへ行けば良いんだ!?」
教会の壁に耳を当て、向こう側の様子を覗っているお父さん。
そろそろかしら? 私の出番はこのあたりかしらん?

「ジャカジャ~ン! さぁ私にお任(ドカッ!!)せ……あれ?」
懐からサントハイムでがめた笛を取り出し、高々と掲げて場を支配しようとしたのだが、マイパピィがドラゴンの杖で教会の壁を破壊し、隠し通路を発見しちゃった。

マジっすか!? 力業っすか!?

マリーSIDE END



(ロザリーヒル)
ウルフSIDE

何を考えたのか、この村に入って早々にマリーがビアンカさんの居場所はここだと明かしてきた。
多分、リュカさんがビアンカさんの気配(匂い)を感じ取り、ウザくなったからだろうけど、タイミングとしては最悪だと思う。

だって……思った通りリュカさんは勝手な行動を始め、激怒するシスターを無視して教会の壁をぶち壊しちゃったんだから……
非常識なのは判ってたけど、惚れ惚れする様な常識の欠如だよね。

俺の後ろでは、マリーがサントハイムで手に入れた笛を掲げて固まっているが、この事態を招いたのはこの()の所為だ。
最大級目立って自らの存在をアピール(今回は良い意味で)しようと画策したのだろうけど、ビアンカさんの居場所を言うタイミングを間違えた所為で、彼女(マリー)を含めたこの一族の非常識加減が露呈しただけに終わった。

マリーのフォローをしてやりたかったが、自らが作り出した出入り口から、さっさと奥へ入っていくリュカさんが心配(リュカさん個人では無く、その先で待ち構えている方々の事)になり、急いで俺も後を追う事にしました。
まぁ彼女(マリー)には、自業自得だと諦めてもらいましょう。

発見した隠し通路は狭く、トルネコさん一人が通るのがやっとの幅だ。
だがそんな事は気にしないリュカさんは、後続の俺達すらも気にせずズンズン奥へ進んで行く。
同じように狭い階段を駆け上がり、塔の最上階へ辿り着く。

そこには扉が1つあり、その奥にビアンカさんが居るのだと推測できる。
何故ならば、扉の前に緑の甲冑を着込んだナイトが立ち塞がり、我ら(基本リュカさん)の行く手を阻んでいるからだ。
きっとデスピサロがロザリー(って名前だったよね?)を守る為に、ここへ配置させたのだろう。

そのオッサンの目当てはロザリーじゃないから大丈夫なんだけど……そんな事言っても通してくれないだろうなぁ……
まぁ今回は珍しくリュカさんが先頭に居るから、全部このオッサンに任せれば良いよね!
緑の奴は結構強そうだけど、リュカさんに掛かれば瞬殺だろうから、今回は俺達楽して良いよね!?

そんな気持ちで気楽に眺めていたら……
「ちょっと退いて!」
と言って、緑ナイトを両手で高い高いする様に持ち上げ、クルッと場所を交換させ先に進んで行っちゃいました!
きっと緑も、リュカさんがボス(デスピサロ)に似てたから油断してたんだと思うけど……

マジっすか!?
緑も同じ気持ちなのか、奥の部屋に入って行く不審者(リュカさん)を呆然と見詰めている。
まだまだあの人の行動が読み切れない……

だが何時までも呆然としている訳にもいかないのだ。
何故なら、この事態に気付いてない後続の仲間達が、先へ進もうと俺を後ろから押し込んできているからだ!
さっきまで“今回はリュカさんが戦うから、俺楽できるぅ♥”と気を抜いてたのに、今では目の前に強そうな緑が立っている。

しかも俺は後ろから押される形で緑に近付いているので、逃げる事が出来ないのだ。
緑も部屋に入って行っちゃった不審者(リュカさん)の事より、迫ってくる俺に意識を集中させるべく、こちらに向き直り甲冑でくぐもった声で警告を発してる。

「と、止まれ……これ以上は進ません!」
「あ、いや……俺もね……進むつもりないんだけどね……あ、やばい! スカラ、スカラ!」
だが、時既に遅し……

俺は後続に押される形で緑に激突。
咄嗟にスカラを重ねがけしたのだけど、緑の甲冑に突っ込むのはとても痛い。
しかもそのまま傾れ込む様に室内へと乱入……緑が倒れた所為で俺も一緒に倒れ込む。
勿論後続も!

とっても痛かったがスカラの効果は絶大な様で、なんとか人山から抜け出し体勢を整える。
その際に緑が無事か確認したが、気を失っただけで生きてはいた。
鎧は丈夫だろうけど、甲の中で頭を打ち付けたんだろう……面倒だし今はソッとしておこう。

ウルフSIDE END



(ロザリーヒル)
クリフトSIDE

一体何が起きたのか判らないが、私達は全員で塔の最上階の部屋に乱入しました。
現状で判ってる事は、リュカさんが非常識を振りかざし身勝手な行動をとったため、常識人の私達が彼を追い、凄い勢いで転んでしまった事だ。

自分で言うのもアレだが……控え目な性格の私は、集団の後方より追いかけてたので皆さんが転んでも大人数の下敷きにはなりませんでした。
とは言え、私のすぐ前に居たアリーナ様を救うべく、私が彼女のクッションになる様身体を滑り込ませましたけど……

さて……ダメージも少なかった事ですし、アリーナ様を起こして室内を見渡してみる。
そこには、先頭に居たはずだろうウルフさんが既に体勢を整え立ち上がってました。
流石はリュカさんの一番弟子。どんな状況だろうとも、自分だけは被害を最小限に抑えるんですね。
見慣れぬ緑の甲冑(多分中に人が入ってる)の安否を確認し、ご自慢の彼女2人を人山の中(割と下部の方)から救い出すと、部屋の隅に居る人物に軽い口調で話しかける。

「あ、どうも~……貴女の友達のビアンカさんの知り合いです。怪しくないですよ~」
長く淡いルビー色の髪をした美しいエルフが、脅えた表情でこちらを覗っている。
きっと彼女が、皆さん(イムルで夢を見た人達)が言ってたロザリーさんなのだろう。

一瞬だがロザリーさんに目を奪われていたのだが、彼女の対角にある部屋の隅から“ギシギシ”と軋む様な音が聞こえてそちらに視線を向ける。
そこには天蓋付きのベッドが一つ……アリーナ様の部屋にあるのと似た様なタイプで、かなり大きいベッドだ。

そのベッドの上では、紫のターバンを巻いた人物が誰かを抱きしめ蠢いている。
語る必要はないのだろうが、一応は語っておこう。
紫はリュカさんで、その下で悶えてるのが奥さんだろう。
お互い服はまだ着てるので、ディープな口吻を他人のベッドで堪能しているのだろう。

「おいオッサン! いい加減にしろよ……先ずは状況説明とか色々やる事があるだろう! イチャ付くのは今後幾らでも出来るんだから、今は落ち着いて話の出来る環境を整えろよ!」
放っておけば服を脱ぎだし本番に入りそうだったので、ウルフさんがリュカさんのマントを引っ張り、お二人を引き離そうと試みている。

「……んっ……うん……そ、そうね……リュカ、ウルフ君の言う通り……今は落ち着こう。後で幾らでも出来るんだから……ね♡」
どうやら奥さんの方は多少真面なのだろう……名残惜しそうにだがリュカさんから顔を離し、身形を整えこちらに視線を向けてきた。

そして私は驚いた……いや、私だけではないだろう。
リュカさんの奥さんは、リュカさんが自慢するだけあって本当に美しかった!
どうしてこれ程の美女が奥さんなのに、旦那は浮気をするのだろうか!?

しかし、そんな疑問を口に出す前に、新たな事件が巻き起こる!
突如シンさんが「シ、シンシア!? 生きてたんだねシンシア!!」と大声を上げ、ベッドに座っているリュカさんの奥さんへ抱き付こうと駆けだした!

「あ! 言っておくの忘れてた……」
リューノさんの呟きを聞きながら、リュカさんに吹き飛ばされるシンさんを眺める……
私なら間違いなく死んでるであろう勢いで、我々の後方の壁に叩き付けられる彼の姿は、一生忘れないだろう。

一体何がどうなってるのか?
リューノさんは何を言い忘れてたのか?
シンさんは生きているのだろうか?

我々全員が見守る中……事態は進んでいく。
やっぱりリュカさん一家は、すべからくトラブルを発生させるらしい……

クリフトSIDE END



 
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